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2009さわやかお受験のススメ<保護者編>

発行日時: 2008/2/1

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         「めぇでる教育研究所」発行
     2009さわやかお受験のススメ<保護者編>
           「情操教育歳時記」
         日本の年中行事とむかし話
     〜21世紀に活躍する子ども達の心を育てる〜
           2008年 2月1日 
              −13−

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第4章(1)  節分と建国記念の日でしょう  如 月    

如月(きさらぎ)のいわれは、二月は、まだ寒さが残り、衣を更に重ね着する
「衣更着」からとする説が一般的で、よく知られています。
また、草木の芽が張り出す月「草木張月」が転化したものや、旧暦二月には、
つばめがやって来るので「来更来」とする説もあるそうです。

★★二月といったら、節分、豆まきでしょう★★
父が煎った豆の入っている一升舛を持ち、玄関から始めて、すべての部屋の窓
を開け、
「鬼は外!福は内!」
とやるのですから豪勢でした。
ここまでは、文句なく楽しいのです。
終わって、豆の配分になります。
自分の年に1つだけ上乗せした数だけもらえました。
父は、40数個あっても、私は、10本の指に満たない数です。
これが、不満でした。
現代っ子に、この気持ちは理解できないでしょう。
煎り豆など、食べていますかね。
もっとおいしいお菓子がたくさん出回っていますから、見向きもしないでしょ
うが、大豆は畑の肉ともいわれています。
蛋白質は、動物性より植物性の方が体にいいようですね。

しかし、不満を解消する道は、残されていました。
部屋にまかれた豆を拾って食べるのは、黙認されていたからです。
「汚い!」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
昔のお母さんは、まめに掃除をしていました。
廊下などは、磨かれたように光り、たたみも、いぐさの茎に、つやがある程で
した。
電気掃除機のない時代です。
ほうきとはたきと雑巾だけで、きれいに掃除をするのですから、すごいもので
した。
夕飯が終わると、お皿を持って部屋を回ります。
豆が集まります、それを食べるのが楽しみでした。
    
そして、こたつに入って、父や母から話を聞くのですが、これも楽しみでした。
テレビはありませんから、頭の中に自前の映像を作りだすのです。
真剣に聞いていました。
今の子どもと比べると、情報量は圧倒的に少なかったはずです。
しかし、自前で映像を作り上げる力、イメージ化は、培われていたような気が
します。 
鬼といえば、パンチパーマの頭に二本の角が生え、真っ赤な顔には牙が生え、
虎で作ったパンツをはき、金棒を持った、本当に恐い存在でした。
地獄も閻魔さまも信じていましたから、恐ろしかったのです。   
しかも、電球は、今の蛍光灯のように部屋中を明るくしない、60ワットの少
々、暗めの明るさなのです。
何だか、おかしないい方ですが、電球は、かぶせてある電気がさの具合で、真
下から、その近辺だけ照らし、部屋の隅は、ほの暗いのです。
怪談など聞いたときは、夜中に便所へ行けない雰囲気でした。      
昔の便所は水洗式ではなく汲み取り式ですから、快適な生活環境を維持するた
めに、敷地内のもっとも不便な所にあったのです。
母を起こし、ついて来てもらったことを覚えています。          

ところで、思い出は、とかく誇張されやすいものですが、節分の夜に食べたい
わし、あれもおいしかったです、脂がのっていました。
ある女子大学で、魚介類に関して上中下の評価をしたところ、上はたい、下は
いわしだったそうです。
鰯、字からして頼りなさそうですが、握り鮨を食べてご覧なさい、こたえられ
ません。
しかし、しかしです、ひいらぎと一緒に飾ってあったいわしの頭、あの臭いに
は往生しましたが、豆もいわしの頭もひいらぎも、それなりに存在理由がある
のです。

★★節分って……?★★    
文字通り「節」を「分ける」ことです。
「節」とは、季節、四季のことですから、季節の移り変わるときという意味で
す。
昔は、月が地球を一周する時間をもとに作った暦、太陰暦を使っていました。
今は、地球が太陽の周りを一回りする時間を一年とする暦、太陽暦です。
その陰暦で季節の区分、その変わり目を示す日を「節季」といい、立春から大
寒まで二十四あったので二十四節気といったのです。(詳しくは六月に紹介し
ます)。
その中で、立春、立夏、立秋、立冬は、それぞれ季節の移り変わるときを表し
た言葉で、季節がジワッと伝わってくるような気がしますが、実感はありませ
ん。  
子どもの頃、立春と聞けば、「春だ!」と、何やらほのぼのとした気持ちにな
ったものですが、立夏、立秋、立冬となると、何ら思い出がありません。
あとで詳しく紹介しますが、立夏は五月六日頃、立秋は八月八日頃、立冬は十
一月七日頃ですから、一ヵ月程早く、実感がわかなかったのも当然なのです。
現代っ子はどうでしょうか。
季節感が希薄になりましたから、季節の息吹を肌で感じることも少ないでしょ
う。
こういった変化に無神経でいるのは、本当は、恐ろしいことです。

