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Guam在住の36歳・男・独身の小一郎が「何でこんな国なんだ」〜「身近なHな話し」のことまでノンフィクションで語っていきます。




#### 32歳モテない男の現代思考 ####

発行日: 2002/1/24

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                            2002/01/24
           32歳モテない男の現代思考
                   第五十六回・写真思考

     32歳独身男性が何故独身のままなのか。謎を解明して下さい。


■―――――――――――――――――――――――――――――――――――■


 先週、インディーズ系のアダルトビデオ制作会社で撮影をした。
 知人の紹介で初めて行った会社だったが、インディーズ系はこんなに過激だとは
 知らなかった。
 キャットファイト(女性)の選手が、M男をいたぶり尽くすと言う趣旨のものでし
 た。
 普通のは見慣れていたので何ともないんですが、普通じゃないものに興奮してし
 まいました。
 痛そうなのに悦楽の顔をするM男に不思議を感じましたが、SM系って凄いんで
 すねぇ。
 ハードなのは、ビデオで見てそれを参考にソフトSMを楽しむカップルが増えて
 いるのだそうです。
 二人の間に確たるものがないとそこまで入っていけませんよねぇ。
 そういうカップルを取材してみたいですね。


−目次−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

1.子供写真
2.熟成課程の理由
3.ホンマタカシ
4.別件
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



1.子供写真

 ここ五年ほど、ずっと現代日本の子供(3〜5歳程度)をテーマにして写真を撮っ
 ている。
 そして、二度ほど写真展をした。
 おかげさまで、評判良く終わったのだが、批評もあった。
 「おんなじような子供ばっかりじゃないか」という微妙な、それでいてどうとで
 も取れる表現で「見飽きたアングルだ」という。
 とある写真誌のお偉いさんのようで、どういうのがあるといいというのはついぞ
 聞かなかった。
 つまりは、過去見たことのあるアングルと子供たちの表情だと言うことだろう。
 彼らお偉いさんは、たくさんの持ち込み写真なども見ているから目新しいものが
 なかったのかもしれない。
 しかし、「目新しいもの」が評価の基準になっている日本の写真界も何だかなぁ、
 である。
 まぁ、写っているものより写真論みたいなうんちくの好きな人が多いこの国では
 仕方ないと思う。
 だから、私は写真作品というものは日本の写真誌に持ち込んでいない。
 それは、日本の本を作るシステムが「作者の名前」を全面に押し立てて売る手法
 を取るので、よほどでないと難しいからであるけれど、いいわけでもある(笑)。

 話しがずれた。
 そういう批判をいただくのは一向に構わないのだが、二度目の時にだいぶ先輩に
 あたる子供が大嫌いな写真家の人から「邪悪なもっともむかつく子供の姿がない」
 とご指摘があった。
 「邪悪なもっともむかつく子供の姿がない」というのがどんなものなのか知りた
 くて、展後に彼の家まで出向いた。
 彼は、酒を飲みながらの上で話してくれた。
 「子供ってさ、君の写真みたいに可愛くて純真で無邪気で愛おしいっていう存在
 じゃないと思うんだ。もっと計算高くて汚くてわがままで絞め殺したくなるくら
 いの図々しさがあるでしょう。君が撮っているのは、真実なんだけれども計算高
 く作られた大人に見せている顔で、同様に大人が子供に求めている子供像なんじ
 ゃないか?もし、子供に権限があって好きなように出来るとしたら、大人に対し
 てもっと厚かましく、もっと悪魔みたいな人間より動物といったくらいの表情に
 なると思う。理性と知性がない野性というのかな。それでいて計算高い狡賢さみ
 たいなものが顔に出るはず。大人が世界からいなくなったときの顔っていうのか、
 子供の本性みたいなのがさぁ……まぁ、俺が子供が大嫌いだからそう思うのかも
 しれないけどね……」
 悪魔のような子供……そんなのってどんなんだろう?なんて思った。
 しかし、彼と小一時間ほどその話題にふれて解ったことがあった。
 あくまで子供をテーマにした写真展であったとしても、そこには子供好きな人か
 ら見た子供像であって、子供嫌いな人から見た子供像はなかったということだ。



