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- 最新号:2008-09-20
- 発行周期:週刊
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0816ビジネス知識源(増刊)共同体の二重規範(4)市民という上位概念
発行日: 2001/8/15※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。
<<あなたと、チームの、知識とスキルのブラッシュアップを>>
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2001年8月16日増刊(Vol.65):経済・金融・文化シリーズ
<共同体組織の二重規範(4):市民という行政の上位概念>
ビジネス知識源:良質な経営・IT・ビジネス知識の提供を目標に
(読者数:13,217名)
Systems Research Ltd. chief consultant吉田繁治
著者へのひとことメール⇒ yoshida@cool-knowledge.com
申込・解除・バックナンバー http://www.cool-knowledge.com
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こんにちは、吉田繁治です。
本シリーズは<共同体組織の二重規範>を基調低音に、
第1部 東大法学部キャリア官僚の意識構造
第2部 日銀の金融官僚の論理
第3部 国家論がタブーであったことの問題、
そのために合意できる上位目的を設定できず、
省庁の共同体化と公的事業体のピラミッド化を招いたこ
との問題を解きました。
・・・・・刺激的な論になっているようですね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<共同体組織の二重規範シリーズ(4):市民という上位概念>
【第4部(完結編):目次】
1.中国の国営企業の赤字と、不良債権に似ている
2.市民益という上位概念がない省庁の事業は、国営企業の拡張だ
った
3.国家予算と政策決定の、実際のプロセスは?
4.英国のサッチャー革命の、プロセスモデル
5.どの国も経験したことのない、切迫した人口構成問題
6.「市民」という、行政の上位概念の未確立
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■1.中国の国営企業の赤字と不良債権問題に似ている
▼中国の国営企業
中国は外資と技術導入で、私企業部門では、2桁の成長をしていま
す。
隠されたところに、商業銀行と財政崩壊に向かう問題を抱えていま
す。中国の国営企業の内実は、ほとんど明らかになりません。
(1)5万の国営企業が、中国GDPの、30%しか産出しない。
国営企業の生産性は、低い。
(2)国営企業に、国内融資の70%が向けられている。
中国政府が、商業銀行の融資に、介入するからである。
(3)その結果、商業銀行は、50%の不良債権を抱えている。
国営企業への融資は、ほぼ全額、回収不能である。
以上の数字と実体を挙げ、中国経済は、5年以内に崩壊すると予測
するのがゴードン・G・チャンです。
(『The economy collapse of China :中国の経済崩壊(翻訳はない)』
:Business Week August 27. 2001)
どこかの国に似ていますね。中国政府が出す数字は、国際的に信用
がない。わが国の、不良債権や特殊法人の公表数字も、「大本営発
表」で疑わしい。両方とも、内実は国家破産の1歩手前。
――――――――――――――――――――――――――――――
■2.市民益という、上位概念がない省庁の事業は、国営企業の拡
張だった
国家行政の内部とプロセスは、一般には、わかりにくい。
政策決定の、本当のプロセスの開示はない。
ここでは正統的に!(笑)、大蔵官僚の発言を取り上げましょう。
榊原英資氏の著書:『資本主義を超えた日本(1990)』からです。
田原氏が司会するサンデープロジェクト(ワイドショー政局)にも
登場する、小柄で、頑固そうな大声のオジサンです。
大蔵省審議官(事務次官の次席ポスト)から、現在は慶応大学の教
授。あけすけな発言で、毀誉褒貶(きよほうへん)が激しい。才は
