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「情報と中小企業」メールニュースNO.095

発行日: 2008/5/1

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情報と中小企業  情報と中小企業  情報と中小企業
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もくじ
[今月の一言]
コミュニティビジネスの創出育成
[今月のレポート]
休載
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  ■今月の一言■
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コミュニティビジネスの創出育成

1.創発の場としてのコミュニティ

「創発するマーケティング(井関利明ほか編著、日経BP社発行)」
の第3章で、執筆者の新井範子専修大学経営学部教授は、「市場参
加型マーケティングの構図」と題として、消費者参加型のインタラクショ
ン(相互作用)の場や、インタラクションとして形成されたコミュニティを
考察し、また、「創発の場としてのコミュニティ」「創発を理解する枠組み」
などについて関連論文を引用しながら紹介している。

「創発の場としてのコミュニティ」では、コミュニケーションの過程におい
て、新たなアイデアが生まれてくることがあり、それが新商品やサービ
スのアイデアとなっていく。つまり、イノベーションが発生していくとして、
いくつかの研究を引用して、「イノベーションの多くは消費者から生まれ
ている」「イノベーションをもたらす人は、その領域の専門家ではなく、
趣味でかかわっている人である」などを紹介している。

また、消費者と企業が深くかかわり合うことで、「価値を共創する」とした、
プラハラットほかの研究を紹介し、その共創プロセスに必要なものとし
て次の要素を挙げている。1)対話(企業と消費者、消費者同士)、2)
利用アクセス(消費者の関心は好ましい利用経験)、3)リスク評価(リ
スクを隠さずに提示)、4)透明性(広く情報を公開)。

「創発を理解する枠組み」では、野中郁次郎の「イノベーションの本質」
などを引用し、野中郁次郎は、新たなイノベーションを生み出すのは、
論理分析的に考えるのではなく、「弁証法」的に考えなくてはならない
としていると次の言葉を紹介している。市場を調査し、消費者の意識
を把握し、そのニーズに合ったものを製品として発売していくという、
「論理分析的に導き出す戦略は、どの企業が行っても同じようなもの
になり、その結果、戦略では企業の差はつかなくなる」

このように、分析した結果を反映させた戦略ではなく、実践から生じた
知を戦略に生かして進んでいくうちにまた、新たな価値やイノベーシ
ョンが創発するというのである。野中郁次郎は、次のようにいう。「理念
を実践に移し、成功や失敗を反復する中から戦略が湧き上っています。
これを「創発と呼ぶ」」

同じ著書の第5章「創発マーケティングの実践論理」で、執筆者の上原
征彦明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科教授は、創発を促す
仕組みについて次のように述べている。「マーケティングが企業と顧客
を結びつける役割を果たすものであることを踏まえると、豊富な創発を
促すマーケティング(創発マーケティング)の仕組みを4つの次のセル
でイメージできる。
*「顧客&#8212;顧客」創発(コミュニティ・マーケティング)
*「企業&#8212;顧客」創発(協働型マーケティング)
*企業内創発
*計画・管理」

ここに計画・管理は、上記3つの創発を管理するとともに、新たな創発
との遭遇を目指した行動を展開していくこと。予定した行動の展開だけ
に重きを置くのではなく、予定した行動を変革して次の新しい行動予定
を立てることに重きを置く計画・管理であるとしている。なお、ここで取り
上げている企業には、NPO法人などのコミュニティビジネスも含めてよ
いであろう。

また、コミュニティ・マーケティングは、企業が取り組むべき創発を、主と
して顧客によって構成されるコミュニティ内で生じる相互作用から見出
そうとするものであるとし、コミュニティ・マーケティングには、次のような
幾つかのタイプが識別されるとしている。
*情報取得型:コミュニティでの情報交流から創発されたアイデアをマ
ーケティング戦略に生かす。
*実験展開型:コミュニティでマーケティング戦略の実験を行い、そこ
から創発を引き出して戦略を改革する。
*戦略立案型:コミュニティ構成員に戦略問題をディスカッションによ
って解いてもらう。
*企業監視型:社会的観点から企業の問題点をコミュニティに議論し
てもらう。

2.創発的戦略の事例
先に紹介した野中郁次郎ほか著「イノベーションの本質(日経BP社発
行)」では、13の事例を生の素材にして、イノベーションを語っている
が、このうち、競走戦略ではなく「創発」的戦略でヒットを生んだ例として
「食玩」が紹介されている。

日常生活での直接経験は、知識創造の源泉である暗黙知を生成し共
有するプロセスとして非常に重要な意味を持つが、この暗黙知が弁証
法的対話を通じて形式知へと変換され、コンセプトなどの形になって現
れる。次いて、組織に蓄積されてきたさまざまな形式知と組み合わされ
て、いろいろな形で具現化され、また、これらの実践を通じて新たな暗
黙知として内面化される。

