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特定非営利活動法人・緑の地球ネットワークは中国山西省大同市の黄土高原で緑化協力活動をつづけています。そのなかでのできごとを、事務局長の高見邦雄がつづっています。




黄土高原だより(NO.459)

発行日: 2008/4/18


緑の地球ネットワーク(GEN)が中国山西省大同市の農村で緑化協力をはじめて
16年目に入っています。その間のできごとや自分の思いを書きつづっています。
不定期の発行です。

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  黄土高原だより(NO.459)
     (2008.04.18)
            高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)

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 通水式

大同市総工会の名義で、日本の外務省草の根無償資金協力を申請し、
大同県の三十里鋪村に、小学校を建て、
遇駕山村で、井戸を掘りました。
じっさいのしごとは、総工会に所属する
緑色地球網絡大同事務所が担当しました。
緑色地球網絡大同事務所を、
私たちの現地事務所と誤解されることがありますが、
そうではありません。
また総工会を日本風に労働組合と考えると、それも誤解のもとです。
大衆組織という建前で、そうした要素もなくはないのですが、
政府機関と考えたほうがいいでしょう。


小学校のほうは、わりと順調にすすみました。
井戸のほうは難航したのです。
大同事務所の武春珍所長は、夜も眠れなくなった、といいました。
このたよりの447号で、くわしく書いています。

この春は、BS朝日のクルーが、撮影にきています。
これから何回かきて、すこし長い番組をつくりたいとのこと。
黄土高原のキーワードは水不足ですから、
水のない村を取材したいのだそう。
それだったら、文句なしに遇駕山村でしょう。
2000年に、私たちはこの地方の農村の調査を実施しました。
メインのテーマは緑化ですが、水についての項目も
いくつかいれていました。
1人1日の水使用量を尋ねたところ、
7つの県の、21の村の平均が、23.8Lでした。
トイレの大を2回流すくらいの量です。
遇駕山村が最低で、15.6Lでした。
印象がふかかったので、私は、数字をちゃんと覚えています。

井戸掘りは成功しましたが、冬のため、パイプの接続ができません。
ですから、実際の生活は、水不足のままです。
これまでは、村のはずれの谷の、伏流水を利用していました。
冬はそれでも水があり、夏になるとたりなくなるそう。
そのときは、となりの村まで、もらい水に通うそうです。
夏ほどではないでしょうが、水不足の生活を撮影できるでしょう。
この村をすすめました。

せっかく撮影に行くんだったら、その機会に、
井戸掘りのことも、とりあげてもらいましょう。
その日にあわせて、通水式を設定しました。
日本側からも、たくさん出席したほうがいいので、
この時期にきている、イオン労働組合と、
サントリー労働組合の合同ツアーの日程を、
すこし調整することにしました。
そんな関係で、4月15日の午後4時からという、
異例の時間設定になりました。

取材クルーは、午後いちばんから村内の撮影をしています。
ツアーは、カササギの森の活動を早めに切り上げて、
マイクロバスで、村に到着しました。
それにあわせて、花火と爆竹がたかれました。
トラックの荷台で、太鼓と銅鑼が、にぎやかに鳴らされています。
レンガづくりの、水道塔のまえに、机がならべられ、
ちいさな舞台がつくられました。
ヤンゴーといったかな? 農村の伝統的な踊りの服装の
きれいどころが、順番待ちをしています。

周士庄鎮の解志海書記が司会をし、
鎮長が経過報告をしました。
飲み水に困る村の歴史に、きょう、終止符が打たれることが、
なんどとなく繰り返されました。
この村では、以前にも井戸掘りを試みましたが、
途中で、頓挫したのです。
このたびも、最初に掘ったものは、水がでるまえに、
100mのところで、それ以上、掘れなくなりました。
苦悩と逡巡の末、各方面の協力を結集して、
やっと水脈にたどりついたのです。

日本側から、私があいさつしました。
恥ずかしいことに、途中で、声をつまらせてしまいました。
袁さん夫婦の顔が、目にはいり、
ここにいたる経過が、パッと頭に浮かんだからです。
この村の背後には、遇駕山があります。
この山は、1985年に、ほぼ1000haの造林がなされました。
植えたのは、アブラマツと、モンゴリマツ。
袁さんは、74歳のいまも、山頂にある見張り小屋に住み着いて、
この山の管理をしています。
私たちは、1994年を最初に、この山をしばしば訪れました。
袁さん夫婦とも、10年以上のつきあいで、
いつも、親切にしてもらいました。

テープカット(じっさいは赤い布を切りました)のあと、
ポンプのスイッチをいれました。
花火と爆竹が、ふたたびはじけました。
数十秒のあと、鉄のパイプから、水が勢いよく吹き出しました。
最初は、黄緑っぽい色がついていましたが、
そのうちに、透明の、きれいな水になりました。
何人もの人がかけよって、バケツで、その水を受けます。
誰かが、コップをもってきて、回し飲みをはじめました。
私も、飲みました。
中国では、生水はぜったいに飲まないと決めていますが、
このときばかりは、そうはいきません。

何人もの、年配の女性に、とりかこまれました。
彼女たちは、最初は笑顔でしたが、
そのうちに、涙ぐんでしまいました。
水をかつぐのが、どんなにたいへんだったか、
その苦労がなくなったことが、どんなにうれしいか、
口々に、私に話しかけるのです。
袁さん夫婦も、だきついてきました。

着飾った女性たちが、踊っているなかに、
ツアー参加者たちが、入り込んで、いっしょに踊っています。
エンドレスかと思えるくらい、いつまでも、いつまでも、つづきました。
踊りが終わったあとも、村の人は、帰ろうとしません。
ツアーの参加者たちは、
「こんなすてきな笑顔をみせてもらって、最高ですよ。
いつまでも、忘れないと思います」と話していました。

このしごとの立役者は、大同事務所の武春珍所長です。
もしも、私が彼女の立場におかれたら、
きっと、途中で、投げ出していたでしょう。
それくらい、困難な立場に、追い詰められたのです。
その彼女が、私に話しました。
「農民たちの、あの笑顔をみてください。
泣いている人もいます。
生活にとって、水ほど、たいせつなものはないのです。
果樹を植えたり、学校を建てたりするのも、よろこばれますけど、
それとはレベルがちがうようです」。
そのとおりでしょう。

昨年の12月、私たちがこの村を訪れたとき、
ほぼ、水脈に、到達していました。
それでも、彼女は、
「井戸を掘るのは、もうやめましょう。
地下のことは、だれにもわかりません。
大きなリスクを背負うことになりますから」といって、
疲れ切っていたのです。

大同県の水務局長が、彼女に話したそうです。
「あの村の井戸掘りが、とてもむずかしいことは、
関係者のあいだでは、よく知られていた。
あんたたちは、門外漢だったから、そんなことができたのだ」と。
そういえば、私たちが黄土高原での、緑化協力を開始してすぐ、
高名な専門家から、言われたことがあります。
「きみたち素人は勇敢だ。
あのむずかしい黄土高原で、協力をはじめるなんて…」。

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GREENなんでも勉強会「アフリカをたずねて」
             講師:石原務さん
4月22日(火)第1回『アフリカ大地溝帯とサバンナ・熱帯雨林』
5月20日(火)第2回『サハラ・カラハリ砂漠』
時間:18時30分〜20時30分 参加費:700円
会場:大阪市立弁天町市民学習センター第3研修室

★税制上の優遇措置をうける認定NPO法人です★
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 認定特定非営利活動法人 緑の地球ネットワーク(GEN)
 552-0012 大阪市港区市岡1-4-24 住宅情報ビル5F
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