個性派ライターによる映画レビューのマガジン。毎週1〜2本、新作映画を中心に言いたい放題で斬りまくります。
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Cinemaの王国 vol.168
発行日: 2003/3/14★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・★…・・・
=週刊「Cinemaの王国」= vol.168(2003. 3.14)
http://homepage1.nifty.com/pochie/
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【INDEX】
■1.今週のこの1本!
―『ノー・グッド・シングス』―
■2.今週のもう1本!
―『キープ・クール』―
■3.今週のニュースあれこれ
■4.メールちょうだいッ!!
■5.ぽちのひとりごと
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■1.今週のこの1本!■
本日はホワイト・デー。そんなことにはまったく関係なく、今週も2本の映画
のレビューをお届けいたします。まず1本目はサミュエル・Lジャクソンとミ
ラ・ジョヴォビッチが共演したこの映画からだッ!!!
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●『ノー・グッド・シングス』(NO GOOD DEED)
(2002年 アメリカ)(上映時間1時間37分)
監督:ボブ・ラフェルソン
出演:サミュエル・L・ジャクソン、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ステラン・ス
カルスゲールド、ダグ・ハッチソン
*ニュー東宝シネマ、新宿スカラほかにて全国公開中
ホームページ http://www.no-good.jp/
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<ストーリー>
窃盗課の刑事ジャック(サミュエル・L・ジャクソン)は家出娘の捜索をする
途中で老女が足を滑らせる場面に遭遇。手を貸したお礼に家に招かれるが、自
らの職業を話したところ突然殴られて意識を失い、捕らわれの身となる。そこ
は銀行強盗一味のアジトだった。やがて一味は出かけ、ジャックはエリン(ミ
ラ・ジョヴォヴィッチ)という女性に見張られるが……。
<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
"魔性の女"が左右する事件の行方。スリリングな展開はかなりのもの
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
"魔性の女"の映画です。でも、葉月里緒菜は出ていません。 (^0^)
この映画は、ハードボイルド・ミステリーの元祖、ダシール・ハメットが1924
年に発表した短編小説を『郵便配達は二度ベルを鳴らす』のボブ・ラフェルソ
ン監督が映画化した犯罪ドラマ。
特徴的なのは、ある美女が物語のポイントを握っている点。そして、主人公が
ほとんど捕らわれの身だということ。
主人公の刑事ジャックが家出娘を捜索中に、間違って強盗一味のアジトに紛れ
込んで監禁されてしまう。強盗たちは、美女エリンを見張り役に置いて、犯行
のためにアジトを出て行く。ジャックはエリンを説得して、なんとかして自由
の身になろうと試みるが……。
感心したのは設定のうまさです。
例えば、このドラマでは、人殺しが起きそうなのになかなか起きない。それは
なぜかというと、強盗団のボスが人殺しが嫌いだという設定だから。
「そんなのズルイ!」と思うかもしれないけれど、そのおかげでハラハラドキ
ドキの展開が生まれているのだから文句は言えませんね。 (^-^)
その他にもユニークな設定がたくさんあります。
主人公の刑事ジャックはクラシック音楽のファンで、自らも巧みにチェロを演
奏する。一方、強盗団の美女エリンは旧ソ連出身のピアニスト。そこで、2人
は見事な競演を繰り広げるわけです。
また、ジャックが糖尿病で、インシュリン注射が欠かせないというのもよく考
えられた設定。このあたりは原作にあるのかもしれませんが、それにしても効
果的です。
物語は、アジトに捕まった主人公と見張り役の美女があれこれとやり取りをす
る間に、外では一味による犯行が進行していくというスタイルで進行する。
限定された空間ながら、アジトと犯行現場との場面転換がテンポよく行われる
ので、けっして飽きることはない。原作ものにありがちな消化不良の部分もあ
まりなく、登場人物の心理もそれなりに描写されています。
特に中盤になると、スリリングさがパワーアップ! (^o^)/
犯人側にトラブルが起きて、計画が大きく狂いだす。犯人たちの思惑の違いも
