Guam在住の36歳・男・独身の小一郎が「何でこんな国なんだ」〜「身近なHな話し」のことまでノンフィクションで語っていきます。
- 最新号:2006-05-18
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31歳モテない男の現代思考
発行日: 2000/11/3■―――――――――――――――――――――――――――――――――――■
2000/11/2
31歳モテない男の現代思考
第八回・女性カメラマン
31歳独身男性が何故独身のままなのか。謎を解明して下さい。
■―――――――――――――――――――――――――――――――――――■
1.女性フリーランスカメラマン
出逢いは、さほど不思議なことではない。
ただ、その出逢いが双方にとってプラスに働くのかマイナスに働くのかの作用が
ある。
プラスなら今後も出逢う回数を増やそうと努力する。
マイナスならそのまま一期一会である。
僕にとって、その女性カメラマンは別段気にするほどの人ではなかった。
まぁ、美人だったことを除いては。
仕事上のつき合いで自然と話しはする。
しかし、お互いのプライベートのことなど全くと言っていいほど話さなかった。
それに、話す必要がなかった。
それなのにプライベートを話すようになったのは、僕が現地妻を沢山持っている
子持ちの怪しいカメラマンだと取引会社の中で噂しているという話しを聞いてか
らだ。
事務所数三つ、それも各地方に散らばっている住所が書いてある名刺を見れば、
どうもそう思うらしい。
しかも、見た目より落ち着いて見えるから困ったものだ。
かみさんがいて子供がいるだろう……、的な発想を持ったらしい。
至って独身なのに……。
そこで、弁明ではないが、誤解は解かねばならない。
自然、「じゃ、どっかで飯でも」ってことになった。
つき合いは、そのあたりからはじまった。
2.彼氏
何回目かに逢ったとき、彼女のプライベートを訊いた。
彼氏の存在は多分いるだろうなと思っていたので、別に気にもならなかったが、
結婚式をする数ヶ月前と訊いて驚いた。
そして、それをご破算にしようかと考えているところだ、とも語った。
訳を聞くと価値観の違いが開いてしまったらしいのである。
彼女は、彼とつき合って数年の後、海外留学して日本に帰ってきた。
留学自体が、彼を待たせることにもなったので、彼は帰ってきたらすぐにでも結
婚するつもりだったらしい。
しかし、いざ戻ってきてみて感じたことは、彼のあまりの視野の狭さと小さい人
物像に幻滅したことだった。
日本の中小企業で働くサラリーマンなどに夢など語れないし、何とかしてやろう
という気概もない。
自分は、こんな人物と一生過ごせるのだろうかと不安を持ったらしい。
自分は、いろんなことに興味があって、あれこれと勉強したり体験したいのにそ
れを彼が理解できない。
そんなことをして何になる、と言う態度なのである。
やってみなくては解らないし、行動したいと思う彼女に、彼は、うちに閉じこも
って家事などをこなして俺を支えてくれと言う昔の日本人タイプなのだ。
それ以外にも価値観の弊害がでていて、もう一緒になど住めないと言う。
そう言っていたのを僕は、お互いの距離が離れすぎたのは、一緒にいなかった時
間のせいだとしてお互いの離れていた時間の経験を少しづつ話すべきだと言った。
どうしても、アメリカナイズされた彼女と純日本サラリーマンの彼の間には、価
値観の隔たりがある。
それを埋める作業を離れた時間と同じかそれ以上に費やす必要がある、と伝えた
のだ。
それに、彼女は納得したらしく考え方を改めて結婚に踏ん切りをつけました、と
連絡があった。
気長に相互の理解を深めるという難しい怒力をしていくのだろう。
3.小悪魔
彼女は、小悪魔的なタイプの魅力ある女性である。
彼氏としては、これ以上、他人に魅力的にうつる女性には変わって欲しくないので
ある。
裏返せば、彼氏自身が彼女を引き留めておくだけの魅力に乏しく、かつ、自信が
ないのである。
同姓として、気持ちは分かる。
特にサラリーマンにとって、女房もしくは、その予定者に去って行かれることほ
ど情けない評価はないのである。
プライドだけで続けなければならない不思議な関係。
