>> 記事トピックス一覧 
トップ > アート&カルチャー > 文学 > 高尾だより◇名詩への誘い

世界の名詩・日本の名詩に、そこから想い浮かんだ小さなお話などを添えてお届けしています。日曜の朝の楽しみにどうぞ。




◆高尾だより第2号/リルケ「進歩」

発行日: 2008/5/18


 
   おはようございます。

   本日もお読みいただきまして、ありがとうございます。

   今週は、ドイツの詩人リルケの詩をお届けいたします。

   〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜

   家の近くの林を小川が流れています。

   先日、その川沿いの小道を歩いていると、 

   水面すれすれに飛んでゆく何かの影が目に入りました。

   立ち止まって目をこらすと、キセキレイのようです。

   ピンとした尾をしきりに上下に振りながら、

   水面で何かついばんでは、近くの石に飛び移ります。

   しばらく、そのようすをじっと眺めていました。

   川水は、快い、ゆたかな音を立てて流れてゆきます。

   流れと、小鳥と、いつしか世界はそれだけになってしまい、

   心は小鳥といっしょに川面を飛び移り、飛び移り……。



   そのとき、リルケの詩の一節が心に浮かんできました。

   

 ◆ 今 週 の 詩──────────────────……‥‥ 

        リ ル ケ 「進 歩」 

   ───────────────────────────── 


   ふたたび私の深い生命は声高くざわめきだす

   今や、より広やかな渚を行くようだ

   物たちはいっそう私に親しみ

   あらゆる形象はますます目に鮮明になる 

   名のないものと私は親密になる――

   私の感覚は鳥のよう、その翼に乗って

   私はカシの樹から風強き天空へと達し

   池水のとぎれとぎれの光の中へ

   魚の背にあるごとく入り込む

                       (訳:大貫)

   ………………………………………………………………………… 

   Rainer Maria Rilke, "Fortschritt," GEDICHTE (Stuttgart:
   Philipp Reclam, 1997), p.82


 /詩 人 紹 介/ ――――――――――――――――――――――

    ライナー・マリア・リルケ(1875.12.4−1926.12.29)

  ――――――――――――――――――――――――――――― 

  プラハ生まれ。9歳のとき、父母離婚。陸軍学校を経て、19歳で
  処女詩集『いのちと歌』刊行。プラハ大学,ミュンヘン大学,ベ
  ルリン大学で学ぶ。27歳からパリで生活。30−31歳、彫刻家のロ
  ダンの元に、秘書として寄宿。1926年、バラのとげに傷ついたの
  が元で白血病を発症。同年12月29日午前5時、永眠。享年51。

  代表作:『形象詩集』(1902, 1906年),『新詩集』(1907年),
   『マルテの手記』(1911年),『ドゥイノの悲歌』(1923年)

 (参考:ウィキペディア,高安国世訳編『リルケの言葉』彌生書房)


   ――――+――――+――――+――――+――――


   自然の中で、心を放っているとき、

   もしくは、何かを一心に眺めているとき、

   ふだんの意識とは異なる、より深く、広やかな世界に

   意識が招き入れられていることがあります。



   そこには「名前」がなく、脈動する生命があるばかり。

   そこには「分離」がなく、すべてがつながっています。



   鳥や花の名前を覚えることは、相手への親しみを増してくれます。

   けれども、それは人間が勝手に貼り付けた「ラベル」、

   表面的な特徴で分類して、そう呼んでいるにすぎないのですね。

   リルケは別の詩の中で、こうも言っています。 



     私は人びとの言葉を恐れる

     人はすべてをあまりにはっきり言い表す

     これは犬、あれは家

     ここが始まりで、終りはそこだと

     (中 略)

     物たちが歌うのを聴くのが私の喜び

     君らが手を触れると、物は硬くなり、沈黙する 

     君らは物たちをすべて殺してしまう

                (『初期詩集』から,訳:大貫)



   物が名を持たない、物本来の世界に入ってゆくとき

   はじめて、物たちの「歌」が聞こえ、

   始まりも終りもない、無限の天空へも、

   水面にきらめく光の中へも、自由に飛んでゆける。



   リルケの詩は、そんな神秘的な世界感覚を

   象徴的に、ダイレクトに、直感させてくれます。 

  


 ◇ 今 週 の 言 葉 ―――――――――――――――――……

    エックハルト・トール

   『わたしは「いま、この瞬間」を大切に生きます』から
   
   ――――――――――――――――――――――――――――― 


   自然の美しさ、神聖さに気づくためには、

   「いまに在る」ことが、必須条件です。 

    (中 略)

