Guam在住の36歳・男・独身の小一郎が「何でこんな国なんだ」〜「身近なHな話し」のことまでノンフィクションで語っていきます。
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31歳モテない男の現代思考
発行日: 2000/10/26■―――――――――――――――――――――――――――――――――――■
2000/10/26
31歳モテない男の現代思考
第七回・方向性の打診
31歳独身男性が何故独身のままなのか。謎を解明して下さい。
■―――――――――――――――――――――――――――――――――――■
1.主流の転換
今年の六月から東京へ上京しての仕事が増えた。
営業努力というと聞こえがいいが、本来したい仕事が増えたわけではない。
徳島で細々とやっていた「学校写真」という部類の仕事。
普通、写真館などが空いている時間を見繕って撮影し、アルバムなんかを作って
いる。
それを見ていて「つまんねぇ仕事」と思っていたのだが、徳島でひょんなことか
らアルバム作りに携わることになったので、赤字覚悟でめちゃめちゃこだわった。
全国誌に写真を出している手前、みっともないものは作れなかった。
それを知っていたカメラマン仲間が、何を気に入ったのか東京でもやってくれな
いかとお誘いをしてくれたのだ。
出版社や広告代理店などの花形写真産業が斜陽していく中で、かの「学校写真」
は元気だ。
地方は、そうでもないのだが首都圏では、写真館などではなく「学校写真専業会
社」が多々ある。
そんなにも「お金」になるらしい。
大抵の社長さんは、営業に行く学校に軽自動車を乗っていき、普段は高級外車を
乗っている。
儲かっていると思われないためだ。
何を気に入ったのか知らないが、そんな社長さんや関係者とお近づきになったの
は、仕事が増えたと言うことではありがたいことだ。
2.関東進出
東京方面を再度攻略すべく作品を持って営業にまわることにした。
四国でどんなに仕事が出来たって、東京で通用するのかどうかが焦点だった。
そのために十月に入って関東地方に事務所を借りた。
東京都内にしたかったのだけれど、家賃が高すぎて話しにならない。
山手線から三十分程度の時間を我慢して、埼玉県内に借りた。
通勤ラッシュの埼玉都民がいっぱいいる街だ。
ここから電車に乗って営業を開始した。
ところが、どこへ行っても作品すら見てくれない。
カメラマン仲間は「出版社なんてそんなものだ」などと昔の若かりし頃を思い出
して言う。
しかし、そこで話している仲間であるカメラマンは、何らかの形で作品を見ても
らったのであり、見てもらっていなければそこでその仕事をしていないのである。
そういう意味では、持ち込みの営業は運なんだなぁ……、と再確認した。
そう、十九の時にいろいろと持ち込んだ出版社やプロダクション。
バブルの時だって結構冷たかったものですよ(それでも仕事にありつけたけど)。
そして、大不況の中。
「カメラマンならうちは余ってるからさ」
「うちは、デジタルに代えたからもう使ってない」
「外の人は使ってないんだ」
等々、いやぁ、厳しいものです。
中には、名刺交換の時に「あぁ、埼玉ですかぁ、遠いですね。うちは近くの人に
頼みたいんで……」
って本郷近辺なんて借りられないぞっ高くって!!!
昔、使ってくれたことのある編集者を訪ねたりもした。
「あれ?帰ってきたのぉ」と歓迎してくれたのは一人だけだった。
他につき合いのあった担当さんや仕事仲間だった人は、辞めていたり、行方が解
らなかったり、部署替えのリストラ中だったりで力になってくれませんかとは、
言える状態じゃなかった。
ただ一人のその人すら「文庫に移ったんだ……」
写真を使わない編集部。
「紹介もちょっと出来るほどじゃなくなったんだ」
と派閥負け組の彼は、申し訳なさそうに行った。
そして、バブル期に一緒に仕事をしていた人たちとの繋がりは、全部切れていた
ことに改めて驚いた。
3.最後のメディア
基本的にカメラマンの意識の中に「紙面のメディア」に使ってもらっているうち
が「カメラマン」であるギリギリのラインじゃないだろうか。
学校写真だけのカメラマンや、写真館のカメラマン、広告代理店の社内カメラマ
ンや、ブライダルカメラマン、みなもちろんカメラマンなのだけど、それぞれが
意識の中で「紙面メディア」を意識しないことはないだろう。
ある意味で、たった一誌でも印刷されているものとして不特定多数に見られるも
のとして撮影しているなら「カメラマン」として誇っているに違いない。(単純な
ことだが、紙面を活躍するカメラマンが学校写真やブライダル写真を撮るのはす
ぐに仕事が見つかるだろうが、その逆は、限られたパイを争うのだから難しい。
写真を使う雑誌の数と写真屋がどっちが多いか調べれば済むことだ)。
そしてそれは、この日本社会の中でカメラメーカーが「プロ」として認めて「プ
ロサービス」を受け付けるか否かを決める基準にもなっているからだ。
すなわち、不特定多数が見るの印刷媒体に使われているカメラマンとして証明で
きないとプロサービスに登録できないということだ。
僕にとって、その「たった一誌でも」の最後の一誌が休刊した。
再刊の予定はない。
もはや「グラフ(写真主体の雑誌の一般名称)」の時代ではないと知っていても何
とかならないかとおもう。
地方の時代ともてはやされたけれど、地方にいると東京からの仕事はどんどん減
る。
毎月のものがスポットへ、そして、スポットはライブラリー写真へと移り、酷く
なると過去に使った写真がどんどん使われる。
所詮地方は、消費地でしかない。
情報を生産するのは、東京でなければ担えないことが明らかだった。
僕も若かった。
いや、まだ若い。
最後のメディアが終われば「こういうものを撮っています」と見せられる本がな
くなる。
それが最後の抵抗だとしてもやれるだけやってみようと思っている。
まだまだ、若い者には負けたくありませんから。
4.地方自治の幻想
今から十年前、まだバブルの頃。
これからは、地方の時代などといって一億円をばらまいたり土木工事をがんがん
やった。
そのお金は、すべて借金だったので今頃につけが来たのだろう。
いま、地方自治に広告を作る力はない。
皆、東京から代理店が営業に来て、東京からカメラマンが地方に来て撮影して、
印刷も東京で行われる。
気がついたら選挙ポスターや、自治体の広報ポスターの仕事まで東京からカメラ
マンが来る。
何もできない地方。
こと情報や広告というメディアに限っては、あの大阪ですらガタガタである。
資本主義は、一番しか潤わないようになっている。
だから、二番の大阪も苦しい。
だれ?KDDIの「二番が楽しい」なんて言っている人は。
KDDが残っていたのは、国際電話独占企業だったから。
KDDIは、まだどこかと合併すると思うのは僕だけ?
生命保険は、日本生命しか残らない、そう思っているのは僕だけ?
東京の力を一番に再発見したのは、多分石原慎太郎だと思うのも僕だけ?
(終わり)
●31歳モテない男の現代思考
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