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030127ビジネス知識源:自己経営とはどんなことか(4)

発行日: 2003/1/28

※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。
<<あなたと、チームの、知識とスキルのブラッシュアップを>>

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        ビジネス知識源:無料版
       2003年1月27日号:Vol 134
   <新年特別号:自己経営とはどんなことか(4)>
           完結編
            
 【良質な経営・IT・ビジネス・経済知識の提供を目標に】
                            (読者数: 30,483名)
著者:Systems Research Ltd. chief  consultant 吉田繁治
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    ※120余編の無料版バックナンバーを掲載しています。

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初期のIBMがどんな方法とリーダシップで変貌を遂げたか、まさに
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こんにちは、吉田繁治です。<自己経営とはどんなことか>のテーマ
での4回目、最終号をお届けします。

今、激しい勢いで(i)雇用制度、(ii)賃金評価、(iii)ワークスタイル
の変化が進んでいます。およそ、3つの共通要素。

(1)勤続年数をもとにする年功給やベースアップを廃止する。
(2)チームと個人の業績評価方法を決め、成果給にする。
(3)出社時間を短くしたフレックスタイム制度の導入。

東芝ライテック(証明器具)はコアタイムを廃止し、1日で30分の
出社。それ以外の時間は自己裁量に任せる「スーパーフレックスタイ
ム」制度を社員の40%(1100名)を対象に導入します。

モバイルを含むパーソナルコンピュータを使ったコミュニケーション
が、仕事のプロセスに入り込めば、毎日同じオフィスに集まることの
意味が薄くなる。同じ場所で仕事することが当然とされた「会社」の
意味、そして仕事の方法が変わる。そして管理の形態と分業形式が変
わるのです。

時間の使い方、スケジュール、仕事の方法で、まさに「自己経営」が
求められますね。

本稿では、(i)上から管理される「割り当てられた仕事」ではなく、(
ii)「判断と自己裁量」が増える今後の仕事では、どんな仕事の方法が
と目的が必要か、それをめぐって考察を加えます。

「労働」についてわれわれが持っている考えのベースにあるのは、モ
ノの生産のために、分業になった仕事が割り当てられる「工場労働」
です。機械化と分業が、その方法だった。

21世紀の労働はこうしたイメージとは、激しく変わります。

ところが、(i)知識労働の「生産性と成果」をどういう方法であげるか、
(ii)どう成果を出すか、(iii)そして成果が何であるかについては、
われわれは貧困な方法と思考しか持っていないのです。

知識労働では、自己経営を要求される。この自己管理はなにか?

考察の素材として、引き続き『プロフェッショナルの条件』(ドラッ
カー)を使います。<>部分は、引用です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

  <Vol .134新年特別号:自己経営とはどんなことか(4)>
          
【目次】

 1.「目的は何か?」と問い、目的を明らかにする
 2.古典的事例
 3.サプライチェーンでの事例
 4.なぜ、知識労働の成果があがらないのか?
 5.貢献を目標にする
                      [完]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.「目的は何か?」と問い、目的を明らかにする

仕事の目的を問うことは、長期的なものであれ、短期的なものであれ、
緊急のものであれ「仕事の成果」を問うことです。

本稿では、この「仕事の成果」を真正面から考えます。

仕事を遂行する方法としてのマネジメントでは、だれもが知っている
古典的なものにPDCサイクル(Plan-Do-Check)があります。計画を
立て、方法を決めて実行し、結果を計画と比較し、改善策や対策を立
てる。

PDCサイクルの中の計画と方法は、スタッフが起案し、マネジャー
が決め実行をワーカーが行う。これが工場労働の方法です。

こうした100年も前から続く伝統的方法の源流から考えてみます。

▼いかに行うか:how to doという問いの限界

<フレデリック・テイラーが、砂のすくい方を通じて後に科学的管理
法として結実した研究を始めたとき、彼は個々の肉体作業について、
「何が目的か」を問うことなど思いもしなかった。問題としたのは「
いかに行うか」だった。>

