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世界の名詩・日本の名詩に、そこから想い浮かんだ小さなお話などを添えてお届けしています。日曜の朝の楽しみにどうぞ。
- 最新号:2008-08-24
- 発行周期:毎週日曜日
- 読んでる人:20人
- 創刊日:2008-05-07
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◆高尾だより第2号/リルケ「進歩」
発行日: 2008/5/18
おはようございます。
本日もお読みいただきまして、ありがとうございます。
今週は、ドイツの詩人リルケの詩をお届けいたします。
〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜
家の近くの林を小川が流れています。
先日、その川沿いの小道を歩いていると、
水面すれすれに飛んでゆく何かの影が目に入りました。
立ち止まって目をこらすと、キセキレイのようです。
ピンとした尾をしきりに上下に振りながら、
水面で何かついばんでは、近くの石に飛び移ります。
しばらく、そのようすをじっと眺めていました。
川水は、快い、ゆたかな音を立てて流れてゆきます。
流れと、小鳥と、いつしか世界はそれだけになってしまい、
心は小鳥といっしょに川面を飛び移り、飛び移り……。
そのとき、リルケの詩の一節が心に浮かんできました。
◆ 今 週 の 詩──────────────────……‥‥
リ ル ケ 「進 歩」
─────────────────────────────
ふたたび私の深い生命は声高くざわめきだす
今や、より広やかな渚を行くようだ
物たちはいっそう私に親しみ
あらゆる形象はますます目に鮮明になる
名のないものと私は親密になる――
私の感覚は鳥のよう、その翼に乗って
私はカシの樹から風強き天空へと達し
池水のとぎれとぎれの光の中へ
魚の背にあるごとく入り込む
(訳:大貫)
…………………………………………………………………………
Rainer Maria Rilke, "Fortschritt," GEDICHTE (Stuttgart:
Philipp Reclam, 1997), p.82
/詩 人 紹 介/ ――――――――――――――――――――――
ライナー・マリア・リルケ(1875.12.4−1926.12.29)
―――――――――――――――――――――――――――――
プラハ生まれ。9歳のとき、父母離婚。陸軍学校を経て、19歳で
処女詩集『いのちと歌』刊行。プラハ大学,ミュンヘン大学,ベ
ルリン大学で学ぶ。27歳からパリで生活。30−31歳、彫刻家のロ
ダンの元に、秘書として寄宿。1926年、バラのとげに傷ついたの
が元で白血病を発症。同年12月29日午前5時、永眠。享年51。
代表作:『形象詩集』(1902, 1906年),『新詩集』(1907年),
『マルテの手記』(1911年),『ドゥイノの悲歌』(1923年)
(参考:ウィキペディア,高安国世訳編『リルケの言葉』彌生書房)
――――+――――+――――+――――+――――
自然の中で、心を放っているとき、
もしくは、何かを一心に眺めているとき、
ふだんの意識とは異なる、より深く、広やかな世界に
意識が招き入れられていることがあります。
そこには「名前」がなく、脈動する生命があるばかり。
そこには「分離」がなく、すべてがつながっています。
鳥や花の名前を覚えることは、相手への親しみを増してくれます。
けれども、それは人間が勝手に貼り付けた「ラベル」、
表面的な特徴で分類して、そう呼んでいるにすぎないのですね。
リルケは別の詩の中で、こうも言っています。
私は人びとの言葉を恐れる
人はすべてをあまりにはっきり言い表す
これは犬、あれは家
ここが始まりで、終りはそこだと
(中 略)
物たちが歌うのを聴くのが私の喜び
君らが手を触れると、物は硬くなり、沈黙する
君らは物たちをすべて殺してしまう
(『初期詩集』から,訳:大貫)
物が名を持たない、物本来の世界に入ってゆくとき
はじめて、物たちの「歌」が聞こえ、
始まりも終りもない、無限の天空へも、
水面にきらめく光の中へも、自由に飛んでゆける。
リルケの詩は、そんな神秘的な世界感覚を
象徴的に、ダイレクトに、直感させてくれます。
◇ 今 週 の 言 葉 ―――――――――――――――――……
エックハルト・トール
『わたしは「いま、この瞬間」を大切に生きます』から
―――――――――――――――――――――――――――――
自然の美しさ、神聖さに気づくためには、
「いまに在る」ことが、必須条件です。
(中 略)
表面的な美の奥に、それを超越した「なにか」が存在します。
それは、内に秘められていて、筆舌に尽くしがたく、
神聖で、本質的なものです。
ほんとうの美に気づく時には、この内なる本質の輝きが、
外殻を透過して見えているのです。
わたしたちが「いまに在る」時だけ、
万物は「ほんとうの姿」を明かします。
……………………………………………………………………………
エックハルト・トール『わたしは「いま、この瞬間」を大切に
生きます』飯田史彦訳(徳間書店,2003年)pp.66-67
(原著:Eckhart Tolle, PRACTICING THE POWER OF NOW, 2001)
――――+――――+――――+――――+――――+――――
エックハルト・トール――ドイツ生まれ、カナダ在住。
著書『Power of Now』(邦訳『さとりをひらくと人生はシンプルで
楽になる』)は世界的ベストセラーに。
今年3月〜5月にかけて、近著『A New Earth -- Awakening to
Your Life's Purpose』のウェブ講義を10回シリーズで行う。
* * * * *
上記のウェブ講義は英語ですが、素晴しい内容です。
60歳とは思えない若い容貌と、軽やかで楽しげな笑い声も印象的でした。
英語の字幕付き(closed-captioned)でも見られます。
http://www.oprah.com/obc_classic/webcast/archive/archive_watchnow.jsp
(Watch A New Earth Web Classes on Oprah.com)
トール氏の言葉は、明晰で理性的ながら、
気づきとパワーに満ちています。
▼お知らせ―――――――――――――――――――――――――――
ミャンマーのサイクロンに関する情報の続報です。
地道な支援活動は着実に続けられているようです。
http://www.worldvision.jp/material/news_0042.html?banner_id=mag
中国・四川省の大地震の支援状況も見られます。
http://www.worldvision.jp/news/news_0227.html?banner_id=mag
‥‥……――――――――――――――――――――――――――――――
編 集 後 記
季節はずれの寒気が去ってゆき、5月らしい薫風がかよう中、
渓流沿いの小道では、トンボや蝶たちがきらきらと飛び交っています。
ご感想・ご意見など、お便りお待ちしております。
また、皆さまのお好きな詩も、ぜひお寄せください。
著作権の許す範囲で、ご紹介させていただきたいと存じます。
《rie.onuki(at)gmail.com の(at)を@に変えて、ご送信ください。》
それでは、今週も皆さまにとって良い1週間でありますように。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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