飛鳥遊訪マガジン Vol. 016
発行日時: 2008/4/4 早いもので、去る三月を追う間もなく四月の声を聞きました。飛鳥遊訪マ
ガジンが皆さんの目に触れる頃には、飛鳥の桜も満開を向かえていることで
しょう。菜の花、連翹、雪柳、サンシュウ、花桃、辛夷、木蓮、飛鳥は花に
埋もれています。
飛鳥には、桜の綺麗な所がたくさんあります。甘樫丘・石舞台公園・橘寺
・・などなどです。その中で、風人が一番のお気に入りは、南淵靖安墓です。
桜のドームとなるこの丘を毎年訪ねることにしています。皆さんも、お気に
入りの桜がありますでしょうか。
さて、飛鳥遊訪マガジンの第16号を発行いたします。杉山先生の寄稿と
事務局からは太古さん・笑いネコさんの登場です。お楽しみください。
(風人)
┏◆━index ━━◆◇◆
〈1〉寄稿 ・・・最近飛鳥でおもうこと / 杉山洋先生
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〈2〉飛鳥話 NO.1 ・・・季節で巡る太古の飛鳥 / 河内太古
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〈3〉飛鳥話 NO.2 ・・・ネコと歩こう飛鳥の畦道 / 笑いネコ
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〈4〉飛鳥情報
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〈5〉両槻会からのお知らせ
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〈6〉編集後記
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〈1〉最近飛鳥でおもうこと
奈良文化財研究所 飛鳥資料館学芸室長 杉山洋先生
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1988年の秋の特別展は聖徳太子を取りあげました。聖徳太子といえば
飛鳥時代の人物で最も知名度が高い方ではないでしょうか。資料館に来る質
問の中でも最も多いのが聖徳太子に関する質問です。特に最近は「聖徳太子
はいなかった」という論調の説が発表され、より質問の回数が増えたような
気がします。
ただ飛鳥との関係から言えば、橘寺が生地と伝えられる他は、法隆寺のあ
る斑鳩に比べて、故地との印象はそれほど強くないといえるでしょう。そこ
で飛鳥資料館で聖徳太子を取り上げるにあたって何をポイントにしようかと
色々と案が出されました。なかでも聖徳太子は推古天皇の摂政として活躍し、
それが飛鳥の豊浦宮でのことであり、天皇親政を推し進めた皇子としての面
を取り上げる事になりました。現在、聖徳太子の墓地は大阪府太子町の叡福
寺にあり、すぐ近くには敏達天皇、用明天皇、推古天皇らの陵があります。
そこでこれらの聖徳太子ゆかりの人々の墓を取り上げることにしました。
ただこれらの陵は宮内庁指定の陵墓で調査はおろか人が立ち入ることさえ許
されません。そこで上空から写真を撮って関係者の縁を表現しようと考えま
した。それには発掘調査で良く行うヘリコプターによる空中写真撮影が必要
です。でも当時の学芸室長はどうも高いところが苦手だったらしく、結局私
にその役が廻ってきました。もちろん写真は研究所のカメラマンが撮影しま
すが、各陵墓を上空から探し出し、的確に撮影するナビゲーターが必要とな
ります。これが私がヘリコプターに乗った最初です。実は私は高いところは
大丈夫なのですが、飛行機はあまり得意ではありません。好奇心はありまし
たが相当に覚悟して乗った記憶があります。
そんなヘリコプターにもそれ以後何回となく乗り、最近ではカンボジアで
ヘリコプターをチャーターして、アンコール・ワット上空を飛ぶという経験
もしました。今年のキトラ特別公開では、朝日新聞社のご協力によって、
「飛鳥空の旅」が計画されています。抽選3組限定となりますが、飛鳥を上
空から観察するまたとない機会となります。ぜひご応募ください。
━━━◇『飛鳥資料館公式サイト』
http://www.nabunken.go.jp/asuka/index.html
┏◇◆━━━━━━━━━━
〈2〉季節で巡る太古の飛鳥 / 河内太古
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━
「ハナモモ」
石舞台古墳を見下ろす東側の棚田に、この時期になると紅色の花がまるで
雲のように群れとなって見事な花をつけます。先日訪ねると、俄かな春の陽
