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個性派ライターによる映画レビューのマガジン。毎週1〜2本、新作映画を中心に言いたい放題で斬りまくります。

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Cinemaの王国 vol.169

発行日: 2003/3/21

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 =週刊「Cinemaの王国」= vol.169(2003. 3.21)      
 
                 http://homepage1.nifty.com/pochie/
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【INDEX】
■1.今週のこの1本!
  ―『歓楽通り』―
■2.今週のもう1本!
  ―『棒たおし!』―
■3.今週のニュースあれこれ
■4.メールちょうだいッ!!
■5.ぽちのひとりごと
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■1.今週のこの1本!■

戦争、始まっちゃいましたねぇ……。(´ヘ`;)
こんなときにアメリカ映画を観るのは腹が立つので、最後まで抵抗したフラン
スの映画を(というのはウソですが)。まあ、とにかくフランスの名匠パトリ
ス・ルコント監督の『歓楽通り』を取り上げました。
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●『歓楽通り』(RUE DES PLAISIRS)
(2002年 フランス)(上映時間1時間31分)
監督:パトリス・ルコント
出演:パトリック・ティムシット、レティシア・カスタ、ヴァンサン・エルバ

*シネマライズほかにて公開中。順次全国公開予定。
ホームページ http://www.cinemaparisien.com/ruedesplaisirs/
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<ストーリー>
1945年のパリ。歓楽通りの娼館に娼婦の息子として生まれ育ったプチ=ルイ(
パトリック・ティムシット)は、新入り娼婦のマリオン(レティシア・カスタ
)を運命の女と直感し、彼女の世話をする。彼女の幸せのために理想の男を見
つけようとするプチ=ルイ。だが、マリオンが見初めた男は……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
おとぎ話として観れば、それなりによくできた映画だけれど……
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『髪結いの亭主』『橋の上の娘』などで屈折した恋愛を描いてきたパトリス・
ルコント監督。この新作も、またまた屈折しまくりの愛の物語です。

主人公のプチ=ルイは、娼婦の子として生まれ、「大人になったら女の人の世
話をする」と夢を語る。そして、そのまま大人になって娼館の下働きとして働
いている。
そこに流れてきたのが娼婦のマリオン。ひとめ見た瞬間から、「この人は運命
の人だ!」と直感したプチ・ルイは、一生彼女の面倒を見ると決める。

普通は惚れたら、自分でアタックするでしょうが。でも、プチ=ルイの愛はそ
ういう形では表れないんです。
彼女を幸せにするために何でもしてあげるのが自分の役目、と考えた彼は、「
夢のリスト」をつくってそれをかなえようとする。まずは彼女をスターにする
こと、そして理想の男性を見つけてあげること。その実現のために一生懸命に
なる。

やがて彼女はラジオのオーディションに合格し、歌手への足がかりをつかむ。
同時に、ある男を見初めて恋に落ちる。だが、その男の正体は……。

これ、おとぎ話だと思います。どう考えたって、こんな現実はありゃしない。
プチ=ルイみたいな男も、どこを探したっていないはず。
全体の構成もいかにもおとぎ話チック。街娼たちが昔を思い出して語り、その
中でさらにプチ・ルイが思い出を語るという二重の構成なんですよね。
映像的におもしろい工夫もいろいろあって、これまたおとぎ話らしさを演出し
ています。
そうして見ると、娼館のようすもなんだかメルヘンチックなんだよなぁ〜。全
然なまめかしさがないんだもん。

まあ、おとぎ話ならおとぎ話でもかまいません。それを通して、ボクの心をグ
グッと揺さぶってくれるなら。なんたって、屈折した愛を貫く男の悲しくて、
切ない物語なんですから。 (T^T)

ところが、ところが……。
うーん、ボクにはなんだかピンときませんでした。観ていてウソくさくてさぁ
、主人公がただのアホに観えちゃったんです。

いや、確かに切ない場面もあるんですよ。プチ・ルイはマリオンに熱い視線を
送るけれど、彼女はそれを別になんとも思わずにサラッと受け流す。そりゃそ
うだよねぇ。恋愛感情なんかこれっぽっちもないんだから。
マリオンと恋人(コイツがとんでもないヤツ)のラブシーンを見つめるプチ=
ルイのなんともいえない表情もとっても印象的。
こういう繊細な余韻を残す感情の描き方はさすがにうまいんです。 (*^_^*)

それでもねぇ、心を揺さぶられるようなことはなかったですね。例えば、プチ
=ルイがマリオンを好きになる理由とかサ、彼女の幸せを祈りつつも嫉妬を感
じたりとかサ、そういう複雑な感情がイマイチ伝わってこなかった。
自分を犠牲にしてまで彼女に尽くす、その心情がよくわかりませんでした。

なんせボクなんか、絶対にそういうことのできない凡人ですから。「好きな人
が幸せになることが、自分にとっても一番の幸せなの〜」なんて頭じゃ理解で
きても、感情ではなかなかねぇ……。そんな男なんかやめて、ボクとつきあお
うよ〜〜〜、てか。 (^0^)