野中氏は、「創発」における上記のような知の循環を説明し、頭を回転
させるだけでは知の循環は起こらず、イノベイティブな実践なくして知
識創造はありえないといっても過言ではないとしている。もちろん、実
践の結果は失敗もあるが、実践が大切なのは、成功や失敗を反復す
る中から次なる戦略が生まれてくるからだ。

「食玩」では、大阪の海洋堂という造形集団を取り上げている。食玩と
は菓子につくおまけのことだが、菓子はわずかでおまけがメインだ。模
型店を創業した社長は、「子供たちの夢と創造力を育てる」という店の
目標を掲げると、店内には子供たちがものづくりを楽しめるようにと工
作台を置いた。その後、広さ200坪の空き倉庫へ移ったのをきっかけ
に、模型を走らせたりできるプールやコース、模型づくりの製作室など
を備えたホビー館を設立する。

この海洋堂とユニークな館長(社長)のもとにマニアが集まり、簡単な
成形装置を使って自分たちの欲しい模型を作り始めた。これが発展し、
オリジナル商品を企画し製造販売するようになる。この新しい仕事で
中心になったのが、館長の息子の専務だ。専務は「顧客に聞いてもダ
メです。顧客は自分の目線でしか考えないから、見たことがないものは
考えられません。結局、模型好きのピュアな部分がまずあり、それに、
実践して成功や失敗を重ねながら、世の中はこういうものかを学ぶ」と
述べている。顕在化したニーズは顧客に聞けばわかるが、誰に聞いて
も答えが同じになる。一方、顕在化していないニーズは、実践を通じて
自らを掘り下げながら見出す時代であることを海洋堂の躍進は示して
いる。

さて、コミュニティビジネスはどのように創出していけばよいのであろう
か。関東経済産業局のホームページの「コミュニティビジネス創出育成
支援」
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/community/index_cb-collaboration.html
に、「コミュニティビジネス創出育成を通じた地域再生推進手法に関す
る調査研究」の報告書が載せられている。

このなかの地方部のモデル事業では、「コミュニティビジネス創出育成
推進チームの設置」「既存の団体の抽出」「地域コミュニティビジネス関
係者との意見交換」「シンポジウムの開催」「先進地視察」を取り上げて
いる。シンポジウムでは、基調講演、コミュニティビジネスの取組発表、
パネルディスカッションが行われた。

調査研究の総括では下記の特徴をあげている。「都市部においては地
域再生に向けたコミュニティビジネス創出等の取組が地元住民主体で
開始される傾向が強く、一方、地方部では地元行政の主導によって活
動が開始される傾向が強い」「一部の先進事例等にも見られるとおり、
外部から地域内に欠ける能力を有する人材を誘致したり、外部有識者
や外部コンサルタントの知恵を活用するなりの仕組みを構築することも
重要」「まず、地域の中に危機感を共有させる必要がある」

そして、コミュニティビジネスの育成拡大から地域再生に至るまでのス
テップとして次の8つのステップをあげて考察している。
ステップ1)活動の意義について共感を持つ人々のグループ化
ステップ2)リスクをとった社会企業家とそれを支えるサポーターの存在
(各地で必要とされるリーダーを派遣できるような仕組みやリーダー
を育成する機能)
ステップ3)小さな成功の実証
(徹底的に顧客ニーズを重視、オンリーワン戦略実現のための地域
資源に徹底的にこだわる、既存業者への配慮、助走期間の設定)
ステップ4)成功物語の周囲への伝播・周囲の巻き込み
(積極的な情報発信、口コミ効果)
ステップ5)活動の広がりと社会的意義の希薄化
(理念や社会的意義を共有しない活動への対応)
ステップ6)社会的意義の再確認と新たなビジネスの展開
(目指したビジョンを再確認・再定義)
ステップ7)ブランド価値の創出
ステップ8)地域ブランドのマネジメント/コミュニケーション

モデル事業として取り上げた地域などの実態をもとに、コミュニティビジ
ネス創出育成における課題や創出育成の進め方が具体的に書かれて
おり参考になる。ただ、少し論理分析的な計画・管理に重きを置きすぎ
ている感がある。創発の場としてのコミュニティを育てる雰囲気づくりや
創発を具現化する仕組みづくりへの支援も重要であろう。個人や組織
の理念を実践に移し、成功や失敗を反復する中から戦略が湧き上っ
てくる「創発の場」が数多くつくられ、そこから新たなビジネスや地域ブ
ランドが創出されることを期待したい。

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 ■今月のレポート■
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休載

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