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『大人のための勉強法』などの著者である精神科医、和田秀樹氏のエッセイ・最新情報等が掲載されるメールマガジンです。




HIDEKIWADA[2004/12/03]映画評論をやめたくないよ!

発行日: 2004/12/3

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 ■ 和田秀樹公式 HIDEKIWADA.COMマガジン ■ 発行部数:9015   2004年12月3日号
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 映画の好き嫌いは人それぞれでしょうが、映画というエンターティメントは、一番
喜怒哀楽の感情を人に伝えやすい芸術方法だと思います。今回は、そんな和田氏の映
画にたいする切なる思いをつづったエッセイです。また、テレビ出演、12月新刊の案
内もあわせてご紹介します。

■新着情報―――――――――――――――――――――――――――――――――

◆TV情報

 ◎『経済発見』TV大阪 12月5日(日)10:30より
  
 ◎『情報ツウ』日本テレビ系 12月8日(水)8:00より

◆新刊情報 

 ◎『勉強のできる子のママがしていること』PHP研究所 495円 ISBN4-569-66046-0
  ゆとり教育の地獄からの脱却を目指す、12歳までの子をもつ親のための家庭教育
  マニュアルです。

 ◎『「ぷち依存」生活のすすめ』植木理恵/他著 和田秀樹/監修
  PHP研究所 1,050円 ISBN:4-569-63858-9
  ほんのちょっぴり依存する依存症なら、人間関係やメンタル面でも楽にして過ご
  していける。HWIの研究員でもある植木理恵さんは、東大大学院博士課程を修了
  した新進気鋭の心理学者です。

■Web情報――――――――――――――――――――――――――――――――

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【 映画評論をやめたくないよ! / 和田秀樹 】


 今年、もっともショックで落ち込むようなことが起こった。
 週刊朝日の映画評を年内いっぱいでおろされてしまったのだ。

 これにはかなりこたえている。

 私の本をたくさん読んでくれたり、私のコアなファンなら知っているかもしれない
が、私は映画狂いである。

 もともと医学部を目指したのも、映画を撮りたかったからだ。当時、助監督の採用
がなくなったので、映画の世界に入るには自主映画しかない(逆にATGなどを通じ
て、自主映画やピンク映画出身の監督がどんどん映画の世界に入っていった)と思
い、自由業で確実に金になる職業が何かと考えた結果が医者だった。

 2,3年医者をやって、金ができたら映画を撮る。当たれば映画の世界に入れる
し、だめでも医者の免状があれば雇ってもらえるだろう。

 そんな甘いことを考えていた。

 学生時代も、理?の強みで、家庭教師で月に30万円くらい稼げるようになり、そ
れをすべて映画につぎこんだ。可能なら医者になどならずに、16ミリでも自主映画
があたって、映画デビューしたかった。

 そんなわけで、6年で無事に医者になれたのに、映画の世界の負け残りのような気
がしていたのだ。

 それ以降、ずっと映画の夢は持ち続けていた。今の通信教育の会社が儲かったら、
絶対に映画が撮りたいとか、精神科医として有名になったら、まずサイコサスペンス
を書いて、それをテレビかなんかの原作にしてもらって、売れたら、自分の原作のも
のは自分で監督させてくれなきゃ映画化権をあげないなどとごねて映画を撮らせても
らうとか。

 夢のような話だが、今でも本気で考えている。小説のほうも、それなりに面白い自
負はあるストーリーを3つくらい暖めている。

 でも、やはり実現は遠い。

 映画を観ると撮りたくなるから、そして忙しさも手伝って、映画館から足が離れて
いった。

 そんな折に、私の知り合いの編集者が、『週刊朝日』の映画評の話をもってきてく
れた。昔から私が映画狂いだということを知っている人だった。

 嬉しい。本当に嬉しかった。

 なるべく多くの試写会に顔を出すようにして、その中から映画を選ぶまじめな仕事
に努めた。自分の参考になるように日本映画を専門にすることにした。勉強にもなる
し、夢も膨らんだ。思った通りのことを書くので、辛口のことも多かったはずだ。絶
対に、3年か5年のうちに金をためて映画を撮ってやると決意を固くした。

 ところで、その誘ってくれた編集者は別の雑誌に異動になった。
 その人のもとで働いていたライターが同じ人だったので、仕事には支障がなかった
が、担当編集者もデスクも知らないままに原稿を書き続けていた。

 私がおろされるという話を聞いたときに、約半年前の事件を思い出した。

 その事件というのは、私が、邦画以外で珍しく興味をもった映画の批評を書いたと
きの話である。

 それは『ヴェロニカ・ゲリン』という映画で、近々DVDレンタルが可能になる。い
い映画なので、しかし単館上映だったのでなかなか観てもらえなかっただろうから、
DVDレンタルがでた際には、お勧めしたい作品だ。