   表面的な美の奥に、それを超越した「なにか」が存在します。

   それは、内に秘められていて、筆舌に尽くしがたく、

   神聖で、本質的なものです。

   ほんとうの美に気づく時には、この内なる本質の輝きが、

   外殻を透過して見えているのです。

   わたしたちが「いまに在る」時だけ、

   万物は「ほんとうの姿」を明かします。
   

   ……………………………………………………………………………

   エックハルト・トール『わたしは「いま、この瞬間」を大切に
   生きます』飯田史彦訳(徳間書店,2003年)pp.66-67

   (原著:Eckhart Tolle, PRACTICING THE POWER OF NOW, 2001)

   ――――+――――+――――+――――+――――+――――

   エックハルト・トール――ドイツ生まれ、カナダ在住。
   著書『Power of Now』(邦訳『さとりをひらくと人生はシンプルで
   楽になる』)は世界的ベストセラーに。
   今年3月〜5月にかけて、近著『A New Earth -- Awakening to
   Your Life's Purpose』のウェブ講義を10回シリーズで行う。

          * * * * *

   上記のウェブ講義は英語ですが、素晴しい内容です。

   60歳とは思えない若い容貌と、軽やかで楽しげな笑い声も印象的でした。

   英語の字幕付き(closed-captioned)でも見られます。

  http://www.oprah.com/obc_classic/webcast/archive/archive_watchnow.jsp
   (Watch A New Earth Web Classes on Oprah.com)



   トール氏の言葉は、明晰で理性的ながら、

   気づきとパワーに満ちています。



 ▼お知らせ――――――――――――――――――――――――――― 

  ミャンマーのサイクロンに関する情報の続報です。 
  地道な支援活動は着実に続けられているようです。
  http://www.worldvision.jp/material/news_0042.html?banner_id=mag

  中国・四川省の大地震の支援状況も見られます。
  http://www.worldvision.jp/news/news_0227.html?banner_id=mag


 ‥‥……――――――――――――――――――――――――――――――

 編 集 後 記

  季節はずれの寒気が去ってゆき、5月らしい薫風がかよう中、

  渓流沿いの小道では、トンボや蝶たちがきらきらと飛び交っています。

  
  ご感想・ご意見など、お便りお待ちしております。

  また、皆さまのお好きな詩も、ぜひお寄せください。

  著作権の許す範囲で、ご紹介させていただきたいと存じます。

  《rie.onuki(at)gmail.com の(at)を@に変えて、ご送信ください。》

  
  それでは、今週も皆さまにとって良い1週間でありますように。

  最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。


 
このメルマガの読者になる
規約 
>> メルマ!の会報誌もお届けします

ブックマーク: はてなブックマークに追加del.icio.usに追加Buzzurlにブックマークニフティクリップに追加ライブドアクリップに追加Yahoo!ブックマークに登録My Yahoo!に追加Add to GoogleRSS

このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます

あゅマガ♪
ブログをいちいち見に来るのがめんどくさい。 ログイン予定が知りたい(きちんと送れるかわからないけど) など 日々思ったこととかをメールに乗せて〜...
月刊KOWAIYO
世界の不思議、都市伝説、ミステリーなどを検証して紹介!
競馬情報のUMAKEN
競馬でお小遣い稼ぎがしたい方へ、競馬情報をお届けしています。競馬を知らないと言う方にも、楽しんで頂ける情報を配信して行きたいと思っております。
ちんみBOX
珍味とおつまみの一般用から業務用まで新商品やお買得情報をお届けします。
潰瘍性大腸炎☆完全克服☆癒しのマニュアル
自ら潰瘍性大腸炎を発症し、西洋医学を頼らずに、治療力を活性することによって完全な健康体を取り戻した、その自然に根差した極意のノウハウと体験談、コラム...


この記事へのコメント


コメントを書く
コメントはありません。

おすすめキャンペーン

■オススメ■銀行系カードローン
三菱東京UFJ銀行系 モビットなら急な出費も安心♪
ネットで24時間申込OK⇒ネットで審査結果表示!
【頼れる】限度額300万円
【おトク】年利9.8%〜18.0%
【便 利】全国提携ATM72,000台
三菱東京UFJ銀行系 モビット

はじめようメルマガ生活
メルマガを読むには
メルマガを出すには
約64000誌から検索

発行者プロフィール

ペンネーム :


このメルマガの読者になる

規約に同意する



このメルマガの最近の記事


このメルマガの最近のコメント

最新のコメントはありません。

新着記事トピックス