2.熟成課程の理由

 普通、写真家が写真展をするときは、自分の主観にそって撮影したものを展示す
 るわけだから主観に合わない方向からの見方をした写真は展示しない。
 多くの写真家ならば、自分の主観であったものを見せてこれでどうだと主張し、
 それで終わるわけだが、私はそれで終わらなかった。
 どうしても彼の言うことが気になってしまい、本来ならこれらの作品をまとめて
 写真集にするつもりだったのだが、作品がまだ「若い」気がしてきたのだ。
 もう一つの奥行きがあってはじめて生きる作品になるような…。
 対称と言ってもいいのかもしれない。
 子供嫌いから見たような写真の必要性。
 しかし、そんな子供嫌いからの視点が持てるんだろうか。
 どんな風に撮影に持っていけばいいのかのプロセスも思い浮かばなかった。
 子供好きな視点で撮影された私の多くの写真は、子供たちとの距離感が狭まるく
 らいのコミニュケートから生まれている。
 知らないおじさんがカメラを構えたところで、出てくる表情ではないと思ってい
 る。
 それが、子供嫌いの視点からとなると会話をしないで撮影するのか?
 いや、それでは第三者の目から撮った写真になってしまう。
 どちらかといえば、双方で喧嘩してすぐに撮った写真といった方がいいのか。
 印画紙には、きっと睨みきった顔ばかりになるだろう。
 そんなわけで、子供写真の写真集をまとめる作業が頓挫してしまったのである。
 もう少し時を置いて熟成させてからになると思う。
 一人で作業にかかっているとあれもこれもと考えてしまって、ついぞまとまらな
 いのが、難点である。
 せめてデザイナーが関わってくるくらいの人物になりたいものだと思うが、それ
 が恵まれたことなのかどうかは今の地位では解らないけどねぇ。



3.ホンマタカシ

 「CUTIE」「H」「SWITCH」などの雑誌で仕事をし、最近ではショート・ムービー
 のシリーズも制作しているという写真家ホンマタカシ氏。
 ほかにも東京近郊シリーズの写真集なども出して精力的な活動をしている有名写
 真家なのであるが、彼が東京の子供を被写体にした写真集を出したらしい(「東京
 の子供」ホンマタカシ写真集・`01.11下旬)。
 らしい、というのはまだ現物を見ていないからなのだが、広告があったからもう
 発売されているのだろう。
 その紹介写真の10枚ていどの写真を見てあるショックを受けた。
 無機質で目がうつろな子供たち。
 それぞれの被写体である子供たちの写真から生や動を感じない。
 彼のテーマとしてあげる一つの「無機質な都会的な」というあたりなのだろうが、
 被写体である子供がまったく生きていないような、そう、夢も希望もないような
 精を吸い取られた抜け殻のようにで写っていた。
 また、ゲームに夢中でこちらの存在を気がつかないような「人間関係」を拒絶し
 た感のある写真群。
 全部を見たわけではないから、はっきりしたことは言えないけれど赤の他人であ
 る子供をただ撮っただけの感がある。
 盗み撮りとまでは行かなくて、それでいて声をかけているようでもなくて。
 この微妙な被写体との関係。
 子供の好き嫌いからの視点ではなく、物としての子供を撮っているような写真だ
 った。
 それが狙いなのかもしれないが、これらの写真を無名の写真家が撮ることが出来
 たろうか?
 いや、およそ無名でもプロと名の付く写真家ならば撮れない写真技術ではない。
 それよりは、撮ったあとどうすんの?というあたりの違いかもしれない。
 あれは、印刷媒体に発表されなければ意味のない写真のように思えた。
 木村伊兵衛賞受賞写真家ホンマタカシでなければ、買わない写真かもしれなかっ
 た。
 とても、あの写真で安らぎや幸福を買えるとは思えず、どちらかといえば告発本
 のような感じがした。
 それらの写真は私が考えている子供写真の両対局(XY軸)とは違い、Z軸にある
 写真のように思う。
 それはそれで私は興味を持ってしまったので、どこかであの写真集を手に入れた
 いと思っている(新宿紀伊国屋にもなかった…)。
 …しかし、見本を見る限り持ち続けることはないだろう…私にとってはそういう
 写真なのである。
 (これは、私の主観である。製品を見たら変わるかもしれない。ホンマタカシファ
 ンの人は、どう思っているんだろう?)