 この映画の批評を書いたときに、担当のライターではなく、担当の編集者かデスク
かに書き直しの命令を食った。それまでほとんど書き直しの指示を受けなかったのに
意外に思っていたら、理由を聞いて納得した。

 ヴェロニカ・ゲリンは命がけでアイルランドの麻薬組織に潜入して、取材を続け、
その全容を新聞でレポートしながら、麻薬の撲滅を訴えた。麻薬組織は、だんだんヴ
ェロニカを疎ましく思う。結局、ヴェロニカは麻薬組織に暗殺される。しかし、これ
で一般大衆の怒りに火がつき、麻薬組織は一網打尽にされ、それで儲けた金は没収で
きる法律も施行された。

 日本でも暴力団や非合法の売春やパチンコ賭博を続ける人たち、とくに北朝鮮に不
法送金をしているような人たちに対して、同じような記者がでてこないものかと期待
するが、北朝鮮への経済制裁は勇ましい声をあげる議員やマスコミも、彼らへの地下
資金を取り締まれという声はついぞでてこない。

 そんな不満もあったので、ヴェロニカ・ゲリンの生き方にも感動したし、映画ので
きもよかったので、かなり高い評価をして、週刊朝日の映画評に書いた。

 その中で、「日本の新聞記者は、世界でいちばん高い給料をもらい、世界でいちば
ん殺されることが少ないそうだが」と多少の皮肉を書いたら、そのデスクの逆鱗に触
れたらしい。

「何か根拠があるのか、ないのなら書き直せ」と迫ってきた。週刊朝日のデスクなの
だから、おそらくはもともとは新聞記者なのだろう。確かに日本の新聞記者は、ニュ
ーヨークタイムズやワシントンポストなどより給料が高いことで知られるし、戦地に
も人が死ぬといけないからと人を出さず、フリーの記者に戦地に行かせて原稿をもら
っている(でも、当時は朝日だけがイラクにちゃんと人を出していたので、私として
は評価していたのだが)。

 しかし、その根拠となる文献は確かにもちあわせていない。そこで「〜そうだ」と
書いたのだが、それでもだめなら、それこそ学術論文と新聞の評論が同じになってし
まう。ましてやこれは主観的な映画評である。

 私は訂正を断り、ぼつにするならぼつにしろと言った。ただし、ぼつにした場合
は、よその週刊誌で顛末記を書かせてもらうとも。

 書いたとおりの原稿が週刊誌に載った。

 しかし、結局、改変ということで、私は下ろされることになった。ほかの評者の誰
がおろされるのかは知らないが、やはり悔しい。

 それ以上に、映画の仕事にかかわりつづけたい気持ちは強い。

 週に2回病院で臨床をし、テレビラジオの出演をこなし、連載コラムやインタビュ
ーをこなし、講演や研修で全国を飛び回って、さらに今年も昨年同様50冊以上の本を
刊行などなど、一日6時間寝る意外はほとんど仕事漬けだ。その忙しい中で必ず試写
会に出席し、週に2本の割合で映画を観て来た。

 つまり、何がいいたいのかというと、どんなに忙しくても、どんなに報酬が安くて
も、映画の仕事は一生懸命やる。マネージャー氏他のスタッフに泣いて貰ってでも、
受ける覚悟だ。

 それこそ、スケジュールやギャラが合わず、普段仕事を断るのが日常的になってい
る事務所スタッフに対しても、「映画がらみの……」という前置きがあれば、「優先的
に仕事を受けてください」と指示を出している。

 というわけで、生まれてはじめて仕事を乞いたい気持ちになったわけであります。
 皆さんご協力よろしくお願いします。


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 『わが子を名門小学校に入れる法』清水克彦/著 和田秀樹/解説
  PHP研究所 777円 ISBN4-569-64006-0
 昔はお受験というと、親の見栄やセレブ感の強いものでしたが、ゆとり教育のはじ
まった今では、私立小学校を受験するという選択も特別なものではなくなっていま
す。本書では、名門小学校受験にまつわるさまざまなアドバイスを網羅しています。

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■編集後記―――――――――――――――――――――――――――――――――

 今冬公開の映画は、童話的な作品もふくめ、気になる注目作品ばかり。自宅でDVD
鑑賞もいいですが、やはり巨大スクリーンで観るほうが迫力もあってその世界に浸れ
る気がします。ただ、観たい映画は早めに足を運ばないと、X'masや年末にかぶって
大混雑に遭遇してしまうかも…。

 次号は12月下旬頃に発行を予定しております。ご期待ください。
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