あった。大蔵の主流、「主計局」からは、はずれた。
国際金融局長に在任中、金融マーケット(国際金融マフィア)では
注目を浴びていた。『資本主義を超えた日本』は読みにくいですが
内容は、資料的に優れています。
タイトルと違い「資本主義になれなかった日本」というのが内容を
正確にあらわします(笑) 公務は、「官の、権益拡張のための、
国営企業運営だった」と彼は、驚くべき証言をしている。
▼国営企業をつくることで権益を拡大する構造
(1)公的セクターの役割が、何か共通の公的利益(経済成長、産
業育成)のために法律・予算等によって、民間介入するという政治
的なものだけでは必ずしもなく、
(2)むしろ自ら(公的セクター)の、事業のための、「経済的」
権益を確保するという点に、大きく傾いていたという点である。
(以上、榊原:上掲書P10)
さて、どう思います? 素直に日本の行政の実態と、政府予算の「
目的」を明らかにした証言ですね。
榊原氏は、諸外国からの非難、つまり日本は大蔵・通産を本部とす
る「日本株式会社」であるということに対し、そうではないと反論
しているのです。ところが・・・
反証をするために、(1)官僚組織は民業に介入したのではなく、
(2)民業と対抗する国営企業で権益を拡大してきたと言っている。
こういうことを、馬脚と言います。時としてコトバは本人を裏切
る。(笑)
日本の省庁は、上位の目的を設定しなかったため、官僚組織の自己
拡張になったという、私の「仮説」がそのまま当てはまる。
一例をとりあげても、郵便貯金は、民間銀行と預金獲得の競争関係
にあります。郵貯が増えることは、「財投」を通じ特殊法人による
省庁権益の拡大になる資金循環の構造がある。
▼官業の本部が大蔵省、支店が特殊法人と自治体
更に、彼は述べます。
(1)日本政府の枢要な部分が、広い意味での建設・公共事業、お
よび年金を含む金融業務であり(・・・・中略)
(2)金融の重要な部分が主として中央政府によって(運営され)
(3)建設・公共事業やの農業が地方自治体を中心とした公的セク
ターの直接事業参加によって運営されてきたという、厳然たる事実
・・・(同書:P10)
上の(1)と(2)は一般会計・特別会計・補正予算での公共事業
予算、及び財投を示します。(3)は公共事業を示します。国の公
共事業の85%くらいは、地方交付税を受けた自治体が、県と
3224の、市町村で実行します。中央集権の、組織体です。
具体的に言えば、
(1)大蔵省は、国営企業の本部として、予算を作ってきた。
(2)財投分は、特殊法人に割り当てて予算を実行させた。
(3)地方交付税分では、地方自治体が予算を実行する支店だった。
(4)こうした〔本部−支店〕の組み合わせで、国営企業、第3セ
クター事業を増やし、権益を拡大してきた。
ここには、省庁がめざすべき「国益=市民益」の概念がない。
国家と市民を、定義しなかったためです。
税の使途が、省庁を経て国営企業の運営に流れる構造がある。
私の推論ではなく、お城の本丸にいた、榊原氏が証言している。
▼ここまで書いていたら、絹のハンカチ組みのニュースが・・・
3月から予測通りの、ニュースが飛び込んできました。
(日経新聞8月14日:夕刊1面)
<日銀、一段の金融緩和
日銀当座預金勘定を5兆円から6兆円へ
月4000億円の国債買い入れを6000億円へ>
第2部<絹のハンカチの意識構造>で示したクルーグマンの「流動
性の罠(わな)」とは違います。記者会見での、速水総裁の発言の
詳細を日銀のサイトで見ると、クルーグマンとかいう学者が・・・
という態度で、権威的に高圧的な否定をしている。
株価は歓迎し、日経平均で440円上げましたが、この程度の量的
注入では、実体経済への効果はありません。
マネーポリシーの姿勢転換なら意味は大ですが、それは否定。
9月から10月には、量的注入は、まだまだ拡大を迫られます。
この秋は、来年へかけての「マネーの乱の幕開け」です。
投資、借り入れ、商品戦略、地価、株価、そしてライフプラン。
裏では、87兆円の総資金を持つといわれる米国ヘッジファンドも
動きはじめた。
話しを、戻します。国家予算と政策決定のプロセスです。方法を知
っているひとは、関係者以外はほとんどいません。
――――――――――――――――――――――――――――――
■3.国家予算と政策決定の、実際のプロセスは?
