小学校受験で必要な「話を聞く力と豊かな情操」を自然と身につける、最良の方法は、ご両親の言葉でお子様に語りかけることです。日本の年中行事と昔話を通して、豊かな情操を育みましょう。21世紀に活躍する子ども達の心を育てるメルマガです。
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2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
発行日: 2008/6/13●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「めぇでる教育研究所」発行
2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記」
日本の年中行事とむかし話
〜21世紀に活躍する子ども達の心を育てる〜
2008年 6月13日
−32−
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【六月に読んであげたい本】
梅雨というと、三題噺(噺家がお客さんから題を三つもらい、即席に話を作る
話芸)ではありませんが、あじさい、かたつむり、かえるです。
かえると雨、これにも、おかしな因果関係があるようです。
おもしろい話があります。
このかえるの親子、人間の親子関係にもいえそうです。
過保護な母親に育てられたわがままな子が、少子化に加え核家族化も進む中で
増えているようです。
一人っ子では、何が過保護なのかわからないのかも知れません。
しかし、やがて子どもは、一人で生きていかなければならない、頼れるのは自
分だけの生活が待っていることを、親は忘れてはいけないことではないでしょ
うか。
◆あまがえる不孝◆ 八百板 洋子 著
むかし、かえるの親子がいました。
母さんがえるは、子どもをかわいがったのですが、子がえるは、親のいうこと
を聞きません。
母さんがえるが、右に行こうというと左に行くし、山に登ろうというと川にも
ぐり、暑い日というと寒い日と逆らうのです。
ある日のこと、母さんがえるは、重い病気にかかりました。
助からないとあきらめた母さんがえるは、墓だけは、日のよく当たる、山の上
に作ってほしいと思ったのですが、何事にも逆らう子がえるのことです。
山に埋めてほしいといえば、川のそばに埋めるに違いありません。
考えた母がえるは、
「私が死んだら、川のそばに埋めるのだよ」
といって、息をひきとったのでした。
母さんがいなくなると、子がえるは、逆らってばかりいたことを後悔し、反省
して、川のそばにお墓を作ったのです。
雨が降れば川の水も増え、お墓は流されそうになります。
心配な子がえるは、雨が降るたびに、お墓が流れないようにと、今でも鳴いて
いるのだそうです。
六月のおはなし
田うえねこ 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
日本民話の会・編 国土社 刊
親不孝な動物話の典型ですが、中国や朝鮮にも同じ話しがあることから、大陸
から半島を経て伝わったものと考えられます。
まさしく日本は、文化の吹き溜まりですが、しかし、自国流にアレンジし、生
活の中に取り込んでしまう知恵を、我がご先祖様は、身につけていたようです。
青蛙 おのれもペンキ ぬりたてか 芥川龍之介
こういった情景に出会うのは、もう、無理かもしれませんね。
ところで、今、かえるの合唱を、聞く機会はあるでしょうか。
とにかく、ものすごい鳴声でした。
しかし、この鳴声が、何やら豊作の雄叫びのように聞こえ、子ども心にも、安
心したものです。
雨がしっかり降って、田植えが終わらないことには、かえるの合唱は聞こえま
せんから。その田植えについてですが、おかしな話があります。
◆田うえねこ◆ 水谷 章三 著
むかし、ある家に、年を取り寝てばかりいる猫がいました。
