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個性派ライターによる映画レビューのマガジン。毎週1〜2本、新作映画を中心に言いたい放題で斬りまくります。

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Cinemaの王国 vol.223

発行日: 2004/4/9

★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・

 =週刊「Cinemaの王国」= vol.223(2004. 4. 9)

                 http://homepage1.nifty.com/pochie/
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【INDEX】
■1.今週のこの1本!
  ―『殺人の追憶』―
■2.今週のもう1本!
  ―『イン・ザ・カット』―
■3.ホームページのお知らせ(『きょうのできごと』『イノセンス』)
■4.今週のニュースあれこれ
■5.今週の新作映画公開情報
■6.メールちょうだいッ!!
■7.ぽちのひとりごと
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■1.今週のこの1本!■

韓国映画が相変わらず元気です。それを象徴するような映画にまたまた出会い
ました。
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●『殺人の追憶』(MEMORIES OF MURDER)
(2003年 韓国)(上映時間2時間10分)
監督:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、キム・サンギョン、キム・レハ、ソン・ジェホ、ピョン
・ヒボン、パク・ノシク、パク・ヘイル、チョン・ミソン
*シネ・アミューズ、シネマスクエアとうきゅうほかにて公開中
ホームページ http://www.cqn.co.jp/mom/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<ストーリー>
1986年、韓国・ソウル近郊の小さな農村で女性が手足を縛られ、全裸で殺され
る猟奇殺人事件が起きる。地元の刑事パク(ソン・ガンホ)はさっそく捜査を
開始するが、なかなか犯人は捕まらず、新たな犠牲者が出てしまう。そんな中
、ソウル市警からソ刑事(キム・サンギョン)が派遣されてくる。しかし、パ
ク刑事とソ刑事は性格や捜査方法の違いから衝突を繰り返す。その間にも犠牲
者は増え続け……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
実際に起きた猟奇殺人事件を多面的に描いた刺激的な映画
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
20年近く前に韓国の農村で実際に起きた未解決の猟奇殺人事件を扱った映画。
というと、いかにもサスペンスチックな素材で、ナゾときが中心の映画を想像
しますが、それほど単純な作品ではありません。

確かに「本当は誰が犯人だったの?」というサスペンス的な要素もあるにはあ
るけれど、それよりも目立つのが刑事たちの心理を描いた人間ドラマ。

地元のたたき上げの刑事で、科学よりもカンを頼りに、被疑者に対して拷問さ
えもいとわないパク。
それに対して、ソウルから派遣されたエリート刑事で、冷静沈着、証拠重視の
捜査をモットーとするソ。
この2人の対立を中心に、事件の捜査を通してそれぞれの心理がどう変化して
いくのかが克明に描き出されます。

2人の刑事の対比がいいですねぇ〜。 (*^。^*)
『シュリ』『JSA』のソン・ガンホ演じる地元刑事は外見からしていかにも
無骨。絶対にああいうのには捕まりたくないデス。
一方、『気まぐれな唇』のキム・サンギョンが演じるソ刑事は見るからにスマ
ートで、頭が切れそう。

そんな2人に加え、パク刑事の子分的存在の若い刑事チョ、上司の捜査課長、
婦人警官ギオクなどが中心になって犯人探しが進められます。

全編に漂う異様な重苦しさと緊迫感が、この映画の最大のウリではないでしょ
うか。
雨、赤い服の女、女子高のトイレ、ラジオにリクエストされる『憂鬱な手紙』
という曲、などのアイテムを効果的に使いながら、緊迫感をズンズンと高めて
いきます。
民主化運動が行われ、戒厳令下にあった当時の時代背景も、ソツなく盛り込ま
れて、ますます重たく、張り詰めた雰囲気を醸し出します。 W(゜O゜)W

その中で、何人かの容疑者が浮上するが、どれも決め手に欠ける。
だが、やがて決定的な容疑者として『憂鬱な手紙』をリクエストしたパク・ヒ
ョンギュが浮上……。

ラストは息を飲むほどの緊迫感です。
ここでは特にソ刑事の複雑な感情が描かれます。それまでの冷静沈着さをかな
ぐり捨てて激しい感情をぶつけます。そこで初めて彼は、それまで対立してい
たパク刑事と同じ感情を持つに至ったのです。
犯人に対する怒り、手の届くところにあるのに手を出せないもどかしさ。そん
な2人の刑事のやり場のない思いがこちらの胸にグイグイと迫ってくる印象的
な場面でした。 (>_<")

こうして、重苦しさと緊迫感が全体を支配するこの映画ですが、実はそんなに
観ていて疲れる感じはしません。それというのも、部分的に見ると、このテの
殺人事件ものの映画としては珍しく、笑いどころがたくさんあるんですよね。

