2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
発行日時: 2008/3/21●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「めぇでる教育研究所」発行
2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記」
日本の年中行事とむかし話
〜21世紀に活躍する子ども達の心を育てる〜
2008年 3月21日
−20−
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第5章(4) ひな祭りとお彼岸ですね
【三月に読んであげたい本】
ひな祭りですから、楽しい話がありそうですが、あまり縁がありません。
やはり、私が男だからでしょうか。
その中でも、この話は、珍しいと思います。
◆たまごから生まれた女の子◆(長崎県の話)
むかし、ある所に、金持ちの夫婦がいましたが、子どもに恵まれません。
奥さんは、子どもを授かるように神さまに願をかけていました。
ある日のこと、家の前に手まりほどの五十個のたまごが置かれていました。
神さまのお恵みと喜び、たまごをかえそうという奥さんに、主人は反対するの
で、経緯を紙に書き、川へ流したのです。
それを貧しい漁師の夫婦が拾い、書付けを読み、たまごをかえすことになりま
した。
やがて、たまごから赤ちゃんが生まれ、夫婦は五十人もの子持ちとなったので
す。
そして十年たち、五十人の子どもは元気に育ちますが、働きすぎたお父さんは
病気でなくなります。
そこで子どもたちは、お母さんから川上から流れてきた話を聞き、もう一人の
お母さんを訪ね、会うことができたのです。
五十人の娘に囲まれ幸せでしたが、育ててくれた川下のお母さんの恩を忘れら
れず、娘達は、川下と川上の二人のお母さんが亡くなるまで、親孝行をしたの
です。
この話は、村々へと伝えられ、女の子が生まれた家では、この娘たちにあやか
ろうと、たくさんの人形を飾り、よもぎとお米を供え、祝うようになったので
す。
三月三日のひな祭りの始まりを伝える話となっています。
日づけのあるお話 365日
3月のむかし話 谷 真介 編著 金の星社 刊
たまごから五十人の娘が生まれるのも不可思議な話ですが、「つぶの長者」の
ように、たにしに変身した若者が登場するおとぎ話の世界ですから、理屈は抜
きです。
やはり、親孝行です。
でも、近頃、この言葉に肩身の狭い思いをさせているようです。
「親孝行、したいときに親はなし」、胸にしっかりと刻んでおきましょう。
ところで、「桃太郎」の話の始めのところに、「おじいさんは山へ芝刈りに、
おばあさんは川へ洗濯にいきました」とありますが、これは、おじいさんとお
ばあさんは、お父さんとお母さんのことで、「父親の恩は山より高く、母親の
恩は海よりも深い」ということを表しているそうです。
しかし、むかし話で活躍するのは、どうやらお母さんの方が多いようです。
◆ももの花酒◆ 常光 徹 著
むかし、長者の家に、器量がよく、気だてのやさしい、一人娘がいました。
ある晩のこと、訪ねてきた若者と仲良くなり、親も喜んでいたのですが、不思
議なことに、若者は、日が暮れると姿を現し、明け方になると音も立てずに帰
ってしまい、どこに住んでいるのかわかりません。
変だと思い始めた頃、娘の顔が青白くなり、やせほそってきました。
心配したお母さんは、糸を通した針を娘に渡し、若者が寝てる間に、この糸を
着物につけておくようにいったのです。
その夜のことでした。
寝ていた若者の着物のすそに針をさすと、若者は大声をあげてとび起き、何や
ら叫びながら暗やみの中を走り去っていったのです。
翌日、お母さんが、若者に付けた糸をたどって行くと、山奥の大蛇が棲むとい
われている淵に、吸い込まれるように入っているではありませんか。
すると、淵の底から、うなり声がするのです。
お母さんは、聞き耳を立てると、娘は蛇の子をみごもっているという。
驚いたお母さんでしたが、この災難から逃れる方法を、大蛇の親子の話から聞
き出し、見事に解決します。
その方法とは、不気味な話ですが、三月の節句に、ももの花酒を飲むいわれが
語られています。
おはなし12ケ月 三月のおはなし
「かえるとぼたもち」 松谷、いち子/長沢和夫 監修
日本民話の会・編 国土社 刊
恐い話です。
この種の話は、よく聞きます。
日照りが続いて、農作物が駄目になってしまうことを心配したお百姓さんが、
「雨を降らしてくれたら、娘を嫁にやってもいい」とつぶやいたのを、やはり
蛇が聞いてしまい、雨を降らして、娘を嫁にもらう話も、主人公は、蛇。
その蛇を退治する方法は、針とひょうたん。
妖怪蛇、蛇のたたり、蛇の執念など、蛇ほど悪者扱いされるのも珍しい。
聖書でも、禁断の木の実を食べるようにそそのかし、その罰として、神様から
地をはって生きるように定められたのも蛇でした。
しかし、蛇は水の神様のお使いだそうです。
干支にも堂々と選ばれています。
でも、見た感じからも、親しめませんね。
民話といえば柳田国男、柳田国男といえば「遠野物語」を忘れることはできま
せん。
この「遠野物語」にも、おもしろい話があります。
原作は、文語体ですから読みづらいですが、口語体で書かれた小学生上級用の
ものは、楽しく読むことができます。
◆ふえふき三太とオイヌ◆
むかし、遠野盆地の東にオイヌ(狼)の群れの棲む笛吹峠があり、その近くに
