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HIDEKIWADA[2008/06/12] ソーシャルコストをどう考えるか
発行日: 2008/6/12━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 和田秀樹公式 HIDEKIWADA.COMマガジン ■ 発行部数:12468 2008年6月12日号
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出演情報などの他に、和田秀樹の最新エッセイをお届けしています。
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■インデックス*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
・今号のメールマガジン
・新着情報(新刊・TV/ラジオ出演情報)
・Web情報(和田主宰の教育・受験情報、ブログ情報等)
・メルマガエッセイ176「ソーシャルコストをどう考えるか」
・編集後記
■今号のメールマガジン*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
今回の和田エッセイは、秋葉原の無差別殺傷事件から精神科医としての考
察と、この事件を通して日本社会が直視しなければいけない問題についてお
話します。テレビ・ラジオ情報もございますので、あわせてご覧ください。
■新着情報*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
◆テレビ情報
◇6月14日「Sma Station!!」テレビ朝日系 23:00〜(インタビュー出演)
◇6月19日「スーパーニュースアンカー」関西テレビ 16:53〜
◆ラジオ情報
◇6月17日「寺内優おはようラジオ」RCC中国放送 6:55〜
(ラジオ内「リンリン情報」のコーナーに電話出演)
★好評連載情報
読売新聞の毎週土曜日夕刊にて、「週間KODOMO新聞」連載中!
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て、また脳の体操などにもたいへんおすすめです。読売新聞購読他、キヨス
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てに悩める親御さんへ捧げる「和田式勉強法」大公開です!
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新講社 900円 ISBN:978-4-86081-217-1
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自分自身が「どう感じるか」に左右されます。しかし、自分のことを「幸
福で幸運」と思えるか、「不運で不幸」と思うかで、進む未来が変わって
いきます。心の持ちよう次第で環境は変わっていくのです。本書では、自
分を肯定的に捉え、明るく考えられ、自分の可能性をどんどん広げられる
ようになる、7つの「プラス思考」の法則をまとめました。
◎『脳さえ元気なら人生なんでもできる』
新講社 900円 ISBN:978-4-86081-210-2
脳は、身体の機能だけでなく意欲や心の問題も司ります。脳が元気だと、
人間は元気に活動できるものなのです。本書では、いつまでも意欲的で幸
せに毎日を送ることができる脳の使い方、生活の方法を提案していきます。
自分の可能性を信じる、若者から高齢の方々に読んでいただきたい本です。
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新講社 1,365円 ISBN:978-4-86081-213-3
世の中の「まともな人」はすべて、基本的に「まじめな人」です。社会
生活や対人関係のルールが守れて、自分の役割や責任をきちんと果たし、
周りから信頼され、結果、大きな仕事をするのはすべて「まじめな人」な
のです。己の「まじめさ」「不器用さ」を歯がゆく思う人に向ける応援メ
ッセージが満載です。
◎『新・受験技法 東大合格の極意 2009年度版』
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2009年度東大受験の決定版が登場です!今年も和田先生と現役東大生が
徹底して東大受験を解析。最新データから勉強法、ここだけのウラ情報な
ど満載です。
■Web情報*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
◎和田秀樹映画初監督作品『受験のシンデレラ』公式ホームページ
--> HP: http://www.juken-movie.com/
◎NPO PLANT A TREE PLANT LOVE「受験のシンデレラコラム」掲載中
--> HP: http://www.plantatree.gr.jp/salon/wada-01.html
◎和田秀樹監修の大学受験指導 緑鐵受験指導ゼミナールH20年度の資料
請求を受付中です。
--> http://www.ryokutetsu.net
◎和田秀樹監修の中高一貫校「磐城緑蔭中学校(男女共学)」が開校しました!
--> http://www.ryokuin.ed.jp/
◎国際医療福祉大学大学院が2007年4月より、修士課程臨床心理学専攻
を開設!
