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『大人のための勉強法』などの著者である精神科医、和田秀樹氏のエッセイ・最新情報等が掲載されるメールマガジンです。




HIDEKIWADA[2004/5/6] 外国での日本人の命を考える

発行日: 2004/5/6

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 ■ 和田秀樹公式 HIDEKIWADA.COMマガジン ■ 発行部数:8264   2004年05月06日号
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 ・編集後記

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■今号のメールマガジン―――――――――――――――――――――――――――

 今号のエッセイでは、イラク人日本人人質事件の「事故責任論」について、
和田の意見をお届けします。
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  『2005年度版 新・受験技法』新評論の発売にあわせて、和田秀樹の
  サイン会を開催いたします。 お近くの東大を目指す受験生の皆様ぜひ
  お越しください。
 日時:2004/5/16(日) PM2:00〜3:30
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■メルマガエッセイ―――――――――――――――――――――――――――――

【 外国での日本人の命を考える / 和田秀樹 】

 イラクの日本人人質事件以来、「行くな」というのに、危険な国に行くことに
ついての「自己責任論」が渦巻いている。

 これについて、私はどちらかというと感情論であるような印象が強い。
 最初の3人の事件では、自作自演説が出たり、家族の一人が共産党系の病院に
勤めていたり、あるいは家族が政府に自衛隊の撤退を要求したりなどへの反感、
あるいはこんな救出費用に税金を使ってということへの反感があるように
思えてならない。

 実際、この事件以前は危険だから勝手に行かないようにという警告は、それほど
目立つものではなかった(もちろん、外務省の色分けとしては危険のワースト
レベルの位置づけだったはずだが)。前回問題にした「子連れの方は手を引いてと
いう張り紙がしてあった」六本木ヒルズの回転ドアと違って、私はもともとこの
ような警告を耳にした記憶はないし、むしろ自衛隊派遣のときは、政府は安全を
強調していたはずだ。

 ただ、自己責任という話になったとき、「そこの国に行くのは、危ないから
危険にあっても自分の責任で、政府のほうは面倒をみませんよ」という話にすべきで
あって、その国に行くなというのとは話は別だろう。彼らがもう一度行きたいと
いうのを能天気であるように断罪したり、小泉氏が関連の人間が眠れない日を
過ごしたことを非難したが、要は「行きたきゃ行ってもいいが、次からは面倒を
みない」と宣言すればいい話である。大体、政治家が、一国の首相ともあろう
人間が、眠れないことで泣き言をいうくらいならそんな仕事を降りてくれればよい
話だ。それこそ自己責任だろう。

 危ない国に出かけていって人質になっても、日本政府としては面倒をみない、
あるいは救出を家族が要請した場合は、費用その他はすべて家族が負担するという
ように決まりを変えれば済むことで、頼まれもしないのに(家族の側は確かに救出を
求めたという事実はあったが)たとえば身代金を出して(これにしてもアメリカに
テロ資金を出したといわれるのが怖くて、公にできないくせに、マスコミを使って
リークして、被害者への反感を募るやり方は汚い)、後から返せというのではルール
に合わない。

 ついでに言っておくと、本来、在外邦人保護は外務省の重大な任務であり、その
ための予算が用意されている。何百万円もワインを買ってパーティをやるだけが
任務ではないのだ。これが外務省の予算(おそらく機密費か予備費、あるいは内閣府
の機密費など)で使われているとすれば、その分パーティの贅沢代が消えたので腹が
立っているだけの話で、補正予算を組んでいなければ、国民の腹は痛んでいない。
政治家や官僚が自由に使える金が減っただけの話だ。(それで政治家の連中や
小泉氏がカリカリきているのかもしれない)

 問題は、危険なところに「勝手に」出て行くことで、誘拐、拉致などの危険な目に
あったときに助けるか、助けないかは、自己責任というのなら、国民(実際は議員)
が決めればいいことだろう。

 たとえば、政府の仕事や自衛隊の活動の一環のような職務として出て行ったのなら、
もちろん自己責任に当たらないわけだが、たとえば野党の議員が民間外交を狙って
行ったような場合、野党が自分の宣伝のために行ったととられるか、あるいは国の
ために行ったと取られるかは、そのときに判断するということになる。

 郡山さんのようなジャーナリストの場合は、当然、金儲けのために行ったのだから、
自己責任という考え方もあり得るし、あるいは、現地からの正確な情報を伝えるのが
国益にかなうという考え方をすれば、国の金を使ってでも助けてやろうという話にも
なるだろう。

 ただ、私が言いたいのは、日本のジャーナリストの人たちは死ぬのが怖すぎる
ことだ。
 実際、世界中で年間30人近くのジャーナリストが殺されている。聞くところに
よると、日本というのは、世界でいちばんジャーナリストが殺されない国だという。