責任者たる政治家、大臣は、行政の細部、予算の細目について、与
(あずか)れないということが、国家論を捨てたこの国の特徴です。
管理の上部構造である〔大臣―事務次官―審議官―局長〕の機能は
調整業務です。政策と予算は、〔課長―課長補佐レベル〕で決ま
るのが、霞ヶ関ムラの掟(おきて)ですね。
▼予算と政策のキーマンは課長補佐
(1)各省の課長補佐は、自らの行政範囲に入る「政策」を立案し
関係機関の調整を行い、予算要求を自ら、あるいは課長等を通じ
て大蔵省主計局に提出するのだが、
(2)それぞれの要求についての、必要な書類の提出、「政策」の
説明はすべてこのチャンネルに統一されている。(同書、P80)
以上は、私の、片隅で実経験からも、正確な記述だと言えます。
各局の〔課長−課長補佐〕が、起案の「現課(霞ヶ関用語)」にな
って、「現課」は業界団体、自治体、各種組合、特殊法人を抱える。
▼「現課」というスーパー概念
中央省庁の課長補佐は、ほとんどがキャリアです。年齢では30代。
彼らは業界団体・自治体・各種組合・特殊法人の、部分の視点で
予算、政策、法、政令を作る。
ここで、国の予算・政策が決まるといっていい。「現課」は担当す
る部分の予算・政策を決め、他へ部署の視点は、ない。他の省庁、
省庁の他の部署とは、敵対または競争関係にある。
〔省庁あって国家なし〕を変更します。
〔「現課」あって国家なし〕
日本は微細な「現課」が予算と政策をつくるミニ部門の集合国家で
す。
【「現課」による中央集権構造】
〔中央省庁の現課―特殊法人、公益法人、業界団体、業界組合〕
〔中央省庁の現課―地方局−地方自治体―組合等〕
▼分散的、短期的な意思決定
いずれの場合も、詰めが主査―補佐(または、課長)レベルで行わ
れることに例外はほとんどなく、一部の例外を除いては、基本的な
政策決定プロセスは、極めて分権的に、細分化された積み上げ方式
によっているということができるであろう。(同書、P81)
これが、霞ヶ関の実体的な内容です。おわかりになったでしょうか。
国の「グランド・デザイン」を描くには不都合な、部分組織です。
しかも各省の課長・課長補佐は、ジョブ・ローテーションで部署を
変わる。長期の政策立案と実行、及び責任体制にも不適当な組織で
す。
予算は、数年はかかる建設や土木の箱モノ公共投資以外の、ソフト
部分はすべて単年度主義です。ここに、補正予算で、土木・建築が
過多になる根がある。補正予算の数ヶ月でソフトができるわけがな
い。(堺屋太一)これは私も、経験しました。馬鹿げた制度ですね。
〔現課あって、国家なし〕を正確にします。
〔課長補佐がまとめる現課の単年度主義の予算と政策があって、国
家や市民益の観点での、長期予算も長期政策もなし〕
▼「グランドデザインの欠落の結果」が、90年代
この国で、大きな議論や戦略が空(くう)になる原因がここにある。
(民間企業も変わらない。企業のグランドデザインがないままに、
部分の積み上げで決定する、無責任の官僚機構になっている)
90年代の冷戦終結以後は、国も企業も「グランド・デザイン」を
描く必要があった。グランド・デザインの空白が、空の10年を生
んだ。経済事象の全ては、自然ではなく人間の企図からくるのです。
▼政治家の係わり
(1)予算要求・審査も、基本的には、交渉は主査―補佐(または
課長)レベルで行われ、課長以上は、そのブリーフィングを受け、
根回し等に動く。部会の族議員、党首脳、関係団体との協議はまさ
に彼らの仕事である(同書、P81)
(2)ここで強調したいのは、官庁の幹部あるいは党首脳の(予算
決定での)プロセスでの役割は、基本的には受け身であり、「政策」
