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HIDEKIWADA[2003/7/1]国のために命が捨てられるか

発行日: 2003/7/1

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□和田秀樹公式 HIDEKIWADA.COM マガジン 2003年7月1日号

 現在の読者数:6107名 http://www.hidekiwada.com/
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■インデックス―――――――――――――――――――――――――――――――

 ・今号のメールマガジン
 ・新着情報
 ・WEBSITE 関連情報
 ・メルマガエッセイ62 国のために命が捨てられるか /和田秀樹
 ・編集後記

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■今号のメールマガジン

 今号も和田の新刊が多数発売になります。受験・仕事に引き続き、今度は
『英語も要領』が発売になります。心理学の書籍の翻訳も手がける和田の英語力
の勉強法をぜひあなたも体験してみてください。
 また、恒例のエッセイも読み応えのある内容です。ぜひ読んでご意見くださいね。

バックナンバーをご希望の方は、次のURLでご参照ください。
URL: http://www.melma.com/mag/76/m00018676/index_bn.html

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■新着情報

◎新刊

・『受験に強い子をつくる!』ベスト新書 780円(税別) ISBN4-584-12058-7
 和田にとって受験生以外に向けての一般書のデビュー作である『過保護な親が
  受験に強い子を作る』のリニューアルバージョン。最近の受験の状況や学力低下を
  ふまえて大幅にパワーアップしながら、和田の信念である親の愛が子どもの学力を
  高める論を展開します。

・『英語も要領』幻冬舎 1,300円(税別) ISBN4-344-00354-3
  和田の持論である英会話をやるより中学英文法を復習して、英語をしっかり読み
  書きできるようになれというスタンスからやり直し英文法を軸に英語の読み書きを
  基礎を身につけさせる実用的英語書です。

・『英会話は時間のムダ!』ゴマブックス 1,200円(税別) ISBN4-901465-79-1
  上記の本と似たコンセプトですが、もう少し読み物的に和田の英語哲学を語って
  います。基礎英単語集もついています。

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  日本をながめる新たな視点として提示。他人の足をひっぱるエンビー型嫉妬と
  相手にいつかは見返してやるジェラシー型嫉妬の違いも詳しく論じる。

◎テレビ・ラジオ

・7月10日朝日放送ラジオ「東西南北龍介がいく」に出演予定
  和田が子どもを勉強に向かわせる方法について語ります。

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  あなたを転職の勝ち組にすることをサポートします。
  詳しくは次のURLをご参照ください。
  URL: http://www.tenshoku.tv

・経営者をサポートする『和親の会』現在メンバー募集中です。
  詳しくはホームページをご覧ください。
  URL: http://www.hidekiwada.com/washin/

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  書きできるようになれというスタンスからやり直し英文法を軸に英語の読み書きを
  基礎を身につけさせる実用的英語書です。

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■国のために命が捨てられるか

 6月25日に、「今こそ教育基本法の改正を!」という緊急集会の提言者として話を
させてもらった。
 私はイデオロギーには関係なく、現行の教育基本法の第6条による、過度な教師の
身分保障が教師のインセンティブを奪っているという話をしたのだが、翌日の新聞に
大きく数学の教師が学力不足のために解任された話が出ているのを読んで、やはり
私の予想はあたっていたと多少誇らしい気分になった。

 その会の別の提言者である岡崎久彦氏が、結局のところ国家的な視野でものを
考えられるような人間を作るための愛国心の教育が必要だという話をされた。
これはまさにその通りであるが、彼は、動物は自分の生存のために生きている
身勝手な生き物だが、自分の生存の基盤となる集団を守るための自己犠牲は当たり
前にプログラミングされている。その集団の単位は家族を除くと、国家しかない。
日本のために死ぬことはあっても東京都のためには死ねない。ましてや世田谷区の
ためには死ねない。また地球のために、世界のために死ぬということも理念上は
あっても、めったにあることではないと。
 だから不自然な教育が行われない限り、愛国心は当然生じるものと結ばれた。

 確かにそうだという気がしたが、私には素直に納得できない。
 たとえば、本来国のために命を捨ててもいいという人がなるべき職業の代表格と
いえる政治家にだってそんな人がいるように見えない。

 確かに日本の場合、戦争の前線に立つことは現実にはあり得ないだろう。法律が
変わって、日本もたとえば有事の際には前線に兵士を送ることになった際に、
いちばん問題になるのは、今の自衛隊の兵士たちが国のために死ぬ覚悟や勇気が
あるのか?という問題になるかもしれない。
 あるいは、北朝鮮がやけくそを起こして日本に攻めてくるなどという事態に身を
挺して国を守るという勇気が我々にあるのかという問い直しをしないといけない
かもしれない。

