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HIDEKIWADA[2004/9/13] ドーピングに思う
発行日: 2004/9/13━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 和田秀樹公式 HIDEKIWADA.COMマガジン ■ 発行部数:8662 2004年09月13日号
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・編集後記
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アテネオリンピックも終わり、いかがお過ごしでしょうか。今号はドーピングに
ついての和田の考察に始まり、経済についても考えます。
また、読書の秋と言うことで、いろいろなジャンルの和田の新刊も多数発売
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どう勝ち抜くかを説明する和田の現状脱却主義の本。文庫版は陰山英男氏の
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■メルマガエッセイ―――――――――――――――――――――――――――――
【 ドーピングに思う / 和田秀樹 】
今回のアテネオリンピックでもドーピングが問題になった。
とくにアヌシュとかいうハンマー投げ選手は、彼の金メダルが剥奪されれば、
日本の室伏選手に金メダルがいくし、往生際が悪いこともあって、日本の話題を
さらった。
さて、このドーピングの考え方は、オリンピックというのは、勝てばいいので
はなくて、きちんとルールを守ってその中で勝ちなさいという考え方が根底にある。
実際、このアヌシュという選手も競技の上でのルールを破ったわけではない。
そうではなくて、禁止薬物を事前に飲んでいた疑いがある上、必要なだけの尿を
提出しなかったということで金メダルが取り上げられたのだ。禁止薬剤というのが
麻薬のような法的な禁止薬剤(もちろんこれも含まれるのだろうが)だけでなく、
世間では公認されているような薬も多い。そして許される薬もある。要するに
オリンピック委員会がグラウンドの外のルールを決めていて(かつてはそのせいで
プロ選手は参加できなかったのだ)、それを守らないといけないということである。
この話を聞いて私はプロ野球のことを思い浮かべた。
確かに巨人の投手が投げるときだけストライクゾーンが広い(という説もあった
が)というわけでもなく、彼らだけがボークを許されるわけでもない。グラウンド
の上ではルールの適用は平等である。
しかし、公正な競争のためにはグラウンドの外のルールが必要だという考え方が
ある。
そのために採用されたのが、たとえばドラフト制度である。強いチームや金の
あるチームに優秀な選手が偏り過ぎないようにということで、くじびきで選手を
選ぶということに決まったのは、今の巨人の監督である堀内が一期生のはずだ。
当時の巨人は強かったし、日本シリーズを含めて九連覇という偉業を達成中で
あったが、すんなりとドラフト制度の採用を飲んだ。それどころか、純血主義と
いって外人選手をとらないという自主規制までやっていたのだ。
そういう点では川上という人は大監督だったのだろう。今の巨人はオーナーが
すごい選手を集めすぎるし、よそから引き抜きすぎるので、ぶっちぎりで優勝
すると8月以降の巨人戦の視聴率に差し支えるから、フロントが頭がもうひとつの
優秀な選手をあまりうまく使えない人を監督につけているという(私が想像する)
説があるが、川上氏はその逆だったのだから。
結局、渡辺というオーナーの政治力で(西武の堤オーナーがグルだったそう
だが)、日本ではアメリカで採用されているフリーエージェント制が導入された
上に、ドラフトのほうも逆指名制度なるものを採用して、事実上自由競争にして
しまった。
アメリカは自由競争社会のように思われているが、グラウンドの外のルールは
比較的厳しい。基本的な建前が、機会の平等、結果の不平等なのであるから。
そのためにテレビの放映権料は各球団で山分け(地元のテレビ局の分は除く
そうなので、結果的にはヤンキーズはリッチなのだが)、それでもリッチな
チームとそうでないチームの不平等ができるので、選手の給料の総額が一定額を
超えると罰金を払わないといけない。さらにドラフトはウエーバー制度といって、
