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斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」vol.13
発行日時: 2008/1/8----------------------------------------------------------------------
斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」vol.13
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第13回「疲れ知らず、昭和天皇の地方巡幸」─国民の命はわが命─
▼祖先と国民に対する責任
1月7日は先帝・昭和天皇が崩御された命日で、歴代天皇の御霊(みたま)が祀られる、宮中三殿の皇霊殿で昭和天皇祭が行われます。八王子の武蔵野御陵でも祭儀が行われます。
昭和天皇の時代は激動の時代でしたが、ここでは戦後の地方巡幸についてお話しします。元共同通信の高橋紘記者によると、この地方巡幸は昭和20年9月のマッカーサーとの第1回の会見直後に持ち上がりました。
天皇は側近に、戦争で傷ついた国民を慰めるため、全国をまわりたいと洩らされたのでした。宮内省総務局の加藤進局長は、当時の天皇のお気持ちをこう記録しています。
「戦争を防止できず、国民をその惨禍に陥らしめたのは、まことに申し訳ない……私は方々から引き揚げてきた人、親しい者を失った人、困っている人たちのところへ行って慰めてやり、また働く人を励ましてやって、一日も早く日本を再興したい。このためには、どんな苦労をしてもかまわない。そう働くことが私の責任であって、祖先と国民とに対して責任を果たすことになるのだと思う」(木下道雄『側近日誌』の解説)
▼地に墜ちた政府の威信
当時の社会混乱は想像を絶していました。衣食住すべてが不足し、とくに「1000万人餓死説」が流れるほど、人々は飢えをしのぐのに精いっぱいでした。
昭和20年といえば40年ぶりの凶作で、食糧が絶対的に不足していたのです。政府はくり返し米の供出に対する協力を訴えましたが、農家の供出への意欲は極端に乏しかったといいます。政府の威信はそれだけ地に墜ちていたのです。
翌21年5月には都内で「米よこせデモ」が行われ、勢いに乗ったデモ隊が赤旗を先頭にして皇居になだれ込むという事件さえ起きました。参加者25万ともいわれる「食糧メーデー」が皇居前広場で開かれ、群衆は労働歌を歌って気勢を上げました。「朕(ちん)はたらふく食っているぞ。なんじ人民飢えて死ね」のプラカードもありました。占領軍は当初、反天皇、反政府行動を奨励するような政策を採っていたのでした。
少し前の21年1月、木下道夫侍従次長のもとに学習院の英語教師ブライスからメモが届けられました。ブライスは「覆面の立役者」といわれるイギリス人で、皇室とGHQの仲介を務めていました。『側近日誌』にそのブライスの覚書が載っています。
▼マッカーサーの力及ばぬところ
まず「天皇は……親しく国民に接せられ……国民の誇りと愛国心とを鼓舞激励せらるべきである」とあって、そのあとに「天皇と食糧問題」の見出しが続き、かう記されています。
「闇取引、闇市がさかんに横行しておる……日本人の真心を呼び覚まし、これを奮い立たせねばならぬ。これはマッカーサーの力及ばぬところで、ひとり天皇のみなしたまい得るところであり、思うにいまがその絶好の機会であるまいか……広く巡幸あらせられて……国民の語るところに耳を傾けさせられ、また親しく談話を交えて、彼らにいろいろの質問をなし、彼らの考えを聞かるべきである」
天皇はこれに大いに賛成され、巡幸について「直ちに研究せよ」と側近に命じられたといいます。こうして地方巡幸は翌2月に始まります。天皇は物的、精神的戦後復興の先頭に立たれたのです。
側近や地方の高官は天皇の健康を気遣ったといわれます。ところが天皇はじつにお元気でした。お伴の者がへとへとになっているのに、天皇だけは余裕綽々でした。
天皇は巡幸が立案されたとき、「自分の健康は第二義的に考えてよろしい」と語られました。「なんじ臣民とともにあり」。国民の命をわが命と思われ、ご自身の命を皇祖と国民の前に投げ出されていたのでしょう。
参考文献=大金益次郎『巡幸余芳』(新小説社、1955年)、木下道雄『側近日誌』(文芸春秋、1990年)、岸康彦『食と農の戦後史』(日本経済新聞社、1996年)、木下道雄『新編宮中見聞録──昭和天皇にお仕えして』(日本教文社、平成10年)など
((((((((「天皇・皇室の一週間」)))))))))))
平成20年1月2日(水曜日)
□恒例の一般参賀が行われました(日経ネット)。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080102STXKD001802012008.html
1月1日(火曜日)
□皇居で新年祝賀の儀が行われました(中日新聞)。
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008010101000026.html
□天皇陛下は宮内庁を通じて新年を迎えるご感想を発表され、とくに昨年、震災に見舞われた石川、新潟両県の被災者を気遣われました(読売新聞)。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080101i504.htm?from=navr
天皇陛下のご感想は宮内庁のホームページに載っています。
http://www.kunaicho.go.jp/gokansou/gokansou-20.html
□宮内庁は天皇、皇后両陛下が昨年、お詠みになったお歌のうち8首を公表しました(中日新聞)。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008010102076521.html
発表されたお歌は宮内庁のホームページに掲載されています。
http://www.kunaicho.go.jp/gyosei/gyosei-h19.html
19年12月27日(木曜日)
□天皇陛下は今年ご公務で訪問された北海道、秋田県、滋賀県にそれぞれお歌を贈られました(徳島新聞)。
http://www.topics.or.jp/contents.html?
m1=1&m2=10&NB=CORENEWS&GI=Lifestyle/
Human_Interest&G=&ns=news_119873039676&v=&vm=all
12月26日(水曜日)
□岩手県にある精神障害者の社会復帰を支援している社会福祉施設「ワーク小田工房」が天皇陛下からの御下賜金を賜ることになりました(岩手放送)。
http://www.ibc.co.jp/ibcnews/today/NS003200712261843374.html
同工房についてはこちらをご覧ください。
http://www.my-ccg.com/groupin/selp/odakobo.html
((((((((( お知らせ )))))))))
2月3日(日曜日)の午後1時から靖国神社を会場に勉強会があり、歴史問題をテーマに講演します。定員は300名。参加は無料ですが、入場券が必要で
す。先着順ですので、お早めにお申し込みください。
http://www.yasukuni.jp/%7Esukei/page079.html
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筆者のプロフィール
斎藤吉久(さいとう・よしひさ) 1956年、福島県生まれ。弘前大学、学習院大学を卒業後、総合情報誌編集記者などを経て、現在はフリー。オフィス斎藤吉久を主宰。得意分野は、天皇・皇室、宗教、歴史、食文化など。雑誌「正論」平成19年9月号に「靖国問題を問い直す9つの視点」、同10月号に「昭和天皇の『不快感』は本当か」を執筆、同11月号では「信仰を忘れた聖職者たち」を木下量煕氏と共同執筆。最近の雑誌発表記事などは「斎藤吉久Webサイト」のアーカイヴズで読めます。
http://web.mac.com/saito_sy/
「斎藤吉久メールマガジン」をmelma!より発信中。
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