プチ=ルイは子供がそのまま大人になったような人なんだから、子供時代のこ
とをもう少していねいに描いて、屈折した愛に至る背景をあぶり出してくれた
なら、もうちょっと心の奥深くにしみ込んできたような気もするのですが。

それでも、ラストはさすがにグッときますね。オープニングとエンディングを
うまくつなげたあたりも見事。このへんはさすがに手慣れた演出という感じ。

全体によくまとまっているし、あくまでも現実離れしたおとぎ話として観れば
、まずまず楽しめる映画ではないでしょうか。ルコント・ファン以外でもそれ
なりに楽しめると思います。

《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆(+1/2★)【ちょっとだけオススメ。おヒマでしたらどうぞ】
(ホントうまいんですよね。個人的には切なさがイマイチ伝わってこなかった
けれど、ルコント監督らしさは発揮されていると思います。)
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年3月18日(火)シネマライズにて。午後1時の回。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■2.今週のもう1本!■

2本目は今日から公開の日本映画。第27回城戸賞受賞作を前田哲監督が映画化
した『棒たおし!』。タイトル通り、棒たおしに賭ける高校生たちを描いた映
画です。
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●『棒たおし!』
(2003年 日本)(上映時間1時間30分)
監督:前田哲
出演:谷内伸也、金子恭平、古屋敬多、鍵本輝、中土居宏宜、平愛梨
*テアトル池袋、テアトル新宿、シネセゾン渋谷ほかにて全国公開中
ホームページ http://www.boutaoshi.com/
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<ストーリー>
運動会でライバルの工業科に分の悪い普通科。「体育祭で燃えようぜ!」とい
う勇の勢いに押された次雄は、渋々棒倒しのメンバーに参加する。仲間をかき
集めて打倒工業科の秘密特訓を開始する次雄たち。そんな中、勇が工業科の闇
討ちにあい、入院を余儀なくされてしまう。運動会はもう間近。はたして次雄
たちは工業科に勝てるのか……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
明るくて、楽しくて、ちょっぴりグッとくる青春映画。大人も楽しめそう
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『ウォーターボーイズ』『ピンポン』に続くスポコン青春もの、というのがこ
の映画のウリのようです。ただし、『ピンポン』ほどマンガチックではありま
せん。

舞台になるのはある高校。普通科の生徒たちはなんだかやる気がないようで、
ライバルの工業科にいじめられている生徒もいる。
そんな中、勇が突然棒たおしに燃え、運動会で工業科を打倒すべく仲間を集め
る。無理やり仲間に引き入れられたのは、主人公の次雄、そして頭脳派の学。
やがて他の生徒を引き入れた彼らは特訓を開始する……。

観ていてずっと引っかかったのは、いったいどうして高校生たちが棒たおしな
んかにハマったのかってこと。何となくはわかるんですよ。勇は心臓に病気を
持っているし、次雄は淡い恋心を告白できず、家庭不和も抱えている。学はい
じめられっ子。そういうことが背景にあって、「何かに燃えたい!」「熱くな
りたい!」という気持はよーくわかる。それでズンズンのめり込んでいくんで
しょう。でもさぁ、それがどうして棒たおしなの? (・_・?)

うーん、よくわからん。特に言い出しっぺの勇の思いが……。
考えてみたら、ボクなんか、棒たおしなんてやったことも見たこともないから
、なおさら彼らの気持ちがわからんのかもしれないなぁ〜。 (~ヘ~;)

まあ、要するに、燃えるものなら何でもよかったんでしょうね。たまたま目の
前に棒倒しがあったってことでしょう。それは何となくわかる。でも……。

それでもやっぱり若さの勢いがあるから、ああだこうだと考えていても、いつ
の間にかスクリーンに引きずり込まれてしまいました。

全体として、とってもよくまとまった青春映画です。明るくて、楽しくて、ち
ょっぴりグッとくるものもある。最近の青春映画には、暗〜くて救いようのな
いものも多いけれど、それとはまったく違うタイプの映画で、観終わって爽快
感が残ります。 (*^_^*)

ベースにあるのは笑いです。例えば、担任教師の不倫をネタに廃止が決まった
棒たおしを復活させるところ、あるいはあのテこのテで仲間を集める珍勧誘作
戦、そしてユニーク過ぎる特訓の数々。こういったところはユーモラスで無条
件に笑えます。棒たおしの起源が自由民権運動にあったなんてウンチクも楽し
いゾ(へぇ、そうだったんだ)。
また、運動会での棒たおしシーンは迫力満点でスリリング。ここはちょっとだ
け『ピンポン』風かも。

一方、楽しいドラマの陰には深刻なドラマもあって、次雄は小百合という少女
に思いを寄せているのだが、彼女には複雑な事情がある。また、次雄の父はし
ばらく家を出ていて、親子の関係はかなりギクシャクしている。

こういう感じで、笑い、スリル、感動といった様々な要素がバランスよく並び
、うまく融合しています。青春の光の部分と、その裏にある影の部分が的確に
表現されていると思う。
それを通してこの映画の大テーマである「死ぬとわかっていて人間って何のた
めに生きているの?」に対する答えが、自然に伝わってきます。何でもいいか
ら、燃えられるものを持つこと。そこから何かが見えてくるはず……。

