個性派ライターによる映画レビューのマガジン。毎週1〜2本、新作映画を中心に言いたい放題で斬りまくります。
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Cinemaの王国 vol.173
発行日: 2003/4/18★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・
=週刊「Cinemaの王国」= vol.173(2003. 4.18)
http://homepage1.nifty.com/pochie/
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【INDEX】
■1.今週のこの1本!
―『ぼくんち』―
■2.今週のもう1本!
―『ボイス』
■3.今週のニュースあれこれ
■4.メールちょうだいッ!!
■5.ぽちのひとりごと
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■1.今週のこの1本!■
暖かくなったら、なんだか眠くて。ファ〜〜。\(~o~)/
てなユル〜い気分の中、今週の1本目は日本映画です。「最近ずいぶん邦画に
肩入れしているじゃない」とお思いかもしれませんが、それほどでもありませ
ん。ただ、今回の映画の原作者、西原理恵子のファンなものでつい……。
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●『ぼくんち』
(2002年 日本)(上映時間1時間55分)
監督:阪本順治
出演:観月ありさ、真木蔵人、今田耕司、新屋英子、志賀勝、岸部一徳、鳳蘭
*シネスイッチ銀座ほかにて公開中。全国順次公開予定
ホームページ http://www.bokunchi.jp/
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<ストーリー>
さびれた漁村で暮らす一太と二太の兄弟のもとに、家出していた母親、今日子
(鳳蘭)が、ふたりの姉、かの子(観月ありさ)を連れて帰ってくる。だが、
今日子はすぐに姿を消してしまい、かの子が兄弟の世話をするようになる。お
まけに、今日子がこっそりと家を売ってしまったため、一家は引っ越ししなけ
ればならなくなり……。
<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
クズ人間たちが大集合! ひたすら楽しい貧乏ファンタジー
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
西原理恵子の同名コミックを『どついたるねん』(1989)、『顔』(2000)、
『KT』(2002)などの阪本順治監督が映画化した作品。西原理恵子(別名り
えぞー)のマンガを読んだことがある方はわかると思いますが、みんな相当に
ハジケた作品ばかりです。その中でも、このマンガはかなり爆裂した世界。
(^-^)/(((((((((●〜*
で、映画も原作の爆裂ぶりをそのまま踏襲しています。
まずは主人公一家。母親は一太と二太の兄弟を放り出して、買い物に行くとい
って蒸発したまんま。それでもめげずに「ボクらビンボーなんですッ!」とみ
んなの同情をかいながら、力いっぱい生きて行く兄弟。
そこに突然母親が、兄弟の姉かの子を連れて帰ってくる。
でも、母はまたすぐに蒸発。しょうがないので、かの子は体を張って生活費を
稼ぎ兄弟を養っていく。
たくましすぎるぜ! かの子さん。 (^o^)/
ピンサロ勤めをしながら兄弟を食わせ、威勢の良いタンカを切って、貧乏に負
けずに生きて行く。
阪本監督の映画には、地に足をつけてどっしりと生きている人が登場しますが
、かの子さんもかなりのものです。
一太と二太の兄弟もこれまた実にたくましい。特に一太は、母親やかの子に反
発し、チンピラの手下になって自立しようとする。そりゃあもう、末恐ろしい
ガキなんです。
他の住人も個性派揃いです。こちらも揃いも揃ってみんなハンパでない貧乏。
おまけに、奇人変人の集まりというか、人間のクズばっかりというか……。
(^0^)
ものすごい数の猫と暮らす猫ババア、子供たちとビニールハウスに住むオジサ
ン、ムショとシャバを往復する男などなど、現実離れしたヘンな人物が続々と
登場。
こういう不思議キャラが揃ったおかげで、かなり笑える映画になっています。
貧乏生活がちっとも悲惨に感じられません。
途中まではテーマらしきテーマも見えず、ひたすら個性派の住人たちのユーモ
ラスな日常生活が描かれるんですが、それでも、阪本監督による人間讃歌のよ
うなものが伝わってきて心地よい雰囲気。明るくて、ホンワカしたムードが漂
います。 (*^o^*)
後半になって、ようやく主人公一家の親子関係に焦点があたって、ドラマ性が
高まります。実は一家には大きな秘密があって、それをめぐって親子の情愛が
描かれるんです。
でもねぇ、ドラマ的にはそんなに深いものはありませんね。笑いにまぎれちゃ
って、ドラマの起伏がほとんど見えません。
親子の情愛にしろ、子供の自立にしろ、テーマらしきものは見えるけれど、そ
れがあんまり追求されていない。「普通に生活したいだけなのに……」という
かの子の悲哀も伝わってきません。後半でああいう親子のドラマに収束させる
なら、前半からもっとそれなりのドラマを展開させるべきでしょう。
でなきゃ、あえてドラマのダイナミズムを放棄しちゃって、最後まで爆裂しち
ゃうとかね。 (´ヘ`;)
とはいえ、濃密なドラマ性を期待しなければ、かなり楽しめる映画だと思いま