気に誘われてそろそろ見頃を迎えていました。
ところで、この花ですが、皆さんは何の花だと思われるでしょうか。
あらためて問われると、「え?紅梅じゃないの・・・」という反応が返っ
て来そうですが、ハナモモと言われたり書かれていることがあります。
太古もずっとハナモモだと思っていたのですが、紅梅とどう違うのか、正
直よく分かりませんでした。
たまに地元のお店の方に尋ねると、たいていは、「梅じゃないですか…」
と、あまり自信のない返事が戻って来ます。
「あれは花桃です」という明確な返答に接した記憶がありません。
ネット仲間でも自信のある方はなく、何となくハナモモだと思っていると
いうのが実情でした。
そこで、風人さんが公的機関に問い合わせてくれましたが、やはり即答は
ありませんでした。
調べていただいた結果は、ハナモモだという結論になりました。
石舞台古墳のあるあたりは、蘇我馬子の時代には「桃原」と呼ばれていま
した。きっと、あたりには桃の木がたくさん植えられていたのかもしれませ
んね。そのため、古墳を俯瞰する棚田に似つかわしいハナモモが植えられた
としても不思議ではありませんし、そのほうがこの地にはゆかしい気がしま
す。
ところが、先日、またまた思いがけない返事が返ってきました。
石舞台から冬野川に沿って細川谷を少し上った上居の立石がある辺りの民
家の周りにも、石舞台周辺の花と同じ見事な花群があります。
ちょうど、民家の方と思われるご婦人が花の下で野良仕事をされていたの
で、思い切って声を掛けてみると、作業の手を休めてお相手をしていただけ
ました。
「この花は、ハナモモでしょうか?」
と問いかけると、ご婦人はさりげなく
「ハナモモではありません、紅梅ですよ」
とにこやかに応じてくれました。
「石舞台周辺にも同じような木がありますが、あれはこれと同じですよね」
「そうです。紅梅です」
短いやりとりでしたが、「そのご婦人からは、ハナモモという言葉はつい
に返ってきませんでした。
またまた分からなくなってきました。ということは、やはり紅梅なのか…。
別に花の名前にこだわらなくとも、この時期に見事な紅色の花を咲かせ、楽
しませてくれるだけで十分なのですが、年来気になっていただけに、ほんと
にあれはハナモモなのか、と、この時期になると花を見上げて思い起こしま
す。
きっと、ハナモモなんでしょうね♪
ハナモモ
http://asuka.huuryuu.com/magazine/photo/hanamomo.jpg
━━━◇『季節を訪ねて〜河内太古の写真館〜』
http://www2s.biglobe.ne.jp/~kawati/
┏◆◇◆━━━━━━━━━━
〈3〉ネコと歩こう飛鳥の畦道 / 笑いネコ
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━
春爛漫の季節になりました。
飛鳥の畦道も、色とりどりの花たちで華やかになってきています。そうは
言っても、モクレン、シデコブシ、レンギョウ、そしてサクラ等々、木々を
彩る花たちや、畑や田圃に植えられた菜の花、蓮華に比べたら、地味なもの
ですが、よく見ると種類も多く結構可愛いのです。
今回と次回の2回連載で、その地味な花たちにスポットを当てて、皆さん
の注目を引こうと...無理かなぁ?(^_^;)
まず今回は、ブルー系の花と白い花のお話しから始めてみましょう。
畦道の花たちで一番目を引くのは、鮮やかなブルーの「オオイヌノフグリ」
でしょうね。
ヨーロッパ原産で明治時代に帰化したのち、全国津々浦々に広がって春を
彩る代表的な植物になっていますが、在来種の「イヌノフグリ」の方は、衰
退の一途を辿っているようです。「イヌノフグリ」の花は、小さくて色も淡
く目立たないので、お目に留まることも少ないかと思います。この仲間には
「タチイヌノフグリ」という茎が横に広がらずに立ち上がるタイプのものが
あります。第七回両槻会例会の散策の時に山田寺跡で見かけましたが、花は
ごく小さいものの「オオイヌノフグリ」同様の鮮やかなブルーですから、こ
ちらの方が見つけやすいでしょう。
オオイヌノフグリ、イヌノフグリ、タチイヌノフグリ
http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/zukan/3-size-sho/ao-murasaki3-1.htm
この季節に見られるブルーの花には、「キュウリグサ」「ハナイバナ」と
いう、これもマクロ写真でないとよく分からないような花があります。どち
らも、「ワスレナグサ」の小さいのと思っていただけば間違いありません。
