2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
発行日時: 2008/5/16●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「めぇでる教育研究所」発行
2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記」
日本の年中行事とむかし話
〜21世紀に活躍する子ども達の心を育てる〜
2008年 5月16日
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第7章(4)五月に読んであげたい本
「桃太郎」や「金太郎」は、昔ばなしの定番ですから、今回は、恐い話を紹介
しましょう。
◆めし食わぬよめ◆ 松谷 みよ子 著
むかし、ある村に、たいそうけちな男がいました。
嫁に食わせる飯がもったいないから、飯を食わぬ嫁を探してくれというのです。
ある日のこと、十六、七のあねさまが訪ねてきて、ご飯を食べずに働くから嫁
にしてくれという。
暮らしてみると、ご飯を食べず、しかも働き者です。
ところが、毎日、米もみそも減っています。
不思議に思った男は、次の日、仕事に出かけたふりをして、戸のふし穴からの
ぞいてみたところ、髪をほどいた頭の中に、大きな口があり、飯にみそをつけ、
にぎっては放りこみ、大がまの飯を全部、食べてしまったのです。
男は、夕方になると、知らぬふりをして家に帰り、別れ話をすると、にわかに
髪をふりみだし、頭の口をパックリとあけて、恐ろしい山んばになったのです。
逃げ出そうとする男をつまみあげ、ふろ桶の中へ放りこみ、桶に帯をかけてし
ょうと、山へむかって走りだしました。
男は、何とか助かろうと、桶から顔を出してみると、頭の上に木の枝があった
のでとびつき、木からすべりおり、山をかけおり、ふもとまで来たのですが、
気づいた山んばが、追いかけてきます。
男は、そばの草むらに逃げ込みました。
そこには、しょうぶがたくさん生えていたのです。
「魔除けのしょうぶにはかなわない」と、山んばは、悔しそうにいって山へ帰
って行ったのです。
しょうぶが魔除けの草として、五月の節句に飾られるようになったのは、この
時からだといわれています。
五月のはなし
ももたろう 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修
日本民話の会 編 国土社 刊
話によっては、よもぎも生えている草むらになっているものや、ふろ桶ではな
く背負いかごのもあります。
面白いことに、「この日が、実は、五月五日であった」という話も残っていま
す。
子どもは、恐い話を聞きたがりますが、本当は、恐がりなのです。
話だけでは、頭に大口がある姿を想像できませんから聞いていますが、本の場
合は絵がありますから、恐がります。
ある時、絵本を見せながら読んだところ、恐そうな顔をして聞いていました。
喜怒哀楽の情緒も分化されてくる時期ですから、恐いものには、本当に恐がり
始めます。この話でも、頭の口で食べるところでは、
「これからこわーくなるから、恐い人は……、耳を、ふさいで、いいんだよー」
といかにも恐そうにいうと、耳をふさいで下を向くのは、男の子が多いですね。
食い入るように話を聞いているのは、案外、女の子なのです。
肝が座っているんですね、小さい頃から。
あまり恐怖感を与えるのは考えものですが、こういった情緒に刺激を与え、育
んでいくことも、むかし話の大切な役目ではないかと考えています。
恐怖感も結末では、きちんと拭ってくれる配慮がしてあるからです。
探してみるものですね。
この話を見つけたときは、本当にうれしくなりました。
鯉のぼりの製作者は、意外にも、お侍さんだったのです。
◆コイのぼりのはじまり◆(伝説 墨田区)
江戸時代のことです。
端午の節句が近づいたある日、江戸の町を一人の侍が歩いていました。
武家屋敷の庭には、祝いの旗や、のぼりが立てられ、道では、侍の子が、紙の
かぶとをかぶり、しょうぶで作った刀を振り回していますが、町人の住む町の
子ども達は、かぶとも、しょうぶの刀も差していないことに気づいたのです。
染め物屋の家からは、のぼりを立ててくれとせがむ子どもの声が聞こえました。
あれは、お侍さんの家で立てるものだからできないと話しますが、納得しない
で、泣きじゃくっているではありませんか。
そこへ、お侍が入って来て、大きな紙四枚と太い筆を借り、一枚の紙に大きな
コイを描き、別の紙には、反対向きのコイを描きあげました。
二枚の絵を合わせると、一匹のコイになるのです。
もう一匹描くから、節句の前日までに、黒と赤に染め上げてほしいといって店
を出たのです。
約束の日に染め上げ、日に干していると、やってきた侍は、はさみと針を借り、
向きの違うコイ同士を、袋縫いに縫い合わせると、黒と赤の二匹のコイになっ
たのです。
長いさおの先につけて、家の前に立てさせました。
五月晴れの空を、風に吹かれる真ゴイと緋ゴイ。
周りには、町人や武士の子ども達も集まり嬉しそうです。
お侍さんの名は赤荻柳和、武士というよりは俳句を作ることで知られた、心の
やさしい人だったそうです。
こうして、次の年の五月五日から、江戸の町にはコイのぼりが、武士の家にも
町人の家にも、立てられるようなったのです。
これが、コイのぼりの始まりだそうです。
県別ふるさとの民話 18
東京都の民話 日本児童文学者協会 編 偕成社 刊
