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斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」vol.12
発行日時: 2008/1/1----------------------------------------------------------------------
斎藤吉久の「誤解だらけの天皇・皇室」vol.12
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第12回「天皇の年越えの祈り」─国と民のために─
▼昭和20年、空襲下の四方拝
年末年始、多くの国民がテレビの歌番組を見ながら、一家団欒(だんらん)の時を過ごしているころ、あるいは喧噪を離れたホテルや海外でのんびりと新年を迎えているころ、天皇は人知れず厳粛な祈りを神々に捧げられます。それはけっして天皇の私事ではなく、天皇家の祖先崇拝でもなく、古来、祭りの霊力でこの国を治めてきた統治者としての公的な祈りです。
海軍大将などの要職を経て、さらに明治神宮宮司をつとめたあと、昭和19年夏に侍従長となった藤田尚徳(ふじた・ひさのり)の回想によれば、戦争末期の20年の元旦、一年の最初の祭儀である四方拝(しほうはい)は空襲下で行われました。
灯火管制のなか、静かに眠る大内山はこの朝、ぐっと冷え込んだといいます。午前5時、陸軍の軍装に大勲位の略綬を佩用(はいよう)した昭和天皇を乗せ、お車が皇居の神域・宮中三殿に向かって走り出すや、警戒警報のサイレンが闇を引き裂きました。
藤田の判断で御文庫(おぶんこ。防空壕)に引き返したものの、警報はいっこうに解除されません。やがて夜が明け初めてきました。侍従たちが御文庫の庭にむしろを敷き、6曲の金屏風で囲い、拝礼の場を急ごしらえしました。
黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)の束帯(そくたい)に着替えた天皇が中に入られ、やがてむしろをすべる沓(くつ)音が外に響いてきました。波乱の年の幕開けとなるこの日、天皇直伝で侍従さえ見たことのない四方拝がこうして始まったのです。
▼多忙な祭祀の日々
別項で書いたように、第84代・順徳天皇(1197-1242)は「およそ禁中の作法は、神事を先にし、他事を後にす」(『禁秘抄』)と表明しています。天皇の第一のお務めは古代から踏襲されてきた、「国平らかに、民安かれ」と祈る祭儀にこそある、ということですが、とりわけ今上(きんじょう)天皇は高齢で療養中にもかかわらず、寒さがつのる年末年始にかけて、祭祀と儀式の多忙な日々を過ごされます。年間20件近くの祭儀のいくつかが集中するからです。
12月中旬、おおむね15日の夕刻から、宮中三殿の中央、皇祖・天照大神(あまてらすおおかみ)をまつる賢所(かしこどころ)で賢所御神楽(みかぐら)が行われます。天皇が玉串(たまぐし)を奉って拝礼し、皇后以下、皇族の拝礼が続いたあと、延々6時間におよぶ御神楽が奏され、神霊をなごめるのです。
23日は天長祭で、宮中三殿に拝礼が行われます。神恩に感謝し、神々の御加護を願い、世の平安を祈る祭儀といわれます。宮殿では祝賀の儀、宴会の儀、茶会の儀、一般参賀が行われます。
25日は大正天皇例祭で、歴代天皇をまつる皇霊殿と陵所で祭典が行われます。天皇は玉串を奉って拝礼されます。御陵には勅使が差遣され、奉幣が行われます。
大晦日(おおみそか)の午後2時には、宮殿で節折(よおり)の儀が行われます。天皇の大祓(おおばらい)です。続いて、3時には神嘉殿の前で大祓の儀が行われます。皇族ほか国民全体の祓い清めの意味があるといわれます。夕刻には掌典職による除夜祭が行われます。
元旦に天皇が神嘉殿南庭で伊勢神宮、山陵、四方の神々を遥拝する四方拝に引き続き、歳旦祭が行われます。天皇は三殿に玉串を捧げて拝礼し、皇太子が続きます。年頭に際して神恩に感謝し、神々の御加護を祈念するといわれます。この親拝が終わるころ、ようやく東の空が明るくなります。この日は宮殿で皇族や政府高官などが出席する新年祝賀の儀も行われます。
翌1月2日は新年一般参賀で何度も宮殿のベランダにお出ましになり、3日午前10時からは元始祭。天皇は三殿に玉串を奉って拝礼し、お告文(おつげぶみ)を奏され、皇族の拝礼が続きます。年頭に当たり、皇位の大本と由来を祝し、国家国民の繁栄を祈る祭祀といわれます。
4日は掌典長が年始に当たって,伊勢神宮と宮中の祭祀について天皇に申し上げる奏事始(そうじはじめ)があり、7日は昭和天皇祭が行われます。
▼世の平らぎを祈る朝々
