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- 最新号:2008-09-20
- 発行周期:週刊
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- 創刊日:2000-10-23
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0917ビジネス知識源:グローバルカジノ資本主義はどこへむかうか
発行日: 2001/9/17※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。
<<あなたと、チームの、知識とスキルのブラッシュアップを>>
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2001年9月17日(Vol.71):緊急号(通貨制度と経済)
<グローバル・カジノ資本主義はどこへむかうか>
ビジネス知識源:良質な経営・IT・ビジネス知識の提供を目標に
(読者数:14,149名)
著者:Systems Research Ltd. chief consultant吉田繁治
著者へのひとことメール⇒ yoshida@cool-knowledge.com
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こんにちは、吉田繁治です。今回のテーマでは反響が大きく、メー
ルが殺到し、少数しか返事を出せないことをお許しください。
人類が刻む歴史的な事件の9月11日から5日が経過しました。
大事件では、3つのスタンスがあります。
(1) 「推移」を追う。
(2) 「メッセージ」を読む。
(3) 「戦略的」な対応をする。
最初は推移を追うことに忙殺され、次にメッセージを読み、戦略的
な対応をすることに向かう。
現時点は、事件の推移を追うのが、ほとんど人のスタンスです。テ
ロの首謀者は誰か、ブッシュ政権はどんな報復を、いつ、どんな方
法でとるか。その後は、どうなるのか。推移を追うのは事件を起こ
した側に振り回されていることです。
2001年9月16日、今日の時点で私が書くことに意味を見出す
には、その次の段階の「メッセージを読んで解析すること」でしょ
う。
戦略的対応は、メッセージの背後に見える事件後の世界を予測した
上で、とり得る選択肢のなかから、施策を立て実行することです。
【日本】
日本国の対応は、米国の世界戦略を、資金供与で支える役割です。
第二次世界大戦後は、独自の戦略をとれるポジションにはありませ
ん。
動いても動かなくても非難されます。理由は、世界がパワーを認め
ているからです。この国の外交は、当面は、米国の意図をよみとる
こと以外にはないのです。
【一枚岩ではない自由世界】
ブッシュ政権内も、米国内も一枚岩ではない。西欧諸国は特にフラ
ンスを筆頭に、反グローバリズム、反米の姿勢があることです。従
って、ブッシュの最初の戦略は、国内世論と西側世界の世論をまと
めることです。
ユーロ統一は、フランス大統領ミッテランが、米国と日本に対抗す
るために発案したものです。西欧はドイツを除けば経済小国です。
【ブッシュ政権】
ブッシュの当選は、フロリダ州での(実際はあったかどうか不明な)
数千票の差によるものにすぎなかったことを忘れないことです。
政権誕生では、国論は2分されていた。米国政治史上、最も弱体な
政権といわれた。政策面でのフリーハンドをもっていなかった。
一方ブッシュは、副大統領に湾岸戦争(1991年)当時国防長官
であったチェイニーを、国防長官には連合軍を指揮した統合参謀本
部議長のパウエルを据えている。今の事態を、約1年前に予想した
かのような、「湾岸戦争勝利チーム」の編成です。
戦争では、武力をつかう段階ではなく、世論の一枚化が最も重要に
なる戦略です。武力での破壊や殺人は、戦争では最終段階です。世
論が分裂していれば、戦争はできない。
今、米国世論は、見事に一枚岩になっている。
【イスラエルとアラブ世界】
根底には、<米国のエスタブリッシュメント≒イスラエル←→アラ