 だから、ちょっと右翼に脅されるとびびって、まともに報道をしない。たとえば、
私は精神科医の端くれとして、雅子様の病状が気がかりだが、皇室どころか、
宮内庁にまで遠慮して、その批判記事が書けない。こんな金玉の小さい人間は
ジャーナリストになるなといいたいところだが、実際、イラクにはほとんど新聞社や
テレビ局の、社員のジャーナリストは行っていないという。(彼らは30代で年収
1000万円、40代で2000万円もらう世界でいちばん高給のジャーナリストだという
のに)こういう連中は、これから公開される『ベロニカ・ゲリン』(麻薬犯罪を
報じようとして、犯罪者グループに暗殺されたアイルランドのジャーナリスト)
でも見て反省すべきだ。もっとも、それを見て、もっと暴力団報道をやめようと
思うような連中かもしれないが。

 私自身は、日本が正しい情報を得るためにも、あるいは現地の人が何を考え、
どう感じているかを知るためにも、ジャーナリストに命を張って欲しいし、
そのために拉致や誘拐をされて金がかかっても、国民の情報料として10億やそこらの
金なら高くないと考えている(この金はもともとは官僚や政治家のワイン代や
接待費に消えるはずだったことを考えるとなおのこと)。

 そういうわけでジャーナリストに関しては、自己責任論で行くのをやめたり、
あるいは死ぬのが怖い連中が行かせないことにお墨付きを与えるのは、納得は
できない。

 むしろ、捕まったらちゃんと金を出すから頑張って行ってきてというくらいに
なってほしいのだ。そうでないとアメリカのジャーナリストから流れるアメリカ
有利の報道やあるジャージラから流れる今度はイスラムよりの情報に振り回されて
しまうことになる。もちろん、自己責任論などで非難されない外国のジャーナ
リストは現地で気骨の取材をしているのだ。

 では、高遠さんのようなNGOの場合は、どうだろうか?
 私は、むしろ彼らのやるようなことこそ、愛国的だと思うのだ。
 もちろん、やっていることが日本国のために直接的によいことだと思っている
わけではないが、重要なリスクヘッジになっていると考えている。

 ある国民が、日本に好感をもつか嫌悪感をもつかということに一番影響を与える
のは現地の日本人の姿である。日本人がよいことをしたり、現地の人に好かれて
いれば、日本はよい国と思われるし、そうでないと逆の感情をもたれるだろう。
アジアの一部の国を除けば、日本のことなどろくに学校では教えないのだから、
日本製の製品や日本人を見て、あるいは新聞上の日本のニュースを見る日本人を
判断するのは当然のことだ。私は、その点で、前の湾岸戦争のときにイラク人を
熱狂させたアントニオ猪木は英雄だと思うし、イラク人に総スカンを食うような
ことをした江頭2:50は国賊だと思っている。

 自衛隊員しかいないのでは、日本人はみんなアメリカの味方と思われるかも
しれないが、NGOが救援活動などをしていると、政府は親米だが、日本人全体は
そうでないことを示すことができる。危険だから一切NGOが行かないのであれば、
日本のイメージはかなり悪くなる。何か問題があったときに、悪いのは日本では
なくて、小泉なのだと責任を転嫁できる。汚いようだが、そういうヘッジをして
おくことは外交上賢明な判断だ。

 ドイツだって、悪いのをみんなナチのせいにして(彼らは選挙でナチを選んだ
くせに)、それほど嫌われないで、あっという間にヨーロッパの主要国に戻ることが
できた。それに引き換え、日本は天皇陛下に罪をかぶせないで、国民がかぶる選択を
した(これに関しては、陛下は選挙で選ばれたわけでないのでドイツと比べてはるか
に罪を着せやすかったはずだが、そういう意味では日本人は潔い)。もちろん、
そのほうが潔いのは確かなのだが、ただ、危険ははるかに大きい。

 アメリカとの関係を大切にするのは大事なので、イスラム問題でアメリカに追随
するのは現実的な選択といえる。しかしながら、石油をもち、テロの標的を探して
いるイスラム系の人たちに嫌われるのは、エネルギーや国民の安全保障上はまずい。

 そういう意味では、NGOは日本にとってきわめて重要な役割を担っているのだ。
 日本人がこの程度のリスクヘッジの考えができないことこそ平和ボケと言われても
仕方がないだろう。


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  マンガと解説文で大学受験の様々な疑問について、わかりやすく説明します。
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■編集後記―――――――――――――――――――――――――――――――――

 読者の皆様はゴールデンウィークは、いかがでしたでしょうか。勉強や仕事に
あけくれていた方、のんびりしてた方、いろいろな形で過ごされたと思います。
 私は久々に実家に帰省しましたが、初日は体調壊していて悲惨でしたが、
地元の観光スポットみたいなところへ久々に出かけ、子供の頃とは違った目線で
みることができて、それなりに楽しいものでした。

 以前お伝えしたとおり、まだまだコンピュータウイルスが添付されたメールが
多数届いています。ゴールデンウィーク明けということもあって、新たなウイルス
が蔓延し、感染しやすいときなのでお気を付けください。
 気になる方は、トレンドマイクロ社のオンラインスキャンなどお試しください。
URL: http://www.trendmicro.co.jp/hcall/index.asp

 次号発行は、5月17日頃を予定しております。次号もご期待ください。
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