「キュウリグサ」の方は、青い小花が列んだ先っぽがクルッと巻いているの
が特徴です。「ハナイバナ」はよく似ていますが、花穂の先は巻いていませ
ん。
キュウリグサ、ハナイバナ、ワスレナグサ
http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/zukan/4-size-mini/ao-murasaki4-1.htm
もう少し紫がかった青い花には、「キランソウ」というのがあります。シ
ソ科独特の形と濃い青紫の花、そして厚手の表面に毛の生えた葉っぱが特徴
の花で、地面に張り付いたように育ちます。「ジゴクノカマノフタ」という、
恐ろしげな別名を持っていますが、由来は不明だそうです。
キランソウ
http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/zukan/7-siso/ao-murasaki7-3.htm
次に、沢山見られる白い花があります。ごく小さい花なので、全部同じだ
ろう...なんて言わないでくださいね。(^_^;)
「タネツケバナ」「ナズナ(ペンペングサ)」「ハコベ」「オランダミミ
ナグサ」「ノミノフスマ」「ヤエムグラ」「ツメクサ」ざっと挙げただけで
7種類です。
タネツケバナ、ナズナ、ハコベ、オランダミミナグサ、ミミナグサ、
ノミノフスマ、ヤエムグラ、ツメクサ
http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/zukan/4-size-mini/white4-2.htm
「タネツケバナ」は稲の籾を水に漬けて、苗代の準備をする頃に咲くので
「種漬花」です。「タガラシ」という別名もあり、キンポウゲ科の黄色い花
で、同じ「タガラシ」という名を持ったものがあるので紛らわしいのですが、
どちらも「田圃の芥子」ということからきた名前です。本来の「芥子」つま
り「カラシナ」は「タネツケバナ」と同じアブラナ科ですから、「タガラシ」
と呼ぶには「タネツケバナ」の方が相応しいと思うのですが...。
「ナズナ」は「タネツケバナ」と同じアブラナ科で、花は少し小振りです。
一番の違いは種の形。花が咲いている間にどんどん種が出来る植物なので、
これで区別が付きます。「ナズナ」の種は「ペンペングサ」の別名の由来に
なった「三味線のバチの形」で「タネツケバナ」の方は細長い形です。
「ハコベ」は春の七草でもお馴染みの植物で、一寸見ると花びらが10枚
あるように見えますが、これは5枚の花びらに深く切れ目が入ったものなの
です。
「オランダミミナグサ」はヨーロッパ原産の帰化植物で「ハコベ」と同じ
ナデシコ科、これも花びらが5枚ですが、こちらは先端が浅くくぼんでいる
だけです。「ミミナグサ」という在来種があるのですが、これも減少してい
てほとんど見られません。
「ノミノフスマ」もナデシコ科で、こちらは「ハコベ」同様花びらは10
枚に見えるように切れ目が入っています。茎の片側に1列に柔らかい毛が生
えている「ハコベ」と違って、「ノミノフスマ」の茎には毛が生えていませ
ん。と言っても、ルーペでも使わないと確認するのは難しいのですが。
「ヤエムグラ」もルーペがないと見えないような花です。茎に逆さ向きの
棘があるので、草取りをしている時など、軍手にくっついて取れなくなった
りする厄介者です。ちなみに、万葉集に出てくる「ヤエムグラ」はこれでは
なく、「カナムグラ」のことだとされています。
「ツメクサ」は、葉っぱの形が鳥の爪に似ているから付いた名だそうです
が、葉も茎も柔らかく、抜こうとすると切れてしまうので、小さい草ですが
煉瓦敷きの間などに生えたものを除去しようとすると、かなり困難です。
ということで、紫、赤紫やピンク、黄色の花のお話しは、次回に続く...(^_^;)
━━━◇『笑いネコの部屋』
http://www.asukanet.gr.jp/warainekonoheya/
┏◇◆◇◆━━━━━━━━━━
〈4〉飛鳥情報
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『飛鳥資料館』
春期特別展「キトラ古墳壁画十二支−子・丑・寅−」が開催されます。
会 期 : 4月18(金)〜6月22日(日) *5月7・8日は休館
場 所 : 奈良文化財研究所 飛鳥資料館 特別展示室
*主な展示品
獣頭人身十二支俑・康君墓誌蓋・道教鎮墓石・十二支鏡・
金ゆ信墓十二支浮き彫り拓本・掛陵十二支浮き彫り拓本
遠願寺石塔十二支浮き彫り拓本・隼人石拓本・
川原寺裏山遺跡出土鳥頭塑像片
栄山寺十二神将像・写真および民芸品ほか
ご注意:キトラ古墳壁画「十二支 子・丑・寅」特別公開は、