話を戻して、この立春、立夏、立秋、立冬の前の日を節分といいます。
いってみれば、明日から季節が変わりますから、その前夜祭のことです。
しかし、立春の前の日の節分だけが、なぜか有名になりました。

これは、私の勝手な想像ですが、昔の冬は本当に寒く、そして、夜は暗かった
のです。
今は、電気という便利なものがあり、夜になっても明るく、ガスや電気ストー
ブ、ファンヒーター、床下暖房、エアコンと暖房機器で寒さを防ぎ、寒い外へ
出かけるときには防寒具も完備しています。
しかし、昔は、こんなものは、ありませんでした。
電気も石油もありませんし、建物は木造です。
もちろん、断熱材もありませんし、ガラスもなくて紙を貼った障子です。
夜は真っ暗で、月明かりが無ければ、それこそ鼻を摘まれてもわからない、漆
黒の闇です。
自然と仲良く共存していましたから、地球の温暖化とは、まったく縁がなく、
冬は本当に寒かったに違いありません。
春を待つ気持ちは、現代人の想像を越えた、強烈な願いであったと思います。

そこで、立春を迎える前の日に、鬼は悪魔と信じられていましたから、その鬼
に春を取られては一大事と、鬼の嫌いな豆やひいらぎ、いわしの頭を玄関に飾
ったのではないでしょうか。
昔の人の、春を待つ、必死な気持ちが伝わってきませんか。

★★なぜ、節分に豆をまくのですか★★           
いろいろな説がありますが、紙芝居で見たこの話が印象に残っています。 

むかし、源経義が、牛若丸時代に天狗を相手に、腕を磨いたといわれた鞍馬山
の奥深くに、人々を苦しめる悪い鬼が住んでいたのです。
ある時のこと、困っている人々を救ってあげようと、戦いの神さま、毘沙門天
が現われ、七人の賢い人、七賢人を呼び、三石三斗の大豆で、鬼の目を打てと
命令されました。
鬼は、悪魔と思われていましたから、その悪魔の目を打つことから「魔目」、
すなわち「豆」となったそうです。              
   
また、「魔」を「やっつける、滅ぼす」ことから、「魔滅(まめ)」に通じる
からだという話もあります。
そういえば、「魔」という字は、鬼が麻の布を被り、隠れていますね。
漢字は、本当に、よく工夫されていると思います。

★★なぜ、豆をいるのですか★★  
これにも地方によって、いろいろな説がありますが、ものの本によれば、こう
いった話が紹介されています。
これとそっくりの話が、大分県の由布岳北麓にある塚原地方にもあり、石段で
はなく塚(一里塚などの塚)を作る約束で、面白いことに、その塚が60個あま
り残っているそうです。

むかし、金がたくさん取れた佐渡島に、鬼が住んでいました。
そこへ、神様が鬼退治にきたのです。
これがおもしろい神さまで、                 
「今夜の内に、金山に百段の石段を作れば、おまえの勝ちにしよう」
と、鬼と賭けをしたのです。
負けたら、佐渡島は鬼の支配下になるではありませんか。
いくら神さまでも、やり過ぎです。
誰もが心配します。
その心配が、的中するのです。
鬼は、夜更けの内に、何と九十九段まで作り上げました。
これでは、誰が見ても鬼の勝ちです。
絶体絶命のピンチ、困りはてた神さまは、            
「弱ったな、何か方法はないものかな…?」
何とも情けないことになりましたが、そこは全知全能の神さまです。
しばらく考えていましたが、何と鶏の鳴き声をまねたのです。
すると、鶏たちが、一斉に、
「トウテンコウー! トウテンコー!」
と鳴きはじめました。
これは、日本の鶏と違います、しかし、こう鳴かないと話は終わりません。
「トウテンコウ」は、「東天紅」と書きますから、これで納得できます。
「東天紅」は、東の空が紅くなってきたという意味ですから。  
「夜が明けるぞ!」
と、鶏たちがみんなに報せているのです。
時計のなかった時代です、鶏さんの鳴声は、目覚まし時計でした。  
鬼は朝になったと勘違いし、神さまに負けたと思ったのです。
しかし、鬼は、後一段で負けたのを悔しがり、 
「やんぬるかな、お日さまには勝てん。豆に芽が出る頃に、また来るぞ!」
と悔しがり、捨てぜりふを吐いて、逃げたのでした。
そこで神さまは、事後処理として、豆の芽が出ないように、人々に豆をいる
ように命令されました。
いった豆から芽は出ません。
芽が出なければ、鬼も来ません。   
ですから、節分には、いった豆をまくようになったのです。        