皇室祭祀にくわしい八束清貫(やつか・きよつら)が指摘するように、祭祀は清浄を第一とします。大祭と位置づけられ、天皇みずから祭典を行う元始祭、昭和天皇祭は当日と前2日、ほかの小祭は当日、斎戒し、心身を清めて祭儀に臨むのが基本とされ、したがってほとんど3週間、気の抜けない厳粛な日々が続くことになります。
昭和50年の歌会始のお題は「祭り」でしたが、昭和天皇と香淳皇后は次のようなお歌をお詠みになりました。
昭和天皇
我が庭の宮居に祭る神々に世の平らぎをいのる朝々
香淳皇后
星かげのかがやく空の朝まだき君はいでます歳旦祭に
国と民のためにひたすら祈られる統治者たる天皇の高貴な精神がすがすがしく伝わってきませんか。この祈りが私たちの社会に穏やかな空気をもたらしているのでしょう。
参考文献=藤田尚徳『侍従長の回想』(講談社、昭和36年)、八束清貫「皇室祭祀百年史」(『明治維新神道百年史1』神道文化会、昭和41年)、宮内庁ホームページなど
(((((((( 「天皇・皇室の一週間」 )))))))))))
12月26日(水曜日)
□岩手県にある精神障害者の社会復帰を支援している社会福祉施設「ワーク小田工房」が天皇陛下からの御下賜金を賜ることになりました(岩手放送)。
http://www.ibc.co.jp/ibcnews/today/NS003200712261843374.html
同工房についてはこちらをご覧ください。
http://www.my-ccg.com/groupin/selp/odakobo.html
12月25日(火曜日)
□1月16日に皇居で行われる「歌会始の儀」に招かれ、歌が詠み上げられる一般の入選者10人が発表されました(西日本新聞)。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/culture/20071225/20071225_001.shtml
12月23日(日曜日)
□天皇陛下は74歳の誕生日を迎えられ、お祝いの一般参賀が行われました(東京新聞)。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007122301000026.html
これに先立って記者会見が行われました。会見の様子は宮内庁のホームページに掲載されています。
http://www.kunaicho.go.jp/kisyakaiken/kisyakaiken-h19.html
12月17日(月曜日)
□天皇陛下はアラブ首長国連邦のアブダビ皇太子と皇居で会見されました(MNS産経ニュース)。
http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/071217/imp0712171343000-n1.htm
((((((((( お知らせ )))))))))
2月3日(日曜日)の午後1時から靖国神社を会場に勉強会があり、歴史問題をテーマにお話しします。定員は300名。参加は無料ですが、入場券が必要で
す。先着順ですので、お早めにお申し込みください。
http://www.yasukuni.jp/%7Esukei/page079.html
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筆者のプロフィール
斎藤吉久(さいとう・よしひさ) 1956年、福島県生まれ。弘前大学、学習院大学を卒業後、総合情報誌編集記者などを経て、現在はフリー。オフィス斎藤吉久を主宰。得意分野は、天皇・皇室、宗教、歴史、食文化など。雑誌「正論」平成19年9月号に「靖国問題を問い直す9つの視点」、同10月号に「昭和天皇の『不快感』は本当か」を執筆、同11月号では「信仰を忘れた聖職者たち」を木下量煕氏と共同執筆。最近の雑誌発表記事などは「斎藤吉久Webサイト」のアーカイヴズで読めます。
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この記事へのコメント
全3件表示ば聞くほど有難く本当に頭の下がる思いです。よい情報を有難うございます。これか
らも期待しています!日時:2008年1月5日
何故、皇統を語るのに、敬語、丁寧語を徹底させないのか。左翼の変質者が、適当に、論じている気がする。敬語は何故、どの様に、進展発展してきたのか知らないのか。朝日チョウニチ程度では困るのである。日時:2008年1月3日
祭祀王としての主上の一端がよく出ていたと思います。
伝統的信仰形態が薄れていくなかで、宮中の行事の重要性がますますわかります。
日時:2008年1月2日
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