ビリのチームから順番に指名ができる。
日本はまったく機会の平等が保障されていない。それなのに経営がうまくいか
ないチームがあると簡単に見限ってしまうのだ。
実はプロ野球のコミッショナーの根来泰周氏は、かつては公正取引委員会の
委員長をやっていた人間である。本来なら独占や不公正な競争に対してメスを
入れていく仕事の経験者だ。歴代の公取の委員長と比べてぱっとした業績が
ないが、それでも元検察ナンバー2としてしっかりした実務家だったとのことだ。
そうは言っても、マイクロソフトまで槍玉にあげ、分社にまで追い込みかけた
アメリカの公取と比べると日本の公取は線が弱い。そして、根来氏は、今回の
騒ぎでも巨人の独占を問題にできなかった。
野球協約には、「コミッショナーが下す指令、裁定、裁決ならびに制裁は、最終
決定であってこの組織に属するすべての団体と個人を拘束する」とある。それだけ
強大な権限が附与されているのだ。だからこそ、前のコミッショナーがもともと
セリーグの会長で、巨人の言いなりのような人だったことが私を不安だったのだ。
しかし、川島氏は確かに巨人の独占に加担したが、そこまでひどい人では
なかった(FA制度の導入は前の吉国氏のときである)。逆に言えば、コミッ
ショナーはお飾りですよという風潮を決定的にした人でもある。
公取出身の根来氏も結局お飾りであれば晩節を汚すというものだ。アメリカの
公取の事情にも通じているはずなのに、アメリカの機会平等に倣おうとしないで、
それが非現実的(放映権料の問題で、私企業に介入できないという旨の発言を
しているが、これが公取委員長の経験者の発言かと思うと耳を疑う)だと言い
放っているから見込み薄だ。逆に言うと、それだけスピリッツのない役人が公取
委員長のポストをあてがわれているのだから、日本の公取が機能しないのも
もっともなことだ。
現実にゆとり教育や世襲の拡大で、日本はアメリカ以上に機会不平等国になり
つつある。相続税だってこれだけの歳入欠陥があるのに最高税率が下げられて
いるのだ。
しかし、競争にはルールは必要だ。そうでないと強い者がちになる。
優秀な研究者を金にあかせてとっていいとか、会社を金にあかせて買っていい
(自社の持ち株の時価総額で相手の会社のM&Aが可能な制度が日本でも
「解禁」されるという)ということになれば、強い国がよけいに強い国になるのは
当たり前だ。
実は日本がアメリカより金をもっている時期があった。そのときに日本は
ずいぶんアメリカの会社や銀行、そしてロックフェラーセンターまで買ったの
だが、それをアメリカはコテンパンに叩いた。しかし、日本はアメリカに買われ
ても、弱いのだから当たり前というしっぱの振りようだし、日本人の研究者が
アメリカに引き抜かれるとその人をヒーロー扱いする。
しかし、実は、こんな形で規制をとっぱらって裸の状態になった際に、日本を
買い叩いたり、買い占めたりするのはアメリカの会社だけではない。
たとえばサムソン電子の株の時価総額は8兆円ある。松下は3兆円に満たない。
株を使ってM&Aが可能なシステムを導入すればどうなるかがわかっているの
だろうか?
自由競争がいちばんと巨人の一人勝ちやアメリカどころか韓国に日本の財産が
食い荒らされかねないのを喜んでいるような日本人たちが、自由競争では
勝ったが、IOCのルールによる規制つきの競争では勝てなかったアヌシュの
ことを笑えるのだろうか?
ルールつきの競争のよさをもう一度再認識してほしい。
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和田は多数の仕事をこなしながらも、毎日7時間の睡眠の確保やや家族
サービスなどは欠かしていない。和田の体験をもとに効果的な休暇の
過ごし方、つまり「休暇力」を伝授します。
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■編集後記―――――――――――――――――――――――――――――――――
発行が遅れてしまいごめんなさい。やっと猛暑が終わり、朝や夜はエアコン
無しでも過ごせるようになって来て、そろそろ秋だなーって実感しています。
皆様は勉強や読書に励んでくださいね。とりあえず、私は仕事の秋になりそう
ですが・・・。
次号は9月上旬頃に発行を予定しております。ご期待ください。
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