露見してきて、そこにジャック刑事とエリンが加わって大騒動に。ここからラ
ストに向けては、予想もしない意外な展開の連続で見応えタップリでした。
その中で、終始ポイントになるのが美女エリン。彼女はボスの暴力的支配を受
けながら、少し頭の弱い男フープを操って自由を確保しようとする。同時に、
捕まったジャックにも親切に振る舞って、一緒に逃げようとまで持ちかける。
要するに、この女は男を頼らにゃあ生きていけんのですよ。で、そのためにあ
っちの男に頼ったかと思ったら、今度はこっちに頼るというように、行ったり
来たりする。おかげで、ジャック刑事を含めて男たちが手玉に取られちゃうわ
けですねぇ〜。これが事件の行方に大きな影響を与えるのだッ!! _(‥ )
このあたりはミラ・ジョヴォビッチがいかにも魔性の女っぽい感じを出して(
おっぱいポロリもありヨ〜〜〜)、うまく演じています。彼女にハマる男たち
もいい感じで、特にサミュエル・L・ジャクソンはさすがに存在感がある(そ
れにしてもよく働くねぇ、この人)。
ただし、ジャック刑事と彼女との微妙な心のふれあいは、イマイチ描ききれて
いなかった感じもします。ここはドラマの中心だけに、もう少し突っ込んで描
いて欲しかった。ジャックが彼女にチェロを教えるエロチックな場面があるけ
れど、なんだかあそこだけ浮いている感じ。あれじゃ、エリンは魔性の女とい
うよりは、ただの色情狂にしか見えんぞ〜〜〜!!! (^。^/)
それに、ああいうふうにしか生きられないエリンの哀しさのようなものが、も
う少し伝わってくるとなおさら良かったと思うのですが……。
まあ、それでも意外でスリリングな展開の連続で、まずまず見応えがある犯罪
劇でした。ド派手な仕掛けをあえて排して、シブく抑え目にしたタッチも印象
的。痛快さはないけれど、後味はけっして悪くありません。いかにもこういう
映画が得意な監督らしい、よく練られた作品だと思います。
でも、やっぱりこの映画、主人公の刑事よりも"魔性の女"の映画ッスね。女は
コワイよぉ〜!?
《ぽちのオススメ度》
★★★☆☆【普通にオススメ。観て損はナシ】
(物語の構成といい、演出といい、なかなかのもの。男の人たち、ミラのオッ
パイにだけ見とれていちゃダメよ!)
<ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年3月10日(月)池袋HUMAXシネマズ4にて。午後2時10分の回。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜
■2.今週のもう1本!■
2本目は中国の名匠チャン・イーモウ監督の映画です。といっても、新作では
ありません。1997年の作品。なぜに今頃公開なの???
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●『キープ・クール』(有話好好説)
(1997年 中国)(上映時間1時間35分)
監督・出演:チャン・イーモウ
出演:チアン・ウェン、チュイ・イン、リー・パオティエン
*新宿武蔵野館にて公開中。全国順次公開予定
ホームページ http://www.walkerplus.com/keep-cool/
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<ストーリー>
露天商のシャオ(チアン・ウェン)は、元恋人のアンホン(チュイ・イン)が
忘れられず、彼女を追いかけ回している。ある日、彼はアンホンの新しい恋人
にコテンパンにされ、その場に居合わせた中年男チャン(リー・パオティエン
)のカバンで反撃し、中に入っていたパソコンを壊してしまう。その日から、
弁償を迫るチャンと恋人を奪った男への復讐に燃えるシャオとの奇妙な関係が
始まる……。
<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
チャン・イーモウとは思えない実験的でアバンギャルトな映画
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
別れた女をあきらめきれずに追いまわす男を、ノリのいいポップ・ミュージッ
クと手持ちカメラのエネルギッシュな映像で追ったオープニング。
これを観て、誰が『初恋のきた道』のチャン・イーモウ監督の映画だと思うで
しょうか。20代の新人監督の作品といってもいいような、アバンギャルドで実
験的なタッチの映画です。
1997年の映画なのに、今まで未公開だったのは、あまりにもチャン・イーモウ
のイメージと違う映画だったからかもしれません。
最初はちょっと変わった恋愛映画なのかと思ったんです。
元恋人をしつこく追いまわす男シャオ。人を雇って拡声器で愛の告白をさせる
など、常識はずれの困ったヤツ。
そこに彼女の新恋人が現れて、元恋人をボコボコにする。
さてさて、そこから3人の恋の行方はどうなるのか????