ブ諸国>の、終わりなき抗争があります。
米国は、
(1) 経済、金融、マスコミ、学問の中心に600万人のユダヤ系
がいること、
(2) 国際援助資金の30%余をイスラエルで使うという構造をも
っていることを記憶すべきです。
(前回の緊急号をふくめ、内容の性格上、?をつけたり、あいまい
に表現している部分があることを、ご理解下さい。それでも、メッ
セージは伝わるはずです)
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<Vol.71 グローバル・カジノ資本主義はどこへむかうか>
【目次】
1.映像が運ぶのはメッセージ
2.現代に生きる歴史と宗教
3.米国にとって見えない敵
4.何が終わったのか
5.予想される米国経済の急転
6.日本人が認識すべきこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 1.映像が運ぶのはメッセージ
▼ 2重パイプ構造の、摩天楼のなかのペーパー・マネー
【二重パイプ構造のWTC】
崩壊した世界貿易センター(WTCと略します)は、1973年に日系
人、ミノル・ヤマザキが設計したものです。2重バイプ構造で柱を
少なくしスペースを広げる構造。岩盤が強固なマンハッタンは、地
震や他の外的ショックを前提としていない。
旅客機の設計に見られる「フェール・セーフ」の構造ではない。ビ
ル建設は、一般に大きなショックへのセキュリティを前提としてい
ない。
【衝撃の意味】
ハイジャックに遭った旅客機が、WTCに突っ込んでも、ビルの全体が
脆く崩落しなければ、衝撃の大きさは数分の1になった。ペンタゴン
に突っ込んだのも前代未聞の事件ですが、WTCが崩落する映像の前で
は、印象が薄くなった。
今回のテロの事件で、劇的な印象が大きくなったのは、米国経済の
シンボルであった巨大高層ビルの、無残な崩落があったからです。
これが、かつてないトラウマを植えつけた。
この映像で、米国のみならず世界の人々は、価値観の深い部分を変
える。
【ペーパー・マネー・エコノミーの象徴】
WTCには2500社、5万人が働いていた。観光客が20万人。多く
が、金融・証券・債権のペーパー・マネー取引にかかわる。世界の
金融機関があつまるグローバル・カジノ資本主義の中心です。
朝8:45ではなく、昼間や夕刻だったら死者は数倍になったでし
ょう。コンピュータデータ、証券、債権、契約書の現物も保管され
ていた。どう回復するか、至難です。
WTCから歩いて数分の、ウォール街のNYSE(ニューヨーク証券取引所
)周辺にいくと、林立する高層ビルの谷間で「ここが世界のマネー
の中心」という感慨がわく。
(日本の金融街、丸の内ではこれが浮かばない)
【信用という無形の価値】
ペーパー・マネーと債権(借用証書)は、大衆からの信用のみが命
です。銀行が競って立派なビルを建てたがるのは、建物の外観がペ
ーパー・マネーの信用の構成要素であることを知っているからです。
クリントンの出身地、アーカンソー州の田舎にあるウォルマートの
本社のような木造のオンボロ建物では、お金を預ける人はいない。
ウォルマートでは本社の建物は商品ではなく、全米3500店舗の
在庫が商品です。しかし金融機関では、建物も、商品の信用価値を
構成する。
【効果的な攻撃目標になった】
イスラム原理主義者と見られるテロは、グローバル・カジノ資本主
義の総本山を狙った。93年の爆破事件から2度目です。
金融取引の本質は、ラスベガスのカジノと変わりません。カジノで
は、富の移転(=負けたひとから勝ったひとへの移転)が行われる
が、総量の富は変わらない。
富を生むのは、商品、サービス、情報の生産と流通、および設備投
資の活動です。金融では本源的な富は生まれない。
WTCとウォール街は、例えれば、テニスのウィンブルドンです。世界
の一流プレーヤーが、それぞれ掛け金を負って、プレーをやってい
た。一瞬で、設備とプレーヤー、(遠隔分散型システムがなければ)
コンピュータシステム、紙の契約書、株券、債権が物理的に消滅
した。
【異なるルールと原理の集団】