会期中の5月9日(金)〜25日(日) 期間中無休
:::::::::::::::::::::::::::::::::::
『橿原考古学研究所付属博物館』
春季特別展「はにわ人と動物たち−大和の埴輪 大集合−」が開催されます。
会 期 :平成20年4月19日(土)〜6月15日(日)月曜日休館。
研究講座 :4月27日(日)5月18日(日)6月1日(日)
現地見学会:5月11日(日)
−国際博物館の日 記念事業−馬見丘陵の古墳を歩く
:::::::::::::::::::::::::::::::::::
4月1日から明日香周遊バス「赤かめ」のダイヤ及びルートが改正されます。
観光シーズン用のダイヤとなり、おおよそ30分に一便が運行されます。
それに伴って、若干の時間変更があるようです。
http://www.asukamura.jp/kame_bus/asukameguri.pdf
:::::::::::::::::::::::::::::::::::
4月6日(日)午後 甘樫坐神社境内に於いて、盟神探湯(くがたち)神
事が行われます。
『日本書紀』によると允恭天皇4年(415)、甘樫丘で盟神探湯が行わ
れたという記事があります。雷・豊浦地区では、それを保存・継承しており、
飛鳥の謎の石の一つである豊浦の立石の前で再現されます。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::
4月8日(火)飛鳥寺花会式
本年は、飛鳥大仏開眼1400年記念慶賛法要も執り行われます。午後2時より。
また、記念講演もあります。
演題:「飛鳥大仏開眼1400年について」
講師: 京都橘大学教授 猪熊兼勝氏
時間:15時10分〜16時
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〈5〉両槻会からのお知らせ
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先日行いました第七回定例会「道長が見た飛鳥」において、滝川先生から
お話がありました「竜門寺」を定例会の余韻覚めやらぬ内に講演会後の散策
として訪ねることにしました。
・・・・・・・・・・
日時 : 4月29日(火)祝日
集合 : 近鉄上市駅前集合
参加費 : 200円
徒歩距離 : 往復約10キロ程度
竜門岳の麓になりますので、若干のアップダウンがあるかもしれまん。
歩きやすい服装・靴でお越しください。
詳しくは、下記アドレスの案内をご覧下さい。
http://asuka.huuryuu.com/yotei/teireikai-7/yotei-7-2.html
【お断りとお願い】
今回のウォーキングは、万全の準備を尽くしての定例会ではありません。
また、事務局員も、全員が初めて訪ねることになります。参加してくださる
皆さんとご一緒に、楽しく歩くことに主眼を置かせていただきます。
以上、よろしくご理解の程お願いいたします。
参加申込みは、4月25日までに両槻会へメールにてお願いします。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::
第八回定例会は、「新緑の奥飛鳥探訪−奥飛鳥の神秘女淵を訪ね、皇極天
皇雨乞いの謎に迫る」と題したウォーキングイベントを5月10日に実施い
たします。
何方でも参加いただけますが、両槻会へメールにて事前申し込みが必要で
す。詳細は、両槻会サイト第八回定例会の予定のページをご覧ください。
http://asuka.huuryuu.com/yotei/teireikai-8/yotei-8.html
なかなか奥飛鳥まで足を伸ばされる事は少ないと思います。是非ご一緒に
歩きましょう♪
:::::::::::::::::::::::::::::::::::
第八回定例会に関連するお話を掲載して行きます。第三回目は、加夜奈留
美命神社をご紹介します。
「加夜奈留美命神社」
女淵から栢森に戻ります。先ほど通過した加夜奈留美命(カヤナルミ)神社
に立ち寄ります。この神社を簡単に説明することは、きわめて難しいことで
す。説明すればするほど分けがわからなくなって、頭が痛くなります。全く
不詳の神社と言う他ありません。しかし、それでは説明になりませんので、
少しお付き合いください。
http://asuka.huuryuu.com/magazine/photo/kayanarumi.jpg
この神社のご祭神は、加夜奈留美命とされています。この神様は、古事記
にも日本書紀にも登場しない神様です。ところが、出雲国造神賀詞(いずも
