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個性派ライターによる映画レビューのマガジン。毎週1〜2本、新作映画を中心に言いたい放題で斬りまくります。

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Cinemaの王国 vol.201

発行日: 2003/10/31

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 =週刊「Cinemaの王国」= vol.201(2003.10.31)

                 http://homepage1.nifty.com/pochie/
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【INDEX】
■1.今週のこの1本!
  ―『キル・ビル』―
■2.今週のもう1本!
  ―『“アイデンティティー”』
■3.今週のニュースあれこれ
■4.今週の新作映画情報
■5.メールちょうだいッ!!
■6.ぽちのひとりごと
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■1.今週のこの1本!■

ここんとこポカポカした毎日が続いている東京。皆さんのところはどうでしょ
う。さて、今週発表のランキングでは『キル・ビル』が1位! タランティー
ノ映画が初登場1位になるというのは、快挙というより怪挙かも。うーむ、世
の中変わったぜ。ということで、今週の1本目はこれだッ!
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●『キル・ビル』(KILL BILL)
(2003年 アメリカ)(上映時間1時間53分)
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ユマ・サーマン、ルーシー・リュー、ダリル・ハンナ、デヴィット・キ
ャラダイン、千葉真一、栗山千明
*丸の内ピカデリー1ほか松竹・東急系にて全国公開中
ホームページ http://www.killbill.jp/
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<ストーリー>
結婚式当日に、かつて所属した暗殺組織の仲間に襲われて、お腹の子供をなく
し瀕死の重傷を負ったブライド(ユマ・サーマン)。4年後、昏睡状態から目
覚めた彼女は、ボスのビルをはじめ仲間たちに復讐を決意する。日本に飛んだ
ブライドは、沖縄で服部半蔵(千葉真一)に日本刀を作らせ、ヤクザのボスに
なっているオーレン・イシイ(ルーシー・リュー)と対決するが……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
帰ってきたタランティーノ。気合の入ったオタクは違うぜッ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『レザボア・ドッグス』(1991)の、『パルプ・フィクション』(1994)の、
あのタランティーノが帰ってきたぁ〜〜〜!! (^o^)/

というわけで、タランティーノ監督6年ぶりの新作は、彼の作品ではおなじみ
のユマ・サーマンが主人公の復讐劇。いえいえ、ストーリーなんかどうでもい
いんです。タランティーノ映画は、はちきれんばかりのバイオレンスとスピー
ド感、そしてオタク魂を発揮したお楽しみ満載の映画ならそれでヨシ!
フツーの映画のように、涙がどうの、感動がどうの、笑いがどうの、メッセー
ジがどうのとか、そういうことは関係ナシなのだ!!

てことで、オープニングからオタク魂発揮です。いきなり出てくる「深作欣二
に捧ぐ」。深作を知ってるアメリカ人が何人いるんだぁ〜〜??? うーん、
さすがオタク。

続いて、いかにもタランティーノ映画らしいバイオレンスなシーンが登場。ユ
マ・サーマンのボコボコになった顔に向かって、ボスのビルが憎たらしく迫る
。「オレってS?」。
なんや、全然変わっとらへんがな。タランティーノ。あまりにも変わらなくて
うれしくなっちゃいます。 <^!^>

そして始まる復讐劇。まずは1人目。容赦なんかありません。いや、ちょっと
容赦はあるかな。とにかく、またしてもバイオレンスでっせ!
別に理詰めなドラマなんか期待しないけれど、ユマ演じるブライドの復讐への
思いなど、その心理状態はきちんと伝わってきます。それもあふれるバイオレ
ンスのなせるワザ。

オタクらしい遊び心もタップリで、ダリル・ハンナ演じる殺し屋が病院に侵入
するシーンでは、看護婦に変身した彼女の眼に赤十字の眼帯が……。
おーい、あんなアヤシイやつ、すぐに捕まるだろうが! などと突っ込まない
ように。たぶん、コレ、どっかのB級映画から持ってきたアイデアです。