す。明るくて温かなタッチの貧乏ファンタジーで、観終わって前向きな気持ち
になれるはず。原作を知らない人でも楽しめます。
ファンタジー映画らしく、実験映画も真っ青のシュールな映像もバンバン登場
。このあたりは今までの阪本作品にはなかった新境地。これもけっこう楽しか
ったですね。(ドラマ的に完全に浮いているのは事実だが……。)
でも、この映画でいちばん感心したのは、なんといっても観月ありさの演技。
テレビドラマでの彼女は個人的にあんまり魅力を感じなかったけれど、この映
画での存在感は素晴らしい! 弟たちへの愛情、たくましい生活力、威勢の良
さ、すべてがピタッと決まっていました。孔雀の求愛ダンスもナイス!よ〜〜
。 (*^。^*)
『顔』で藤山直美の新しい魅力を引き出すことに成功した阪本監督、今回もま
た観月の意外な魅力をうまく引っ張り出しています。
そうそう、原作者の西原理恵子先生も、ピンサロのネーチャン役で登場。なか
なかやるわい"鳥頭"。 ヘ(ё)ヘ
さてさて、楽しそうな貧乏人のみなさんを見ているうちに、ワタクシ、「こん
なに楽しいなら、自分も貧乏人になってみようかしら」な〜んて思ってしまい
ました。
なに? お前なんか今でも充分に貧乏人だろうって??? いいじゃないの!
放っておいてちょーだいッ! 好きで貧乏やってるんだから。(ウソ)
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
(かつてこんなに楽しい貧乏ファンタジーがあっただろうか。前向きに明るく
生きる貧乏人たちを見ているうちに、なんだかこちらも楽しくなってきます。
貧乏万歳? \(^O^)/ )
<ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年4月15日(火)シネスイッチ銀座にて。午後2時5分の回。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜
■2.今週のもう1本!■
今週の2本目はフライングしてます。4月26日から公開の韓国製ホラー。公開
はまだ先なのですが、スケジュールの都合で今週掲載します。
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●『ボイス』(THE PHONE)
(2002年 韓国)(上映時間1時間42分)
製作・監督:アン・ビョンギ
出演:ハ・ジウォン、キム・ユミ、チェ・ウジェ、チョ・ジヨン、ウン・ソウ
*4月26日(土)から東劇、東急文化会館他にて公開予定。
ホームページ http://www.movies.co.jp/voice/
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<ストーリー>
若手女性ジャーナリストのジウォン(ハ・ジウォン)は援助交際のスクープ記
事のせいで、脅迫電話に悩まされていた。彼女の身を案じた親友のホジュンは
、自分の別宅を隠れ家に提供し、携帯番号を変えるように勧める。だが、まだ
誰も知らないはずの新しい携帯が鳴り、そばにいたホジュンの娘ヨンジュが出
ると彼女は全身を痙攣させて絶叫する……。
<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
リンダ・ブレアを超えた壮絶な少女の顔を見よ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
名作『エクソシスト』(1973)でもわかるように、子供が何かにとりつかれる
のはコワいもの。ふだんのあどけない顔が、一瞬にしてこの世のものとも思え
ないスサマジイ顔に変わる。そのギャップが背筋をゾクゾクさせます。
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この映画も子供が大きなポイントを握っています。
主人公の女性ジャーナリスト、ジウォンは自分が書いた記事のせいで、いたず
ら電話やストーカーに悩まされて自宅を出る。親友のホジュンに相談すると、
彼女が家族とともに将来住む予定で買った家を貸してくれるという。
申し出を受けてホジュンの家に住むジウォン。携帯の番号も変える。新しい番
号は「011-9988-6644」。電話会社のコンピュータ画面に、なぜかこの番号し
か表示されなかったのだ。
ある日、まだ誰も知らないはずのジウォンの携帯が鳴る。そばにいたホジュン
の娘ヨンジュが電話に出ると、彼女は恐怖に目を見開き、全身を痙攣させて絶
叫する。ジウォンが携帯をもぎ取るとそこからは無気味なノイズが聞こえてい
た……。
このヨンジュっていう女のコの顔がねぇ、とにかくスゴイんですヨ。この世の
ものとも思えない気味悪さなんだもん。
どうしてああいう顔ができるんでしょう。撮影中になんか悪いものでも食べた
んでしょうか。 (^0^)
いやぁ〜、完全にリンダ・ブレアを超えましたね。この顔を見るだけでもお金
を払う価値があります。
で、このコがどんどんヘンになっていって、「いったいどうしたの?」と主人
公のジウォンがその秘密を探っていくうちに、やがてとんでもない事実が明ら
かになるんです。ま、まさか、そんな……。 W(゜O゜)W
なんといっても子供が別人になっていくというアイデアがおもしろい。
おまけにそのきっかけが携帯だというアイデアも秀逸。だってさぁ、携帯って
固定電話と違って、どこにでもついてくるわけじゃない? 電話線もないから
怪電波が飛び込んできたって不思議じゃないし。それって気味悪くない?