狙ったのはウンブルドンのルールを無効とする、他の集団です。
その集団は、イスラム原理主義をかかげている。
イスラム原理主義は、マホメッドのコーラン(西暦610年ころ)
を経典とし、厳格に守ります。今、私の目の前にコーランがありま
す。(高校生のころ一度読んだのですが、内容を忘れています)
――――――――――――――――――――――――――――――
■2.現代に生きる歴史と宗教
【コーランの一節】
<おまえたち、高利貸しを行えば、財産をふやすことができるが、
神のみもとではそのためになに増えはしない。・・・
人々が自分の手でかせいだもののために、陸にも海にも荒廃が現れ
たが、これは神が彼らにその所業の一部を味わわせて正しい道へど
もらせようとのお計らいによるものだ。>
(『コーラン』:世界の名著:中央公論社:責任編集 藤本勝次)
▼ シンボリック・メッセージ
世界貿易センター(WTC)の破壊には、象徴的な意味があります
。ノアの洪水のあと洪水を避けるため、人々は地上から天に至るバ
ベルの塔を建てた。これを見た神は、人間の自己神格化として、戒
めのため破壊します。
これが、WTCの破壊が発した神話的メッセージです。
神話は生きている。イスラム原理主義の世界に。
イスラム原理主義にとって、資本主義のバベルの塔が世界貿易セン
タービルだった。神に代わって破壊したのが、テロリストです。
あれほど無残な、完全破壊が想定されていたかどうかは別として。
テロの首謀者と目されているビンラディン(BinLaden)は、建築技
術を知っている、サウジアラビアの建設会社の御曹司です。
爆破した位置にまで、計算があるように、感じます。
300億円の資金をもつといわれます。預金先は、ナチスも利用し
たスイス・ユニオン・バンクでしょう。
【現世の仕事と、信仰のアウフヘーベン(止揚)】
キリスト教は、16世紀のカルバンのプロテスタンティズムを経る
ことによって、現世の仕事とマネーの蓄積を肯定しました。
ヴェーバーの『プロテスタンティズムと資本主義の精神』に詳しい
。読んでみると、資本家と資本主義に必要な禁欲と貯蓄がなんであ
るか、その根源がわかるでしょう。
イスラム教には、これがなかった。繁栄した古代文化と中世が、近
代という思想変換をへず、そのまま現代になった。彼らが眺めてい
る現実は、われわれとは違いがある。
▼ イスラム原理主義
イスラム原理主義は、現代資本主義を肯定しません。
現世は仮の世界であり、神の世界が本当の世界とする。自爆テロは
、現代資本主義の悪を懲らしめ、聖者として神の国へ至る道です。
日本の半世紀前の特攻の支柱は、神道的な「天皇陛下万歳」でした
。
イスラム原理主義の自爆を促すものは「唯一神アラー」です。
資本主義との戦いは、神が命じる聖戦(ジハード)になる。
【11世紀の十字軍】
イスラム世界の、西欧・米国資本主義への怨念は、十字軍にさかの
ぼります。イスラムにとっての十字軍は、日本にとっての13世紀
のフビライの元寇のようなものだった。
幸いなことに、フビライは日本の征服に失敗しました。
イスラム世界は、十字軍の侵略以降、文化的・経済的に西欧に支配
されてきたという意識をもっている。
【イタリアルネサンスが西欧近代と科学の始まり】
11世紀から13世紀までの十字軍は、キリスト教の聖地パレスチ
ナ(特にエルサレム)をイスラム世界から奪還するものでした。
十字軍によって、野蛮だった西欧は、高度なビザンチン文化、科学
、数学を得た。ビザンチン文化から得られた科学が、13世紀後半
からのイタリアの天才たちによるルネサンスを経て、近代西欧文化
、科学、近代資本主義につながることは歴史的事実です。今は資本
主義国はイスラム世界の油田を支配し、繁栄をむさぼっていように
思える。
▼ イマジネーション
イスラム世界の、西欧・米国資本主義への怨念は、われわれには理
解しにくいものです。
13世紀の元寇で、日本が実質的に支配され現在に至っていると仮
定すれば、イスラム世界の怨嗟(えんさ)が、わかるでしょう。
蒙古に支配された日本の想像です。果たして日本人が許容できるか、
蒙古の支配に、妥協できるか?