住んでいた笛の上手な三太わらしの話が伝わっています。
三太は、父(とう)ちゃも亡くなり、後から来たまま母(かぁ)ちゃと暮らし
ていましたが、母ちゃは、三太につらくあたり、笛吹牧場の二才駒の守り役を
させて、オイヌに食われればいいと考えました。
牧場で住むことになったある日、喉にとげを引っかけオイヌの子を助けたこと
から、オイヌ達が三太の周りに寄って来るようになったのです。
三太は淋しくなると、父ちゃ譲りの横笛を吹き、心をまぎらせていましたが、
オイヌ達が、その音色を聞くようになり、二才駒の守り役をしてくれるのでし
た。
様子を見に来た母ちゃは、三太も二才駒も、オイヌ達と遊んでいるのにびっく
り。腹を立てた母ちゃは、三太を焼き殺そうと、牧場に火をつけたのですが、
オイヌ達は、火をくぐり、三太と二才駒を、気仙沼の竜神洞に通じるといわれ
る風穴の方へ導くのでした。
炎に包まれ、逃げ回っていた母ちゃを見た三太は助けようとすると、オイヌ達
も一緒になって、風穴へ誘い込み、底へと進んでいったのです。
そして、三太達は、二度と風穴から出て来なかったのですが、時折、風にのっ
て、笛の音が聞こえてくるという。
そこで里の人達は、この峠を笛吹峠と呼ぶようになったのです。
この話には続きがあり、桃の節句に、気仙沼の竜神洞には、不思議な神楽人た
ちが集まって、竜神神楽を奏でる伝えがあり、火事があった後には、笛の上手
な若者が加わり、母ちゃと十頭の二才駒とオイヌ達の群れが、神楽人達を守る
ように控えていたそうです
「遠野物語」の国へ 平野 直 著 つぼの ひでお 絵
講談社 刊
柳田国男が、民俗学の研究に生涯をかけたきっかけは、少年の日に、川べりの
地蔵堂に奉納されていた、母親が赤ん坊を殺す様子を描いた絵馬を見たときの
印象と、その絵馬が何のために掲げられているかに疑問を持ったときに始まる
と、本書の読書ガイドに、黒沢浩教諭は指摘しています。
以下、原文を紹介しておきましょう。
「国男には、ふと目にした絵馬から、かつて、恵まれない暮らしに苦しんで
いた人々に思いがおよぶ誠実な心があったのです。国男が伝説や世間話に興
味や関心を持ち、それを記録して発表したのは、名もない人々の間に、語り
伝えられてきた話の中に、人々のさまざまな願いがこめられていることを、
広く知らせたかったからではないでしょうか。」
「遠野物語」は、広く知れ渡っている著作ですが、案外、読まれていない方が
多いのではないかと思います。
原作を読むのは、しんどいですが、小、中学生用に書かれたものがあり、これ
で十分に原作の雰囲気を味わえます。
民話は、祖先が残してくれた貴重な文化遺産であることも、忘れたくないもの
です。
ところで、狼は犬の祖先になるわけですが、アメリカの民話に、その経緯を描
いた「草原のオオカミと高原のオオカミ」があります。
食べ物のなくなった森に棲む二匹のオオカミが、インデイアン部落を訪ね、親
切なおじさんから食料を分けてもらいます。
食料のありかを知った一匹のオオカミは、それを全部盗もうといい、もう一匹
のオオカミは止めますが、聞く耳をもちません。
オオカミは仲間を誘いに森に帰ります。
インデアンに知らせれば友を失うことになり、悩んだ末に、おじさんに事の次
第を話します。
仲間と襲撃してきたオオカミを、インデアンは「この恩知らずめ!」と撃退し
ます。
「お前は、正しい心を持っているから、我々と一緒に暮らそう」ということに
なり、食べ物の心配がなくなった草原のオオカミは、次第に牙も取れ、犬とな
ったということです。
その狼を主人公にした話で、忘れられない名作があります。
椋 鳩十先生の「丘の野犬」です。
野生の狼が、人間と親しくなり、家で飼われることになりましたが、鶏が盗ま
れる事件がおき、村の人々はアカ(狼の名前)ではないかと疑われ、毒の入った
肉を食べさせ殺そうとします。
利口なアカは、それを見抜き食べようとしません。
アカを捕まえに来た役人は、主人が与えれば食べるだろうと考え、実行を迫り
ます。
「食べないでおくれ」と祈りながら毒の入った肉を与えます。
一口食べたアカは、苦しそうに叫び、一目散に森の中へ駆け込んでしまったの
でした。
アカと知り合った森のそばで、意気消沈し、しょんぼりと過ごしていたある日
のこと、そのアカが、突然、姿を現したのです。
「アカ!」と叫ぶ主人公を、じっと見つめていたアカは、そのまま森の中へ姿
を消し、二度と現れなかったのでした。
しばらくたって、鶏を盗んだのは、町のならず者だったことがわかったのです
が……。
私は、子どもたちに聞かせたい話をテープに吹き込んでいます。
椋 鳩十作品集も10巻作りましたが、「丘の野犬」は45分ほどになるので、
幼稚園児に聞かせるのは無理ですから、適当にアレンジをして話してみました。
授業に参加していた園児は、35名。
15分ほどでしたが、みんな真剣に聞き、最後に犯人は「人間」であることが
わかったとき、「何だ、何だ!」といったムードになり、涙ぐむ女の子もいま
した。
子どもは、興味があれば、それこそ一心不乱に集中できるのです。
大勢の子どもの前で話をするには、記憶し、本を見ないで、子どもたちの目を
見ながら話してあげることが大切です。
このことを教えてくれたのは、幼い、かわいい、瞳の輝く園児たちでした。(涙)
(次回は、「花祭りでしょうね 卯月」についてお話しましょう)
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