田植えの時期になり、おかみさんは、
「お前さんはいいね。猫の手も借りたい忙しいときに、寝ていられるのだから」
と言うと、大きなあくびをして起き上がり、どこかへ行ってしまったのです。
その日は、田植えのおしまいの日で、大勢の人が手伝いに来ていました。
おかみさんもわき目もふらずに田植えをしていましたが、見知らぬ娘さんがい
て、仕事ぶりが、手際よく鮮やかなのです。
それに負けてなるものかと若い衆も張り切ったので、夕方にならぬ内に終わっ
たのでした。
娘さんにお礼を言おうとしましたが、見当たりません。
探していたところ、その娘さんが背中を見せて、歩き去っていくではありませ
んか。
追いかけていくと、おかみさんの家のところで姿を消し、探したのですが、見
つかりません。
ところが、今朝、拭いたはずの縁側に、猫の足跡のような泥の跡がついていた
のです。
足跡をたどっていくと、家の隅っこの所で、猫が泥だらけの足をなめていまし
た。
「お前のことを、うらやましいといったものだから、娘になって田植えを手伝
ってくれたのだろうか。猫は、年をとると化けるというけれど」
と、おかみさんは、猫の顔をのぞきこみました。
すると、猫は足をなめるのを止めて、前足でおかみさんのひざをグイと押さえ
て立ち上がり、背伸びをし、そのままどこかへ行ってしまい、二度と姿を見せ
ることはありませんでした。
六月のおはなし
田うえねこ 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
日本民話の会・編 国土社 刊
「猫の手も借りたい」忙しいときに、猫が手を貸すのがおかしいですね。
この話も全国にあるようです。
お地蔵さまが、見知らぬ若者に姿をかえて手伝う「田植え地蔵」などは、よく
知られているようです。
猫の足が泥だらけだったように、お地蔵さまの足が汚れていたのでわかる仕掛
けは、同じです。
今度は、恐い話です。
◆かにの恩返し◆ 根岸 真理子 著
むかし、ある村に、庄屋どんと娘が住んでいました。
娘は、かにが子を生む頃になると、庭の小川で米をとぎ、その汁を流してあげ
たのです。
かには、嬉しそうに飲んでいました。
ある年のこと、日照りが続き、田植えができません。
庄屋どんは、雨さえ降らせてくれたら、娘を嫁にやろうというと、それを蛇が
聞いていたのです。
やがて、雨が降り出し、田植えができると、村の人たちは喜びました。
その時、庄屋どんの足元から、約束を破れば、大雨を降らせ田畑を流すぞとい
い残し、蛇は姿を消したのでした。
しかし、嫁にやるわけにはいかず、庄屋どんは庭に頑丈なお堂を建て、娘を入
れることにしたのです。
嫁入りの日が来ました。
娘は、白い着物を着て、お堂に入り、中から鍵をかけました。
そこへ、若侍が現われ、お堂に戸口がないのを知り、怒り、姿を大蛇に変え、
お堂を七巻きに巻きしめたのです。
すると嵐になり、蛇は、雨風の力を借りて、お堂を根こそぎつぶそうと、揺さ
振り始めました。
その時、娘の耳に、タプタプと寄せる水音に交じって、サワサワ、サワサワと
小さな音が聞こえてきたのです。
音は、次第に数を増して、お堂のまわりを取り囲みました。
すると、ドォン、ダァンと何やらのたうつ音がして、サワサワ、ドォン、ダァ
ン、と、二つの音は、低く響き続けました。
やがて音が止み、ひび割れたお堂の透き間から、朝日が射し込んできたのです。
庄屋どんに、手を引かれて外に出た娘は、老いた松の木のような大蛇が、お堂
の周りを取り巻き、転がっているのを見たのです。
そして、めくれ上がったうろこの下には、娘にお米のとぎ汁をもらっていたか
にたちが、一匹、一匹、はさみつき、そのまま死んでいたのでした。
六月のおはなし
田うえねこ 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
日本民話の会・編 国土社 刊
この他に、蛇をやっつけるのにひょうたんと針を使ったものや、蛇に変わって、
