日本のように君主制を採用する国は世界的に少なくありませんが、神話の世界につながるほど古い歴史を持ち、国の歴史とともに、1つの王朝が連綿と続いているのは日本の天皇しかありません。しばしばテレビのニュースなどに登場する天皇は、本当は何をなさっている方なのでしょう。知っているようで意外に知られていない天皇・皇室の世界を、日本人の精神史の語り部、斎藤吉久が事実に基づいて、できるだけ分かりやすくお話します。
- 最新号:2008-10-07
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斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」vol.39
発行日: 2008/7/8□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
1 「国家神道」が「超国家主義」の源泉と誤解された理由
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いま発売中の「正論」8月号に書いた拙文「皇室伝統を蔑(なしがし)ろにする宮内官僚を糾す」は、おかげさまで少なからぬ読者からお誉めの言葉を頂戴しました。あつくお礼を申し上げます。
▽過大評価された「国家神道」
少しばかり気になるのは書き残したことがあることで、今日はそのことについて書こうと思います。それは、アメリカはなぜ「国家神道」こそが「軍国主義・超国家主義」の主要な源泉と誤解したのか、です。
ちょうど数年前、「大量破壊兵器を保有している」と思い込んでイラク攻撃に踏み切ったように、アメリカはその昔、日本の「国家神道」なるものを過大評価していたようです。
であればこそ、被占領国の宗教に干渉することを禁じた戦時国際法にあえて違反して、占領軍は神道撲滅運動に血道を上げ、「国家神道」の中心施設と考える靖国神社の焼却処分までが本気で企てられたのだと思います。
占領軍は、靖国神社がどれほど狂信的なのか、を見定めようと、昭和20年11月の臨時招魂祭・合祀祭を従来の形式で行うよう求めました。まずは自由に泳がせて、その結果を見て、存廃を判断しようとしたのです(小林健三、照沼好文『招魂社成立史の研究』錦正社、昭和44年)。
ところが面白いことに、CIE(民間情報教育局)部長のダイク准将らは「たいへん荘厳でよかった」と神社の祭典に逆に感激します。良きにつけ、悪しきにつけ、アメリカ人の単純さです。神社の職員が一兵卒として応召したことも分かり、靖国神社の職員が戦争指導の中心にいた、という誤解は一気に晴れました。
▽教育勅語は「国家神道の神聖な教典」
キリスト教に教会があるように、「国家神道」には靖国神社がある、と考えたのでしょうか。だとすると、キリスト教における聖書に相当するものとして、アメリカ人が教育勅語、「国体の本義」、修身教科書を想定したとしても、何の不思議もありません。
実際、たとえばCIEの政策に大きな役割を果たしたR・K・ホールは、教育勅語が「国家神道の神聖な教典」であったと理解していたようです(貝塚茂樹「戦後教育改革と道徳教育問題」日本図書センター、2001年)。
ホールは、教育勅語そのものは「罪のない有害とも思えない文書」と考えていました。それがなぜ「国家神道の教典」となったのか? それには「ふたつの状況」があった、とホールは説明しています。
ひとつは教育勅語の本来の意味が、軍国主義的、超国家主義的な解釈で見失われたこと。もうひとつは、教育勅語それ自体が偏狭な愛国主義者の追従によって神聖不可侵なものとして覆い隠されたことでした。
▽ダイクCIE部長と安倍文相の対談
教育勅語はご存じの通り、明治23(1891)年秋に発布されました。発布の翌日、文部大臣は、学校の式日に勅語を奉体することなどを訓示し、翌年には紀元節や元始祭などに学校で儀式を行い、教育勅語を奉読することなどが決められました。
無害なはずの教育勅語が祭り上げられたうえに、軍国主義、超国家主義に利用された、とアメリカ人に理解された根拠はどこにあるのでしょうか?
