黄土高原だより |
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中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
書きつづっています。不定期の発行です。
バックナンバーは緑の地球ネットワークのウエブページとブログにあります。
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黄土高原だより(NO.398)
(2007.02.08)
高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)
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天鎮の緑色食品
北京の友人の、李建華さんが話していました。
近くの市場で、「天鎮の野菜」というと、
一般のものより高くても、飛ぶように売れるというのです。
そのヒミツは、「緑色食品」だから、ということ。
日本ふうにいえば、「有機無農薬栽培」といったところでしょうか。
「天鎮」というのは、大同市天鎮県のことです。
大同市の東北の端にあり、大同からは遠いのですが、
そのぶん北京に近いのです。
黄土高原だよりの読者のなかにも、
大同を、奥地のことと誤解している人があるかもしれませんが、
大同市は、北京市のとなりのとなりの市です。
北京の西どなりが、河北省の張家口市で、
そのとなりが山西省の大同市です。
北京の天安門から、天鎮県の東の端までの直線距離は、
地図ではかってみると、165kmしかありません。
北京市と天鎮県の、いちばん近いところは、100kmほど。
近いんですね。
野菜を運ぶにも、つごうがいい。
1月に、大同を訪れるとき、1か所は農村にいきたいと思っていたら、
大同事務所は、天鎮県を按配していました。
以前から、野菜産地をみたいといっていたからです。
訪れたのは南河堡郷東沙河村。
世界をつくった神さまは、たいへん差別的だと思います。
天鎮県は、大同市の4つの区、7つの県のなかでも、
もっとも貧しいといっていいんですけど、
この郷は、南洋河の流域にあたり、水と土とに恵まれています。
大同市のなかでも、もっとも条件のいい部類でしょう。
この村のあと、もっとも貧しい李二烟村にいきましたので、
よけいにそれを感じました。
そのことは、またの機会に書きましょう。
郷の党委員会の、安和仁書記が、村を案内してくれました。
十年近くまえ、彼は県の青年団の書記でした。
私たちの緑化協力の、カウンターパートだったこともあり、
特別の親しみを感じているよう。
最初に、村がとりくむ果樹園建設の現場を案内してくれました。
1万畝の計画だそうで、広いんですね。
畝(ムー)は、中国の面積単位で、1畝=6.7a。
15畝が1haですから、1万畝は667haになります。
すでに道路、灌漑設備など、インフラが整備され、
あとは苗木を植えるだけ。
それにしても、思い切ったことをやるものです。
踏ん切りをつけさせたのは、私たちが協力した果樹園だそう。
以前にも書いたように、天鎮県のプロジェクトは
失敗することが多かったのです。
李二烟村のように、条件のよくない村では、
かならずといっていいほど、失敗しました。
地元のカウンターパートが、疲れ切ってしまうので、
「いいよ、もうちょっと条件のいいところを選んだら」といったら、
でてきたのが、この東沙河村でした。
1990年代終わりの、ツアー参加者は、何年かつづけて、
この村の農家に、ホームステイしました。
そのときの果樹園が、大成功したのです。
植えたのは、「大結杏」というアンズで、果肉を、生食する品種です。
6個で1kgにもなり、こぶりのリンゴほどもあるそう。
1kg14元で売れるので、1haで30万元の収穫がえられる。
トウモロコシなどの穀物にくらべ、20倍にもなるそう。
すぐには信じられなかったんですけど、北京の友人によると、
おいしいアンズは、ほかの果物にくらべても、高いようです。
地元の農民は、成功の味を知っているので、
このプロジェクトにも、賛成したのだそうです。
果樹園もみましたが、剪定ひとつとっても、行き届いていました。
そのあと、野菜づくりの現場をみました。
いまは冬ですから、すべてビニール温室のなか。
温室の北側は、レンガの壁です。
南側は、カマボコ型に鉄筋が組まれ、