ところが、途中から話は予想外の方向へ進んでいきます。シャオが新恋人にボ
コボコにされたときに、彼は反撃を試みて近くにいた人のバッグをブン回す。
おかげで、中に入っていたパソコンはメチャクチャ。 (∋_∈)
パソコンの持ち主の中年男は、シャオに弁償を迫るが、「そんなのケンカを仕
掛けた元恋人が悪い!」と応じてもらえない。
それでも執拗に弁償を迫るオッサン。おかげで、シャオの生活は大混乱。そし
て、オッサンが問題解決のためにある提案をしてきたことから、事態は思わぬ
方向へと展開していく……。
後半は、レストランで主人公チャオと中年のオッサンが、ああでもない、こう
でもないと延々と話し続ける不思議なシーン。これもかなり思い切った構成で
す。
会話の中身は2人が攻守ところを変えながら、どんどん暴走していくんですけ
どね。かみ合わない会話の中にブラックな笑いがタップリ詰まっていて、ハマ
るとけっこう笑えます。おまけに、アナーキーとしかいいようがない暴走ぶり
には、あっ気にとられるばかり。 W(゜O゜)W
それでも、ラストはいかにもイーモウ監督らしい、ホッとする結末。いつもの
イーモウ監督らしさはホントここだけでしたね。
とにかく、最初から最後まで実験的な要素がズラズラ〜〜〜ッと並んだ大胆な
映画。手持ちカメラ、目まぐるしいカット割、斜めのアングル、顔のアップの
連続などなど、よくもまあ、ここまでやるものです。だって、このとき、すで
にイーモウ監督は名匠だったわけですからねぇ。いったい彼に何が起きたのか
???
テンションの高さも普通じゃありません(キープ・クールというタイトルはそ
のためか!?)。これは、この映画の舞台が大都会・北京だということが大き
く影響しているのでしょう。大都会の中では、誰もがハイ・テンションで生き
ている。それがちょっとしたきっかけで、予想もしない暴走につながることも
ある。そういうところがよく表現されていました。
ただし、個人的には、シャオとオッサンのブラックな笑いが、ちょっとツボを
外れていて物足りず。だいたいさぁ、あれ、いくら何でも長すぎるヨ〜〜〜!
! 意識的にやったんだろうけど、引っ張り過ぎです。観ていて途中でツラく
なっちゃった。 (´ヘ`;)
それに、あまりにも手持ちカメラなどのアバンギャルドな映像の連続なのも、
ちょっとねぇ〜。クド過ぎるゾ! 使い方にメリハリをつけた方が、もっと
効果的だったような気がします。
それでも、おもしろいのは確かにおもしろい。チャン・イーモウ監督にこんな
面があることが発見できただけでも、観た甲斐があったというもの。
1997年といえば、イーモウ監督にとって、それまでの「歴史に翻弄されながら
も力強く生きるヒロイン」といった感じの映画から、『初恋のきた道』『あの
子を探して』といったホンワカ路線への転換点。ずっとコンビを組んできたコ
ン・リーと別れた時期でもありました。それだけに、こういう大胆かつ実験的
な映画をつくることは、避けて通れない道だったのかも。 (・_・?)