映像も躍動感にあふれていて好感が持てます。熱中するものを見つけて突き進
む高校生たちの姿が、実に生き生きと描かれている。
元気がいいだけじゃなくて、メリハリもあります。例えば次雄と小百合がお互
いに心をすべてさらけ出せずに話すシーンでは(ここ、ボクはけっこう好きな
シーンです)、2人を延々ワンカットで追うんです。それによってうまく語る
ことのできない2人の心の内が、そこはかとなく漂ってきます。

さて、この映画、いったい誰にアピールするのか。もちろん直接的なメッセー
ジは現役の高校生に向けられたもの。でも、普遍的な要素をうまく取り込んで
つくられているので、昔、高校生だった人たちも共感できそうです。
「そういえば、昔はオレもあんなくだらないことに熱中したっけなぁ〜」。
数年前に高校を卒業したボクも(大ウソ!)、そう共感してしまいました。

そうか! 無意味なことに熱中するのが青春時代なのか。そう考えれば、棒た
おしは、「シンクロ」よりも「卓球」よりも、青春を描くのにはピッタリのネ
タなのかも!?

ただし、ボクの好みとしては、全体にちょっとおとなしすぎる感じもしました
。もっとバリバリと、青春のエネルギーが暴走する部分があった方がよかった
とも思うのですが……。
まあ、でも、その分、幅広い層にアピールしそうな感じですね。

そうそう、高校生の男の子たちを演じているのは、Leadという男性ユニッ
トのコたちなので、女性ファンにはそういう楽しみもあります。なんせ棒たお
しは裸でやるので、若い肉体があっちにもこっちにも。ああぁぁぁ〜〜〜〜。
O(^−^)O (て、あんた誰だ?)

《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観て損はナシ】
(脚本、演出ともによくまとまった楽しい青春映画。若者でなくても楽しめる
。個人的な好みでは、もっと暴走する部分があってもよかったような気もしま
すが……。)
                             <ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年3月13日(木)TCC試写室にて。午後1時。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■3.今週のニュースあれこれ■

◎トビー・マグワイアが腰痛で『スパイダーマン』続編の出演がピンチに!
◎コリン・ファレルが今秋、未婚の父に!?
◎アカデミー賞授賞式、厳戒態勢の中で強行へ!
◎ミラマックス・フィルムズが黒沢明監督の『七人の侍』をリメーク。
◎ラッセル・クロウが4月7日の39歳の誕生日に結婚式を予定!
◎エミネムが「攻撃的な表現は控えろ」にキレてアカデミー賞授賞式を拒否。
◎スティーブン・スピルバーグ、次回作の主演はジム・キャリー。
◎『Shall we ダンス?』ハリウッド・リメイク版の主演はリチャード・ギア
とジェニファー・ロペス!?

てな感じの今週。いよいよ23日(日本時間24日)は、アカデミー授賞式。でも
、こういう状況の中じゃイマイチ盛り上がりませんねえ。テレビ中継の間中、
画面下に速報が出続けるか、1時間おきにニュース速報が入るというウワサも
あります。まったく戦争ってヤツは……。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■4.メールちょうだいッ!!■

「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。

◆今週は(映画好きのるり)さんの『戦場のピアニスト』の感想をご紹介。
<う〜ん、きつい映画でしたね。ユダヤ人迫害が淡々と描かれて……。戦争と
いうよりもナチスのユダヤ人に対する扱い(そんな単純なものじゃないですか
ね?)が生々しく描かれてました。
涙とかの話じゃないですよね。同じ人間なのに……切なく辛い映画でした。か
なり重たかったです。ちなみに涙は流しませんでした。>

◆あえて泣かせる映画にしないで、極限状態の人間の生き様を描いたのではな
いかな、というのがボクの見方。みなさんはどう感じました? この映画。

メールをくださったみなさん、ありがとうございました。 m(._.)m

みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや「こんな作品を取り上げて欲し
い」といったリクエスト、自分が観た映画の感想、映画に関する疑問・質問な
ど、気軽に下記までメールをくださいネ。できれば名前(ハンドルネーム可)
を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合もあります。載
せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜

■5.ぽちのひとりごと■

*はっきり言って、戦争反対です。別にきれいごとじゃなくて、ブッシュの言
っていることは疑問だらけなので。でも、まあ、当メルマガはそれとは関係な
く、通常通りお届けします。そうやって、日常を続けることも大切だと思うの
で……。

*今週取り上げた『棒たおし!』は、先週も書いたように当メルマガ読者の松
本稔さんが脚本を担当されました。とはいっても、甘い見方をするとか、そう
いうことはありません。どの映画も同じように感じたままを書くというのがポ
リシー(てほど大げさなもんじゃないけど)なので、どうかご理解を。
                             (ぽち)
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・『melma!』 http://www.melma.com/    ID:m00025647
を利用して発行しています。
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■週刊「Cinemaの王国」  vol.169  2003. 3.21
●編集発行人:ぽち
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ルには一切関知いたしません。また、記事の無断転載はお断りします。
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