それをにおわせるのは、昭和21年2月に行われたダイクと安倍文相との会談です。2人が会談するのは、前月に続いて2回目。翌日、帰米の途につくため、急遽、会談がもたれたのでした。
2人の会談を、通訳をつとめた神谷美恵子さん(前田多門文相の長女。精神科医)がメモに書き残しています(『神谷恵美子・エッセイ集1』ルガール社、1977年)。2人は教育勅語に関する誤解に言及しています。
安倍 新しい教育勅語とはどういうことをお考えなのか。
ダイク 明治大帝の教育勅語は偉大な文書だが、軍国主義者たちが誤用した。また誤用されうるような点がある。たとえば「これを中外に施してもとらず」という句のように、日本の影響を世界に及ぼすというような箇所をもって、神道を世界に宣伝するというふうに誤り伝えた。
安倍 仰せの「これを中外に施してもとらず」は真意はけっしてそのようなものではないし……
▽「これを中外に施してもとらず」
キリスト教の聖書なら「全世界に行って、福音を述べ伝えなさい」(マルコによる福音書16章15節)というイエスの言葉が記録されていますが、地域共同体を前提とする日本の神道には世界宣教の発想は出てくるはずもありません。
ところが、「これを中外に施してもとらず」という教育勅語の言葉は、誤用どころか、たいていは「わが国で実践しても、外国で実践しても道理に反しない」と理解されてきたのでした。
しかしこの解釈にこそ間違いである、という指摘があります。知人の佐藤雉鳴氏が書いた『繙読「教育勅語」──曲解された二文字「中外」』がそうです。
佐藤氏によれば、「中外」は「皇室と国民」という意味のはずなのに、『勅語衍義(えんぎ)』(井上哲治郎。明治24年)以来、草案作成者の意図が伝わらず、ことごとく誤解され続けてきたというのです。
だとすると、「国家神道」こそが「軍国主義・超国家主義」の主要な源泉で、靖国神社がその中心施設であり、教育勅語が聖典だと、まるでキリスト教の亜流のように、「国家神道」なるものをアメリカが誤解したことを、笑ってすませることはできないことになります。
日本人自身が教育勅語を誤解し続けていることになるからです。それはすなわち、日本人が近代化の結果として、日本の宗教伝統や天皇という存在について、正しい理解を失っているということです。アメリカ人がキリスト教の色眼鏡で日本を見ているというより、日本人がキリスト教化しているからです。
佐藤氏の論考が「人形町サロン」の研究ノートで公開されていますので、ご関心のある方はぜひご一読ください。
http://www.japancm.com/sekitei/note/2007/note39.html
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2 天皇・皇室の一週間
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7月1日(火曜日)
□三笠宮寛仁殿下が退院されました(時事ドットコム)。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008070100703
6月29日(日曜日)
□天皇・皇后両陛下が来日した潘基文・国連事務総長と懇談されました(MSN産経ニュース)。
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/080630/imp0806301358001-n1.htm
6月27日(金曜日)
□皇太子殿下がブラジル公式ご訪問から帰国されました(日経ネット)。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080627AT1G2705027062008.html
6月22日(日曜日)
□皇太子殿下がサンパウロでの日本人ブラジル移住100周年記念式典に出席されました(読売新聞)。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080622-OYT1T00451.htm?
from=main2
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3 お知らせ
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1、「正論」8月号に拙文「皇室伝統を蔑ろにする宮内官僚を糾す」が載っています。
http://www.sankei.co.jp/seiron/wnews/0807/mokji.html
2、雑誌「正論」が今年11月号で創刊35周年を迎えることになり、送料無料でご自宅にお届けするキャンペーンを実施しています。ご希望の方には申込書をお送りしますので、私斎藤までメールでご連絡ください。
3、北朝鮮向け短波放送「JSRしおかぜ」がカンパを募集しています。ご協力ください。
http://www.chosa-kai.jp
4、第53回全国学生青年合宿教室。お伊勢さんでの勉強会です。参加者を募集しています。8月21日から24日まで。
http://www.kokubunken.or.jp
5、発売中の「別冊正論」第9号に拙文「靖国合祀『日韓のすれ違い』」が載っています。
http://www.sankei.co.jp/seiron/etra/no09/ex09.html
6、「人形町サロン」に拙文「日本人が大切にしてきた多神教文明の価値」が載っています。
http://www.japancm.com/sekitei/sikisha/index.html
7、斎藤吉久メールマガジンの読者登録もお願いします。
http://www.melma.com/backnumber_158883/
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4 お勧めメールマガジン
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1、軍事情報[まぐまぐ!]
http://www.mag2.com/m/0000049253.html
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