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Guam在住の36歳・男・独身の小一郎が「何でこんな国なんだ」〜「身近なHな話し」のことまでノンフィクションで語っていきます。




32歳モテない男の現代思考

発行日: 2001/7/20

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                             2001/7/19
             32歳モテない男の現代思考          
                      第三十三回・フェチズム

     32歳独身男性が何故独身のままなのか。謎を解明して下さい。

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1.なりゆきが普通

 カメラマンになりたい、と言って専門学校や大学を出て実際に成れた人はどれく
 らいいただろう?
 卒業してすぐにどこかのスタジオや出版社などに勤めているのが普通だろう。
 そして、ある力が外部からかからない限り、独立してやっていけないこともその
 あたりになって気がつくらしい。
 「ある力」とは、人脈であったり、ある種のチャンスであったり、ひょんなきっ
 かけであったりするのだが、それらは、掴もうと思っていてもなかなかつかめる
 ものではなく、不公平極まりない「巡り合わせ」みたいなものである。
 かくいう私は、三番目のひょんなきっかけであった。
 十代の後半、当時やや流行が終わりかけていたミニFM局のDJをやっていた頃、
 池袋にあった編集プロダクション(以下編プロ)の代表がゲストとして招かれていた。
 バブル当時は、編プロと言っても大手のアウトソーシング的なものだけではなく、
 「エロ本系素人専門」や「風俗専門」などの怪しいけど絶対採算のとれる編プロ
 も多かった。
 その編プロ代表もどちらかといえば「エロ系」が専門で、番組の中でもきわどい
 話しを噴出していたのだった。
 当時、AFのカメラが出で間もない頃で、撮影の様子などの話しに「便利になっ
 た世の中だよぉ」なんて落ちがあった。
 趣味の写真をKマウントマニュアルカメラの「コシナ」を使っていた僕としては、
 そのあたりの話しに興味があったのか、写真撮影に関して突っ込んだ質問をした
 ようだった。
 代表の方との話しも盛り上がり、僕の個人的な会話のトーンのもって行き方に感
 心したようで「君なら女の子と話しながらガンガン撮れるよ〜」なんて妙におだ
 てられて、一度編プロに伺う話にまとまってしまった。
 その後、スタッフの友達や少なかったリスナーから「あの話のあと、どうなった
 んだぁ?」と言う声がしばらく続いた。



2.こんなんでいいの?

 はじめての撮影は、街行く女の子をライターさんがナンパして口説き、上着を持
 ち上げさせてブラを含めた胸を撮るものだった。
 フィルムは、ネガでもちろん一発撮り。
 ライターさんもいくらかの金額を使えるようなので「これは」と思った女の子な
 のにガードが堅い場合、少々の現金を掴ませる。
 五千円札か一万円札。
 まず、ぐずっている女の子は「諭吉」を出せば大抵が脱いだ。
 一万円出しても脱がない子は、五万円出しても脱がない。
 雰囲気的に「絶対だめっ」というオーラが出ているのだ。
 逆に「絶対落とせる」とライターさんがふんだ女の子は、その通りになって二千
 円程度の謝礼を受け取るだけで喜んだ。
 正直なところ、渋谷、原宿、青山、高田馬場、三軒茶屋、と学生の多いところに
 行くほど「こんなんでいいの?」と思ってしまうことが多かった。
 十代の後半には、かなり刺激的だった。
 撮影の内容も「肌が見えている」ということに意味があって、背景の処理や光の
 加減などといった気の使い方は、無駄な時間を使うものでしかなかった。
 上がりのプリントを見た段階で、現代のにゃんにゃん写真に通じる猥褻さだけを
 残す素人写真と何ら変わらなかった。
 撮影に特に気苦労もなかった、そんな写真を生産しただけで一日二万とか三万に
 なった。
 割り切ってしまえば、とても楽しかった。
 お金は、コシナからペンタックス、そして、ニコンへとつぎ込まれていった。
 しかし、こんなんでいいの?と上がりの写真を見るたび思った。



