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Cinemaの王国 vol.222

発行日: 2004/4/2

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 =週刊「Cinemaの王国」= vol.222(2004. 4. 2)

                 http://homepage1.nifty.com/pochie/
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【INDEX】
■1.今週のこの1本!
  ―『エレファント』―
■2.今週のもう1本!
  ―『恋愛適齢期』―
■3.今週のニュースあれこれ
■4.今週の新作映画公開情報
■5.メールちょうだいッ!!
■6.ぽちのひとりごと
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■1.今週のこの1本!■

久々にすごい衝撃を受けました。『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』
などの佳作を撮ってきたガス・ヴァン・サント監督の新作です。去年のカンヌ
映画祭で最高賞のパルムドールと監督賞をダブル受賞しました。
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●『エレファント』(ELEPHANT)
(2003年 アメリカ)(上映時間1時間21分)
監督・脚本:ガス・ヴァン・サント
出演:アレックス・フロスト、エリック・デューレン、ジョン・ロビンソン、
エリアス・マコネル、ジョーダン・テイラー
*シネセゾン渋谷にて公開中。順次全国公開予定
ホームページ http://www.elephant-movie.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<ストーリー>
初秋のオレゴン州、ポートランド郊外の高校では、ごく普通の光景が繰り広げ
られていた。写真を撮る者、アメフトの練習に励む者、同性・異性愛会で討論
する者、図書室でボランティア活動にいそしむ者……。だが、そんな中、いじ
めに対する怒りをピアノでまぎらわせる一人の生徒がいた。その生徒は「エリ
ーゼのために」を弾きながら周到に練った計画を実行しようとしていた……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
高校銃乱射事件を描いたあまりにも重たい映画。あなたは受け止められるか?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
うーん、なんと言ったらいいのでしょう。この映画はあまりにもヘビィーです
。重たすぎます。その重さの前では、何を言ってもムダなような気がしてしま
うのですが……。 (~ヘ~)

一応、フィクションという設定のようですが、明らかにコロンバイン高校の銃
乱射事件をテーマにした映画です。
同じテーマの映画としてはマイケル・ムーア監督の『ボウリング・フォー・コ
ロンバイン』が有名ですが、あちらはドキュメンタリー。アメリカの銃社会の
怖さやバカバカしさがよく伝わってくる映画でしたが、当事者の多くが死んで
いることもあって、本当にあそこで何があったのかについてはイマイチわから
ないところもありました。

そうなるとやっぱりフィクションであるドラマの出番。
ドラマのサイドから、あの事件をよりリアルに提示するというのは、ガス・ヴ
ァン・サント監督にとって絶対に避けて通れないことだったのでしょう。なん
たって、『マイ・プライベート・アイダホ』『グッド・ウィル・ハンティング
 旅立ち』などで若者の生き様を描いてきた監督さんですからねぇ。

といってもフツーのドラマではありません。実験的というか、大胆な手法を採
用した野心作です。
起伏のあるストーリーは何もありません。その代わりに事件前の高校生たちの
日常を淡々と丁寧に描写。やがて被害者になる人間、加害者になる人間、そし
て難を逃れる人間、どれも同じように客観的に描写していきます。

いわゆるドキュメンタリー風な構成なのですが、それだけではくくれない深み
があります。固定カメラをまわしっぱなしにしたり、突然スローモーションに
したり、どこまでもカメラを移動させたりと映像的な工夫も独特な雰囲気を生
み出しています。
奇妙な静寂さ、そして透明感、持続する緊張感、それらがやがて訪れる破局へ
のプロローグとしてスクリーン全体に鳴り響きます。

高校生たちの描写は、ひとりひとりに焦点を当てながら進められます。同じシ
ーンが何度も出てくるのですが、それぞれ別の人物の視点で描かれるんです。
それを通して感じるのは、ダサいヤツも、家族にトラブルを抱えているヤツも
、いじめられているヤツも、すべてが同じ1人の高校生だということ。つまり
、この事件は特別な学校で、特別なヤツが起こした事件じゃないってことです
ね。それだけになおさら恐怖感を感じてしまいます。 (>_<")

そして、やがてついに事件が起きます。衝撃的です。凍りつきます。
ただし、そこで明確な理由が提示されるわけではない。イジメなどの伏線はあ
るものの、それを直接の引き金として描いているわけでもない。断定はあえて
避けて、観客の判断に委ねています。

これはねぇ、監督自身もどういう視点で描けばいいのか相当に迷った結果じゃ
ないでしょうか。ごくフツーの高校生がどうしてあんなことを起こしたのか。
よし、それならとにかくオーディションで選んだ同世代の子供たちに、事件の
当事者になりきって自由に演じてもらおうじゃないか。それを記録することで
、きっと何かが見えてくるに違いない。ガス・ヴァン・サント監督はそう考え
たのかもしれません。