実際、100年後の現在もほぼ同じ状況です。「いかに行うか:How 
to do」は研究される。しかしその仕事の目的(成果)が何であるかは、
意外に、検討の外にあることが多い。

広く言えば、およそ日本では、モデルとなる欧米の方法へのキャッチ
アップを行ってきた。「なぜその方法か?、それをなぜ行うのか?」
ということは、検討されることが少なかったのです。

工場労働の成果物は製品です。製品をいかに効率よく、つまりはコス
トを減らして生産するかが成果(利益)とされる。生産効率をあげる
ために、どうすればいいかが仕事の方法の検討におけるすべてだった
と言っていい。

ところが今、わが国では工場の外に、流通工程に、そしてオフィスに、
生産性(=成果)の暗黒領域がある。

例えば、知識労働の成果物である「企画書」ではどうか? 
企画書を、効率よく美しく大量に作ることが成果であるか?

時間給を仮に4000円(年収800万円)とし、30時間かかった
企画書は、12万円以上の成果(performance)として計ることができ
るかとなると疑問ですね。企画が実行され、数千万円以上の経済価値
を生むこともあれば、ゼロ、または損失のこともある。

およそすべてのオフィスワークは、成果がモノではなく、それゆえは
っきりしないものだらけです。

企画書を「いかに効率的に作るか、内容がいかに優れているか」とい
うこととその経済的成果は、無関係です。

工場の生産物は違います。生産ラインで作られた部品や製品は、経済
的価値を持つ。作りすぎて価格が下がっても価値は残る。生産物のテ
レビは、故障しなければテレビの価値(有用性)がある。

製品を作る目的は何かと問うことはない。効率的にコストダウンして、
適切な数量を作るかという方法論があるだけです。

しかし企画書の作成では、まずは以下の3項、
(1)企画書は何を目的にするものか、
(2)何が経済的な成果か、
(3)どうすればその経済的成果が得られるか、が問われなければな
らない。まとめれば、「なぜ:why」という問いです。

<知的労働の生産性の向上を図る場合にまず問うべきは「何が目的か、
何を実現しようとしているか、なぜそれを行うのか」である。手っ
取り早く、しかもおそらく最も効果的に、知識労働の生産性を向上さ
せる方法は、仕事を定義しなおすことである。目的のために行う必要
のない仕事をやめることである。>

「仕事を定義しなおすこと」、勘所はここにあるでしょうね。

定義しなおすということを具体的に言えば、
(1)この仕事は、何を目的にするものか、
(2)何が、経済的な成果か、
(3)どうすれば仕事の経済的成果が得られるか、という問いに対す
る答えを準備し、書き下しておくことです。

そして、目的のために必要のないことをやめることです。
しかし、この「目的」とはなにか? 

仕事や作業の目的はなにかと真正面から問われれば、説明に困ります
ね。

■2.古典的事例

ドラッカーは以下の古典的な事例をあげます。仕事の目的(成果)と
いうことがよく分かるので示します。

<1906年から8年にかけてシアーズは、注文に同封されてくる硬
貨の勘定という手間のかかる仕事をやめた。当時は紙幣や小切手はな
く、硬貨だけだった。おおよその金額は封筒の重さで計ることができ
た。一定の範囲内で、重量が注文に合えばよいことにした。注文件数
の詳細な記録という時間のかかることもやめた。封筒を重ねて重さを
計り、1ポンドにつき注文件数40件と計算し、注文処理と商品発送
のスケジュールを立てた。こうして注文処理の生産性はわずか2年で
10倍に向上した。>

これはどんな意味を持つか。注文処理という業務の「目的」が何であ
るかを定義しなおしたのです。

【従来の仕事の定義】
注文処理では、一枚ずつ封筒を開け、コインを勘定し、注文件数の記
録をとることである。

ここで、2つの作業の目的を考えると、
(1)封筒を開ける作業。  
    → 数えるのはコインの金額が間違いないか確認するため。
(2)注文件数を記録する作業。
    → 品目別の商品発送のスケジュールを立てるため
      である。