あるいは予算の交渉は、極めて細分化された形で、主査―補佐(
または課長)レベルで行われることである。(同書、P81)
【政治家の係わり】
民間企業ではもっとトップダウンですね。ところが官僚のトップで
あるべき大臣は、1年も経たず変わる。政治家は、理不尽な割り込
み予算要求しかしない。政治の介入は、予算総額の枠(総予算のシ
ーリング)ではありますが、細目ではほとんどない。
上記のまとめを図式化します。
〔日本の国家組織=?(現課の微細国家〜予算実行団体)〕
※?(シグマ)は、現課の微細国家の集合という意味です。
政治家、大臣にリーダシップを与えないことがGHQの占領政策で
した。トップにリーダシップを与えれば、この国は「全体主義」に
傾斜する、そのため、行政は、現課による積み上げになった。
【蛇足ですが・・・】
政策の陳情(封建主義用語)に行く時も、相手が政治家では効果は
ないのです。逆効果のことが多い。官僚は政治家の介入を毛嫌いし
ます。鈴木宗男や野中広務の顔を一目見れば、官僚が、政治家を嫌
う理由がわかるでしょう。
〔課長―課長補佐〕が政策と予算のキーマンです。嘘のような本当
のお話し。マスコミには登場しません。彼らはかなり猛烈に、現課
に忠実な仕事をします。しかし、権力があるとの意識はない。
課長補佐から、打ち合わせで逆接待を受けた経験が、数度あります。
ある省の最上階でしたか、職員の喫茶室で、コーヒー代を払っても
らった。ウェイトレス、綺麗な人がいた。
もう、やめたかなぁ・・・(笑)
――――――――――――――――――――――――――――――
■4.英国のサッチャー革命のプロセスモデル
英国は、世界で最初に、資本主義を作った国です。
その英国が1970年代まで「英国病」にかかったのはなぜか。
日本は今「日本病」にかかっている。そして、2010年には人口
構成の高齢化で、日本病は、更に進展する可能性が高い。実質GD
Pは、ずっとマイナス成長になる可能性が、極めて高いのです。
ここで英国病を治療したサッチャー革命を見る必要がありますね。
▼1970年代の英国と今の日本の類似
30年前の英国は、今の日本に似ています。なにが、似ているのか?
西欧的な高福祉での国民負担率の高さではない。
日本には、市民のための高福祉はない。
70年代の英国と日本が似ているのは、設備投資に占める政府部門
の「公的資本形成」の大きさです。
【英国の国営企業】
1975年には、英国の全設備投資のうち「公的資本形成」は42
.4%だった。公的資本形成は、政府部門の設備投資、つまり、国
立、公立企業の、税と国債を使った設備投資です。
英国では、基幹産業のかなりの部分が国営化されていた。
これが、英国が成長できない根の原因だった。国営企業が、民間を
圧迫する資本を使って、全体経済が成長するはずがない。
英国は、10年後の1985年には、この公的資本形成を20.5%
に半減させた。つまり公的部門を半分に減らした。鉄血宰相、サ
ッチャーが行った。
以下、すぐれた論客、中西輝政氏(京都大学教授)の『政界大編成
の幕を開け(Voice 01年6月号)』から素材を借り、国営企業の改
革をおこなった、サッチャーの手法を述べます。
日本の構造改革論議は、まだ、ここまでは進んでいない。
▼サッチャーの政治手法
【最初はヒースの改革の失敗】
1970年から74年までの保守党ヒース政権は、サッチャーの10
年前に、金融ビッグバン・規制緩和・国営企業の民営化を掲げ失
敗した。ヒースは「世論を背景にすれば改革はできる」とナイーブ
に考えていた。政治家としての、読みの浅さです。(小泉首相は・
・・?)
