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『大人のための勉強法』などの著者である精神科医、和田秀樹氏のエッセイ・最新情報等が掲載されるメールマガジンです。




HIDEKIWADA[2004/2/2] 児童虐待と北朝鮮の子どもたち

発行日: 2004/2/2

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 ■ 和田秀樹公式 HIDEKIWADA.COMマガジン ■ 発行部数:7653   2004年02月02日号
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 ・メルマガエッセイ76「児童虐待と北朝鮮の子どもたち」
 ・編集後記

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■今号のメールマガジン―――――――――――――――――――――――――――

 今号のエッセイでは、大阪府岸和田市で中学3年の男子生徒が餓死寸前まで
虐待された事件、そして北朝鮮の問題についてを和田が結びつけて考察します。
 また「学力向上!親の会」や「学びの場.com」など、学力向上に向けた新着
情報をお届けします。

■新着情報―――――――――――――――――――――――――――――――――

◆新刊/雑誌情報 

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 ◎「学びの場press vol.02/2004 Spring」に「今、問われる!親の教育力」の
   テーマで和田のインタビュー記事が掲載されました。
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◆前号のエッセイの誤りのご訂正

 前号のエッセイのタイトルは、正しくは、「増税は不要だ」でした。

 誤: 増税は不要だ
 正: インテリのためのニュースショーは可能か


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■メルマガエッセイ―――――――――――――――――――――――――――――

【 児童虐待と北朝鮮の子どもたち / 和田秀樹 】

 今回は実は、伊東市の成人式問題について書こうかと思っていたのだが、精神
科医として私が常に関心をもっている虐待事件があったので、そちらのほうを
書かせてもらう。ただ、伊東市の問題については、告訴は当然だし、そうで
なければ何のために法律があるのかわからない。非合法黙認の多すぎるこの日本と
いう国で、きちんと法に委ねるのは当たり前のことだし、それが成人というものだ。
謝ったとしても「すまんですんだら警察はいらん」のである。

 ところで、本題に入るが、またまたと言っていいと思うが、児童虐待で悪親が
逮捕された。
 子どもは何ヶ月にもわたって、ろくに食事を与えず、中学3年生だというのに
24kgしか体重がなかったという。そして栄養失調による昏睡状態だということだが、
よしんば、生き残ったとしても脳に障害が残る可能性が大きいとのことだ。

 これは、多少なりとも神経を勉強している人間にとっては納得できる話だ。
 今回は、一応殺人未遂ということで両親が逮捕されたが、それでも未遂という
こともあってせいぜい懲役7年ということだ。
 日本の場合、応報刑という考え方がしっかりしていないので、この刑罰がやった
ことに対応していない印象が強いが、とくに心の後遺症について、あまりにないが
しろにされている。

 28日には、24歳の男と19歳の少女が一ヶ月にわたって殴ったり、熱湯を浴びせたり
の暴行をして、ろくに食事を与えず、結局相手を殺したという事件が報じられたが、
殺すつもりがなかったと開き直られれば、傷害致死になってしまう。人を殺した
場合、殺意の立証を警察や検察がしないといけないが、いい加減に、むしろ殺意が
なかったことを、加害者に立証責任を求めてはどうなのか?人の命を奪った以上、
そのくらいの責任はあるはずだ。医者が医療ミスで人を殺しても、車で人をはねた
場合でも、本来、殺す気がなかったということも立証するくらいが被害者に対する
誠意というものだろう。

 問題は、それで運良く死ななないで済んだ場合だ。
 私はかねがね集団暴行は厳罰に処すべきだといっているのは、それが増えている
ことや、相手が死ぬ可能性が高くなること、一人一人はもともとがまともな人間
なので、厳罰化とそのアナウンスで、ある程度抑止効果が期待できることもあるが、
それ以上に、単独犯に暴行を受けた場合以上に、集団で暴行を受けたほうが、
トラウマが大きく、心の後遺症がひどく残るということがある。

 一生、フラッシュバックや悪夢に苦しめられたり、まともに仕事につけなくなる
こともある。その場合は、経済的補償だけでなく、やはり刑事犯としてそれなりに
罪を償うべきだろう。
 今回の事件では、被害を受けた子どもは死なないで済んだが、意識不明の重体で
予断を許さないという。

 これにしても、その後遺症で脳に障害が残るらしいし、学校にもろくに行かせて
もらえず、親の愛をろくに受けていないのだから、知的にも情緒的にも激しい障害
が残る可能性は大きい。トラウマの研究でも、暴行のような虐待以上に、食事や
愛を与えられないネグレクトのほうが精神的後遺症が大きいとされているし、
また片方の親が虐待する際に、もう片方がかばった場合は後遺症は小さいが、
もう片方がそれを見ぬふりをしたり、加担した場合はもっと大きいという。

 飢えは人間の精神形成に大きな影響を与えるのだと感じたのは、永山則夫の
手記を読んだ際だ。小学生時代、昼の給食を食べようとすると、周囲の子どもが
「(生活保護で)金も払っていないくせに」とはやして(この永山則夫を生んだ周囲の
悪がきも、4人も永山に殺されたことにある程度罪があるのではないか)、それも
ろくに食べることができず、夜は母親が家にろくにいないため、やはり飢えきって
いたのだという。それが彼を凶暴にしたというのだが、少なくとも私には納得
できる。