ヒドイ状態の遺体の解剖に立ち会った後で、焼肉屋でジュージュー肉を焼くシ
ーン。「現場に毛が落ちてなかったから無毛症の男が犯人じゃないか」と考え
たパク刑事が、銭湯に通い詰めて客の股間をチェックするシーン。なかなか犯
人が捕まえられないパク刑事がとうとう霊媒師におうかがいを立てるシーンな
どなど。

ときにはブラックでシニカルだったり、ときにはザ・ドリフターズ(追悼、い
かりや長介……)も真っ青のオバカだったりと、いろんな笑いのネタを振りま
いてくれます。
そういう笑いが逆にメリハリになって、事件をめぐるアレコレや刑事の心理描
写が厚みを増し、全体の緊張感が高まっていくんです。

こうして笑いを上手く使った多面的な構成は、ポン・ジュノ監督の前作『ほえ
る犬は噛まない』でも見られた手法。そのメリハリの妙がたまらんのですヨ。
ヘタをすると雑然とした映画になるのに、けっしてそうならないからスゴイも
の。 (^。^/)

ラストのエピローグもいですねぇ〜。いまだに何かを抱えたままのパク刑事の
心情が伝わってくる余韻の残る終わり方でした。けっして、事件が過去のもの
ではなく、いまだに続いていること。そして、事件だけでなく、当時の韓国の
さまざまな問題が今も解決できていないこと。いやいや、韓国だけでなく、世
界中で……という広がりを感じさせるラストでした。

定番のサスペンスとは違って、人間ドラマや笑いなど多面的な描写によって、
時代の暗部ともいえる猟奇殺人事件を映し出した映画。見応えはタップリ。特
に人間ドラマの厚みはすさまじく、ポン監督の洞察力の鋭さを感じさせます。

どうせ刑事ものの映画をつくるなら、こういうユニークな映画にしてほしいよ
なぁ〜。『踊る××××』もいいけどサ。

《ぽちのオススメ度》
★★★★☆【絶対にオススメ! みんな観てねぇ〜】
(ありがちなサスペンスと違う多面的な魅力を持った映画。全編に漂う緊迫感
と笑いとのバランスがたまりません。)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2004年3月31日(水)シネマスクエアとうきゅうにて。午後11時35分の回。

*ちなみに前作『ほえる犬は噛まない』のレビューはこちら
→ http://homepage1.nifty.com/pochie/review/hoeruinu.htm
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■2.今週のもう1本!■

続いては『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオン監督の新作。期待する
なというほうが無理でしょう。だが、しかし……。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
●『イン・ザ・カット』(IN THE CUT)
(2003年 アメリカ)(上映時間1時間59分)
監督・脚本:ジェーン・カンピオン
出演:メグ・ライアン、マーク・ラファロ、ケヴィン・ベーコン、ジェニファ
ー・ジェイソン・リー
*丸の内ピカデリー2ほかにて全国公開中
ホームページ http://www.inthecut.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<ストーリー>
ニューヨーク大学で講師をしているフラニー(メグ・ライアン)の家の近くで
猟奇殺人が起きる。犯人らしき人物を目撃した彼女は、事件を捜査する刑事マ
ロイ(マーク・ラファロ)と親しくなる。だが、彼の手首にはフラニーが目撃
した犯人と同じタトゥーがあった。疑惑を感じつつも、マロイとの官能的な逢
瀬を重ねるフラニーだったが……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
サスペンス? 官能? 何をしたかったのかよくわからない中途半端な映画
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオン監督が、『ある貴婦人の肖像』
でコンビを組んだニコール・キッドマンを主演に想定して書き上げた脚本に、
メグ・ライアンが惚れ込み、ニコールは製作にまわって、メグ主演でつくった
のがこの映画。官能的なサスペンス映画という触れ込みです。

オープニングが素晴らしいぃ〜〜〜!!! (^o^)/
「ケセラセラ」に乗って、これ以上ないほど美しく、詩的で、しかも妖しげな
シーンが展開されます。特に花吹雪の美しさが印象的。あとあとまで忘れられ
ないシーンです。

ですがこれがこの映画でいちばんのシーン。あとははっきり言ってダメです。
何がダメなのか。描き方がみんな中途半端なんですよ。何を描きたかったのか
サッパリわからないんです。 (´ヘ`;)

大学講師フラニーが、教え子と入ったバーで猟奇殺人事件の犯人らしき人物を
目撃。そこにある刑事が登場して、彼女と官能的な関係を持つ。だが、彼の手
首には犯人と同じタトゥーがあって……。

というわけで、猟奇殺人をめぐるサスペンスが話の中心なのかと思ったら、そ
れがきちんと展開されていかないんですよね。
少しずつナゾときをしていくわけでもなく、恐怖をズンズンと積み上げていく
わけでもない。映像などでアヤシイ雰囲気は醸し出されるものの、ハラハラド
キドキするようなところはまったくナシ。

だとすれば、これはサスペンスの形を借りて、主人公の心の軌跡を描くドラマ
なのか?
たとえば、胸の奥底にくすぶっていた性的な思いが、刑事との関係をきっかけ
によびさまされて……とか。
あるいは、彼女の性に対する屈折した感情は幼少時の心の傷が原因で、それが
次第に明らかになっていく……とか。

でも、そういう心の葛藤や変化が見られることもありません。心理描写が表面
的すぎて、主人公の深層心理をとらえきることもない。その代わり、ただやた
らに刑事とエッチなことをするだけ。これが官能ってヤツですか?
おまけに、それが本筋のサスペンスに絡んでいくこともない。何なんだ? こ
れ。 (・_・?)