なぜ(Why)という問いが、目的を明らかにするためのものです。
知識作業者は、常に、日々の仕事で、理由と目的を問うことを習慣に
しなければならない。

実はチームワークは、この目的がはっきりしたとき、初めて可能にな
る。分業と協働の目的が、明確でなけれればならないのです。

【新しい仕事の定義】
(1)コイン数える目的は、金額の確認である。
   封筒の重量を計る方法で、コインの金額を確認する。
(2)注文件数を個々に記録する目的は、
   品目別の注文件数を知るためである。
   コインを抜いた封筒の重量は40枚で1ポンドである。
   同じ品目の注文封筒を集め、注文件数は封筒の重さで計る。

こうした「仕事や作業の目的を考える」発想法を、意識して行い続け
れば、改善の種は、仕事のいたるところに転がっています。

あらゆる仕事にあたるとき、まず「なぜそれを行っているのか?」、
「なぜ、これを今からはじめるのか?」、「その作業の目的は何か」
と問い続けることです。

コインを「どう効率的に数えるか」という延長での発想ではない。

逆に、もっと効率化するために「数えなくて済む方法はないか」との
問いです。数える目的は、金額の確認です。数えなくても重量を計れ
ば数えることと同じ成果(performance)をあげることができる。

■3.サプライチェーンでの事例

サプライチェーンでは、工場倉庫〜物流プロセス〜店舗の倉庫〜配送
プロセス〜店舗の「流通プロセス」に含まれる二重三重作業を、どう
いう方法で、1回で済む作業にするか、または作業そのものをカット
するかという思考方法をとって、改善を進めます。

例えば、店舗の入荷検収という手間と時間、つまりコストのかかる作
業があります。入荷した商品のダンボール箱を開けて、一個一個の商
品を発注書と照らし合わせ、数を数えながら、商品の検質チェックを
します。

この「入荷検収作業(検品・検数・検質)」の作業の目的は、入荷し
た商品が発注通りであって、品質に間違いがないか、チェックする気
の遠くなる単純作業ですが、品目を見て一瞬で他と区できるという商
品知識も必要になる。数万品目について、です。チェーンストアでは、
「商品」を知るための将来の幹部に必要な訓練とされたのです。

およそ、物流や倉庫における流通作業とは、これに類似する作業のカ
タマリですね。

この検収作業の目的は、「発注書=入荷商品」のチェックです。発注
と入荷が等しく、品質の問題がなければ、店舗の検収作業はカットで
きます。

サプライチェーンでは、これを上流作業として行う方法をとります。
最上流の工場の倉庫での、受注に対する出荷検品の完全化を図ること
で、その後の流通工程での検収作業はすべてカットできるのではない
か? 

更に、発注から店舗入荷までのリードタイムを1日にすれば、店舗の
発注作業は、[今日のPOSの売上データ=発注データ]とし、CA
O(Computer Assisted Ordering:コンピュータ支援発注)として、
単純化を図ることができるのではないか?

こうして、今行っている一個一個の流通作業、店舗作業、単品作業の
目的を問い直し、「目的に合うように作業の定義を変える」ことで、
サプライチェーンマネジメントの体系が出来上がっています。

あらゆる仕事上の作業には「作業の目的」があります。その作業をカ
ットして、その目的が達せられるなら、「作業を行わなくて済ませる」
という究極の生産性、つまり成果をあげることができる。

「どう行うか」という作業改善ではなく、「その作業の目的は何か」
を問い続けることです。

仕事は作業を行うこと自体が目的ではない。
成果(performance)をあげることが目的です。

仕事は生活とは違います。
効率的生活というものはない。
生活の目的は、一般には無いからです。
動物が生きるように、生活は生きることそれ自体です。

(注)生活に目的を与えるものがあるとすればそれは「宗教」でしょ
うね。

仕事の成果は、その処理目的を考え、手順を変え、方法を変え、目的
の達成には無意味な作業をやめることから得られます。

マニュアルワーカーは作業の目的を問うことをしない。過去の方法、
決められた手順・方法で、いかに効率的に行うか、どう行うかが仕事
の責任になる。作業の実行量、生産物、または時間で、賃金を得ます。
明確な数量基準、または金額基準がつくりやすいのです。

しかし、知識作業者には、こうした計量基準はない。生産性の数量基
準はない。彼らは、仕事と作業の目的を、常に考える必要がある。

■4.なぜ、知識労働の成果があがらないのか?