ボク自身、この映画が投げかけたものをどう受け止めるべきか迷っています。
ただあの事件がけっして特殊な事件ではなく、どこでも起こりえるものなのだ
ということはよくわかりました。
具体的な解決策なんて、加害者たちの心の闇を解放してあげる場所をつくって
やるぐらいしか思い浮かばないんですけどね。
ああいう事件をどうして防ぐかは、永遠のテーマなのかもしれないなぁ。

それに、やっぱりアメリカの銃社会は異常だよ。高校生が宅配であんな強力な
銃が買えちゃうんだもん。あれは絶対いけないヨ。

1時間20分しかない映画だけれど、5時間ぐらいの映画を観た感じです。強烈
なパンチを受けたようで、終わってからもしばし席を立てませんでした。
ガス・ヴァン・サント監督の良心と、知性、そして映画技術が見事に融合した
映画です。こんなに重たすぎる現実と真正面から対峙した勇気が素晴らしい。

エンタメ映画的な目で見ればとんでもなく退屈な映画かもしれませんが、ボク
にとってこれはかなりの名作。
あなたはこの映画が投げかけた衝撃を受け止められますか?

《ぽちのオススメ度》
★★★★☆【絶対にオススメ! みんな観てねぇ〜】
(とはいうものの、重たい映画なので楽しい映画が好きな方は観ないでね。今
という時代と対峙したい方にだけオススメです。)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2004年3月27日(土)シネセゾン渋谷にて。午後1時35分の回。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■2.今週のもう1本!■

続いては、ダイアン・キートンとジャック・ニコルソンの二大オスカー俳優が
共演したこの映画。
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●『恋愛適齢期』(SOMETHING'S GOTTA GIVE)
(2003年 アメリカ)(上映時間2時間8分)
監督・脚本・製作:ナンシー・メイヤーズ
出演:ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、キアヌ・リーブス、フラ
ンシス・マクドーマンド、アマンド・ピート
*丸の内ルーブルほか松竹・東急系にて全国公開中
ホームページ http://www.warnerbros.co.jp/somethingsgottagive/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<ストーリー>
実業家ハリー・サンボーン(ジャック・ニコルソン)は、30歳以下の女性にし
か興味がない63歳の独身男。だが、ある日、新しい恋人と訪れた別荘で彼女の
母親エリカ・バリー(ダイアン・キートン)と鉢合わせ。心臓発作で倒れ、別
荘に居候を余儀なくされたハリーは、エリカのことが気になりだす。一方、エ
リカにはハンサムな青年医師ジュリアン(キアヌ・リーブス)が恋心を抱き…
…。

<ストーリー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ありきたりのラブコメだが、熟年世代を主役にしたところがミソ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2人のタイプの違う男に気に入られた女性の恋の行方を描いたコメディタッチ
の恋愛映画。まあ、要するにフツーのラブコメです。基本的には。

ただし、この映画のミソは主人公の女性を熟年世代にしたところ。夫と離婚後
ずっと1人だった女性作家が、娘の恋人の熟年オヤジと出会い、互いに惹かれ
合うようになる。同時に、若い医師からも愛を告白される。 (*^3^)/〜☆
同世代の女性にとっては、しゃくにさわるぐらいうらやましい話でしょ。

設定がうまいよねぇ〜。ラブコメにありがちな現実味のなさを極力抑えること
に成功しています。
ジャック・ニコルソン演じる金持ちの熟年オヤジは、それまで若い女性としか
つきあったことがない。そこに突然出現した魅力的な熟年女性。
一方、キアヌ・リーブス演じる若い医師も、こんなに魅力的な年上の女性に出
会ったのは初めて。
というワケで、2人が主人公を好きになるのも納得ができます。 (^-^)

ただし、これは主人公がダイアン・キートンだから成立する話で、フツーの同
世代の女性が同じようにいくとは限りませんから、あんまりムチャしないよう
に(笑)。

その主人公にしても、若くてハンサムなキアヌを好きになるのは納得だし、ケ
タはずれのブッ飛びオヤジのジャック・ニコルソンも未確認飛行物体に遭遇し
たようなアヤシイ魅力があるので、惹かれるのもなんとなく理解できる。
てことで、そのへんも無理のないようにキチンと設定されているんですヨ。

全体に笑いどころがたくさんあるのもお楽しみ。
ジャック・ニコルソンの尻出しはどーなんだ? とも思うけれど、爆裂ギャグ
が満載でゲラゲラ笑えるのは間違いなし。バイアグラだの、心臓発作だのの、
熟年(老年?)ネタも楽しいです。