改革に着手し、国営企業の解体を具体化する時、抵抗したのが、寝
返った「世論」だった。蓋をあければ、痛みを感じたくないとする
人が、多数派だった。失業の恐怖の前で、人は態度を変える。
日本はドアのノックの段階です。60%は改革反対派ですね。
【まず局長を切る】
サッチャーは首相に就任すると、各省の局長人事をすべて「独裁」
で決めた。国営企業維持勢力のキーマン20人を一晩で切った。
【次に政治家を切る】
サッチャーは、守旧派の政治家に1人ずつケンカを売り、兆発に乗
ってきたところで、貴族・エリート嫌いの世論に訴え、次々に首を
切っていった。
【労働組合を孤立させる】
最大の牙城が、労働組合だった。反対の最強硬は、炭坑労組だった。
丸1年の闘争で、世論の中で組合を孤立させ、最後は制圧した。
サッチャーは、再生Great Britainのデザインと人間論を訴えた。
<人間は、なんのために生きているのか・・・たんに金持ちになる
ために改革するのではない。人に保護されていることは人間にとっ
て実に不幸なことだと気がつくべきです。自分の力で生きることが
最高の価値ではないか>
(1)敵を切って、国営企業、公共事業の改革が進み、(2)日本
・米国・ドイツを含む外資を呼びこみ、(3)ウィンブルドン効果
で90年代の英国は成長を取り戻した。
こうした展開が、日本でも予測されるのです。
最低5年はかかるでしょう。しかし、5年も待てるのか?
――――――――――――――――――――――――――――――
■5.どの国も経験したことのない切迫した人口構成問題
民間企業の投資、行政の事業は人口が増加するということを前提に
してきました。初年度は赤字でも、数年後には収益は出る。意味は、
顧客数の増加が暗黙の(implicitな)前提にあるということです。
すべての民間企業の投資、及び公共事業、橋、空港、道路、設備が
利用人口の増加を前提にしたとき、どんなことが起こるか。
全体では、過剰投資が起こり、現在のような収益の相互崩壊です。
民間事業、国営企業、公共事業の、投資時点の需要予測を合計すれ
ば、とんでもない数字になる。
1.6億人の人口が必要でしょう。3割くらいの需要の、過大見積
もりがある。3割の無駄な、いずれは消える過剰投資がある。
人口が増えないなら、1人あたり所得ではどうか?
製造業人口が、流通・サービスに移動するとき、世界は高成長した
ことはない。米国の90年代後期の経済成長は、ITへの過剰投資
であったことがあきらかになっている。
しかし米国は、総体として、まだいい。人口の増加、頭脳の集中、
移民がある。途中での収縮があっても、経済は成長します。
日本は、(1)生産移転による、二次産業人口(1864万人:構
成比30%:00年)の減少(2)人口増はないどころか、200
7年から減少(3)人口構成は「超」高齢化することが、確定して
いる。
この3つは、誰でも知っていることです。
ここから先の議論がない。そこを示します。
▼確定した近未来
日本の、2010年へ向かっての、人口構成の変化を示します。
【年齢構成別人口】 単位 万人
(1998年) (2010年) (増減)(増減率)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
0歳〜9歳: 1214 → 1281 +67 + 6%
10〜19: 1484 → 1224 −260 −17%
20〜29: 1902 → 1396 −506 −27%
30〜39: 1623 → 1734 +111 + 7%
40〜49: 1828 → 1659 −169 +10%
50〜59: 1762 → 1622 −141 + 8%
60〜69: 1444 → 1763 +319 +22%
70歳以上: 1337 → 1936 +599 +45%
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
わずか9年後。この速度で高齢化する国家は、5千年の人類史上、
初めてのことです。
(こうした数字から、近未来の生活、買い物、売れる商品、サービ
ス、ビジネス・プランを描けるひとはマーケターの素質がある)
【60台以降の世代が918万人増え、働く人は898万人減る】
(1)大部分が退職する60歳以上が918万人、増える。
(2)働く59歳以下は898万人、減る。
(3)特に、10台と20台は666万人も、減る。
人口を見れば、20台に合わせた商売は、27%も縮小します。