イスラムの人々は、700年間も十字軍の侵略を問題にしています。
歴史的事実はひとつでも、歴史観が違うのです。
パレスチナとイスラエルの領土抗争は、深く妥協を許さない背景を
もつ。
イスラムの人々は、イスラムで略奪と殺人を行った西欧と妥協でき
ない。(もちろん、ビンディンのイスラム原理主義とテロは、イス
ラム世界のはねあがりで、イスラムの多くの人は迷惑に思っていま
すが)
――――――――――――――――――――――――――――――
■3.米国にとって見えない敵
軍事的には、米国にまともに対抗できる国はない。しかし、テロは
見えない敵が相手です。どういう戦略と手段でくるか予想ができな
い。どこにいるのかわからない。敵が見えない。武器や手段もわか
らない。
そこに、米国が立ち向かう困難さがある。長期戦の可能性がある。
最も容易なのは、資金源を見つけ、断つことです。思想源を断つこ
とはできない。イスラム原理主義が行っているのは、宗教戦争です。
▼ 敵の目的が明らかなら終着点はある
20世紀の冷戦を含む古典的な戦争では、敵は明らかでした。
狙いも利、資源、国土、マネーであり明確だった。こうしたときは
妥協が可能です。冷戦ではソ連と米国の妥協で、世界ができていた。
首謀者がビンラディンとされ、ビンラディンが現世的な妥協ができ
るなら、決着点は容易になる。(1991年のイラクとの湾岸戦争
では、フセインが大統領を続けるという妥協があったようです)
しかしビンラディンの狙いが、「資本主義の破壊」なら、妥協点が
ない。イスラエルの撤収でも、妥協点はない。ビンラディンがかか
げるゴールは<マホメッドの世界を再興すること>とされている。
▼ 不思議なこと
不思議なことがあります。大規模なテロで、政治的な目的をもつも
のなら、テロを首謀した集団からの、「公式メッセージ」があるは
ずです。一向にそれが出ない。メッセージを出さなければ、破壊と
無差別殺人の愉快犯になるだけです。
理由は、所在を知られれば暗殺されるということでしょうが、いま
は、所在が知られないインターネットという方法もあるのです。政
治的な狙いは国際世論を味方につけることです。どんな世でも、抑
圧され搾取されていると感じている人はいるのですから。
テロは、政治的な狙いをもちます。自暴の自殺集団ではない。今回
のように、訓練が必要なときは、政治的な狙いは明確である必要が
ある。
少し時間が経てば、メッセージが出る可能性はありますが。
米国にとって、または資本主義世界にとって、今は見えない敵です。
――――――――――――――――――――――――――――――
■ 4.何が終わったのか
大事件の共通体験は、歴史ではなく、われわれの歴史<観>を変え
ることが多い。阪神淡路大震災は、自然現象(ただし被害内容は自
然現象ではない)でした。それによって、特に阪神に住むひとには
、人生観や価値観、ものの見方を変えたという人が多かった。
観とは、世の中や世界の見方です。
(1) 90年代までの米国に対する<観>が変わるのではないか?
(2) 30年間の、為替の変動相場性と、政府信用のみを裏づけと
するペーパー・マネーに対する態度が変わるのではないか?