のくにのみやつこのかむよごと)という祝詞に登場します。大穴持命(オオ
ナモチノミコト)が国土を天孫に譲って出雲へ去るのですが、その時、自ら
の和魂(にぎたま)と子女の御魂を大和に留めて皇室の守護とします。その
中に「賀夜奈流美命の御魂を飛鳥の神奈備に坐せて」とあり、これがこの神
社の始まりとされています。
さて、問題が出てきました。加夜奈留美命をお祀りしたのは、飛鳥の神奈
備(かんなび)です。古代には栢森が飛鳥の神奈備であったのでしょうか。
『日本紀略』には天長6年(829)「高市郡賀美郷甘南備山の飛鳥社を、
神の託言によって同郷の鳥形山に移した」という記録があります。鳥形山と
いうのは、飛鳥坐神社の在る小さな山であるとされています。
では、その元の場所である高市郡賀美郷甘南備山の飛鳥社はどこに在った
のでしょう。やはり栢森なのでしょうか。南淵山や藤本山なのでしょうか。
雷丘や甘樫丘なのでしょうか。
今日それを特定することは出来ませんが、岸俊男先生のミハ山説が有力な
ようです。ミハ山は、祝戸の飛鳥川左岸に在る祝戸公園東展望所やその付近
だと思われ、磐座と思しき石などが散見されます。飛鳥の小さな盆地の南端
にあるこの山は、まことにそれらしくも思われます。
そうすると、栢森のこの神社は何だったのでしょう。江戸時代まではこの
神社は、葛(九頭)神を祀っていたとされているそうです。(今は末社とし
て、祀られている小さな祠が葛神社だとされているようです。)九頭神は、
オカミ神を祭神としており、九頭竜を崇める水神信仰だと考えられるようで
す。女淵との関連性や飛鳥川源流となる細谷川と寺谷川の合流地点に立地す
る点などから考えると、栢森に鎮まるこのお社は本来水神信仰の葛(九頭)
神をお祀りする神社であったと言えるかも知れません。
ところが、明治時代に入って、富岡鉄斎が当地に来て、土地柄からしてこ
こが飛鳥の神奈備だとし、加夜奈留美命神社として復興・顕彰したのだそう
です。またカヤノモリとカヤナルミの音が似ているため、『大和志』では
「延喜式」神名帳の高市郡「加夜奈留美命神社」をこの社にあて、それ以来、
式内社として現社名で呼ばれるようになったのだそうです。
ところで、式内社「滝本神社」という神社も、飛鳥川の上流に在ったとさ
れ、さらに複雑な様相を呈してきます。他にも異説はたくさんあるようで、
明日香村史も全く不詳の神社であると記しています。
さあ、堅苦しい説明は棚上げにしておいて、次は女綱へと下って行きます。
┏◇◆◇◆◇◆━━━━━━━━━━
〈6〉編集後記
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆◇━━━━
関西では、一気に春へダイビングしたのかと思うと、急な冷え込みがあっ
たり・・・皆さんの地域では春の訪れはどんな感じでしょうか。体調を崩さ
れたりしてませんか?お気をつけ下さいね。
季節柄でしょうか、今回の飛鳥遊訪マガジンは、お花の話がテンコ盛りに
なりました。モノクロだった飛鳥の里や山にも色が溢れ出してきたようです。
移る季節の中のほんの瞬間、私が行きたい場所は・・やっぱりキッパリ坂
田寺跡♪(笑)ここで見る桜・蒲公英・連翹の競演が大好きです。んでも、
今年はもう無理かなぁ〜〜。。^^;
(もも)
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この記事へのコメント
全4件表示奥飛鳥の記事を担当しています、風人(ふうと)と申します。記事を担当していまして、一番嬉しいコメントをいただきました。ありがとうございます。コメントを糧にして次号も頑張りたいと思います。次は、女綱の記事を予定しています。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。日時:2008年4月4日
両槻会事務局>奥飛鳥に惹かれますが遠方のため定例会に参加出来ずに残念です。せめてメルマガで行った気分にならせてもらいます。次号が待ち遠しい。
ご期待に添えるよう次号も頑張りますね♪
コメントありがとございました。(^^)日時:2008年4月4日
後藤楽しみに拝読しています。奥飛鳥の記事が新しい知見なので特に興味を持ちました。この記事だけに署名が無いのですが、どなたが書かれておりますか。続きが楽しみだとお伝えしたく思います。日時:2008年4月4日
奥飛鳥に惹かれますが遠方のため定例会に参加出来ずに残念です。せめてメルマガで行った気分にならせてもらいます。次号が待ち遠しい。日時:2008年4月4日
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