携帯以外にも現代的なアイテムを使って、うま〜く伏線を張っていきます。例
えば、ヨンジュはホジュンが親友のジウォンの卵子をもらって、人工授精で産
んだ子供なんだよね。で、それがあとあと、事件の背景にある感情と深〜く結
びついてくる。
また、ホジュンがジウォンに提供した別宅の内装なんかを、自分で手がけてい
るというあたりも、ラストのオチにうま〜く結びついてきます。
映像的にも、いかにも意味ありげな映像を積み上げて、雰囲気を盛り上げてい
きます。ピアノ曲「月光」をポイントに使っているのもセンスのよいところ。
実は、この映画、中盤で一度先が読めちゃうんですよね。前半は、携帯や不思
議な現象を使って、コワさをあおっていくんだけど、途中でありきたりの不倫
話が前面に出てつまらなくなる。で、「な〜んだ失速しちゃったのか」と見放
しかけたんですが、いやいや、そのあとに意外なドンデン返しが待っておりま
したぁ〜。
んー、この結末は……。
ちょっと『カル』風? あ、いかん、いかん、これ以上言うと、こっちにもヘ
ンな携帯電話がかかってくるかも。あとは自分で確かめてね。 (*^。^*)
ドラマ的にはやや物足りないところがあるものの、ホラーとしての完成度はか
なり高いと思います。コワさはそれほどでもありませんが、最後まで飽きずに
観られました。
主役のハ・ジウォン、そして親友役もなかなかの演技でした。でも、もっとよ
かったのは、女子高生役のコ。かなりアブナイ雰囲気でコワかったですヨ。
でも、でも、やっぱりいちばんコワいのはヨンジュ役の女のコだよな。いった
い先々どれほどの怪女優になるんでしょう。将来が楽しみです。(笑)。
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観ても損はナシ】
(ホラー映画好きな方はぜひどうぞ。『リング』など日本のホラー映画と比べ
ても遜色がありません。)
<ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年3月21日(金)試写会(九段会館)にて。
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■3.今週のニュースあれこれ■
◎ラッセル・クロウが豪邸購入!でも、新婚旅行は庶民的。
◎「サンダーバード」実写映画化、来夏日米で公開へ!
◎ショーン・ペン、車と拳銃2丁を盗まれる。
◎アーノルド・シュワルツェネッガーにカリフォルニア州知事選出馬の噂。
◎ジェニファー・ロペスとベン・アフレックが名作『カサブランカ』をリメイ
ク?
◎トム・クルーズとレオナルド・ディカプリオが、同一の映画企画で競合。
てな感じの今週。レオ様とトムが競合しているのは、19世紀の連続殺人鬼H・
H・ホームズの伝記映画だとか。シカゴに殺人の館を建て、若い女性を解剖し
ては殺害した医師だそうですが、どこにそんなに魅力を感じる? ちなみに、
トムの方は『K−19』のキャスリン・ビグロー監督がメガホンをとるものの、
トムの出演は未定。一方、ディカプリオは、監督は未定だが自分で主演するら
しい。レオ様の殺人鬼ねぇ、あんまり迫力なさそう!?
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜
■4.メールちょうだいッ!!■
「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。
◆今週も何通かメールをいただきましたが、ご紹介はお休みさせていたたきま
す。
メールをくださったみなさん、ありがとうございました。 m(._.)m
みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや「こんな作品を取り上げて欲し
い」といったリクエスト、自分が観た映画の感想、映画に関する疑問・質問な
ど、気軽に下記までメールをくださいネ。できれば名前(ハンドルネーム可)
を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合もあります。載
せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
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■5.ぽちのひとりごと■
*今週は珍しく日本映画と韓国映画というメニュー。たまにはこういうのもい
いかなと……。まあ、ただの偶然ですけどね。
*最近は、めっきり暖かな日が多くて、初夏のような気温の日もあります。今
週末はイラクの子供達のための野外コンサートに行く予定なのですが、はたし
て天気はどうなんでしょう。
(ぽち)
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・『melma!』 http://www.melma.com/ ID:m00025647
を利用して発行しています。
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■週刊「Cinemaの王国」 vol.173 2003. 4.18
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