アヤシゲな刑事との関係をはじめ、腹違いの妹の話、ストーカーまがいに主人
公を追いかける医大生、彼女に好意を寄せる教え子、あげくは自分が生まれる
前の父と母の過去。いろんな要素は散りばめられているものの、それがきちっ
と1本に収束していくこともない。ただバラバラと放り出されるだけで、いっ
たい何をしたかったのやら。 ┐(´-`)┌

そういうたくさんの要素をうまく使えば、サスペンスとしてももっともっとお
もしろくなったと思うし、主人公の深層心理(特に性的な)を描くドラマとし
てももっともっと深いものができたと思うのだが。 (~ヘ~)

それでも映像は最初から最後まで、格調高く、不可思議さを漂わせ、ジワジワ
と心にしみてきます。地下鉄の詩のような広告、手持ちカメラでとらえたニー
ヨークの風景など、すべてがアヤシク、エロチックな雰囲気を漂わせている。
それだけに、物語の展開がつまらないのがもったいないんだよなぁ〜。

ジェーン・カンピオン監督のサスペンスというので、官能的で胸がヒリヒリす
るようなエモーショナルな映画なのかと思ったら、ただの上っ滑りのサスペン
スでした。

ま、男性はメグ・ライアンの大胆なヌード、女性はマーク・ラファロの毛深い
裸でも楽しんでください!?
そういえばストーカー医学生役のケヴィン・ベーコンも上半身裸だったな。こ
れって裸を楽しむ映画なのか? (^0^)

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆【わざわざ劇場で観なくても!? 他にやることがなければどうぞ】
(ミステリーとしても、主人公の深層心理を描くドラマとしても中途半端。映
像の素晴らしさがかえって空疎に思えてしまう。)
                           <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2004年4月3日(土)シネマ・ロサにて。午後4時の回。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■3.ホームページのお知らせ■

予定の仕事が始まらず、とんでもなくヒマをかっくらっています。そのため、
いつもより多めに映画を観ております。そこで今週は『イノセンス』と『きょ
うのできごと a day on the planet』をHPにアップしました。よろしかっ
たらぜひ。

●『イノセンス』
→ http://homepage1.nifty.com/pochie/review/innocence.htm

●『きょうのできごと a day on the planet』
→ http://homepage1.nifty.com/pochie/review/kyonodekigoto.htm
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■4.今週のニュースあれこれ■

◎シュワ知事、セクハラ講義中にまたセクハラ!
◎ジェニファー・ロペスの母親、カジノで大当たり。
◎ジェイソン・パトリック、酔っぱらって逮捕。

てな感じの今週。
すいません。ゴシップネタばかりになってしまいました(笑)。なので。別に
コメントすることもありませんです。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■5.今週の新作映画情報■

<今週末(4/10)に公開のおもな新作映画>
●『ディボース・ショウ』→ http://www.divorce-show.jp/
●『真珠の耳飾りの少女』 → http://www.gaga.ne.jp/pearl/
●『タイムリミット』 → http://www.timelimit.jp/
●『ドラムライン』 → http://www.foxjapan.com/movies/drumline/
●『ハッピー・フライト』→ http://www.happyflight.com/
●『バーバー吉野』→ http://www.pia.co.jp/pff/barbar/
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■6.メールちょうだいッ!!■

「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。

◆今週はメールの紹介はお休みです。
メールをくださったみなさん、ありがとうございました。m(._.)m

みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ
スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン
ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合
もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■7.ぽちのひとりごと■

*今年もお花見をせずに終わってしまった。会社勤めとかじゃないしね。ま、
それでも仕事の打ち合わせに行く途中で、市ヶ谷近辺に咲き誇る桜をじっくり
見ることができたのだ。さすがにきれいでしたねぇ〜。春を実感。

*家の近くのTSUTAYAで『えびボクサー』を借りて観る。とんでもない
オバカ映画かと思ったら、意外にまともな映画なのねぇ〜。でも、あのエビは
やっぱり爆笑ものでした。
                             (ぽち)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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・『melma!』 http://www.melma.com/    ID:m00025647
を利用して発行しています。
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■週刊「Cinemaの王国」  vol.223  2004. 4. 9
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