--> http://www.iuhw.ac.jp/daigakuin/pdf/rinshou_open.pdf
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『「寝る前30分」で人生が変わる』
新講社 1,365円 ISBN:978-4-86081-208-9
著者である和田秀樹が、実践し確実に自己計画を実現させている時間の効
果的な使い方「寝る前30分の使い方」を提案していきます。
『30歳からの10倍差がつく勉強法』
PHP研究所 580円 ISBN:978-4-569-67028-7
30代の間にどれだけ自分に投資できたかでその後の人生が決まる、といっ
ても過言ではありません。では、多忙な30代に、どう勉強したら一番効率が
いいのでしょうか? 本書は、そんな30代に特化し、最小の時間で最大の効
果を上げる秘訣を紹介していきます。
『小学生の子を持つママが知っておくべきこと』
PHP研究所 1,260円 ISBN:978-4-569-64823-1
子どもの将来を見据えての教育から、しつけや学習法などお母さんが頭を
悩ます事柄をていねいに解決する家庭教育書。Q&A形式で細かい悩みについ
ても対応している良書です。
『困った老人と上手につきあう方法』
宝島社 735円 ISBN:978-4-7966-6310-6
高齢化社会を向かえ、高齢者と接する機会がないという方は少なくなった
ことかと思います。人間関係の中で登場する「困った老人」に対してどう接
していくか、そして老化の捉え方から「困った老人」にならないためのヒン
トなどを本書でていねいに教えていきます。
『おカネになる「企画力」』
新講社 1,365円 ISBN:978-4-86081-202-7
オリジナル性に富む企画ほどおカネを生み、人に賞賛されるものです。本
書では、どうすれば「企画あたま」になれるのか、そしてどんなものの見方
や生き方をすればいい企画にめぐり会えるかを提案していきます。また企画
を通しやすくするコツ、おカネに結びつけるテクニックも考案しています。
■メルマガエッセイ*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
【 ソーシャルコストをどう考えるか / 和田秀樹 】
秋葉原の無差別殺傷事件は、精神科医としても考えさせられることが多い
事件だ。
岡山の突き落とし事件のときも問題になったが、謝罪会見に出る親の姿は、
まともな親であることがよくわかる。(土浦のときも、親がそうはおかしな
人の印象を受けなかった)
土浦の事件にしても、今回の事件にしても、はっきりとした精神障害のな
さそうな人間によるものだ(それでも、まったくの正常ということはなく、
何らかの診断名はつくのだろうが)。
ただ、やったことがあまりに派手であり、しかも今回の場合は、自分の心
情をつづった携帯サイトまで出てきたので、いろいろなかたちで犯人の心理
分析が繰り広げられる。
こういう事件があると、我々精神科医や心理学者は、テレビ局や新聞社の
依頼で、犯人の心理分析や動機の解明に駆り出される。
多くの意見は、それなりに説得力のあるものだ。一般の人と比べたら、経
験もあるし、異常心理には慣れているのも確かだ。
ただ、もう一方でプロの立場からいわせてもらえば、人間の心理はそう簡
単なものではない。
実際、精神鑑定などでは、はるかに長い時間の面接を行ない、彼らの生育
歴、教育歴、生活歴に関してかなり詳しい情報をもらって、さらにさまざま
な心理テストを行なう。それは、大抵数ヶ月かかるものだ。ところが、鑑定
者によってまちまちの鑑定が出る。各々の鑑定者がいい加減だったのではな
く(たまにいい加減な鑑定者もいるが)そのくらい人間の心理は複雑だという
ことだ。
私が、精神科の医者をどのくらい信頼するかは、人間の心のあてものがう
まいかどうかではなく(当たっているように見えて、当たっていないこと、
あるいは本人の心理からみて当たっていないことはたくさんある)、その複
雑性がよくわかっているかどうかである。(だから、私は自殺の専門家の高
橋祥友先生を非常に尊敬している)そういう人の臨床は信頼できる。一方、
あてもののうまい先生は、一回目の見立てで治療方針を立ててしまう。そん
な治療方針でそれなりに治る確率は高いかもしれないが、ダメだった場合は、
自分の決め付けから脱却できないことが多い。それに比べ、人間の心が複雑
だとわかっている精神科医は、治療がうまくいかなかった場合に、はるかに
柔軟に対応できる。そういう経験を積み重ねて名医になっていくのだ。
ただ、今回の場合は、加藤なる容疑者が、自分で書き綴っていることがた
くさんあり、供述内容も信頼できるものが多い(もちろん、警察発表には常
に眉につばをつける必要があるが)。秀才だったのに挫折したとか、格差社
会の負け犬だったと自分で感じていたとか、このまま生きていても一生6畳
一間暮らしとか、彼女がいなかったのが一番の原因とか、いろいろな意味で
どれも本音なのだろう。
こういう言い分は、精神科医なら基本的に共感的に聞き入れる種類のもの
だ。
ただ、一方で、同じような境遇の人間がごまんといることも確かな話だ。
なぜ、彼だけが(もちろん、類似の犯罪を行なう人間が数十人いるのだか
ら、彼らだけがというのが正確なのだろうが)この犯罪を行なったのか?