3.風俗誌

 今でこそ「アラーキー」氏がかなりな猥褻ものを印刷物に堂々と載せているが、
 当時は、まだヘアの解禁すら裁判になっていた頃で、後に加納典明氏が売名行為
 のように猥褻写真を出して警察に捕まって吠えていた頃である。
 素人ではなく、プロの女の子たちであれば割合警察もうるさくないのだというこ
 とが暗黙の了解的なものがあったようだった。
 すなわち、風俗誌は、ギリギリまで「商売の宣伝ですから」という言い訳じみた
 ものがあったからかも知れない。
 それに「四課、五課」や「地域課」の出身OBを業界団体の協会に迎えていたか
 ら、完全な違法行為でなければお咎めがなかったのかも知れない。
 そんなわけでその編プロから一般紙の下請けだけではなく「擬似行為」としての
 エッチなシーンを紹介記事のように撮影したり、グラビアアイドルのように撮影
 したり、まぁ、今でも残っている風俗誌のセオリーを仕事としてこなしていた。
 もちろん、ただ券や割引サービス券なども貰ったし、お誘いがあったこともあっ
 た。
 しかし、そういう明け透けなというか、恥じらいのない欲望丸出しの「生な人間」
 を見せられ続けると厭世的な気分になってくるのだ。
 半年ほどしたころ、その子らの撮影の時は、きっとつまらなそうな顔をしていた
 に違いない。
 なにしろ若くして自分の年齢から見た対象年齢の女の子たちを見ても勃たなくな
 ってしまうのだから。
 仮に、世の男性諸君が十代後半から二十代の女性たちに羞恥を含む求める色気を
 持たないと思ったとき、さらに下の世代にプラトニック的なものを求めていった
 としても(世は、それをロリコンと言うが)気持ちが分からないでもなかった。
 しばらく、現金な若い女の子たちを見るのが嫌になった。
 そして、8ヶ月号分の撮影を最後にその編プロと手を切った。



4.フェチに走る

 H系の本をやっていたという実力の評価は、次の仕事を紹介して貰うときに伝わる。
 一般の旅行取材ものの写真や人物のポートレートの他に、たぁまにH系の仕事が入
 った。
 以前とは違って、H系の仕事が無くてもやっていけたので「僕の写真が気に入らな
 ければ結構です」と強気に出ていた写真を撮影していた。
 それは、どうしても僕のフェチが出ているのだ。
 細くて長い指先のアップや、ローアングルから迫るうなじ、引き締まったふくらは
 ぎのコントラストをつけたもの、上向きにさせたあごのライン、裾から覗かせる副
 乳、裾野の肌をマクロで切り取るなど、およそ芸術写真ぽい、かつ、色気を出した
 つもりのものを露骨なカットの間に撮影した。
 はたしてそれは、女性編集者の目には評判が良かったのだが、所詮は男性誌のもの
 である。
 「こんなの抜けないよー」の一言で使われなく葬られるカットとなってしまった。
 「必要なのは、抜ける写真。芸術なんてエロには要らないの、解る?」と。
 現代ならば、フェチズムだけの雑誌があるから(足フェチとか専門雑誌があるんだ
 なぁ……凄いぞ、ある意味)「おかしい?」とか反対に聞かれてしまうかも知れな
 いけれど、バブルの全盛は「なにいってんだぁ?」ってなものだった。
 それでも、必要なカットの他にそんな「フェチ系」の写真もおさえて編集者に提
 示した。
 それは、最後まで理解されることなく何回もボツであった。



5.生なエロを避けた原因

 どうしても生々しいものが嫌だった。
 綺麗なものであって欲しいと思っていたのだと思う。
 しかし、人間の生物としての行為そのものが、はたして綺麗なものであるかどう
 かを考えれば、それこそ綺麗事を言っていることと同じなんだろう。
 日本では、性教育で行為そのものや出産シーンを見せたりはしない。
 先進国の中には、拒否反応が起きないように成人になる前に詳しく教育するとこ
 ろもあると聞く。
 それと共通点があって、どこまでも幻想の部分しか頭の中になく、故に「こうい
 うものだ」みたいに綺麗な幻想を綺麗事の情報として過去に与えられ続けられた
 結果であると思う。
 僕らが思春期を育った環境にあまりにもリアルな性教育は、一つもなかったと思
 う。
 むしろ、アニメーションや雑誌などの一つか二つ生々しい現実から引いたところ
 で表現したものを与えられていた。
 だからではないだろうか?
 出産に立ち会った男性の何人かは、しばらく立ち直れないくらいのEDにかかる
 ことがある。
 生々しさになれてしまっていた「不良少年」だった奴の方が、そういうものに上
 手に対処できていたみたいだった。
 「不良少年」ではなかった僕には、十代後半の仕事現場は、凄く生々しくてべた
 ついた人間たちとのセッションと感じた。
 外側の表面で見た表情と、その時の心の訴えが全く別物に見えたそれは、業の深
 いものを見たというのか旨い言葉が今でも見つからない。
 だからなのか、生々しく迫ってくる全裸よりも一枚ベールのある「見えない秘密」
 がある方が色っぽいと感じるのである。
 それは、実は子供っぽいのかも知れないが、そこからの想像があるからこそ良い
 のではないだろうか。



(おわり)


 カメラマンの世界で質問等あれば、話しに絡めて回答できる範囲でお答え
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