これが、前回(緊急号:Vol. 69)の<ペーパー・マネー時代の終
焉か?>で出した仮説です。
共通の観が変われば、多くの人の行動が変わり、それによって人々
の行動がつくる歴史が転換するのです。
▼カジノ資本主義
米国の90年代は、まとめればグローバル・キャピタリズムでの、
カジノ資本主義による繁栄だったと言えます。
【マネー循環構造】
モノを生産するのではなく、生産はコストの安い他国に譲り、貿易
赤字を巨大化させた。しかし、赤字で流出したドルは奪還し、米国
が使うというマネー循環の構造をつくってきた。
最初は日本が、つぎに中国とアジア諸国、そして90年代末からは
欧州が米国にマネーを還流させた。マネー還流する先の象徴が、世
界貿易センターであり、ウォール街の摩天楼だった。
強大な軍事力と、消費経済を背景に、米国は世界の余剰マネーが溜
まるのに安全な場所だった。米国ファンドマネジャーは、低金利で
資金を預かり、そのマネーを米国企業と世界企業に投資することで
鞘を稼ぎ、米国GDPとしてきた。
$4000億(約50兆円)の貿易赤字を何年も続ければ、普通は
ドルが暴落する。70年代から80年代まではそうだった。世界第
2位の通貨、円との関係でいえば、$1=360円が、120円く
らいまで暴落した。
90年代は、貿易赤字は続けたにもかかわらず、ドルと円の関係は
短期のボラティリティ(急変動)あっても安定していた。
世界のマネーのドルへの還流があったからです。
まとめていえば、クリントンが推し進めた強いドルが、米国の90
年代の繁栄だった。
ITでの実質経済成長があったにしても、ドルへの還流構造がなけ
れば、一夜のうちの米国経済は崩壊したはずです。
ところが、2000年から様相が変わってきた。高すぎる米国の株
から資金逃避が起こった。向かった先は、日本でした。日本の株が
なぜ上がらなかったか。海外勢の買いを上回る売りがあったからで
す。
▼ 日本人の日本企業不信
日本人は日本の民間株を信用せず、売った。
代わりに、日本国債を買ったのです。
投資で言えば、民間会社は信用しないが、国は信用するというのが
日本人の態度だった。この国は、口では国や財務省を非難するが、
心では信用している。これが投資に現れます。ここが華僑と違いま
す。
本当は、国を信用しているのではなく、資金を預かる民間会社の無
責任をなじっているのかもしれない。株価維持が、会社のもっとも
重要な政策とする米国の会社は多いが、日本の会社ではそれがない
。
株が下がっても、経営者責任が追及されたことはないし、経営者が
それを責任と感じることはなかった。
何を意味するか? 株価の形成が、経営成績とは、ほぼ無関係に決
まってきたからです。これをなんというか。
「カジノ資本主義」です。
カジノでは、投資はない。賭けです。1990年の日本のバブル以
降、世界の株式市場が、カジノ資本主義になったのです。
政府側は、80年代までのような民間での資金還流が起こらないた
め、国内資金余剰を国債で吸収し、公共投資、特殊法人に振り向け
てきた。それもほぼゼロの超低金利で。
(日本の問題は、最後のところで述べましょう。ここではまず米国
issue=問題を)
▼ 米国の次の戦略
米国は、貯蓄率がゼロのため世界からマネーを集め続けないと、繁
栄は維持できない。国民の預金がゼロのままでは金利が暴騰し、株
価は下がって生活水準が急低下するのです。
国民的な合意ではありませんが、政府首脳、金融の首脳が、強く持
っている危機感です。国民は、赤字に対する危機意識はない。
2つの方法があります。
(1) 国民の貯蓄を、現在のゼロから、プラスにする。これは、ク
レジットカードや、ローンでの消費を節約することを意味します。
国民が貯蓄を増やし消費を減らしてもGDPは低下しません。その
貯蓄を使った、投資を行えばいい。
(2) 国民の貯蓄はゼロのまま、戦略的に、変動相場制とペーパー
・マネーのルールを変えて、米国にマネーを集める。
私は、今後の米国で、両方が同時進行する可能性が高いと見ていま
す。
▼ 米国民の気分の変化
阪神淡路大震災で、日本がそれまでの気分を変えた何倍もの規模で、
今、米国人がクリントン時代の「バブル」の気分を変えつつある
と感じます。
【株さえあがればすべてを許容した時代】
バブル時代は、クリントンのホワイトハウス内での下半身スキャン
ダルすら許容した。米国はフランスとは違い、性道徳では実は保守
的な人が多いのです。
株があがればそれでもいい、という態度だった。モニカ・ルインス
キー嬢はスターになり、キャラクターグッズを売る。
今、クリントン時代はみながバブルに浮かれていたと反省している
ひとが増えた。人間の共通の態度が、変わりつつある。
どの方向への変化か?