できれば、これからも同じ路線を追求するだけでなく、こういう変わった映画
もつくって欲しいなぁ〜。最近のお行儀よすぎる作品にちょっと飽きてきたボ
クは、そう思うのでありました。 (^人^)オ・ネ・ガ・イ
《ぽちのオススメ度》
★★☆☆☆(+1/2★)【ちょっとだけオススメ。おヒマでしたらどうぞ】
(チャン・イーモウ監督のファンはもちろん、嫌いな人も一見の価値があるか
も。ただし、最初の方の恋の話が途中でまったく消えてしまうのは致命的な欠
点。もう少し構成をしっかり組みなおせば、もっとおもしろい映画になったと
思うのだが……。)
<ぽち>
〔鑑賞データ〕
2003年3月12日(水)新宿武蔵野館にて。午後2時の回
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜
■3.今週のニュースあれこれ■
◎全米俳優協会賞で『シカゴ』が3部門を独占。
◎全米脚本家組合賞の映画部門オリジナル脚本賞に『ボウリング・フォー・コ
ロンバイン』。
◎ブルース・ウィリスが『ダイ・ハード4』への出演に消極的。
◎マイケル・ジャクソンがスティーブン・スピルバーグに呪いをかけた?
◎マーク・ウォルバーグの恋人が妊娠!?
◎イラク攻撃開始でもオスカーは決行。
◎女優のブリジット・フォンダが作曲家のダニー・エルフマンと婚約。
◎深田恭子が『陰陽師2』で時代劇に初挑戦!
てな感じの今週。ブルース・ウィリスの気持はわかりますよねぇ〜。もう3本
もやったんだし、いまさらって感じでしょう。フーテンの寅さんシリーズじゃ
ないんだからさぁ(笑)。
〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜◇〜
■4.メールちょうだいッ!!■
「Cinemaの王国」は皆さんからのメールを活力に発行を続けておりまッす。
◆今週は以前、このメルマガでも取り上げたフランソワ・オゾン監督の『8人
の女たち』の感想を(ユキヒト)さんが送ってくれたので、ちょこっとご紹介
しましょう。
<面白かったです!!どこかの書き込みでストーリーが良くないとかミュージ
カルシーンが陳腐なんてありましたが、ストーリーよりも彼女たちの演技合戦
を見ているだけで本当に楽しめました。脚本がよくて無駄なセリフがないので
最後まで楽しめました。ぽちさんも言ってたように監督の遊び心があのような
作品を生んだのでしょう。色んな女優の色んな表情がてんこもり!!しかもミ
ュージカルがついてお得!って感じでした。>
◆いろんな映画をつくれるフランソワ・オゾン監督。まさに若き才人って感じ
ですね。
メールをくださったみなさん、ありがとうございました。 m(._.)m
みなさんも「Cinemaの王国」へのメッセージや「こんな作品を取り上げて欲し
い」といったリクエスト、自分が観た映画の感想、映画に関する疑問・質問な
ど、気軽に下記までメールをくださいネ。できれば名前(ハンドルネーム可)
を本文中に明記してください。(メールは誌面で紹介する場合もあります。載
せて欲しくない方は、その旨を明記してください。)
・メールはこちらまで fwkg4052@mb.infoweb.ne.jp
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■5.ぽちのひとりごと■
*当メルマガ読者の松本稔さんがシナリオを担当された(第27回城戸賞受賞作
品)映画『棒たおし!』の試写会に行ってまいりました。感想は近いうちにメ
ルマガかHPに書きますが、なかなかユニーク青春映画でした。3月21日から
テアトル池袋、テアトル新宿、シネセゾン渋谷ほかにて、ロードショー公開で
す。オフィシャルHP http://www.boutaoshi.com
*「ウィークリーまぐまぐ」で当メルマガがPRされました。新しい読者のみ
なさまもいらっしゃるのかな? まあ、こんな感じでマイペースで映画を語っ
ちゃっています。別に何の得にもなりませんが、人助けだと思ってお読みくだ
さい(笑)。
(ぽち)
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☆このメールマガジンは
・『melma!』 http://www.melma.com/ ID:m00025647
を利用して発行しています。
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■週刊「Cinemaの王国」 vol.168 2003. 3.14
●編集発行人:ぽち
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(発行者自身による解除、アドレスの変更等は一切行っておりません。ご面
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