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HIDEKIWADA[2006/05/31] フィンランドと3つの2007年問題
発行日: 2006/6/1━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 和田秀樹公式 HIDEKIWADA.COMマガジン ■ 発行部数:11030 2006年5月31日号
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・編集後記
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教育問題で重要視される2007年度問題。2007年は来年の話ですが、この問題
を重要視されている方はどれほどいらっしゃるでしょうか? 今回は、この2007年
度問題について、そして和田が先日訪問したフィンランドで実感したことをまと
めたエッセイです。新刊情報等もございますのであわせてご覧ください。
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◆◆特別情報◆◆
4月より読売新聞の毎週土曜日夕刊にて、「週間KODOMO新聞」という連載コーナ
ーがはじまりました。
毎回中学入試レベルの問題が紹介されており、ていねいな解答とともにタメに
なるコラムも掲載。子どもの学習の一環や脳の体操などにたいへんおすすめです。
ぜひご購読ください!(キヨスク各店でも購入可能です)
◆TV情報
◇レギュラー出演
◎『太田光の私が総理大臣になったら …秘書田中。』日本テレビ
毎週金曜日 20:00〜20:54 (野球中継によりお休みになる場合もあり)
◎『なるほどラボ』テレビ大阪 毎週土曜日 18:30〜19:00
(日経CNBCよりネット放送開始 放送時刻が変わりました。
毎週 土曜13:00〜と1:00〜・日曜夜22:30〜 となります)
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入試に必要な力と対策、そして各教科別の勉強法について、新課程にあわせ大
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も魅力です。
■メルマガエッセイ*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
【 フィンランドと3つの2007年問題 / 和田秀樹 】
2007年問題ということばが世を騒がせている。
これは実はいくつもの問題がある。
一つは団塊の世代といわれる人たちの定年が始まる年だということだ。
この世代(47〜49年生まれ)の人の数は700万人といわれ、日本の高度成長を支え
てきた壮年世代の大量引退は、日本経済や日本の労働力に大きな影響を与えると
されている。
二つ目の2007年問題は、団塊の世代と逆に少子化のために、大学の入学定員と
志願者数が逆転することだ。これによって、学校名さえ選ばなければ、名前を書
いて授業料を払うことができれば、誰でも大学に入れることになる。そうでなく
ても、学力低下が深刻なのに、さらに深刻な学力低下が予想される。もちろん大
学の倒産問題も表面化するだろう。実は大学が倒産した際に、早稲田や慶応のよ
うな有力な私立大学がそれを買って、その定員を増やしていく可能性があるから、
名門私立大学がさらに入りやすくなって、これも学力低下を促す可能性がある。
最近になって三つ目の2007年問題に気づいた。
少子化による学力低下は今にはじまった問題ではない。団塊の世代の子世代で
ある第二次ベビーブーム世代といわれるものがある。1971年から74年うまれの人
たちだ。彼らは1学年200万人を超えるのだが、彼らが高校に入る頃、「15の春は
泣かせるな」というスローガンがはやって、高校の大増設が行なわれた。ちょう
どバブル期で景気がよかったこともあったのだろう。ただ、その後、子どもが減
るのがわかっていたので、私立は大して増やさなかった。また不人気の職業高校
も増やさなかった。つまり、これまでは多くの子どもたちが目標にした公立高校
普通科の大増設が行なわれたのだ。その後わずか10年で1学年の人数が60万人も
減るのだから、行きたくない私立や職業高校に勉強しなくても行けるようになる。
日本の子供の場合、受験を動機に勉強する子どもがほとんどなので、これまで
よく勉強をし、通塾率も高かった中学生が、とくに下半分が勉強しなくなった。
TIMSSという国際的な学力調査で、学校の外でまったく勉強しない中学2年
生の子どもの割合が95年に28%だったのが、99年には41%にもなってしまうので
ある。
99年の中学2年生は85年生まれということになる。彼らが大学を卒業して社会
人になりはじめる年がこの2007年なのである。(ほとんどが2008年以降だろうが、
いずれにせよ団塊の世代の人間が定年を迎える年なのにはかわりがない)
すると一番世代の人数が多く、いちばん激しい受験競争をし、いちばん勉強を
させられてきた世代の人間の代わりに新しく会社に入ってくるのが、同世代の4
割以上が学校の外で勉強をした経験のない少子化世代ということになるのだ。
2007年問題で大変なのは、実は労働力の量が足りなくなること以上に質の大幅低
下だということは理解しておかないといけない。
ところが日本の企業では一部再雇用の動きがあるにせよ、あまり積極的に団塊
の世代を有効活用する気がないようだ。彼らの一部を中国などが狙っているとい
う。とくに引退後の技術者は中国にとって貴重な人材だ。技術だけでなく精神論
まで日本の団塊世代が教えるようだと、そうでなくても学力で負けているのだか
ら、大変な脅威となる。
企業としてもできの悪い新卒を無理に正社員にするのでなく、広く若年労働者
を集めたり、団塊世代の再雇用を進めてほしい。
私はここであえて年齢差別禁止法を提言したい。これはアメリカでは約40年前
(2007年のちょうど40年前の1967年)から施行されているものだ。ただ、ここで注
意してほしいのは、「能力が同じであれば」年齢によって差別してはいけないと
いうことだ。つまり能力で若い人に負けた時点で譲れということである。これは
まさに今の日本にこそうってつけの法律といえる。同世代の4割が勉強の経験の
ない世代が、受験に限らず競争をさせられ続けてきた世代に勝てるようになって
こそ、企業の人材の入れ替えをすべきなのではないだろうか?