それを良しとしない彼女は、女性としては当たり前でもある。
あとは、お互いの気持ち次第なのでどうこう言えない。
ポジティブな彼女は、その微妙な感覚も楽しめそうだ、と結婚を決めたらしい。
単身で、中東に撮影に行ってしまうくらいの彼女だから、そのあたりはまっしぐ
らの勢いなのだろう。
僕は、そんなポジティブな彼女に出逢った頃から好感を持っていた。
それから何度かの話しのうちに経歴を話した。
彼女は、つき合っていた彼を日本に置いて「写真」と「英語」を学びにアメリカ
へ留学した。
スクールでの勉強の後、一流写真家に弟子入りし、気に入られ日本での仕事も紹
介してもらうかたちで帰国した。
その紹介は、日本で名だたる写真家を網羅し、どこへ行ってもやっていけるだけ
の人脈を保証されたものだった。
それなのに、彼女は年齢的に「結婚して子供を作っておきたい」と女性らしいこ
とを思ってもいたので、それをそのままに実家へ帰ってきてしまった。
そして、数年間ほったらかされた彼氏も人が良く「じゃ、結婚しよう」という流
れになったらしい。
なにしろ、留学ですべてを使ってきているからお金がない。
東京に出て何とかしてみたいが、お金のために他のことをするならしばらく実家
でお金を貯めようかと思ったし、経済力のある彼もある意味では魅力的だったと
いう。
案外、そのころは、彼に対する気持ちも冷めていたみたいだった。
その後、更に話しているうちに、非常に選択を誤った気がしてならなかった。
すなわち、彼との結婚を辞めようとしていたものを取りなしてしまったお陰で、
僕が彼女をゲットするチャンスを自ら潰してしまったのだ、と言うことである。
僕がわざわざ四国高松まで、たとえ他に用事があったとしても二時間もかけて彼
女と会うと言うこと事態、自分の中にも彼女に逢いたいという気持ちがあるわけ
である。
もっとも、チャンスがあったところで恋の成就があるわけではないので、振られ
て全く会わなくなるよりは、いいかなどとポジティブ(?)に考えたりもする。
実は、発行が遅れた今日、彼女と遅くまで飲んだのだった。
ムードのいいカクテルバーで益々魅力的に見えてしまったので、非常に損をした
気分になっていた。
損をした気分を持っていると、ついネガティブに物事を考えてしまう。
自分のことというのはなかなか冷静に考えられない。
それを知っているのか知らないのか、目の前の彼女は「好きだと思ったら人なら
他人から奪っても一緒になりたい」などと挑発的発言もする。
出来ることならこのまま連れて帰ってしまいたかった。
4.恋の倫理
「僕には、それがどうしてもできない」と言った。
僕には、まだ関係の切れていない者から相手を奪うということに「信義に反する」
という気持ちが働く。
「背任」と言った方が近いか。
どうしたって、ほんの少しであれ、二股状態というか、三角関係ができあがって
しまう。
それが、たとえ「気持ちの上では終わった関係ですから」などと言わ
れてもすんなり「それならつき合いましょう」になれない。
損な性格だと思う。
そして、彼女にもそれは言われた。
まじめすぎる……と。
しかし、しっかりと相手がフリーな状態でなければ、必ず悲しむ者が出てきてし
まう。
過去、アタックしてふられただけならまだしも、つき合って数ヶ月のち「もっと
いい男見つけた」といって去られた方が辛かった経験が働いているのかも知れない。
相手の気持ちに立ってみたなら、とうてい出来ない恋愛の方法だった。
ただ、彼女は不倫さえも辞さない行動派だった。
僕の気持ちの中ではとうてい受け入れられない行動をとる人なのに、それはそれ
で惹かれた。
彼女は、結婚の後、彼と新居に引っ越しをする。
四国を離れるというので、心の中でもう逢わないようにしようと思った。
例え彼女の恋の対象外でも逢えば、僕にまた良からぬ気持ちが持ち上がってしま
いそうだからだ。
もう、好きにならないように逢わないことにする、それは僕の倫理上の防衛策で
もあり、恋に臆病で気弱な情けない一面でもある。
今夜は、複雑な気持ちなのである……。
(終わり)
●31歳モテない男の現代思考
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