ルーシー・リュー演じるオーレン・イシイの過去を紹介するシーンでは、いき
なりアニメに大転換!
「なぜにアニメ?」などと考えてはいけません。タランティーノにとって、こ
こはアニメでなければならなかったのです。「ここ、絶対にアニメ! それも
日本のアニメね!!」。

後半、舞台はなんと日本へ。沖縄で千葉真一が店主のヘンな寿司屋登場。へい
ッ、らっしゃい!! ( ^^)ρ( ^^)/ オヒトリサマ ゴアンナーイ
この先は、アメリカのB級映画なんかでよく見られるトンデモな日本がたくさ
ん出てきます。なになに? 「日本をバカにしとんのかぁ〜〜!!!」ですっ
て?
お怒りはごもっともですが、そこはグッと抑えましょう。タランティーノはち
ゃんとわかっています。それが本当の日本でないことを。それでもねぇ、彼に
とって必要だったのは、やっぱりあのおかしなおかしな日本なのですヨ。

続いて舞台は東京に移り、青葉屋なるワケのわからん料理屋で、ユマ・サーマ
ンとルーシー・リュー一派との大決戦だッ!!!!! 凸(`、´メ)
ひたすら刀でぶった切るユマの姿は、バカバカしさを通り越して爽快ですらあ
る。
最近の映画ではおなじみのワイヤーアクションも、タランティーノが使うとな
んだかちょっと違う感じ。やや緊張感に欠けるところまで、かえって楽しく思
えてしまう。

そして、ついに出ました梶芽衣子の唄!
誰が知るかい、こんな唄。でも、タランティーノにとっては憧れの女性の憧れ
の唄。だから、ここでどうしても流さねばならないってワケ。すべては彼にと
って必然なんです。
すこいゾ! すごすぎるオタクだぞ。いまだかつてこんなオタクがいただろう
か。 (_ _,)/~~

というわけで、ときにチャンバラ映画、ときにマカロニ・ウエスタン、ときに
ヤクザ映画、ときにギャング映画、ときにカンフー映画、ときにアニメ映画。
タランティーノの引き出しにあるいろんな要素がテンコ盛り。まさにゴッタ煮
スープと化しています。
サントラ盤を見ればわかるでしょ。ナンシー・シナトラ、アイザック・ヘイズ
、サンタ・エスメラルダ、The 5.6.7.8's、梶芽衣子……。
こんなバラバラのラインナップのサントラ盤見たことありませんぜ。

いやぁ〜、もうお腹いっぱいです。ハチ切れそうです。ゴッタ煮の鍋(スープ
じゃなかったのか?)をたらふく食わされて、ワタクシ動けません。あー、よ
かった。パート2が来年で。 (^。^;)ホッ

ユマとルーシーのコワサ比べも見もの。ユマとイーサン・ホークとの離婚は、
この映画を観たイーサンがショックを受けたからとか……ウソ。
栗山千明もいいんだ、これが。顔が引田天功みたいでコワイのヨ。(笑)
あとは、.麿赤兒とかねぇ、田中"BOBA"要次とかねぇ、國村隼とかねぇ、シブイ
脇役がけっこういいです。
そういえば、ジュリー・ドレフュスって昔、NHKのフランス語講座の講師を
やってたよな。

難を言えば、日本語のセリフがやや聴き取りにくいのがちょっと……。ユマも
ルーシーも頑張ってはいますがね。

好き放題、やり放題のタランティーノにノックアウトされました。B級映画も
ここまで開き直って堂々と、そして確信犯的につくられたら何も言えません。
タランティーノはこうでなくちゃ!
フェリーニの映画がフェリーニにしかつくれないように、ゴダールの映画がゴ
ダールにしかつくれないように、タランティーノの映画もまた彼にしかつくれ
ない映画なのです。

