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2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
発行日時: 2008/2/22●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「めぇでる教育研究所」発行
2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
「情操教育歳時記」
日本の年中行事とむかし話
〜21世紀に活躍する子ども達の心を育てる〜
2008年 2月22日
−16−
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第4章 二月に読んであげたい本(2)
また、目玉ですが、これも面白い話です。
◆鬼の目玉◆ 松谷 みよ子 著
娘が、旅の途中で泊めてもらった家には、若者が一人で住んでいました。
毎朝、若者は、奥の部屋に出かけ、夜になると疲れはてて戻ってきます。
若者のお父さんが豪傑で、悪さをする鬼の目玉をくりぬき取り上げたのです。
お父さんが亡くなると、鬼が目玉を取り返しにきて、毎日、責め立てていたの
でした。
ある日娘は、若者の後をつけ、拷問の場面を見たのです。
鬼の大将らしき者が、わめく顔を見ると目がありません。
娘は、若者に酷い仕打ちを受ける理由を聞いても答えず、退屈だろうから、十
三ある部屋で遊びなさいという。
ただし、最後の部屋は、入いってはいけないといわれたのでした。
娘は、最初の部屋を開けると、門松や鏡もちが飾ってある正月の部屋で、小人
さんたちが、羽根つきやカルタをして遊んでいるのです。
娘も中に入ってみると、小人さんと同じように小さくなり一緒に遊べるのでし
た。
次の部屋は梅が咲きうぐいす鳴き、次の部屋はおひなさまが飾ってあるという
ように、一月から十二月までの部屋があったのです。
楽しかったので、最後の部屋にも入ると、真っ暗な部屋に桶があり、何かが浮
かんでいました。
鬼の目玉だとわかった娘は懐に入れ、帰る途中、小川の側で蛇と出会いびっく
りして、一個、落としてしまうのです。
残った一個を持って、お仕置き部屋に飛び込むと、大将の片目には、眼が入い
るではありませんか。
恐る恐る目を差し出すと、眼がそろったから、褒美として娘に金の鶏をやれと、
いったかと思うと、鬼も若者も、部屋も家も、あっという間に消えてしまい、
がい骨がゴロゴロと転がっている山の中に、娘は、一人残されていたのでした。
日本むかしばなし 7
おにとやまんば 民話の研究会 編 松本 修一 絵 ポプラ社 刊
この十三番目というのがすごいと思いませんか。
この作者は、十三日の金曜日が、何の日か知らなかったでしょうね。
キリストが、十三番目の弟子であったユダに裏切られ、磔の刑を受けたのが金曜
日。
アダムとイブが楽園から追放されたのも金曜日。
ノアが方舟に乗ることになった大洪水も、降りはじめたのが金曜日。
絞首刑の階段が十三段ということも……、これも不思議です。
次は、笑わせられる話です。
◆節分の鬼◆ 小沢 重雄 著
変わったじいさまがいて、節分の日に、女房も子どももいないから、鬼が来て
も平気だと、「鬼は内! 福は外!」とやってみたのです。
すると、豆をぶつけられて往生しているのに、奇特な方がいるものだと、二匹
の鬼がやってきたではありませんか。
酒の好きなじさまは、鬼達にもすすめ、宴会が始まります。
ご馳走になった鬼達は、礼をしたいという。
じいさまは、長半ばくちが大好きなので、さいころに化けてくれと頼みます。
さっそく鬼は化けます。
それで、ばくちをするのですから、じいさまのいうとおりの目が出て大もうけ
をしました。
再び宴会に、今度は泡銭をたくさん持っていますから、豪勢なものです。
これに味をしめたじいさまは、来年も来てくれと約束をします。
しかし、次の年も、その次の年も、鬼は現れません。
その内、じいさまは、酒を飲みすぎて死んでしまいました。
ばくち好きでしたから地獄行きです。
そこで、あの鬼達と再会します。
鬼達は娑婆のお礼にと、いろいろと手抜きをします。
釜ゆで地獄のときは、湯かげんに手心を加え、熱かんまでつけるサービスをす
るのです。
怒った閻魔大王が、じじいを喰っちまえと鬼達に命じますが、これも手抜きを
してもらい、娑婆に舞い戻り長生きしたのでした。
日本むかしばなし 7
おにとやまんば 民話の研究会 編 松本修一 絵
ポプラ社 刊
どうしたら、こういう発想ができるのでしょう。
この二匹の鬼には人情があって、それだけにおかしいのです。
針の山に登るときは鉄の下駄を用意するなど、地獄の責め苦を、鬼が手抜きす
る場面は、本当に笑わされます。
しかし、鬼に人情って変ですね。
「鬼の目にも涙」といいますから、涙腺を緩めるセンサーが付いているのでし
ょう。
鬼の情けで「鬼情」では、何やら不気味な感じがしますね。
この話もおかしいのです。
今度は、鬼が、ばくちをする話です。
◆地蔵浄土◆ おざわ としお 再話
ある日、おじいさんが、食べようとしただんごを落とし、ネズミ穴に入ってし