【実業への傾斜】
「実業」への変化です。オールドエコノミーへの回帰と言ってもい
い。誤解を解かねばなりません。IT時代は終わるのか? そうで
はない。
オールドエコノミーの、現場作業の隅々にまでIT化が進行するの
です。そこで、IT化したオールドエコノミーが再興する。中身は
サプライチェーン・マネジメント(SCM)と、カスタマー・リレーシ
ョンシップ・マネジメント(CRM)が2つの核です。
【トップ・キャラクター】
ブッシュはクリントンと違うようです。クリントンが好きだったブ
ランドのスーツも着ない。毎朝5時に起き、妻にコーヒーを淹れ、
8時には仕事に就く。きちんと5時には帰宅する。遅刻を、なによ
りも叱責する。フランクリンがその自伝が描いたような、古きよき
アメリカ人の趣がある。ホワイトハウスのスタッフは、前任者との
行動スタイルの違いに驚いた。
ブッシュは、軍服めいたジャンパーを着用。計算された演出ですが、
妙に似合っています。彼が米国民のために引き受けようとしてい
る役割と、合致しているからです。
【国難との意識】
国難とも言える事態の発生で、米国人は、バブルから目を醒ました
感じがある。マネーゲームのカジノ資本主義は終わった、さぁ次の
課題で、もうひと仕事という印象を受けます。ここが、若い国、米
国の強さです。肯定的に見ると、災いが福に転じる可能性がある。
【重要なトップ・ジェネレーション】
30台、40台の経営者は、ゴロゴロいる。次の課題へのチャレン
ジをやる。IT知識はお手のものです。
大半が60台を超え、退職後に関心が移っている日本とは違います。
日本の政治、金融、建設、流通・小売の問題は、意志決定をすべき
経営者ジェネレーションの問題とも無関係ではないのです。
ひとつの仕事を仕上げるには10年、15年はかかる。10年計画が、自
分の仕事のスパンとどう関係するか、ここが重要なことですね。
――――――――――――――――――――――――――――――
■ 5.予想される米国経済の急転
予想される戦争によって、短期的には米国経済は悪化します。懸念
されてきたハードランディングに向かう可能性が大きくなった。
(月曜日から、再開される株式マーケットをみれば、判定できます)
米国は、建国以来の、物理的な面ではなく「心理的な」国難に直面
していると見たほうがいいのです。心理の傷は、原爆の投下をうけ
たことに匹敵するでしょう。
米国は戦争を繰り返してきましたが、米国土以外の前方展開の部分
でした。真珠湾が唯一の受けた攻撃でしたが、ハワイであり、破壊
されたものの過半は、兵器や艦隊でした。
今度の破壊は、世界経済の中枢部分で、突然、起こった。
この衝撃は、心理的ショックを起こす。
▼重要な一報が今・・・(16日午後9時)
たった今入った一報では、ビンラディンは、「自分はテロの首謀者
ではなく無関係である」との声明を出した。
これで、テロの首謀は深い謎になります。仮に米国が捕まえても、
ビンラディンが、言を翻して肯定することはないからです。
テロは「命をかけ、計算された政治的目的」を持った行動です。テ
ロを完遂するには、イスラムを含めた世界に向かった政治的な声明
が必要なのです。
ビンラディンは、いたるところで、「悪の帝国である米国を、アラ
ーの命で殲滅(せんめつ)する」と発言してきたのです。
彼が今回の大規模テロの首謀者であるなら、首謀を否定することは、
今までの言葉と行動と矛盾します。そんな卑怯な自己保身のリー
ダーに、テロリストが命をささげるわけがない。
19名のテロリストの自爆は、自らが信じる聖なるものへの殉教で
なければ起こりえないのです。その聖なる行為を、リーダーは、自
分は無関係とは否定できない。そうなれば、ビンラディンは殉教者