この話を、ある幼稚園で子どもたちに聞かせたところ、こういった質問があ
りました。 
「どうしてオニは、ニワトリの鳴声を恐がるのですか?」
「別に、オニはニワトリを恐がっているのではなく、ニワトリが鳴く頃にな
ると、お日さまが昇って来るんだよ。オニは、真っ暗な闇の世界に住んでい
るから、お日さまが恐いんだなぁ。だから逃げたんだよ」
「それなら、ドラキュラと一緒だ!」
何やらしたり顔でうなずき、納得していました。
これはセーフでした。
   
「何で、『トウーテンーコウー』なんて、おかしな鳴き方するのですか?」
「トウテンコウ」と鳴かないと、この話は成り立ちませんから困りました。
お日さまは東から昇るので、「東天」は「夜明けの東の空」という意味だとい
ってもうなずきませんし、「紅」は赤い色で、みんながお日さまを描くとき赤
く塗るでしょう。
東の空が赤く染まってくる様子を見たニワトリは、「朝が来た!」とみんなに
報せているのですよと説明しても、
「なぜ、夜明けにニワトリが鳴くのですか?」
と変な顔をします。
そこで、うっかり「東天紅」というニワトリが高知県にいるんだといったら、
ますます混乱して、収拾がつかなくなりました。
神様ではありませんが、困り果てた私は、そこで、
「『トーテンコー』と鳴くのは中国のニワトリさんです。アメリカのニワトリ
さんは、『コッカ・ア・ドゥードル・ドゥー!』と鳴くそうだよ」
といったら、アンビリーバブルとばかりに首を傾げていました。
汗をかきました。
夜明けにニワトリが鳴くのを知らないのです。
といって、「待てよ」と考えたのは、「なぜ、ニワトリは、朝になると鳴くの
か」、このことです。
やはり、子どもの疑問を追求する目は鋭く、妥協しません。
これを説明しなければ、子ども達は、納得できないわけです。
そこで、
「ニワトリは、鳥目といわれ、暗いところではまったく物が見えません。だか
ら、夜になると、いたちなどに襲われる不安があるので、夜明けになると、ほ
っとして、一斉に鳴き出すのだよ」
と苦し紛れにこじつけて話したところ、なるほどとうなずきはじめました。

子どもがわかるように話をするのは、本当に難しいですね。
実際にやってみると、ほとほと困るときがあります。
幼稚園や保育園、幼児教室の先生は、何の苦もなくやっているように見えます
が、大変だなと思い、敬意を払うのは、こういうときです。
我が子でさえ、面倒になって止めたくなりますから。

★★なぜ、ひいらぎやいわしの頭を玄関に刺したのですか★★
豆まきをしない家がふえているようですから、ひいらぎやいわしの頭となると、
「…!?」
変な目で見られるかもしれませんね。
これも、しめ縄と同じで、鬼や悪魔が入らないようにした「おまじない」です。
いわしは、冬にたくさん獲れる魚です。
昔、女と子どもを食べるカグハナという鬼がいて、いわしを焼く煙が嫌いだっ
たそうです。
また、生のいわしのにおいは臭いですが、これも鬼は嫌がったそうです。
ひいらぎは「柊」と書きますが、字からして冬です。
葉にとげがあり、触ると痛くて、ずきずきと痛みます。
ずきずきと痛むことを「うずく」といいますが、この「うずく」ことを別の言
い方で「ひいらぐ」といい、それで「ひいらぎ」と呼ばれているそうです。

また、ものの本によると、ひいらぎのことを別名「鬼の目突き」といって、そ
のとげで鬼の目を刺す行事があるそうです。
葉のとげで、鬼の目を突く恐ろし木のようですが、花を見ると印象が変わりま
す。
とげのある葉の付け根に、匂いのよい白い小花が咲き、これがとてもかわいい
のです。

話は変わりますが、いわしは「鰯」と書くように、魚は魚偏から出来ています。
しかし、何と木偏の魚がいて、その名を「柊」といい、命名の由来は、ひれの
ところにひいらぎと同じように鋭いとげを持ち、これが網にひっかかるので漁
師さんから嫌われていますが、味の程は好評で、塩焼き、干物、刺身でもいけ
るとか。
ただし、骨が硬く、身も少ないため、市場に姿を現さないそうです。

ところで、鬼の嫌いなものは、いわしのにおいとひいらぎとお日さまです。
ドラキュラの嫌いなものは、十字架とお日さまとにんにくです。     
お日さまとにおいの共通点はありますが、宗教の出ないところが日本的なので
しょう。
日本では、神さまと仏さまが同居していますから、遠慮しているのかもしれま
せん。                              
  (次回は、「鬼のルーツと建国記念の日」についてお話しましょう) 

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