猿やかっぱの場合もあります。
これもお馴染みの民話でしょう。
かにの恩返し説話は、古くから語りつがれ「日本霊異記」や「今昔物語」に記
録されています。
そういえば、京都の山城の町に、蟹満寺というお寺があり、この話とそっくり
の「蟹満寺縁起」が残されています。
それにしても、悪役の蛇は、哀れです。
もとはといえば、約束を破った庄屋どんが、その責めを受けるべきです。
「安珍清姫」の話も、大きくなったら妻にしようと戯れにいったことを信じた
清姫が、だまされたことを知り、道成寺の釣鐘に隠れた安珍を、蛇に変身した
清姫が七巻にして殺しますが、これも悪いのは、戯言をいった安珍です。
「か弱き女性をだますと、後が怖いよ!」と、その執念深さを、蛇が演じてい
るのでしょうね。
もう一つ紹介しましょう。
きつねが人を化かす話も、むかし話にはたくさんありますが、新美南吉の「ご
んぎつね」の悲しい結末と違い、ほのぼのとなる話があります。
◆きつねのかんちがい◆
むかし、あるところに、惣五郎という若者がいました。
ある年の田植どきのことです。
惣五郎さんは三反御作(広さ三十アール)もあるたんぼを、一日で田植えをし、
家へ帰る途中、畑の中にある井戸水を飲もうと、つるべ(水を汲み上げる桶)
を上げると、その中に、溺れ死んだ子ぎつねが、入っていたのでした。
惣五郎さんは、かわいそうに思い、畑の隅に穴を掘って埋めてあげました。
ところが、夜中に大勢の人が声を合わせて、
「お田を引いたで惣五郎! 三反御作みんな引いただ!」
と、怒ったような声で歌い、二、三回繰り返すと静かになったのです。
惣五郎さんは、不思議に思ったのですが、そのまま眠ってしまいました。
翌朝、たんぼへ行くと、田植えをしたばかりの‘三反御作’の苗が全部、引き
抜かれていたのです。
きつねの仕業かなと思った惣五郎さんは、子ぎつねを埋めた所へ行ってみると、
穴は、掘り返されていました。
きつねは、勘違いをしたなと思った惣五郎さんは、きつねの棲んでいそうな竹
薮や、林の中を歩きながら、
「死んでいた子ぎつねを拾い、お墓を作ったんだ。誤解しないでくれ!」
と、大声で叫んだのです。
すると夜中に、
「お田引いて すまなんだ! 三反御作 また植えたあ!」
と、二度ほど繰り返し歌い、静かになったのです。
あくる朝、戸をあけると大きな鏡餅が一枚置いてあり、三反御作の苗も、植え
直してありました。
惣五郎さんは、きつねに気持ちが通じたことがわかり、とても嬉しかったので
した。
新訂・子どもに聞かせる 日本の民話 大川 悦生 著
実業之日本社 刊
坪田譲治の、子どものために命をなくした「きつねとぶどう」や、新美南吉の、
人間と子ぎつねの心あたたまるやりとりを描いた「手袋を買いに」なども、ぜ
ひ読んであげたい童話です。
また、小川未明の、信仰とは何かを考えさせられる「頭を下げなかった少年」
や、献身的な子育ての後に、子猫の幸せのために姿を消す親猫を描いた「どこ
かに生きながらも」、見た目の美しさより、実用を重んじて作った茶わんを褒
める「殿様と茶わん」、神様からの授かりものといって可愛がっていた娘を売
り飛ばし、報復を受ける老夫婦を描いた「赤いろうそくと人魚」などの童話は、
大人が読むべきで、キザな言葉で照れますが、心が洗われます。
最後に、日本語の表現の多彩さを少々。
春雨、五月雨(さみだれ)、夕立、にわか雨、驟雨(しゅうう 夕立の漢語的
表現)、秋雨、時雨(しぐれ 秋から冬にかけて降るとおり雨)、氷雨、雨雪
(みぞれのこと)、四季折々の雨、やはり、日本人の感性は繊細ですね。
梅雨に入りました。
じめじめ、しとしと、決して爽快な気分になれませんが、季節を楽しむ工夫を
してみましょう。
紫陽花、雨に似合う花ですね。
(次回は、「第9章 七夕でしょう 文月」についてお話しましょう)
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