増えるのは、退職者世代です。それも増えかたが、すごい。
働く世代が898万人減るということは、15%の減です。
1人あたり生産性が今のままなら、GDPは15%減る。
これは、大変だ、となるのです。日本の改革が、猶予はないという
のがわかる。以上はだれもわかるはずなのに5年先すら見ない。目
先の、しかも、部分のみをみる、知の堕落です。
5年後から、未曾有のことが、起こることが確定している。
今のビジネスの構図では、日本民族の、悲劇になる。
私の考えは、角度が違います。高齢化は、確定した未来。ありのま
まに認め、ビジネスターゲットと、国家運営の体制を変えればいい。
どんどん増えるものをたくさん使い、稀少になるものを節約する
のが、経営の第1原理です。
経営では、外部と内部の事実を、まずは、肯定的に見ることです。
短くヒント:ITを駆使し、人間の顔をもつハイバリューサービス
▼財務省イデオロギー(政治的な名目)の意図
財務省は、高齢化するから、介護と増税が必要だと言います。
国と自治体の借金は、もうこれ以上増やせない。
増やすと、国債の格付けは下がり、金利が上がって危険です。
実は、国債金利が、大きく上がることが、金融恐慌です。
財務省が描く暗い未来は、増税(消費税の25%〜30%)を正当
化する意図をもっています。
もうひとつ、主税局は、国債が多くても、相続税率を維持すれば、
高齢者資産から、ある程度は回収が可能だという計算をしている。
財務省は、ひとつの事実を言いません。日本の高齢者は「平均」で
は、世界史上で最高の金融資産を持っている、豊かな高齢者である
ことです。金融資産を抱えたまま死んでくれれば、国債償還資金に
できる、これが、主税局の隠れた計算。姑息(こそく)です。
日本は世界最高の寿命の国で、平均的な健康は、世界最良です。介
護の必要なひと(現在260万人、将来予想520万人)もいるが
それは、平均寿命が高いためで肯定的なこと。実際は元気な人が
多い。
高齢者=介護=保護の、暗い未来ではない。
都市部では、持ち家を売れば、1億円を超える金融資産の人が平均
値ですから・・・
退職後のライフ・プランを描く人が少ないのは、なぜか?
ソリューションを提供するのが、ビジネスでしょう。
顧客が、ニーズの形を見つけられない時、それを具体的な商品やサ
ービスにするのが商品開発でしょう・・・みんな、目が曇ってる。
退職金の平均額、2500万円と月20万円の年金があれば、ニュ
ージーランド、スペイン、インドネシアではリッチな生活ができる。
国内では、5000万円以上ないと、安心できないのですが。
航空券は、ますます安くなる。高齢化を陰でなく、陽の側面で見れ
ば、選択肢は多い。国営銀行:郵貯のみが選択肢ではない。お金も
人も、国外逃避が起こることを防げるか・・・
超高齢化社会になるのは、8年後です。5年後には、胎動が起こる。
社会も企業も国家も、グランド・デザインを描かないと間に合わな
い。確定的に起こることを、「新しいプラス」として考えることで
す。
否定すれば、実体が隠れ、機会は、さっさと逃げる。
人口構成とビジネス・デザインは別稿で解きましょう。日本人が立
ち向かうべき課題。国家のグランド・デザイン、企業戦略、商品戦
略、ライフ・プランのすべてに、係わるものです。
さてここで、懸案の「市民」へ。
――――――――――――――――――――――――――――――
■6.「市民」という行政の上位概念の未確立
日本の行政は、戦前も戦後も「市民:citizen」という上位概念を作
らないままに来た。「国民:people」という概念はあった。
国民は、実体的には統治されるものであって、「国家組織の構成員
である市民」ではなかった。
▼民主国家の国民:Peopleという偽装概念
国民(people)は主権者であるという憲法の規定は、ソフィスト的
な偽装。民主主義の政体では、誰も主権者ではない、これが正しい。
民主国家とは、誰も、他のものに対する、主権を持たない。
国民は「集合概念」です。私は国民だと言えるが、国民は私だとは
言えない。
国民は「一人の市民」として、政体選択の一票をもった国家の構成
員(one member)というのが、具体論でしょう。
びっくりする定義ですが、一票しか持たないのですから、主権者で
あるわけがない。相互に対等な、対等だから時には対立する国家の
一人の構成員(=市民)であるというのが正確な定義です。
主権といえば、「主権」によって対象を支配するということになる。
では、国民は、主権者として、国家機構や市民を支配できるか?
