胸がドキドキしたり、キュンと締めつけられたり・・・恋にときめいているあなたにも、そうでもないあなたにも、スクリーンの中から恋愛風景をお届けします。
- 最新号:2008-10-04
- 発行周期:週間
- 読んでる人:16人
- 創刊日:2007-10-08
- Score!:-点
- コメント数 : 0
- メルマガID:171091
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スクリーンに見つけた恋愛風景 〜愛と使命感のはざ間で〜 【汚名】
発行日: 2008/3/5
スクリーンにはさまざまな恋愛風景が描かれています。熱く燃え上がるような恋
もあれば、相手を包み込むような深い愛もあります。このメルマガでは、実際の
セリフを織りまぜながら、映画の中の恋愛風景を紹介していきます。
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Scene 40 「愛と使命感のはざ間で」
【 汚名 】
Notorious
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◇◆ 今回紹介の映画 ◆◇
※商品の金額は、メルマガ発行日現在のものです。後日変更になる場合がありま
すのでご了承ください。
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汚名
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いつも「スクリーンに見つけた恋愛風景」をご愛読いただき、
ありがとうございます。
第40号の今回は、このメルマガの原点に立ち戻り、ヒッチコック・サスペンスの
中に恋愛風景を探します。1946年に製作された【汚名】です。終戦直後だったた
め、日本公開は1949年でした。愛する男性への想いと使命感。そのはざ間に立た
されたヒロインの心の葛藤とは。ロマンスとスリラー、2つの醍醐味を味わえる作
品です。
−−◇◆ 目 次 ◆◇−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1. 基本情報
2. 見どころ
3. 「愛と使命感のはざ間で」の分析
4. ヒロインのセリフから
5. 裏話
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1. 基本情報
■主な出演: (★=男優/☆=女優)
★ケイリー・グラント ・・・ ★T.R.デブリン
☆イングリッド・バーグマン ・・・ ☆アリシア・ヒューバーマン
★クロード・レインズ ・・・ ★アレックス・セバスチャン
■監督:
アルフレッド・ヒッチコック
■モノクロ
■ストーリー:
アリシアは、アメリカのフロリダに住む美貌の20代女性。父親はドイツのスパイ
として、国家反逆罪で有罪判決を受けていました。自暴自棄になるアリシアに近
づいたのが、FBI捜査官のデブリンでした。彼は、ドイツのスパイ組織調査の協力
をアリシアに要請します。はじめは気乗りしなかったアリシアでしたが、父の汚
名をそそぐため、この要請を承諾します。
ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ(リオ)に移ったデブリンとアリシア。行動を
共にするうち、いつしか2人は恋に落ちていました。しかし、FBIがアリシアに要
求したのは、スパイ組織のリーダー、セバスチャンに接近し内情を探れというも
のでした。
アリシアを愛しながらも、FBIの一員であるデブリンには、この計画を止める術は
ありませんでした。彼はわざと冷淡にふるまい、アリシア自身に決断させます。
アリシアはデブリンに失望を感じ、女の意地と憎悪から危険な任務を引き受ける
ことにします。
やがて、アリシアはセバスチャンにプロポーズされます。祖国のために本格的に
スパイ活動に身を投じる覚悟を決めたアリシアは、デブリンへの愛を胸に秘めて
セバスチャンと結婚するのでした・・・
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2. 見どころ
【汚名】は、ヒッチコックお得意のスパイスリラーにラブロマンスを絡ませた秀
作サスペンス映画です。当メルマガでは、第1回【レベッカ】と第2回【白い恐
怖】以来のヒッチコック作品となります。
主演は、都会派コメディが得意だったケイリー・グラントと、当時すでにオス
カー女優となっていたイングリッド・バーグマン。2人が共演するというだけ
で、公開前から話題をさらっていました。
特に有名なのが、作品の前半、リオのホテルで展開される約3分間のキスシーンで
す。当時の映画製作倫理規定では、長いキスシーンは”扇情的”だとされ、3秒以
内と決められていました。そこでヒッチコックは、この規定を打破する妙案を考
え出しました。主人公たちに、キスをしては会話をさせるのです。1回のキス時間