ただ、そういうやり方では若い人材の学力不足、努力不足が解決するわけでは
ない。
やはり本質的なのは、教育改革である。
これまでの流れでは、もっとノーベル賞が出るようになどというかたちでエリ
ート教育や創造性を重視した教育の必要性が強調されてきたが、ゆとり教育批判
やあるいは学力格差問題、そして中学生の4割が(おそらく最近の調査ではもっと
増えているだろう)学校の外でまったく勉強しないという勉強離れ問題を解決しな
いことには、そうでなくても足りない若年労働力の下半分が、少なくとも知識社
会といわれる現代には使えないことになってしまう。
実は私は、雑誌月刊『文藝春秋』の取材で、OECDの学力調査で世界で事実
上トップの成績を収めたフィンランドの教育を視察してきた。
私が関心をもったのは、勉強をしない子がきわめて少ない国である点と、落ち
こぼれをつくらないという教育方針だ。そして、読解力や基礎的な数学力のない
若者が少ないことが国の競争力につながり、フィンランドは世界経済フォーラム
の国際競争力ランキングで3年続けて世界トップの座にいるのだ。
私自身、日本の子どもの下半分の問題、そして受験勉強以外の何を動機にして
勉強をさせたらいいのかに強い関心があるので、大変興味をもった。
詳しくは7月10日発売予定の『文藝春秋』を読んでほしいが、結論をいうと、
修士をもっていないと教員になれない教員のレベルの高さ、小人数をさらに小グ
ループにわけて、わからないところを残さない面倒見のよい授業システム、そし
て大学院、給食費をふくめてすべて無料という教育の機会均等が効いているのだ
ろう。
もう一つ大きいと思ったのは、親世代、一般国民の教育レベルの高さだ。
赤ん坊を含めて、国民一人当たり年間30冊の本を図書館から借り、日本のよう
なくだらないバラエティ番組はほとんどなく、一番人気が討論番組、二番人気が
ニュース番組、そしてドキュメンタリーという親世代の知的レベルの高さが、子
どもにも伝播しているのだ。親世代の教養レベルの高さと教育熱心さ、国民総中
流ともいえる貧富の差の小ささ、そしてバカのいない国。これらがフィンランド
の強さの秘密のようだが、これはまさに団塊の世代が学生時代を送り、活躍した
60年代から80年代までの日本の姿である。
2007年問題の本質は、団塊の世代の人たちが自分たちのぎすぎすした競争や、
日本流の働き方や経営をあまりに否定するのではなく、むしろ今の若い人たちに、
日本人の教育熱心さ、教育レベルの高さ、そして貧富の差のない家族的経営型の
社会を伝えていくことなのではないか?
あるいは、国が教育費を出し渋り、公教育の少人数クラスや落ちこぼれ対策が
進まないのなら、定年した団塊世代が、寺子屋式にボランティアで子どもを教え
ていくというのも一つの方法かもしれない。
◆エッセイのご意見・ご感想はこちらからお願いします。
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ごしていける。HWIの研究員でもある植木理恵さんは、東大大学院博士課程を修了
した新進気鋭の心理学者です。
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■編集後記*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
今回はフィンランド取材をまじえたエッセイでしたが、いかがでしたでしょうか。
フィンランドは私の行ってみたい国第一位なので、和田氏のフィンランドのお話
はとても興味のそそがれるものでした。是非次は自分の足で!フィンランドに足を
踏み入れたいです。はたしていつになるのやら…。
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