《ぽちのオススメ度》
★★★★☆【絶対にオススメ! みんな観てねぇ〜】
(とはいうものの、フツーの映画とは全然違う映画なので、タランティーノ・
ワールド未体験の方はご用心。特に血と暴力がダメな方はやめときましょう)
                           <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年10月25日(土)シネマサンシャインにて。午後1時40分の回。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■2.今週のもう1本!■

2本目は、「おおーっと! この結末は読めなかったぜ」てな映画です。ダマ
されたい方は必見!
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●『“アイデンティティー”』(IDENTITY)
(2003年 アメリカ)(上映時間1時間30分)
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ジョン・キューザック、レイ・リオッタ、レベッカ・デモーネ、アマン
ダ・ビート、ジョン・ホークス、アルフレッド・モリーナ
*ニュー東宝シネマほか東宝洋画系にて全国公開中
ホームページ http://www.id-movie.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<ストーリー>
激しい嵐の中、人里離れたモーテルに10人の男女が集まる。血まみれの妻を抱
きかかえたジョージと幼い息子。コールガールのパリス。女優とリムジンの運
転手エド。新婚夫婦。殺人犯を護送中の警官……。ますます激しさを増す雨の
中、1人、また1人とモーテルの滞在者たちが殺されていく……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
オチは反則技!? でも、かなり緊迫感のあるミステリー。ダマされました!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「まだ観てない人には、結末を教えちゃダメよ!」
最初にいきなりこんなテロップが出ます。
こういうのに限って、しょーもない結末なんですよねぇ〜。まったく。
(`ヘ´) 

と思ったのですが、実際は確かにかなりビックリの結末でした。
いやいや、結末だけでなく、全部内緒にしておきたいぐらいよくできたミステ
リー映画。ですが、この映画を語ると魅力が半減してしまうので、今回はここ
までじゃ! (^_^)/~~

てのはウッソ〜〜〜。 (^0^)
いくらなんでもそれはヒドイので、ちょっとだけ語っちゃいましょう。

ま、要するにあるモーテルに男女10人が集まって、連続殺人が起きる。はたし
て犯人は??? というありがちなミステリーなんですが、糸の結び具合とほ
どき具合がスゴクいいんですヨ。ナゾという糸の……。

例えばオープニングで殺人犯人の話が語られて、次にいきなり交通事故の話に
飛んでしまう。ワガママな女優の話も出てくる。そして、舞台となるモーテル
の怪しげな主人登場。
てな感じで、一見バラバラの断片が、少しずつ集められていくんです。そして
、開始から20分ぐらいで、全体像がほぼ見えてくる。

ところが! この全体像も後でまた崩される。それじゃ、いったい何なのよ?
というわけで、また新たなナゾが浮かび上がってくる。 (・_・?)

こういうふうにうまいことナゾの糸を結んだり、ほぐしたりして緊迫感をずー
っと保ち続けるんです。

10人の男女の人物像もよく描けています。みんなクセがあって、それぞれに複
雑な事情を抱えている雰囲気。「絶対なんか隠しているよなぁ〜」と思ってし
まいます。
ジョン・キューザック、レイ・リオッタというクセモノ俳優を中心に据えてい
るのも効果的。田舎のモーテルのアヤシイ映像もかなりのもの。

後半は、「それって超常現象じゃないのか?」てなことまで出てきます。
いったいこれでどうやってオチをつけるのかと思ったら……。
あらあらあら、おーい! そのオチは反則技だろう! いくら何でもそれをや
っちゃダメだよ。それなら何でもアリじゃん!! (`´メ)
(オチのヒントはタイトルにあり! だよ〜ん。)

でもねぇ、そのオチの後でさらに驚きの場面を用意しているんです。反則技を
反則技と認めて、その中でまたドラマを展開しているんですよね。これには一
本取られましたね。
ふむふむ、そーいう手がありましたか。なるほどねぇ〜。すっかりダマされち
ゃいましたぜ。

電話も通じない嵐とか、囚人の護送だとか、都合良すぎのことがたくさん出て
くるし、あのオチの反則技を認めない人もいることでしょう。
でもねぇ、そのへんを無視すれば、けっこう楽しめるミステリーです。ユニー
クなアイデアやいろんな工夫が詰まっていて、「うまくやられたなぁ〜」とい
う気持ちになっちゃいました。