ビニールフィルムが張られています。
冷たい北風を、レンガの壁でさえぎり、
南からの陽光をしっかりとりこんで、温度をあげるわけです。
夜間は、ムシロのようなものを、ビニールのうえにかぶせれば、
火の気がなくても、零度前後を維持することができます。
それよりあげようと思えば、少しだけ、石炭を炊く。
私たちが訪れた温室では、メタンガス利用の準備をしていました。
温室の一角に、ブタ小屋があり、コンクリート床のしたに、
分解槽が、埋め込んであるのだそう。
ブタの糞尿はじめ、いろんな生ゴミを投げ込み、
メタンガスを発生させるそう。
そのガスを、温室の暖房につかうのです。
先端的と思われるかもしれませんが、そうではありません。
温室にはいってすぐの土間に、3畳ほどの、オンドルがありました。
その横には、煮炊きのための、カマドがあります。
夫婦と、13歳を頭とする2人のこども、
あわせて4人が、ここで暮らしているのです。
夫婦は若いので、よけいな心配までしてしまいます。
薄い壁ひとつ隔てたとなりが、さきほどのブタ小屋。
つないであるイヌが、私たちにむかって、吠えつづけていました。
ブタ小屋のつづきでは、チンゲンサイ、ホウレンソウなどの、
葉菜がつくられていました。
朝まだ暗いうちから、夕方暗くなるまで、
職住完全一致で、野菜の手入れをするわけ。
温室の面積は、1棟あたり1畝=6.7aだそう。
建設費は、4万元ほど。
それぞれが、借金して建てます。
主婦にきくと、1年間の収入は1万元ほどになるそう。
だとすると、数年で、もとはとれる計算になります。
この夫婦が耕しているのは、その他の畑をあわせても、3畝だそう。
20a(2反)です。
4人家族としては、少ないですね。
それまでは集団所有、集団経済だったものが、
80年代にはいって、家族数に応じて、各農家に配分されました。
それ以後、再分配がないので、こういうことがおこるのだそう。
再分配しようにも、土地がないわけですね。
ふつうの畑だったら、やっていけないでしょうが、
ビニール温室で、生産性が高いから、それだけの収入がある。
収穫した野菜は、業者が買い集めて、北京などに出荷します。
距離的に近いだけでなく、
北京市長の、夫人の父親が、天鎮県の出身なんだそうです。
そのほかに、中央政府の人事部が、扶貧工程で、
この天鎮県と組んでいるはず。
貧困地域を支援するために、中央の政府機関が
国家クラスの貧困県と、人事を含めて、交流しているわけです。
そういうつてを、じょうずにいかしたんでしょうね。
郷の安書記も、青年団のときより、ずっとしっかりしてきました。
以前、べつの県で、私の知り合いが、ある郷の党書記になったので、
そこの村の人に、「彼はどうだ?」と尋ねたところ、言下に、
「だめだ。こんな貧乏な郷には、いい幹部はこない」と答えました。
そういう法則があるのなら、ここは県下一の、豊かな郷ですから、
安書記はできる、ということになります。
「これから、この郷は、どうしたらいいのでしょうか?」と
真剣に私にききますので、私は、
「ビニールハウスは、これから困難になるかもしれない。
石炭価格が急騰するなかで、標高が高く、気温の低い大同は、
北京市場であらそっても、競争力がない。
むしろ、夏の涼しさを生かすのが、いいんじゃないか。
野菜もいいけど、花もおもしろいんじゃないか。
思い切って、高級な花をねらってみたら、どうだろうか」。
私が、ずっと思いつづけていることです。
ある程度の資金と、人材を集めることができれば、
おもしろい道が開けると、思っているんですけど…。
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2007春の黄土高原ワーキングツアー
4月17日(火)〜4月24日(火)7泊8日
訪問先/中国山西省大同市(北京経由)
経費/一般17万円 学生16万円(関空発着の場合)
(航空保険料・燃油特別付加運賃など1.5万円程度プラス)
締切 3月12日(定員30人に達ししだい締め切ります)
くわしくはお問い合わせください
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認定特定非営利活動法人 緑の地球ネットワーク(GEN)
552-0012 大阪市港区市岡1-4-24 住宅情報ビル5F
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