 もし、それがないのなら有事法案も絵に描いた餅だし、北朝鮮問題だって強硬路線
はやめて、韓国のように太陽政策という選択肢を選ぶしかない。
 結局、やくざとしろうとのけんかで、なにが決定的に違うかというと、死ぬのや
殴られるのが怖いかどうかだという。本来の腕力なら勝っている人でも、自分が豚箱
にはいることや、怪我をすることや、あるいは死ぬことが怖くない人間の迫力には
勝てない。北朝鮮が、こちらはどうせ年に何十万人も飢え死にをしているのだから、
少々人が死ぬのはへでもないという覚悟でゲリラもふくめてやけくその戦争を
起こしたときに、数人の命がさまざまな形で奪われたくらいで(たとえば有事に
外国に派兵して何人か死んだら派兵の中止が検討されるだろう)大騒ぎになる国
では、勝つのがわかっている戦争でも講和条約を結んで向こうの言いなりにならざる
を得ないかもしれないのだ(現状のアメリカはそんなことを許さないだろうが)。

 逆に死ぬのが怖くない人間であれば、十人やそこらのテロリストでも全米を
震撼させられる。自爆テロが続く限り、イスラエルだって先進諸国の仲間入りは
できない。アラブ諸国すべてが親米、親イスラエルになったところで死ぬのが
怖くないイスラムの狂信勢力がいる限り、イスラエル人は安心して眠れない。
 アメリカだって、私の予想通り、フセインもイラク人も死ぬのが怖い人たちだった
からあっというまに戦争を終わらせることができたが、これがイランのシーア派の
政権のように死ぬのが怖くない国との戦争になって、泥沼化して、多数の米兵が
死んだ場合、世論がもたなくなって戦争を終わらざるを得なくなるかもしれない。
ベトナム戦争に負けたのだって、現実にはそういう理由で、別にアメリカの本土が
攻められたりしたわけでないのだから。

 アメリカが世界一の軍事強国だからといって死角がないわけではない。死ぬのが
怖くない人間にはまだまだ手こずるだろう。たとえば、国内に自爆テロの組織が
できた際に、果たしてそれをどこまで検挙できるかは疑問だ。極論をいえば、今
アメリカ人を悩ませている問題にスーサイド・バイ・コップという問題がある。
わざと銃を乱射して、警官に射殺されることで自殺を希望する人たちだ。自殺には
トレンドがあるので、今のネット心中がはやるように、こんなものがはやれば、銃
社会であるアメリカは、国がもつまい。

 逆に私の観察と分析が正しければ、金正日はきわめて死ぬのが怖い臆病な人間だ。
それで兵隊がいくら飢えていても、38度線を越えないようにきわめてナーバスに
暴発を食い止めているに違いないし、いくらブラフをやってもこの国が本当に攻めて
くると思えないのだ。テロリストのほうが国家よりはるかに危険なのは、トップが
贅沢三昧をしているわけでないので現世利益より、やけくその美学のほうが勝って
しまうことだろう。

 さて、話がだいぶそれたが、国のために死ぬことができるというのは、このように
岡崎氏がいうように自然にできるものではないだろう。シーア派のイスラム教徒が
コーランを曲解して、ジハードという名前で国のために死ぬことを美化するような
教育がなければ、そう簡単に国のために死ねるものではない。

 私がこの国の自衛隊はだめだと思ったのは、99年9月のJCOによる臨界事故の
際に、とにかく誰かが装置に近づき、冷却水を抜き取らないと臨界状態をとめ
られず、より大きな臨界事故になる(ひどい場合には核爆発と近い状態になる)
ことがわかっていて、逆に誰かが冷却水を抜き取りさえずれば、それが止められる
のがわかっていて、被爆するのが怖くて(これを計画被爆という)自衛隊は止めに
いけなかった。結局、JCOの職員がチームを組んで被爆覚悟で装置に近づき、事なきを
得たと言う。日本国の危機に対してこれだけ死ぬのが怖い連中に戦争ができるわけは
ない。私が憲法9条の改正に反対なのは、武器だけ立派なこれほどの腰抜け集団に
戦争ができるわけがないと考えたからだ。ならば、アメリカに押し付けられた憲法を
言い訳にして逃げ回っていたほうが賢い。もちろん、愛国教育がうまくいって、
死ぬのが怖くない兵隊がそろえられた時点で憲法改正を考えればいい。まずは教育
ありきである。

 ただ、本当の戦争以上に、日本の政治家が死ぬのが怖いから、治安もよくならない
し、既得権益ものさばっているし、北朝鮮への不法送金もやまないのではないかと
いうことのほうが「臆病な」政治家たちの問題点だと私は考えている。
 少なくともアメリカの国防省は、北朝鮮の収入のメインは日本や韓国との正式な
貿易や経済援助と考えておらず、不正な送金(スイス銀行経由も含む)や暴力団との
麻薬貿易の収入と考えている。
 それなのに、いまだに北朝鮮に金を送っている人たちの行う非合法黙認事業
(パチンコ賭博、ソープランドの管理売春、ヤミ金融など)を取り締まろうと
しないし、暴力団の摘発も進まない。そしてマスコミも政治家も経済制裁だけには
勇ましい。