4.別件

 先々週、アフガニスタンから友人のカメラマンが帰ってきた。
 アフガンの記事が、情報として新鮮みがなくなったため正月に現地で起こってい
 た内部抗争やアルカイダ兵の病院立てこもりなどを取材撮影してきた彼の原稿を、
 買ってくれる出版社がなくなってきたと電話があった。
 アメリカが情報を規制したために現地では、一般の取材陣も入れないようなとこ
 ろを彼は入っていき、CNNなどの大手マスコミを出し抜くスクープを持ってい
 たのだが、その記事を日本のマスメディアはアメリカの情報報復を恐れてどこも
 買ってくれないと言うことだった。
 アメリカの都合の悪い報道は、事前審査で規制されている(以外と日本人は知ら
 ない)。
 そして、結局興味を持ってくれたのは、カタールのアルジャジーラ放送局であっ
 たという。
 そう、ご存じビンラディンの映像を入手した中東のCNNである。
 彼が、そこに記事を売ったのかどうかまでは聞いていないが(ギャラが日本円に
 直すと数万円にしかならないらしいので悩んでいた)、もはや日本とアメリカで
 流れているニュースでは、現地で起こっている本当のことは報道されていない。
 多くのジャーナリストがフランスやスペインなどの通信社の配信記事を読まなく
 てはならなくなってきていることを感じてきている。
 それだけ、現地の情報が現地のアメリカ軍によって得られにくくなっているので
 ある(前線への報道者規制など)。
 彼は、私にどこかいいところを知らないかというので、フランスとドイツのとあ
 る通信社はどうか、と伝えた。
 先週末、彼はまたアフガンに旅だっていったが、彼が撮ってきた記事が紙面に載
 る媒体は、飽きっぽい国民性と同調した出版社にはもはやないのである。
 ちなみに、彼が入国するにあたってのビザ申請には、多くのブローカーが介入す
 る。
 大使館も特定のブローカーだけを信用して、そのブローカーからの申請者でない
 と許可をしないという特権を与えている。
 そして、大使館とブローカーは、その見返りに多くの手数料を得るのであるが、
 それは旧ソ連加盟諸国の公然の秘密であることが多い。
 (それを聞いて、日本の外務省のお役人も外国でそういうことをやって私腹を肥
 やしてくるのではないかと疑ったりした)
 パキスタンからアフガンに入国して、各地域に入る毎に通行料を兵器を持った北
 部同盟の兵士にせびられ、とても武装兵と一緒に移動しないと安全ではないとい
 う。
 カブールに着くとフリーである彼は、テレビに出ていた作家やジャーナリストの
 ように安全な国連施設やNGO施設ではなく、一泊50ドルのボロホテルに泊ま
 って取材をするのである(外国人向けの値段なのだ)。
 記事になったほとんどのギャラが経費となって消えてゆく。
 日本の多くのマスメディアがそのフリーランスのカメラマンなどが見つけた情報
 を安く買い、おいしい情報だけを自社スタッフが探したかのように有名ジャーナ
 リストと一緒に放送している(キャスターも作家も行っていましたねぇ)。
 それでも、彼は次の情報源へと撮影しに向かっていくのである。
 彼が見つけて放送されたものを実は多くの人が夕方のTVニュースで見ている。
 しかし、彼が手にしたギャランティーは、10月以来45万円程度である。
 世界では、スクープになった写真が一枚で数千万円もするのに…。
 日本のフリーランス報道カメラマンの命の値段は、世界の報道カメラマンの中で
 下から数えた方が早いくらい低いのである。
 理由は、簡単。
 組織人ではないから、有名ではないから、である。

 私は、根性もないのでとても出来ない仕事です。はい。


(おわり)



●32歳モテない男の現代思考
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