は短かく、規定を見事にパスしました。しかも、普通のキスシーンより、官能的
で鮮烈な印象を残しています。
お互いに愛し合いながら、任務という名の下に本当の気持ちを隠して、意にそぐ
わない結婚をするアリシアとそう仕向けるデブリン。胸中の葛藤はいかばかり
か、表情を観るだけで痛いほど伝わってきます。冷たい言葉を投げかけていて
も、その裏に隠された切ない想いを表現する、名優2人の演技は見ごたえがありま
す。
さらに、セバスチャンを演じたクロード・レインズの演技には、すばらしいもの
があります。惜しくも受賞はなりませんでしたが、アカデミー助演男優賞にもノ
ミネートされたほどです。若く美しい女性に夢中になった中年男性の心情があり
ありと伝わってきます。アリシアとデブリンに向けられたネチッとした嫉妬の視
線、紳士を装い感情を押し殺しながら、常にアリシアの行動をチェックする陰湿
さには寒気を感じてしまいます。その一方で、彼と実母との親離れ子離れできて
いない関係も浮き彫りにされ、緊迫したシーンが続く中、なぜか失笑したくな
り、絶妙のガス抜き効果を上げています。
サスペンスの妙味も随所に感じられますが、特にお薦めしたいのはワイン貯蔵庫
に関連した一連のシーンです。まず、アリシアがセバスチャンからワイン貯蔵庫
の鍵をどう盗み出すのか、セバスチャンは鍵がないことにいつ気付くのか、さら
にワイン貯蔵庫にデブリンが忍び込むシーンの緊張感。パーティーが進むにつ
れ、シャンパンが1本また1本と減っていき、セバスチャンたちがいつワイン貯蔵
庫へ降りてくるか、ドキドキしながら見守ることになるでしょう。
初めからアリシアを疑いの目で見ている、セバスチャンの母親の不気味な言動に
もご注目ください。そして、アリシアの正体がセバスチャンにばれたとき、どの
ような恐ろしい事態が待っているのでしょうか・・・続きはスクリーンで。
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3. 「愛と使命感のはざ間で」の分析
アリシアは、ドイツ人の父親とアメリカ人の母親を持つ女性。祖国アメリカを愛
するアリシアは、ドイツのためにスパイ活動をする父親を憎んでいました。しか
し、幼い頃から『仲のよい父娘だった』と自認するアリシアにとって、父親は憎
しみの対象であると同時に、愛してやまない存在でもあるのでした。
父の有罪判決以来、自由奔放な生活を送っていたアリシアは、仲間内でのパー
ティーでFBI捜査官のデブリンと知り合います。始めは彼に興味を持ったアリシア
でしたが、FBIと知るや敵意を剥き出しにします。
そんな彼女に、デブリンはある依頼をします。ブラジルのリオで活動中のドイツ
のスパイ組織の動きを探ってほしいというものでした。
『なぜ私が?』『愛国心だ』『悪いけど愛国心なんてないから』嫌がるアリシア
に、デブリンは父との会話を録音したレコードを聞かせます。するとアリシアは
涙を流し、父の汚名をそそぐため、FBIへの協力を了承するのでした。
アリシアとデブリンは、早速ブラジルのリオへ飛びます。具体的な任務を言い渡
されるまで、2人だけの時間を過ごします。自暴自棄になっていたアリシアも、デ
ブリンと過ごすうちに少女のように素直な気持ちを取り戻していくのでした。
デブリンは決して優しい男性ではありませんでしたが、クールで頼りがいがある
点にアリシアは惹かれていきます。デブリンもまた、アリシアが根は純粋で真面
目な女性であることを知り、好意を抱いていくのでした。
それでも、2人はお互いへの想いを口にしないようにしました。アリシアは、『私
を信用してよ。少しでいいから』と、任務をやり遂げることで自分を認めてもら
おうと考えます。
そんなアリシアを、ついにデブリンは抱き寄せます。一度火がついたら愛の炎は
燃え盛るばかり。2人は海の見えるホテルのベランダで抱き合い、何度もキスを繰
り返すのでした。
FBI上層部が決定したアリシアへの任務は、組織のリーダー、セバスチャンを誘惑
して彼の家へ入り込み、内情を探るというものでした。セバスチャンはアリシア
の父の友人で、4年前まで彼女に恋心を抱いていたのです。
計画を聞かされたデブリンは、激しく動揺します。”彼女は承知しないだろう。
経験もない”と感情的に理屈を並べ立てますが、上層部の決定を覆すことはでき
ませんでした。
ホテルへ戻ったデブリンは、やむなく任務内容を伝えます。アリシアの表情は瞬
時に凍りつきます。『何か言ってくれた? 私には向かないとか・・・』アリシ
アは淡い期待を抱いたのでした。デブリンが自分を愛してくれているなら、任務
を拒絶してくれたのではないかと。
ところが、デブリンは『決めるのは君自身だ』と冷たく突き放します。納得でき
ないアリシアは、なおも尋ねます。『あなたを愛する女のために1つの弁護も?』
デブリンは事実を隠して、『これは任務なんだ。自分で決めろ』と言うばかり。
彼の愛を信じたかった、その証さえあればよかった。それなのに・・・アリシア
の心は裏切られた気持ちでいっぱいになります。『あなたは信じてるでしょ?