 もちろん、警察官僚出身の政治家などは、表からも裏からもこれらの非合法事業者
からの献金をあてにしている部分もあるのだろうが、最近になって、やはりとどの
つまりは、これらを本格的に取り締まり始めると、自分なり身内が襲われるのでは
ないかという、死への恐怖があるのではないかと思い始めた。
 石原都知事が、警察官僚出身者を副知事にすることはあっても、かつてのジュリ
アーノ、ニューヨーク市長のように組織暴力の徹底的な取り締まりや、非合法事業
者の取締りを言い出さないのは、やはりやくざがやけくそを起こして自分の命が
狙われるのが怖いからではないかと思うようになった。(おそらくは石原氏が金に
転ぶ人ではないと信じてのことだが)

 環境問題にうるさい石原氏が、明らかに空気を悪くする渋滞の原因になる道路
工事を減らせないのも、やはりやくざのやけくそが怖いからなのではないか。
 国のために死ねる政治家というのは、たとえばその改革を行うことで、右翼団体に
嫌われ殺されるかもしれなくても、それが国益にかなうと信じたら、それを断行する
政治家だろう。たとえば今北朝鮮に対して国益を考えて妥協的な政策を行うと言った
ら右翼に狙われるかもしれない。もちろん、北朝鮮に妥協的な政策を行うのが国益に
かなうといっているわけでない。そう判断されたらという仮定の話であることを
断っておきたいが。

 実際、戦前は2・26や5・15のテロのあとで、政治家が軍部や世論にびびって、
無謀な戦争に反対できなくなった経緯がある。しかし、国のために死ねる愛国者で
あれば、それでも「今は戦うべきでない(「今は」ということが重要である。私は
反戦論者ではなく、景気は悪いは国民が死ぬのが怖いはの今は、国際協力や北朝鮮の
緊張の高まりを含めて、戦争になるようなことを避けたほうがいいと言っている
だけだ。石原莞爾だって、満州を30年かけて開拓して、国力が充実するまで戦うなと
言っていたのだ)」と言えるのが愛国者だろう。

 私にも、こんな偉そうなことを言ってばかりいるせいか、なんで政治家に打って
出ないのだと聞かれることがあるが、答えは「今は子どもも小さいし、死ぬわけに
いかない」からだと答えるしかない。逆に私が政治家に打って出る際は、死ぬ覚悟が
できたときだから、暴力団とでも非合法業者とでも本気で戦う気になったときだと
いうことだろう。ただ、その可能性はきわめて低そうだ。偉そうにいって私は臆病な
人間である。しかし、このエッセイでも何回か問題にしたように、政治家やマスコミ
人には死ぬのが怖いような私のような臆病者がなるべきではない(私もマスコミ人の
はしくれかもしれないが、テレビや新聞で自由に発言できる立場でなく、出して
もらっている立場であるし、向こうの言いなりになって妥協的な発言をしている
わけだから、マスコミ人のうちに入らないと理解できている。逆に私が自分が
ディレクターの立場にいれば、クビや批判を覚悟の上でかなり思い切った報道を
するだろう。医療ミスの実名報道を怖がったり、何をするかわからないからと
せっかく日本にきたtATu出演をびびるような保身的な臆病ディレクターやプロデュー
サーはマスコミ人と名乗るなと言いたいだけだ)。だから、私は政治家などとても
なれない失格人間だと現時点では考えているのだ。

 石原氏も首相になるまで死ねないと思っているのかもしれないが、今後彼が
どれだけ思い切ったことができるのかは、どれだけ死ぬのが怖いのかにかかって
いるように思えてならない。
 右翼のように思われるかもしれないが、真の愛国者は国のために、大義のために
死ねる人のことを言うのだろう。私も国のために死ねはしないが、私有財産は差し
出す覚悟はある。だから7月10日売りの『文藝春秋』に相続税100%の持論を発表
した。機会があれば読んでほしい。


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 『転職力』和田秀樹 大塚寿 共著 PHP研究所 1,300(税別)
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■編集後記

 この間、珍しく仕事の帰りに友達と散歩をしていたら、いい感じのバーを
見つけて入りました。そしたら、やっぱり当たり!でとても楽しい時を過ごす
ことができました。たまにはのんびりするのもいいですね。
今日は、そのツケがまわって来たのか、とても忙しかったですが。

 次回発行は、7月15日の予定です。ご期待ください。

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