特に感心したのはダイアン・キートンとジャック・ニコルソンのベッドシーン
。そりゃ確かにダイアンは年のわりにきれいですけれどね。でも、この2人の
ベッドシーンを美しく見せるのは至難のワザでしょ。
てことで、ここもコメディの要素をうまく使って、微笑ましく見せるんですよ
ねぇ〜。ベッドで燃える熟年世代ってけっこうカワイイ。 (^。^/)

そういうところも含めて、どうやったら観客を納得させて、楽しませることが
できるかというツボをしっかり押さえた脚本と演出です。

大量に繰り出されるセリフも、2人の年輪をふまえた含蓄のある言葉が飛び出
すので、うるさくなることがありません。ジャックとダイアンの演技力もあっ
て、良質な舞台劇を観ているかのようです。

ただし、やっぱり基本がフツーのラブコメですからねぇ。物足りなさは残りま
すねぇ〜。
特にラストはあまりにもありがちで困った結末。ボクなんか始まって20分でこ
の結末が予想できたもんね。
前フリがあるから大逆転のつもりなんだろうけど、それもまたこのテの映画の
定番。ちっとも逆転してません。
「そして最後はみんなハッピーファミリーなのさ!」という終わり方も、なん
だか鼻について気持が悪い。 (´ヘ`;)

でも、まあそれも観客(特にアメリカの)には絶対にウケるという計算でやっ
てるんでしょう。ポール・サイモンの曲の使い方とかもニクイし。この映画が
アメリカで大ヒットしたのも、そういうウケるツボをしっかり押さえた映画だ
からだと思う。

もちろんそれもダイアンとジャックという名優の魅力があってのもの。特に、
いまだに「若くなけりゃ女優じゃない!」みたいなところがあるハリウッドで
ダイアン・キートンの存在感は出色。
また、『マトリックス』とは全然違う顔のキアヌもいいし、脇役で『ファーゴ
』のフランシス・マクドーマンドを使うという豪華さもたまりません。
それに、主人公の別れた夫役のポール・マイケル・グラーザー(昔はグレーザ
ーと呼ばれた)。かつて日本でも人気のテレビドラマ『刑事スタスキー&ハッ
チ』で活躍した人です。なつかしいぃ〜〜〜。

計算し尽くされた脚本と演出、それに役者の魅力で見せるラブコメ。フツーの
ラブコメの殻を破れないもどかしさは残るが、熟年世代を主役に据えた意欲は
素直に評価したいですね。

近い世代の人たちは「もしかしたら自分も」と元気になれる映画だし、若い人
たちにとっても微笑ましく観られる映画です。
これからの高齢化社会、もっともっとこういう映画が増えて欲しいなぁ〜。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
(ただのラブコメでどうってことない映画だが、熟年世代を中心に据えた意欲
は買えます。幅広い世代が楽しめるはず。)
                           <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2004年3月29日(月)池袋東急にて。午後1時35分の回。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■3.今週のニュースあれこれ■

◎トム・クルーズと別れたペネロペ・クルス、マシュー・マコノヒーと交際?  
◎オスカー俳優、ピーター・ユスティノフが死去。  
◎デビッド・ベッカムが新『ピンク・パンサー』に出演?

てな感じの今週。
トム・クルーズと別れたばかりのペネロペ・クルスが、『サハラ』(原題)で
共演したマシュー・マコノヒーとつきあっているというウワサが出ているそう
です。ま、どーでもいいですよ。(なら、紹介するな!)
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■4.今週の新作映画情報■

<今週末(4/3)に公開のおもな新作映画>
●『イン・ザ・カット』→ http://www.inthecut.jp/
●『スパニッシュ・アパートメント』
 → http://www.foxjapan.com/movies/spanish/
●『タカダワタル的』→ http://www.altamira.jp/takadawataru/
●『しあわせの法則』
→ http://www.excite.co.jp/cinema/special/shiawasenohousoku/
●『レスリー・チャン メモリアル映画祭』
→ http://www.thea-ike.com/les.html
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■5.メールちょうだいッ!!■

「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。

◆今週はメールの紹介はお休みです。
メールをくださったみなさん、ありがとうございました。m(._.)m

みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ
スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン
ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合
もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■6.ぽちのひとりごと■

*今週は取り上げた2本のほかに、韓国映画『殺人の追憶』とアニメ『イノセ
ンス』を観たのですが、レビューが間に合いませんでしたので、次号のメルマ
ガかHPに載せる予定です。

*最近、連日のようにウイルスメールが送られてくるのですが、みなさんのと
ころは大丈夫ですか? 怪しい添付メールは開かないでね。
                             (ぽち)
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・『melma!』 http://www.melma.com/    ID:m00025647
を利用して発行しています。
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■週刊「Cinemaの王国」  vol.222  2004. 4. 2
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