とアラーの神に対する裏切り者になり、米国が殺すまでもなく、内
部で抹殺されます。
仮に、東条英機が、私は「特攻」を命じたのではないと否定したら、
東条英機は一瞬のうちにリーダシップを失ったでしょう。
以上、論理的に推論されるようにビンラディンが首謀者でないとす
れば、米国は、一体なにを攻撃することになるのか・・・
▼ 消費の変化
不要不急の、「贅沢消費」が減るでしょう。当分の間、米国人は、
高価な商品を買う気分にはならない。現在、消費額のおよそ30%以
上はそうした消費。小売金額にして100兆円分。もちろん全部が消え
るわけではありませんが。100兆円の20〜30%は減ることが想定され
る。波及効果には、おおきなものがある。
ほぼ確実に言えることです。ウォールストリートと、シリコンバレ
ーで働く人々の消費は、米国バブル消費の象徴でした。
$100万を超える住宅、高級車、ブランド・アパレル、スイスの機械
式時計、1万円を超えるワイン、1本$40の葉巻、豪華な食事、こう
したバブル経済の象徴財は、打撃をうけるはずです。
NYでは、こうした消費部分が多いのです。
▼ 認識の変更
人々はここで、米国のバブル経済を認識します。80年代までの米
国は、消費では、頑丈で大型のものを好む質実剛健の国でした。シ
アーズの商品を見ればそれがわかります。90年代は、イタリア・フ
ランスの高級ブランドに傾斜していたのです。
代わりに、軍隊的価値観、生活のセキュリティを守るための警察的
な価値観が浮上します。危機管理を含むセキュリティ産業も注目さ
れるようになる。
データとシステムの物理的なセキュリティを確保するためのコンピ
ュータのハードの投資は増えます。遠隔のデータセンターを複数箇
所にもつことがセキュリティ上当然のことになる。
軍事費の支出が増え、エネルギー、素材産業は、セキュリティ産業
は隆盛に向かいます。米国は、冷戦以後の、敵を見つけたのです。
▼ ペーパー・マネーへの不信が芽生える
一方で世界の金融トレーディングセンターが、象徴的に崩れたこと
で、ペーパー・マネーへの不信が芽生えます。あんなにもろく崩れ
るところに預けていたとの心理が発生します。これは心理です。し
かし、理性ではなく大衆心理が株価や信用を決める。
具体的には、コンピュータデータや、預けていた無記名株券や債権
の消失、電子化されていた顧客名簿の消失で、損害を蒙るひとや企
業が多数出ます。
▼ エネルギーとペーパー・マネー
これについては、9月13日配信の緊急号<30年のペーパー・マネー時
代の終焉か>を参照してください。↓
http://www.cool-knowledge.com/010914Beikoku-doujitahatu-tero
(1).html
(?の部分からは、私のメッセージを読み取ってください)
――――――――――――――――――――――――――――――
■ 6.日本人が認識すべきこと
8月14日、予測通りマイカルが再生法申請で倒産しました。直前
の株価は53円でした。23兆円企業のウォルマートが資本供与し
ます。
彼らの狙いは、やはり底値買いでのM&A(併合・買収)であるこ
とが実証されました。ウォルマートはわずかなポケットマネーで、
ニチイの商圏と店舗を手に入れたことになる。負債は貸し倒れにな
る。
(注)マイカルの負債1兆7428億円は、不良債権の分類ではあ
りませんでした。金融庁と銀行の不良債権見積もりの、いいかげん
さを示します。マイカルが危険であることは、予測できたのです。
▼資本主義国での発言の奇妙さに気がつかない日本人
竹中経済財政担当大臣は、「あと20〜30社(建設・流通をふく
む大手)を整理する必要がある」と発言しています。(日経01.08.