支配すれば、ポピュリズム(人気主義)の全体主義でしょう。
ヒトラーのナチスは、ポピュリズムの全体主義だったのです。
国民に主権があるということの意味は、国王に主権(sovereignty)
があった国体に対する抗争としてのみ意味をもつ。つまり、天皇が
国家の主権者ではないという意味で、憲法は国民主権を使ったので
す。
国王がなければ、主権は、誰も持たないというのが、民主国の正確
な定義になる。主権とは、支配の概念です。
▼戦後
明治以降は、天皇を国王とし、執政のための機関が行政機構だった。
軍の統帥権は天皇に属し、内閣は参与(英語ではCouncilor:顧問)
に過ぎなかった。国民は、統治される者だった。
第二次世界大戦での、敗戦以降は、
(1)無条件降伏による国家主権の喪失で、国家が蒸発したため、
(2)国家組織は、行政官僚の霞ヶ関を頂点にした〔省庁の現課に
よる微細国家―予算実行組織〕に矮小化してしまった。
政治家は、支持団体や業界を背景にし、中央省庁の「現課」に予算
陳情する族議員でした。国家の政策、つまり市民の集合利益の推進
ではなく、「議員バッジを光らせ予算にたかる銀蝿」だった。
この本質が、誰の目にも見えたから、官僚からも、税の分配の利益
に与れない市民からも、毛嫌いされた。先生とあがめられ、気がつ
かないのは当人のみ。これを「喜劇」の構図と言います。
官僚機構は、現課が支配する国営企業を作り、身内に予算配分して
民間企業に対抗し、自己権益を拡大する機能だった。
全体主義への傾斜があるこの国では、戦後は国家論はタブーとされ、
(1)国家の実体組織は、霞ヶ関の、各フロアの現課(課長―課長
補佐)に矮小化。
(2)行政の上位概念であるべき「公」の概念、すなわち「市民の
概念」が成熟しなかったといえる。
「市民の概念」とはどういうものか?それで、本質が明らかになる。
戦後日本は、〔国家=市民の生活共同体〕という構造を作り上げ
ることができないままで来ている。
▼米国の日常的概念で・・・
Citizen : a member of a state or nation esp. one with repub-
lican form of government, who owes it to allegiance by birth
or naturalization and is entitled to full civil rights .
(Webster)
【稚拙な翻訳ですが・・・】
市民とは、特に(君主制)でない共和制の政体をとる国家または国
の構成員であり、出生か帰化によって(共和制の)国家に忠誠の義
務を負い、義務の対価として市民としての全幅の権利を付与された
人。
▼国家と市民の契約
「市民」は、「共和制の国家」に忠誠の義務を負うことで、「市民
としての権利」を付与されるという「双務契約関係」にある。
State(国家、政体、国体)に対して市民(citizen)が、主権(sove-
reignty)をもつのではない。共和政体(=民主政体)に忠誠を誓う
ことで、市民の権利を持てる。共和政体の運営方法は、市民の集合
意志(選挙)で、代議員を選んで、決める。
優れた英英辞典の数種を比較し、定義の背景の、論理や文化までを
考えると、時に驚きがある。ウェブスターの「市民」の定義には、
米国の成り立ちの礎がみえますね。
▼お互いに義務をもつ双務契約
「共和政体に忠誠」を誓うこととの交換条件で、国家は「市民とし
ての権利」を保証する。原理の領域では、米国は厳格です。
市民と国家は、〔共和政体を選ぶことで、お互いが義務を負う契約
関係にある〕 これで、米国軍のミッションもわかる。
日本で、共和政体(=君主制ではない民主政体)を守ることの契約
としての、市民や国民の権利、自衛隊があると言ったら、これは、
もう、収集がつかない混乱の議論になるでしょう。そして、議論の
途中で、(日本人の特性でもある)心情と理性を区分できず、キレ
る。
共和制に忠誠を誓わないと、原理上は市民権が保証されない。米国
の共和制を守ることが、私権を保証されるための、市民の義務にな
る。これが、米国シビル・ロー(市民法)の根底にある、原理です。
ルソー的なコモン・ロー(自然法)と、国家単位のシビル・ロー
(市民法、実定法)を区分できる理性が、この国で育っているのか?
