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31歳モテない男の現代思考
発行日: 2001/1/26■―――――――――――――――――――――――――――――――――――■
2001/1/25
31歳モテない男の現代思考
第十八回・生への執着
31歳独身男性が何故独身のままなのか。謎を解明して下さい。
■―――――――――――――――――――――――――――――――――――■
1.死と戦う姿
NHK−TVで手術の難しいと言われる心臓疾患を抱える患者と医者のドキュメ
ント番組があった。
何気なく見ていたのだけれど、心臓手術は正に「命を懸ける」らしいことは解っ
た。
しかし、反面「何故そんなにしてまで生きたいのか?」という動機がじっくりと
語られることはなかった。
日本の風習なのかなんなのか知らんが「察しろ」と言うことだろう。
確かにどことなくパートナー以上の相方が家族としていた。
それで、「生きたいのだ」という理由がわからないでもない。
番組の主旨としては、それで十分なのだろう。
むしろ、家族が大事だからとか連れ合いと一緒にいたいからとか言う甘っちょろ
い部分を出さず、「死」を覚悟でそれでも生きる希望を捨てないでいるところに
こそスポットを当てたいのだろう。
いい番組だった、と思う。
2.あるべき姿
「生きる」いや、「生き延びる」という可能性に懸ける姿は、こちらに訴えるも
のがあった。
「生への執着」というのか「必死さ」みたいなものの感動である。
そして、そこまで「生きたい」と思う環境が羨ましいと思った。
何がそうさせているのかは、ほのかに解らないでもない。
が、しかし、私にはないものであることは明確だったし、明確だったからこそ淋
しくもあった。
人は、人に認められ、人に慕われ、人に愛され、人に必要とされていて始めて人
である。
夢を追いかけていても、誰かが気にしてくれていれば萎えることなく追い続けて
いられるらしい。
誰も気にしない、誰も期待しない、誰も必要としていない、誰も愛してない、誰
も認めてないとすれば、生きたいと思うのだろうか。
夢を追いかけて生きている者に現実しか突き付けてこない相手しかいなければ、
続けられるだろうか。
なぁに、甘いと言えば甘いのだ。
それを乗り越えてこそ真の人間として強くなれる……などとどっかの無責任啓発
セミナーよろしく言うのは容易い。
現実問題として「生きる希望を持たせてくれる」環境にいられることがすでに幸
せなのだ。
「生きる希望を持たせない」環境から脱出しなければならない人の前者との公平
さはない。
テレビを見てフッとよぎったのは、その「生きる希望を持たせない」ところに住
んでいる多くの人は?と思ったことだった。
3.多少の昔
昔、絶望的に苛まれた時代が私にはあった。
それは、二三年をかけてボディーブローのようにじわりじわりと苦しめてくれた。
出版社のお偉いさんのご子息がカメラマンになったので担当誌を「交代」させら
れたことに始まり、懇意にしていた編集者が次々と辞めて人脈が無くなったと同
時に仕事が細り、頼りの広告代理店が潰れ、借金の肩負いをさせられ、彼女は年
収のいいFMラジオのディレクターへ鞍替えして去り、復活とばかり新規事業を
興すもすぐに銀行に資金難にされ乗っ取られたりと些細なことをあげれば書きき
れないくらいあった。
ほんの数年の内にいろんな悪人に出逢った。
その悪人達は、社会的地位のある人ばかりでとても太刀打ちできなかった。
反逆を試みたこともいくつかあったけれど、抹殺された。
仲間と思っていた者も不利を悟ると自分可愛さに私との縁を切って彼らにすり寄
っていった。
そして、誰もいなくなった。
かくて私は、誰も信じられなくなったのである。
そんなときに「生きたい」などとは思わなかった。
「必要」とされていないならいつでもばっさりと切って下さいな、と投げやりだ
った。
態度がでかくなったのもこのころからかも知れない(笑)。
悪魔に魂を売ったのもこのころかも知れない。
金がすべての資本主義の中で、自分の名前にこだわらず「写真」が「金」に換わ
ってくれたら良くなった。
昔から才能を見る目がこの国にはないのだ、そう感じていたし、必要とされたの
は「私」ではなく「誰でもいい」都合のいい金を稼いでくれる人だった。
だから、有名人の名前で私の写真が出ることにもなんの抵抗もなくなった。
自殺などする気にもならなかったのは、まだ「自分を信じて」いたからだろう。
多少屈折して「多大なる認知を受けたら、過去認めなかった者を抹殺してやるぜ」
となってますけど……(笑)。
4.優しき不運者
それから数年、「生きる希望を与えられない」社会的弱者と言う言葉でくくられ
る資本主義の負者に写真の焦点を当てるようになった。
なった、というとさも「写真を撮っている」ようだが、実は違う。
撮らせてもらうことが出来ないことの方が多い。
世間に出ると言うことに凄い抵抗があるのだ。
努力をしなかった者として誤解して受け取られるのが嫌だという。
その立場に追いやった者は、ぬくぬくと美味しい思いをしているのに努力した者
は報われない。
そういった意見が多くて、とても「写真を撮る」と言うところまで心を開いてく
れない。
おまけに、私の名前が売れているわけじゃないから「俺を利用しようとしている
のではないか」と思われるようなのだ(かつて、週刊誌でそれをやったのが何人か
いたし……ね、某くん・笑)。
それだけ「人間不信」になっている。
心の中の「正義」が吠えるのだが、国会議員にでもならなければこの声は届かな
い。
多くの「希望を持たせてもらえない」生きているだけの人々に、このテレビ番組
を見て感動するのかどうか。
しかし、気の優しいその弱者達は「代われたら代わってやるのにな」と答えるの
だろう。
たぶん、その悲惨な時代の頃にその番組を見ていたなら同じ思いである。
厭世的意気消沈。
やる気はおきないのだけれど一生懸命の人には「がんばれよ」と応援するだろう。
まるで自分の分までがんばってくれと言った感じの応援のように思う。
5.切り開く必要のある未来
今では、そういった人にスポットを当てるのを中断している。
この暗い時代にどこを捜してもそんな人たちしかファインダーに写らなくなって
きた。
それだけ不景気が年々深刻になってきたと言うことなのだけど、当たり前な情景
は切なさを通り過ぎて厭世を生む。
厭世的な人たちに厭世的なメッセージでは、意味がないと感じたからだ(今の馬鹿
な政治家には、それを見せなければならないが自己中心幸福主義者の彼らは目も
くれないだろう)。
今の時代は、がむしゃらに「猪突猛進」に突き進んでいくパワーあるものを撮し
た写真をメッセージとしなければと思う。
「打破」というか、今をぶち壊してくれるメッセージ。
それをこの世のマスコミ連中が採用するかどうかは解らないけれど、たぶん、国
民全体の意識の下に、全然違う政治経済の統治形態を望んでいるのではないでし
ょうか。
私は、希望を持つことが出来てはじめて明るい国になるのではないかと思ってる。
そして、希望を持ち続けることが出来るからこそ「生きること、やりたいことへ
の執着」が生まれて経済も活性化するのではないか、……なぁと思っている。
(終わり)
●31歳モテない男の現代思考
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