▼課題

<昔は知識労働者のうち、組織に属している者はごくわずかだった。
彼らのほとんどは、せいぜい助手一人を抱えるだけで、自由業として
独立して仕事をしていた。成果をあげようがあげまいが、彼ら個人の
問題であって、彼らだけに関係のあることだった。>

確かに知識労働は、個人で行ってきた。会社の中でも、ごく一部のス
タッフや幹部が行い、現場はスタッフが決めた手順を実行した。個人
の工夫や知識作業に任せられる仕事は少なかった。今でも多くの会社
はそうです。

しかし、今、生産工場は自動化し、工場の現場以外の仕事への従事者
が増えた。多くの人が、経済的な成果のはっきりしない情報作業、知
識作業を行っている。

90年代以降の日本企業の生産性問題は、定型的な仕事を行う現場労
働者より、はるかに増加したオフィスワーカーつまり知識労働者の生
産性の停滞にあります。そして、知識労働の生産性と成果が低いまま
なら、やがて賃金は下落します。事実、賃金の下落は、もう始まって
います。

日本企業の最大の課題が、ここにあるでしょう。
焦点を絞れば、そうなる。

<知識労働者を直接あるいは細かく監督することはできない。彼らに
は助力を与えることができるだけである。知識労働者は自らをマネジ
メントしななければらならない。自らの仕事を業績や貢献に結びつけ
なければならない。成果をあげるべく、自らをマネジメントしなけれ
ばならない。>

つまり「自己経営」です。知識労働に必要な情報は、外部から得るこ
とができる。しかし、成果に結びつく知識の応用は、個人の課題にな
る。

(注)広義の自己経営の具体的方法は、すでに配信した本シリーズの
第1部から第3部↓を参照して下さい。
http://www.cool-knowledge.com

▼成果に照準を合わせるという方法

知識労働の成果、生産性を図る尺度はどこにあるか。

<知識労働は、それ自体が独立して成果になるようなものを生み出さ
ない。溝、靴、部品などの物的な生産物は生み出さない。>

知識労働の産物は多くが、書類や言葉です。書類や言葉は情報です。
情報は、それ自体で成果を持つものではない。靴はそれ自体で有用で
す。しかし、知識、アイデア、情報、企画書は、それだけでは役に立
たない。

ではどうすればいいのか?

【鍵】
<自らの成果(知的生産物)を、他の人に供給するということである。
靴のように、生産物それ自体の効用をあてにするわけにはいかない。>

鍵はここです。知的生産物を他の人に、または、個人の集合である組
織に供給すること、つまりコミュニケーション、そのコミュニケーシ
ョンから生まれる個人や組織の行動の変化、方法の変化、作業の変化、
判断の変化、そこに「知的生産物の成果」がある。

【余談】このメールマガジンは、私の知的生産物ではありますが、文
字の連なり(情報)が、読まれること(メッセージの伝達)で、なん
らかの「行動、判断、価値観、考え方の変化」に影響を与えることが
できるかどうか。含まれるメッセージが、いい影響を与えることがで
きているでしょうか?(笑)

大切なことは、知的生産物を成果に結びつけるには、「コミュニケー
ションが必要条件」であるということです。

[知的生産物]→[コミュニケーション]→[行動変化]→[成果]
            ↑
          [必要条件]

ここで、知識労働の典型的なものとして、コンサルタントの成果とい
うものを考えます。以下は、私に自己反省を迫ります(笑)