これが、テストになる。
▼ところで、日本の政体はなにか?
日本で、米国のような、国家と市民の定義が可能か?
一体、戦後の日本国は、国体として「何制」なのか。「象徴である
君主を含む共和政体(民主政体)」、これでは矛盾です。
こうしたことは、明らかにしないままで、すますことができるもの
なのか。肥大した行政組織、国営企業組織を、より上位の目標に従
属させるには、国家(state)と市民(citizen)の関係を、はっきり
させる必要があります。
今、私はこの国で起こるはずの「3年から4年先」の議論をしてい
ます。
▼行政組織をカオスに陥らせるのは最悪
90年代は、行政官のモラール(士気)は悪化し、中央省庁内部は
行政目的を見失いつつあります。幕末の武士階級に似ています。行
政組織は、国も地方もカオス寸前です。
江戸時代の士族は、人口の7%で、年貢で養われていた。そして現
在も、国家・地方公務員、公益法人を加えると国の全就業者の7%
です(竹内靖雄) 大蔵省では今でも、大蔵のことを<お城>と言
うひとがいる。
行政の目的はなにか?
(1)ミッション(行政の使命=市民益の増加と福祉)、
(2)バリュー(行政が守るべき価値と、行動様式)、
(3)ゴール(行政が到達目標にすること)、
(4)ストラテジー(行政の戦略:目標にいたる方法と必要技術)
民間企業も行政も、組織目的を、再定義する必要があります。
行政組織が、カオスにおちいれば、税を食う自己拡張集団になり、
そうなれば、日本は没落国家に向かう。猶予期間は、約5年です。
組織は、方向を示す目的がないとき、カオスにおちいる。↓
http://www.cool-knowledge.com/0428Leadership(3).html
かなりの数の若いキャリアが役所を辞めている。MBAへの公費留
学の途中で、脱走的にやめる人も多い。この国の行政のミッション
(使命)と、やり甲斐を見つけられないためです。
外務省、大蔵省を含む中央省庁、警察の相次ぐスキャンダルは、組
織内部の綱紀が壊れつつあることを示します。根には、とりわけ
90年代は、行政がミッションを見失っていることがある。
組織は、外部からの攻撃でだけで、壊れることはない。
組織メンバーが納得できる目的が失われたとき崩落する。
高齢化を肯定し、南太平洋の空のような、光の構図を描くことです。
商社マンが、南海の島で現地人に問われた、有名なお話し。
<日本人は、なぜ、いつも、休まず働いているのか?・・・こんな
風に南海のきれいな島でレジャーをとるためだよ・・・じゃ、俺達
は日本人より進んでいる。きれいな海を見て、好きなときに働いて
毎日レジャーをとってるんだからね・・・>
この素朴な問いに対し、正当な答えができますか?
南海の島の住民は、金融資産がなく、貧しくて不幸ですか?
この国の人は、みんな目がつりあがって、三角になっている。
今後も、折りに触れ、数ヶ月に一度考察を深めましょう。
高齢化社会のグランド・デザイン、ビジネス・プラン、ライフ・プ
ランは必要です。時間が経つのは、はやい。歳月は人を俟(ま)た
ない。
1歩身を引いて、5年後を、クールに眺めることです。
<共同体組織の二重規範シリーズ>を終わります。
(第4部:完)
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(1)内容は、興味が持てるか持てないか?
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(4)ご意見は?・・・等ご自由に、<ひとことメール>で
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※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。
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(4)WEBで、他の考察を体系的に
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