「八十八夜」「若葉」「茶摘」「すげの笠」といいますと、俳句の季語のよう
な感じがして、私は、「夏近し」を実感したものです。
しかし、今はどうでしょうか。
こういった風物詩も、「テレビで拝見」で終わっているようです。
季節を感じる余裕がなくなってしまったのでしょうか。
もったいないと思います。
自然が、四季折々の変化を告げてくれるのは、本当に有り難いことです。
この話に出てくる「ふるい屋」「古鉄屋」も、説明がないとわからない仕事で
す。
私の子どもの頃は、こういった行商屋さんが物を売りに来ていました。
金魚、風鈴、豆腐、納豆、アイスキャンディーなども来たものです。
中でも印象に残っているのは、鍋やかまなどにできた穴を修理する「いかけ屋」
さんで、見事な仕事ぶりに感心したものでした。
金属同士をくっつけてしまう「はんだづけ」が、不思議だったことを覚えてい
ます。
お茶屋とふるい屋と古鉄屋(ふるがねや)◆(山梨県の話)
夏もちかづく 八十八夜
野にも山にも 若葉がしげる
あれに見えるは 茶摘じゃないか
あかねだすきに すげの笠
小学校唱歌「茶つみ」の歌です。
子どもの頃、女の子が「せっせっせーのよいよいよい」と言ってから、この歌
をうたいながら遊ぶ、手遊びがありました。
この歌にある「八十八夜」は、暦の上で、立春の日(二月四日頃)から数えて
八十八日目、五月二日頃のことで、茶摘が始まる季節です。
新しい芽を詰んで作った新茶売りの話があります。
ある日、一人のお茶売りが、「新茶ぁ、おいしい新茶だよう」と、売り歩いて
いく後から、「ふるいー、ふるいー」といってふるい屋が歩いていきます。
「ふるい」とは、粉や砂など細かなものを網目を通して落としたり、選り分け
たりする道具です。
「新茶、ふるい」と売り声が並ぶと、新茶なのか古いのかわからず、誰も出て
きません。
お茶屋さんは、新茶が売れないと怒りましたが、ふるい屋さんも、
「ここは天下の往来、文句があるなら、お前さんこそ、どこかへ行ってくれ」
とけんかを始めました。
そこへ、古鉄(ふるかね)屋さんが、通りかかり仲裁に入いったのです。
古鉄屋さんは、いらなくなった金物を買い取る商売です。
二人から訳を聞くと、これから三人で売り歩こうといい、順番は、
「お茶屋さん、ふるい屋さん、私だ」
という。
言われて三人が売り声をあげると、
「新茶ぁ、ふるいー、古鉄ぇ!」
となり、今度はいい商いができたのでした。
日づけのあるお話365日
五月のむかしの話 谷 真介 編・著 金の星社 刊
落語にも「売り声」という噺があり、お茶屋さんに代わり「魚屋」さんで、い
わしを売っていたと記憶しています。
「いわし、ふるいー、ふるかねえ!」
どうしても紹介しておきたい話があるのですが、季節感が希薄なのです。
棚ぼた式に出世する話、こういったうまい話は、あるところにはあるものです。
観音様のご利益なのですが、運命は、本当に、どなたが決めるのでしょう。
この話は、「今昔物語」の巻十六の第二十八話に出ている他、古本説話集、宇
治拾遺物語、雑談集にも、長谷寺観音の霊験譚として残されています。
原作を読むのは、少々しんどいですが、子ども向けに翻訳された本は、おもし
ろく読めます。
芥川龍之介の愛読書であることもわかります。
◆わらしべ長者◆ 阿部 律子 著
むかし、あるとろに、お父にもお母にも死なれ、独りぼっちの貧乏な若者がい
ました。
ある日、村の観音さまに祈っているうちに寝てしまったのですが、夢の中に観
音さまが現われ、
「ここから東に行き、初めに手につかんだものを大切にすべし」
と、お告げがあったのです。
急いで戻ろうとしたとき、石につまずき転びましたが、起き上がると、片手に
わらしべを握っていたのです。
観音さまのお告げは、このことかもしれないとわらしべを懐にしまい、東の方
に歩いて行くと、一匹のあぶが飛んできたので捕まえ、わらしべの先にくくり
つけました。
すると、牛車に乗っていた男の子が欲しいというのであげると、ただでもらっ
てはと、みかんを三つくれたのです。
しばらくいくと、男が道端に倒れていて、水がほしいという。
みかんを差し出すと、お礼に反物をくれたのでした。
これも観音さまのお陰かもしれないと、なおも東へ向かって行くと、都に出た
のです。
すると、倒れた馬を囲んで、人々が騒いでいました。
馬の持ち主が、若者に、急用があるので、馬をやるから好きなようにしてくれ
というので、ただでもらうわけにはと、反物をあげたのです。
若者は、馬を引きながら、さらに東の方へ行くと、大きな家から、旅支度をし
た主人が出てきて馬をくれ、もし、三年たってもわしがもどらなかったら、こ
の家も畑も、お前にやると言い、返事も聞かずに行ってしまったのです。
若者は、田畑を耕しながら、主人の帰りを待ったのですが、帰ってきませんで
したので、若者は、その屋敷に住み、やがて、わらしべ長者と呼ばれる大金持
ちになったのです。
日本むかしばなし 12
ふしぎなゆめ 民話の研究会 編 田木 宗太 絵
ポプラ社 刊
このように、安物が高価な物と交換されていく話は、ヨーロッパにはあまり見
られず、なぜか、インド、ベトナム、朝鮮、日本といったように東南アジアに
分布しているようです。
そういえば、インドの原始仏典「ジャータカ」には、ねずみ一匹から交換が始
まり、豪商の婿さまに納まる出世物語が収められています。
(次回は、「何もないのかな 水無月」についてお話しましょう)
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