【コンサルタントの条件】

(1)知識の権威としてのコンサルタントは、自らが成果をあげるこ
とができなければならない。さもなければ価値がない。

(2)最も成果をあげるコンサルタントでさえ、ものごとを成し遂げ
るには、客たる組織の人たちに依存しなければならない。

コンサルタントを含む「知識労働」の成果は、その「知識の適用」に
よって顧客たる組織があげる成果(利益)に依存するということです。

これで、「知識労働」の成果というものがはっきりしますね。
会社の中の知識労働者すべてが、常に「習慣的に」、知識労働の成果
というものの性格を問いかけることです。

分かりにくい「知識労働の目的」というものの性格が、明確になって
きました。読者の方のほとんどは、広義の知識労働者です。
更に進みます。

■5.貢献を目標にする

▼方法

<成果をあげるためには、貢献に焦点を合わせなければならない。手
元の仕事から顔をあげ、目標に目を向けなければならない。「組織の
成果(performance)に影響を与える貢献はなにか」を自らに問わなけ
ればならない。すなわち自らの責任を中心に据えなければならない。


ワーカーとしての仕事は、目的も方法も上から、または組織から与え
られます。実行の責任があるだけです。知識労働は違う。その仕事の
目的は何か、目標はなにかを常に問わなければならない。

その目標は、「組織の成果への貢献」ということです。
組織が成果をあげるために、何をなさなければならないか、何が必要
か、ここを見極めることです。

▼権限の組織は、崩壊が着地点になる

<ところがほとんどの人が、下のほうに焦点を合わせたがる。成果で
はなく、権限に焦点を合わせる。組織や上司が自分にしてくれるべき
こと、自らがもつべき権限を気にする。その結果、本当の成果をあげ
られない。>

権限に焦点を合わせた組織を何というか? 悪しき官僚組織です。官
僚組織は、成果ではなく、手続き(procedure)に焦点を合わせる。

例えば竹中大臣は、時折、会議で追及されて困ると大臣というトップ
であるのに「これは、小泉首相の指示だ」と言います。これは自らが、
権限に焦点を合わせる官僚的ワーカーであることを表明しています
ね。嘆かわしいことです。

こうしたことは知識労働者にとって、タブーになる発言です。その場
にいない人の権威を借り、当人から指示があるのかどうかわからない
ことで、人を説得することはできない。発言した人は、馬鹿に見えま
すね。

実際、おそらくそのことを小泉首相に訊ねれば、逆に「金融と経済は
竹中大臣に任せている」と答えます。この国の重要な意思決定には、
常に責任の空洞があるのです。2年も経って構造改革の成果があがら
ない根底には、こうした最も基本的な、仕事の進め方の誤りがありま
す。

<肩書きや地位がいかに高くとも、権限に焦点を合わせるものは、自
らが、単にだれかの部下であることを告白しているにすぎない>

権限には更に上の権限がある。そうすると、細部を含めすべての権限
はトップまたは首相になる。それで組織が有効に動くことができるか。
不可能でしょう。

にもかかわらずわが国のみならず、世界の組織に多い行動です。権限
による行動の典型は、官僚帝国のソ連だった。自己を守る権限がすべ
てであり、目的が国民生活への貢献ではなかったのです。だから崩壊
した。世の中はうまくできています。無理は長期は続かない。

(注)今、日本には、行政組織の権限での自己満足化、共同体化があ
ります。これは、最終的には、壊れざるを得ない。組織の目的は、外
部にあるからです。官僚組織では、国民の利益以外の目的はないので
す。自己目的化した組織は、崩れます。

▼貢献

<これに対し、いかに若い新入りであろうとも、貢献に焦点を合わせ、
結果に責任を持つものは、最も厳格な意味においてトップマネジメ
ントである。組織全体の業績(成果)に責任をもとうとしているから
である>

[仕事]→[貢献:つまり成果を目標にすること]

これを「自律的行動」と言います。これが、自己経営そのものです。
どんなに立場が下で、仕事は部分的なことであっても、貢献に焦点を
合わせること。これが、仕事の目標になる。