うーん、もうちょっと具体的に語れたらいいのですが、それをやると魅力がな
くなっちゃうんですよね。興味のある方はぜひ自分の目で確かめてネ。
なお、監督は『17歳のカルテ』(1991)『ニューヨークの恋人』(2001)のジ
ェームズ・マンゴールド。いろんなことする監督さんですなぁ〜。ホント。こ
ういうのをエンタメの達人というのかも。

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
(ミステリーファンやコワイ映画が好きな方は特に一見の価値アリ。この展開
は読めませぬゾ。)
                            <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年10月30日(木)池袋HUMAXシネマにて。午前11時20分の回。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■3.今週のニュースあれこれ■

◎アンジェリーナ・ジョリーが国連から表彰される。
◎リース・ウィザースプーンが男の子を出産。
◎ディカプリオの新作が山火事で撮影中断。 
◎ベン・アフレックの次回作が製作中止に。

てな感じの今週。
南カリフォルニアの山火事、大変ですねぇ〜。おかげで、レオ様の新作『ザ・
エイビエイター』(原題)の撮影も中断だそうです。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■4.今週の新作映画情報■

<今週末(11/1)に公開の新作映画>
●『ジャスト・マリッジ』
監督:ショーン・レヴィ
出演:アシュトン・カッチャー、ブリタニー・マーフィー
→ http://www.foxjapan.com/movies/justmarried/

●『ポロック 2人だけのアトリエ』
監督・出演:エド・ハリス
出演:マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジェニファー・コネリー
→ http://www.spe.co.jp/movie/pollock/

●『ボブ・クレイン 快楽を知ったTVスター』
監督:ポール・シュレイダー
出演:グレッグ・キニア、ウィレム・デフォー、リタ・ウィルソン
→ http://www.spe.co.jp/bobcrane

●『花』
監督:西谷真一
出演:大沢たかお、柄本明、牧瀬里穂、西田尚美、加瀬亮、樋口可南子
→ http://www.cine-tre.com/hana/

●『ひめごと』
監督・脚本:ジャン=クロード・ブリソー
出演:サブリナ・セヴク、コラリー・ルヴェル、ロジェ・ミルモン
→ http://www.antenna21.com/himegoto/

*そのほか11月5日(水)には『マトリックス レボリューションズ』が公開
になります。 → http://whatisthematrix.warnerbros.com/japan/
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■5.メールちょうだいッ!!■

「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。

◆今週は(ユキヒト)さんからの『女神が家にやってきた』の感想をご紹介。
<面白かったですよ! スティーブ・マーティンは貫禄でコメディを演じてま
す。特に最後のところで「黒人ことば」を使ってクラブに潜入するところは面
白いです。しかし、何と言ってもクイーン・ラファティがすごくよかったです
よ。『シカゴ』でもいい味出してましたが、この映画では彼女らしさがふんだ
んに出ています。ウーピーを越える日も近いのでは・・なんて思いました。>

◆『女神が家にやってきた』は、スティーブ・マーティン、クイーン・ラティ
ファによるコメディー。現在公開中です。
公式HP→ http://www.movies.co.jp/megami/index.html

メールをくださったみなさん、ありがとうございました。 m(._.)m

みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや取り上げて欲しい作品のリクエ
スト、観た映画の感想など、気軽にメールをくださいネ。できれば名前(ハン
ドルネーム可)を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合
もあります。載せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■6.ぽちのひとりごと■

*今週から来週にかけて集中豪雨の忙しさなので(つまり、それ以外はヒマっ
てことね(爆))、来週は1本の映画しか取り上げられないかもしれません。
もしもそうなっても、どうかお許しくださいませ。では、また来週!
                           (ぽち)
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■週刊「Cinemaの王国」  vol.201  2003.10.31
●編集発行人:ぽち
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