 やくざの世界をよく知るジャーナリストに聞くと、親分連中の多くは、大男では
なく、むしろ痩せ型で背が低いという。子どもの頃、ろくに食べていなかった人間の
ほうが、この世界では大成するのだと。

 児童虐待の大きな問題の一つに、その被害児の多くが、人格障害になることが
挙げられる。本来、被害者であるはずの彼らが、家庭では児童虐待の、社会では
殺人やレイプの加害者になってしまうのである。これは治安を考える上でも大変な
問題だ。現に宅間守をはじめとして、最近の重大事件の犯人に人格障害が疑われる
人が多い。そういう点では、虐待児を早いうちに保護してやることは、その子どもの
ためだけでなく、社会防衛のためにも必須のことなのだ。

 そのために児童相談所には、立ち入り調査権が与えられ、警察と連携することが
可能なように2000年11月には児童虐待防止法ができたというのに、今回の件でも、
親にごねられたら、そのまま引き返している。今回の事件は、周囲が虐待をやって
いるのをわかっているのに、虐待が繰り返されたという点で、行政がいちばん責め
られるべき事件なのだ。

 これについて虐待相談が一番多い(2509件で全国の1割以上を占める)大阪府では、
一件の立ち入り検査もしていないという。まさに給料泥棒だ。こんな職員に甘い
太田房江は確実に知事失格である。大阪府民よ、目覚めよ!江本もそれに気づいて
攻撃せよ!

 児童相談所の職員たちは自分たちに課せられた役割がわかっていない。何もしない
ことが、将来治安にどんな悪影響を与えるのか?その子どもたちが社会適応できずに
どんなに苦しむのか?そのつけを払う羽目になるのは結局地域住民なのである。

 もう一つ、この事件で連想したのは、北朝鮮の子どもたちだ。
 金正日重病説を含めて、何らかの形でこの10年、20年のうちに北朝鮮の体制は崩壊
するだろう。

 でも、その際に、同じくらい飢えた子どもたちがたくさん社会に残っている。
もちろん、飢え続けたまま、大人になった子どもたちもだ。おそらく、その多くは
学校にもろくに行っておらず、社会に出て使い者にならないことだろう。逆に凶暴な
性格の人の割合は確実に一般人口より多いだろう。日本の治安に悪影響を及ぼす
ことは間違いない。

 食べることによる鳥インフルエンザの感染が確認されていない卵や鶏肉を捨てる
くらいなら、彼らに送ればどうなのか?政府に送るのでなく、食糧監視団をつけて
大衆にじかに配ればいいだろう。

 金正日が悪いからといって、むしろ被害者である大衆を何百万人も飢え死にさせる
という発想は、軍部が気に入らないからといって罪のない一般市民を原爆で殺す
発想とそっくりだ。国際法の精神にも反する。

 今回も経済制裁が可能になる法律が可決されそうだが、経済制裁によって一般大衆
の飢えはよけいひどくなることだろう。

 しかし、金正日一派は、麻薬や覚せい剤の販売による収益や偽ドルによる収益、
あるいは第三国経由の非合法送金によって贅沢を続けることだろう。
 年間2億ドルにすぎない貿易停止より、数億ドルといわれる麻薬密売を取り締まる
ための徹底的な暴力団の取締りと、非合法送金やマネーロンダリングを防ぐための
パチンコ屋の税務調査(脱税がみつかれば、日本の国も潤う。パチンコ屋の年売り
上げは28兆円なのだから1%のごまかしでも2800億円の金が動く。この10分の1が
不正送金になっても、貿易額より多いのだ。

 しかし、北朝鮮問題が起こっても暴力団もパチンコ屋もアンタッチャブルだ。
経済制裁をやっていますというポーズをとって、むしろ彼らをかばっているのでは
ないかと疑いたくなる。

 アメリカではテロ対策の第二段階として、国内の治安強化や麻薬犯罪撲滅に本格
的に動いているというのに、日本は実は北朝鮮の味方だといわれても仕方がない。

 いっぽうで、経済制裁で一般の人の飢えはさらにひどいものになる。
 そして、その後遺症のある人たちが、北朝鮮の崩壊後に、韓国のパスポートと
日本行きの片道切符をもって日本に大量に入ってくる可能性が小さくないというツケ
を負うことは日本人として心に留めておいてもらいたい。


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『数字のどこをみているんだ!』和田秀樹監修 宝島社 ISBN 4-7966-3819-9
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 最近、マスコミや「当たり前」と言われていることに常に疑問を感じ続け、
 疑問を呈することの意義を訴える和田が、数字を用いて今の一般常識がいかに
 ウソで、でまかせが信じられているかを見事に解き明します。
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■編集後記―――――――――――――――――――――――――――――――――

 学力向上!親の会( http://www.oyanokai.jp )がスタートしました。
 もうすでに、たくさんの方々がご入会され、多数のご意見をいただいております。
 子どもに勉強させたいけど、どうしていいのかわからない!? 生徒の気持ちが
理解できないけどどうしたらいいの!? などなど、いろいろなお悩み・ご質問に
お答えできたらと思っています。

 こちらのメールマガジンでは、取り扱わない学力問題についての会報を月2回
発行します。ホームページで、「学力向上!親の会」の会報サンプルを提供して
いますので、ご興味のある方は、一度ご覧になってくださいね。

 次号発行は、2月15日を予定しております。次号もご期待ください。
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