私は、それについても、単独の決定的な要因はないと考えている。
前述の高橋先生も強調していることだが、自殺にしても、単一の要因だけ
で決行に及ぶことはまずない。
ベースにうつ状態やうつ病があり、さらにその時点での不快感や嫌な出来
事が重なり、その上、相談相手もおらず、さらにそのタイミングに自殺報道
があって、それが決行のきっかけになるだとか、いろいろな要因が絡んで自
殺するのである。逆にいえば、どれか一つが欠けていたら、少なくともその
タイミングでは自殺をしない。そのうちにうつがよくなって、死なないで済
むというわけだ。
今回の事件だって、彼がいっているようなさまざまな要因の一つでも欠け
ていたら、決行には至らなかっただろう。もともと通り魔的な殺人犯罪は年
に10件も起こっていない。何百万人に一人のオーダーでしか起こらないもの
だ。しかし、殺してやりたいほどむしゃくしゃしている人間は1000人に一人
くらいはいる。そういう人がいろいろな要因が重なって初めて犯行にいたる
のである。
もちろん、ほかの誘因も十分にありえる。
今回の事件と土浦の事件の類似性を指摘する声もあるが、むしろ土浦の事
件をみて、「俺も先々、あのくらいのことをやって世間を騒がせてやろう」
と思った可能性だって小さくない。また、若い人に聞いた話では、車でバン
バン人をはね、銃で人を殺していくゲームがあるそうだ。それに触発された
可能性も少なくない。
さて、ここまで話をしてきて、この手の事件について、実は我々の側の決
意が必要なのである。
一つの極は、この手の犯罪を防ぐためにできることは何でもしていこうと
いうスタンスであり、もう一つの極は、それは社会的コストなのだから仕方
がないという考えである。
前者のスタンスに立てば、そしてこの手の犯罪が複合要因によるものであ
り、その一つでも欠ければ、それが防げるという考え方に立てば、その要因
をなるべく減らしていくことが最大の社会防衛と考えることになる。
つまり、格差社会化をなるべく避けて、貧しい人にもチャンスを与え、あ
るいは、犯罪を誘発するから報道もなるべく控えようということになる。あ
るいは、今回の事件で問題になったように派遣社員を簡単に解雇できなくす
る、負け組にも恋愛のチャンスを与えてやる(極端なことをいえば統一教会
のように強制結婚をさせるとか)などということをしておけば、ある程度は、
この手の犯罪は減るというわけだ。
一方では、そんなことは物理的に無理だから、年に100人くらい人が死んで
も仕方がない、格差社会化をやめたら、日本は海外との競争に勝てないし、
報道の自由だって守るべきだという考えもあり得る。
実際、日本は長らく後者の立場に立ってきた。
小泉という元首相は、「痛みを伴う改革」を唱え、現に在任期間中の日本
国民自殺者の新記録を打ち立てた(多分16、7万人くらいは在任中に自殺して
いる)。しかし、日本に改革が必要ということで、小泉首相は日本人にもっと
も支持された首相の一人になった。
一つには、自殺するのは勝手で、殺される人はかわいそうという考えもあ
るのだろうが、私たち精神科医の立場からすると、自殺はほとんどのケース
で自己決定でなく、前述のような複合要因による強制された死なのである。
もう一つの問題は、大人しく一人で自殺してくれればいいが、人を巻き添
えにすることも珍しくないことだ。
心中というかたちだけでなく、アメリカで頻発するスーサイド・バイ・コ
ップ(銃を乱射して、警察に射殺してもらうかたちの自殺)ということもある
だろうし、今回や宅間守のケースのように死刑を覚悟で、やけくそ殺人を犯
すケースもあるだろう。
ただ、日本の進歩のために格差社会化が必要だというのなら、この手の年
間100人程度の(もっと少ないだろうが)犠牲者には税金から10億円くらい払
って補償する(日本の発展のための犠牲者を認めてやる)という考え方もでき
るはずだ。
先ほど述べたように、二つの考え方は、理念的な両極である。
中庸、つまり、できないことは諦めて、できることはやっていこうという