私のあなたへの愛は決して変わらないって』精一杯の言葉にも、デブリンは応え
ようとしません。『ひどい人。信じる心を持たず私を切り捨てるのね』ついに絶
望と憎悪から、アリシアは任務を引き受けることにします。
アリシアはセバスチャンに近づくことに成功し、日ごとに親しくなっていきま
す。セバスチャンは、再びアリシアの虜になっていました。
数日後、任務の報告をするため、アリシアは人混みに紛れて競馬場でデブリンに
会います。報告の最後に、アリシアがセバスチャンと寝たことを告げると、デブ
リンはショックを隠して『早業だな』と嫌味を言います。
『この任務を押し付けたのはあなたよ』とアリシアが言えば、『決めたのは君自
身だ』と責任転嫁するデブリン。アリシアは憤慨します。2人は意地を張り合い、
お互いを責める言葉の応酬となります。
そのうちアリシアは、思わず本音を漏らします。『1度でも”愛してる”と言っ
てくれれば』と。いつしかアリシアの目には、涙が溜まっていました。しかしデ
ブリンは、またもクールに突き放すのでした。
2人の様子を双眼鏡で眺めていたセバスチャンは、激しい嫉妬を覚えます。そし
て、すぐさまアリシアにプロポーズします。愛情のかけらも感じられないデブリ
ンの言葉に傷ついていたアリシアは、プロポーズを受ける決意をするのでした。
結婚後も、アリシアはデブリンと連絡を取り合っていました。繁華街のベンチで
束の間の会話を交わす2人。愛のない結婚生活はアリシアにとって苦痛であり、事
務的な会話の間にも、デブリンにすがりたい気持ちがあふれてしまうのでした。
そんな中2人は、セバスチャンの家のワイン貯蔵庫に何か秘密があるのではという
ことに気付きます。デブリンは、アリシアのお披露目パーティーを開かせるよう
指示します。デブリンが客として訪れ、秘かにワイン貯蔵庫を調べようというの
です。但し、その前にワイン貯蔵庫の鍵を手に入れなければなりません。この役
目は、アリシアに託されるのでした。
そして迎えたパーティーの日・・・
意地を張りながらも抱き続けたアリシアの愛。任務という名の下に、本心を隠し
て意にそぐわぬ運命に飛び込むアリシアには、同情を感じてしまいます。彼女は
ただデブリンの「愛してる」という一言を聞きたかっただけなのですから。
とはいえ、絶望したアリシアを支えたのも、デブリンへの揺るがぬ愛なのでし
た。彼女の愛は最後に勝利することができるのか・・・ぜひあなたの目で確認し
てください。
*『 』は実際のセリフです。
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4. ヒロインのセリフから
リオに到着したアリシアとデブリンが、カフェで話をするシーンから。まだ、お
互いに好きな気持ちを認めていない段階です。
I'm making fun of myself. I'm pretending I'm a nice, unspoiled child
whose heart is full of daisies and buttercups.
「自分を笑い飛ばしたいの。デイジーやキンポウゲのことで頭がいっぱいの、
無垢ないい子のふりをしているのよ」
◎言葉では、自分は擦れた女であるような言い方をしていますが、根は純粋で健
気な女性であることが伺われます。
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5. 裏話
【汚名】は、ヒッチコックがイングリッド・バーグマンへの想いを形にした作品
とも言われています。前作【白い恐怖】撮影時にバーグマンに恋をしたヒッチ
コックは、本作のケイリー・グラントに自分自身を重ね合わせていたのでした。
彼の想いのたけのクライマックスともいえるのが、あの有名なキスシーンでし
た。ヒッチコックのこのシーンにかける熱意には、並々ならぬものがあったので
す。映画製作倫理規定への挑戦はもとより、バーグマンへの想いを形にする場で
もあったからです。
ヒッチコックは、強引に主演2人を向き合わせると、唇を合わせたり離したり、回
転台に乗せて回したり、壁にへばり付けさせたりと、あらゆる角度から何度でも
気に入るまでリハーサルを繰り返しました。とうとうバーグマンは、「唇が腫れ
るわ。もう感覚もなくなってきたわ。これじゃあ、キスじゃなくて拷問よ。私に
恨みでもあるの」と泣き出してしまいます。それを慰めるグラント。2人の姿を盗
み見ながら、ヒッチコックは満足していました。しごくのも、慰めるのもまさに
自分自身だと感じていたからです。
ある日、グラントの演技に不満を感じたヒッチコックは、お手本を見せると言わ
んばかりに真剣にバーグマンを抱き締めました。これには、バーグマンも嫌悪感
を覚えますが、さすがに叩いたり押しのけたりする勇気はありませんでした。し
かしこのとき、バーグマンにははっきりとわかったのです。ヒッチコックの自分
への想いを。
それから3年後、バーグマンはヒッチコックの前から姿を消し、ロベルト・ロッセ
リーニ監督を慕ってイタリアへ渡ってしまうのでした。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
いかがでしたでしょうか? この週末、ぜひ【汚名】を観てくださいね。
次回はどんな映画の中に恋愛風景を見つけましょうか。
どうぞお楽しみに。
◇◆ バックナンバー ◆◇
※今号の中に登場したメルマガです。
第1号 〜ひたむきな愛 その1〜【レベッカ】 2007.10.15発行
http://www.melma.com/backnumber_171091_3862098/
第2号 〜ひたむきな愛 その2〜【白い恐怖】 2007.10.17発行
http://www.melma.com/backnumber_171091_3864668/
発行者:
dreamy(翻訳家)
発行者サイト:
http://ivory.ap.teacup.com/dreamer312/
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聖
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