<貢献に焦点を合わせることによって、専門分野や限定された技能や
部門に対してではなく、組織全体に成果に注意をむけるようになる>

[仕事]→[貢献:成果を目標にすること]→[組織全体の成果]

サラリーマンの多くが、自分は限定されたことしかできないと言いま
す。事実そうです。会社全体に影響を及ぼすことはできない。しかし、
それは部分でしかない「権限」に焦点を合わせたときです。これは
誤りです。

ここで考えていただきたいのです。組織全体の成果とは「顧客の獲得、
顧客満足の改善、顧客を長期につなぎとめること」でしょう。

そうすれば、「顧客」という視点から組織全体へ貢献することができ
る。権限に焦点を合わせれば、部分です。外部顧客に焦点を合わせる
なら、「全体への貢献の仕事」ができる!!

ここが、サラリーマンの仕事の唯一の正当な突破口です。顧客満足を
図る責任、ここに焦点を合わせることです。仕事の改善は、すべて、
顧客満足を以前より高めること以外ではない。

[仕事]→[貢献:成果を目標にすること]
           →[組織全体の成果]→[顧客への貢献]

そのためのコストダウンです。利益というもののすべては、顧客が、
他より、価格、サービス、品質、提供方法の何らかの要因で満足を受
けた結果として与えてくれるものです。

<(こうすると)成果が存在する唯一の場所である「外の世界」に注
意を向けるようになる。自らの専門や自らの部下と組織全体や組織の
目的との関係について、徹底的に考えざるを得なくなる。>

それが至る地点(goal)はどこか?

<経済的な財、政府の施策、医療サービスなど、組織の産出物の究極
目的である客や患者の視点から、ものごとを考えざるを得なくなる。
その結果、仕事や死後の仕方が大きく変わって行く。>

[仕事]→[貢献:成果を目標にすること]→[組織全体の成果]→
[顧客への貢献]→[顧客の満足](=ゴールとなる成果)

こうして、工業の生産物たる「靴」が顧客に有用であるように、知識
労働の成果も、「顧客満足」をゴールにすることによって、顧客と社
会に貢献することができる。

こうした大きな目標こそ、チームワークを鼓舞し、人を動かし、顧客
を動かす。目標への貢献が、古風な日本的用語では義理でしょう。理
への忠誠です。やはり、社会への義理と人への人情ですね(笑)

そこが、自己満足の到達点でもある。

自己経営も、ここが着地点(goal)でしょう。
以上のことは論理的にたどることができます。

部分の仕事は、全体に通じているから部分です。
部分は、独立したものではない。独立すれば全体です。
(全体である)企業は顧客を目的をすべきものです。

本シリーズを通じ、仕事というものへの視点が開けたとすれば幸いで
す。真面目すぎますか? 一人で反省(省察)するとき、人はやはり
真面目ですね。

see you next week!

【案内1】
『販売革新』の新年号に「ウォルマートに見る商品管理作業のエンジ
ニアリング」を寄稿しています。1月初旬の発売です。2月号は、「収
益ドライバーになった物流システム」というテーマで二本の原稿を寄
稿しています。

【案内2】
有料版のメールマガジンで昨年11月に数回にわたってとりあげた『
ウォルマートのデータウエアハウス:Data Warehousing, Using Wal-
Mart Model』が、翔泳社から2月5日に翻訳・出版されます。知識作
業のデジタル化で、話題になるべき内容があります。価格は2500円。
(2000円は私の間違いでした)アマゾンで買えると思います。

【案内3】
2月19日の第71回商業界ゼミナール(シェラトングランデ東京Bay)で
、新しい商品管理の講座を担当します。1200名の参加予定だそうです
。19日から21日まで3日間で、50名ほどのコンサルタントの講座
から選べます。参加費は76000円で、だいぶ高いです。

(企業講演ではなく公開セミナーのみは、本メールで時折お知らせし
ています)

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