まいました。
おじいさんが、穴に入っていくと、お地蔵さまがいたので尋ねたところ、あっ
ちの方に転がって行ったというその口元には、きな粉がついています。
おかしいなと、探しに行こうとすると、お地蔵さまが、大もうけをさせてあげ
るから、天井裏に隠れなさいというのでした。
鬼達が来てかけ事をするから、その金をいただくのだという。
しかし、天井に上るはしごがありません。
すると、お地蔵さまは、私の手に乗り、肩に足をかけ、届かなければ、頭にの
って天井裏に隠れなさいというのです。
罰が当たると尻込みしますが、鬼達が来ると驚かされ、渋々、隠れます。
そして、「私が合図をしたら、鶏の鳴声をまねしなさい」といったのです。
やがて、鬼達が来て、かけ事を始め、お金がたくさん出たところで、お地蔵さ
まから合図があり、「コケコッコー」と鳴きまねをすると、鬼どもは一番鶏が
鳴いたと勘違いして、夜明けが近いぞと焦ってばくちをし、二回目には二番鶏
が、三回目には、
「三番鶏が鳴いた。夜明けじゃ、帰るぞ」
といい、お金を残したまま消えてしまい、お金をいただいたおじいさんは大金
持ちになったのです。
それを聞いた隣の欲の深いじいさん、一もうけしようと出かけ、遠慮しないで、
お地蔵さまの体に足をかけて天井に上がってしまいます。
ところがです。
三番鳥まで鳴くようにといわれましたが、何を勘違いしたのか、お地蔵さまの
合図に、
「はぁ、一番鳥!」、
「はぁ、二番鳥!」
といってしまうのです。
「この間、おれたちをだました奴だな!」
という訳で、鬼たちから散々、痛めつけられ、血だらけになって帰っていった
のでした。
日本の昔話 2
したきりすずめ おざわ としお 再話 音 羽 末 吉 画
講談社 刊
天井裏に上がるときの、お地蔵さまと正直なじいさまとのやり取りが、おかし
いのです。欲深じいさんが、天井に上がるときのやり取りも、仏さまを仏さま
と思わないふてぶてしさが、これまた愉快で、日本人の信仰心をあからさまに
しているような気さえします。
お地蔵さまは、本当は、お釈迦さまがいなくなった後、弥勒仏が出現するまで
の間をつなぐ役をする偉い菩薩さまですが、いつも庶民の身近にいる仏さまで
す。
粋なのです、このお地蔵さまは。
こういう話を作った人って、尊敬できます。
生きることを楽しんでいるではありませんか。
お地蔵さままで、舞台に上げるのですから豪勢なものです。
しかもです、お地蔵さまに、うそをつかせるのですから、これはすごい演出で
す。
まねをした欲の深いじいさんが、こらしめられるのも、むかし話の定石です。
最後は、鬼をたぶらかす話で、恐かった鬼ですから、勇気がいります。
◆じいさまとおに◆ 水谷 章三 著
ある秋のことです。
おじいさんのところへ鬼が来て、畑にできているものを半分よこせという。
そこでおじいさんは、畑の上のものだけもらうから、鬼さんには土の中のもの
をあげましょうといって、麦畑の麦を全部、刈り取って株だけ残します。
計られたと知った鬼は、次の年の秋には土の上にできているものを、わしがも
らうぞというので、おじいさんは下の半分で結構ですと承知し、鬼が葉っぱを
刈り取った後で、大根や芋をごっそりと掘り出したという話です。
五月のはなし
ももたろう 松谷 みよ子/吉沢 和夫 監修 日本民話の会 編
国土社 刊
大らかな話ではありませんか、鬼を手玉に取り、恐い鬼も形なしです。
鬼は悪魔と考えられ、病気や災いを起こす疫病神のような存在でしたから、人
々の「恨みつらみ」は相当なものであったと思われます。
おじいさんの気持ちが、手に取るようにわかります。
鬼が、主人公の話ではありませんが、芥川龍之介の「杜子春」に出てくる、地
獄の話も忘れられません。
仙人になる修行中に、口をきいてはならぬと約束した杜子春が、閻魔大王の前
でも話さないものですから、怒った大王は、杜子春の両親を連れ出し、鬼ども
に散々、打たせるのですが、口をきこうとしません。
今は、畜生道に落ちて馬になっているお母さんが、あえぎながらも、
「心配をおしでないよ。私たちはどうなっても、お前さえ幸せになれるなら、
それより結構なことはないのだからね。大王が、何といってもいいたくないこ
とは黙っておいで」
こう、いうのでした。
私は、この場面にくると、決まったように涙が出たことを覚えています。
子を思うお母さんは、こんなにもやさしいものなのだなと……。
幼い子をいじめたり、折かんをしたり、果ては殺してしまう親のいる時代です。
地獄に落ちて、同じ責め苦を受けなければ、殺された子は浮かばれません。
子どもに罪はないのですから。
母親の教育は、自分自身でするものでしょう。
それを助けるのが、お父さんです。
「子は、かすがい」ということわざ、死んでいます。
もっとも「鎹(かすがい)」も意味不明の言葉となっているでしょうね。
鎹は、二つの材木をつなぎ止めるために打ち込む「コの字型のくぎ」で、そこ
から、「子は夫婦のあいだをつなぎ止める働きをする」という意味なのですが……。
(次回は、「第五章 ひな祭りでしょう 弥生」についてお話しましょう)
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