15)
今の日本に、こうした発言を変だと思う人はいないのですが、実は
奇妙な発言です。
政府が民間企業の命運を左右できるということは、政府が民間企業
を支えているということを意味します。民間企業は民間のものとい
う資本主義の構造がなくなっているのが、現在の日本です。
▼ 今年になって、なにが問題になってきたのか?
民間の不良債権が問題であるということは、日本人のほぼ共通の認
識になっています。
しかし、世界の資本市場は、違った角度で日本を見ています。
【着目点】
民間銀行の融資総額 541兆円(要注意債権を含め100兆円)
国債・地方債残高 666兆円(不良債権額は不明だが100兆
円より多額)
日本で、国債・地方債をこれ以上増やすことが危険だと見始めたの
が、今年の国際資本です。
日本国債についての、従来の格付けは以下の通りでした。
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AAA 米国・英国・ドイツ・フランス
AA+ カナダ
AA 日本
AA− イタリア
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格付け機関のムーディズは、日本を1段階引き下げて、イタリア並
のAA−にします。国際金融の世界では、二流国です。格付けが低
い債権への投資を行って、仮に損失を出すと、ファンドマネジャー
の首が即刻とびます。日本では格付けの重要性の認識が甘い。
米国では、ボスが一言、<首>と言えば、会社支給のクレジットカ
ードを剥奪し、2時間後にはガードマンが来て、つまみ出すのです
。机の私物を整理する時間もない。嘘ではない米国の雇用のドライ
な現実です。
▼ 格付けが意味すること
日本国債の格付けの下落は何を意味するか? 政府事業による、景
気対策という名目での国債の増発(亀井静が主唱)は、国際資本が
、日本から引きあげることを示します。
現在日本市場の、株の売買の50%以上は外人です。これがひきあ
げるとなると、日経平均はいよいよ、8000円が現実のものにな
る。
国内の国債の買手は、金融機関です。金融機関は、大量の国債をび
くびくしながら買っています。金利がわずかでも上昇すれば、国債
価格は暴落し、損失が生じる。民間の不良債権で四苦八苦している
のに、加えて手持ち国債が下がれば、対策がなくなるのです。
結果は、大規模な金融破綻が現実になる。
国債の増発は、危険な状況にあることを認識しなければなりません
。
▼ 米国の同時・多発テロで変わったこと
世界経済の、同時ハードランディングが想定されるように変わりま
した。今回は、戦争景気は、一部産業のみになる。
緊急号で示したエネルギー、および変動為替制度、そして根底では
、ペーパー・マネーの問題にまで、波及することを想定しています
。
20世紀の総決算が2年遅れで、衝撃的な形で訪れたという感を深
くしています。
月曜日からの、米国株式市場が発するメッセージを注目することで
す。
それを見た後は、予測の確度が高まります。
2001年9月は、かねてより国際金融の大波乱があると言ってき
ましたが、現実は、予想より大波乱でした。
【ご案内1】
11月7日から4日間の<米国:先端流通業ツアー>は、またとは
ない観察項目が増え、劇的なものになります。ただし、情勢に予断
を許さないものがあるため、今日行う予定だった「正式案内」を、
若干日、延期します。いまのところ、催行する予定は変わりません。
旅行社JTBと打ち合わせをしたその日の夜が、この事件の発生でした。
【ご案内2】
<ビジネス知識源プレミアム>は毎日、20〜50名の購読者数の
増加があります。↓サンプル版の閲覧と申し込みは以下です。
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(1)内容は、興味が持てるか持てないか?
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