考えもある。
たとえば、自殺報道のガイドラインを設けることだ。これは、ほとんどの
先進国でやっている。自殺の具体的な方法を書かない、死を美化しないとい
うようなものだ。
硫化水素の自殺などは、やり方を具体的に書いて、しかも大々的に報じた
から犠牲者が異常に増えた。
川田亜子さんの自殺では、死後、スキャンダルを書く週刊誌もあった。日
本人の心情としては許せないかもしれないが、あれは自殺予防上では正しい
スタンスだ。死んだら美化されるのなら、まねをする人が増えるし、死んだ
ら何を書かれるかわからないという話になれば思いとどまる人は増える。
殺人ゲームの規制などは、「できること」だろう。
賞と罰という観点からは、まじめに働いている人がワーキング・プアであ
る一方、罪を犯せば寝泊りが確保され、きちんとした食事が出て、看守が暴
力を振るうとマスコミが叩くという状況も、犯罪誘発につながる。これも是
正する方法がないだろうか?
確かに、この手の事件では死刑は抑止力にならない。しかし、絶対された
くない残虐刑が用意されていれば思いとどまる可能性もある。
いずれにせよ、事件を異常者の犯罪で片付けずに、予防のために何ができ
て、どこまではソーシャルコストとして諦めるかを議論する時期がきている
といえるだろう。
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★刊行本ピックアップ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
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がんで余命1年半という宣告を受ける。突然の事態に悩む彼は、偶然入った
店で抜群の数学センスをもって店員とやりあう少女、真紀を見かけた。経済
的な事情で高校中退していた彼女だったが、五十嵐は残りの人生を彼女の
「東京大学合格」に費やすと誓うが−−和田秀樹先生が初監督作品である同
名映画のノベライズが早くも登場しました!映画を観に行けないという方は
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■編集後記*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
梅雨がはじまりました。昔は大嫌いな季節でしたが、近年は雨音に心地よ
さを感じるようになり、雨の日が好きになりました。とはいえ、外出中の雨
はいまだ億劫に感じますが…傘の置忘れだけは注意したいですね。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
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この記事へのコメント
全4件表示むつごろう理非善悪を基準に議論すれば前者寄りの結論に、
利害得失を基準に議論すれば後者寄りの結論に、
議論をすれば拠って立つ基準により対立しそうな気がします。
国策としてどちら?の議論も当然必要でしょうが、民間レベルの活動で住み分けを図ることも一つの方針として考えられます。前者寄りの人が犯罪予防のための努力を行っても、後者寄りの人とぶつかり合うことはありません。
しかし、精神科医という立場にも関わらず前者へ偏らずにモノを見ることができるとは流石だと思いますね。日時:2008年6月13日
ソーシャルコスト勉強になりました日時:2008年6月13日
今回の秋葉原の事件のような人間のクズ(社会的迷惑)に対しソーシャルコストという観点から考える必要があるという意見に対して。
ただし、そのせいで犯罪者が増えることは、個人的には受け入れられない。この国のバカ平民は、被害者の人権を考えたことがないから。日時:2008年6月12日
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