特定非営利活動法人・緑の地球ネットワークは中国山西省大同市の黄土高原で緑化協力活動をつづけています。そのなかでのできごとを、事務局長の高見邦雄がつづっています。
- 最新号:2008-09-02
- 発行周期:随時
- 読んでる人:1007人
- 創刊日:2000-09-18
- Score!:100点
- コメント数 : 4
- メルマガID:17010
- バックナンバー:全て公開
- 発行者サイト:あり
- >> 月間ランキング
黄土高原だより(NO.239)
発行日: 2003/12/26
中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を
書きつづっています。不定期の発行です。
バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
黄土高原だより(NO.239)
(2003.12.26)
高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
禍福は糾える縄の如し
この1年の緑の地球ネットワークの事業は、
いいこと、わるいこと、
めまぐるしく展開して、
ほんとに、たいへんだったんです。
2003年の正月があけたとたんに、
11年間のカウンターパート
大同市青年連合会との協力をやめ、
大同市総工会との協力に切り換えたんですね。
2002年の1年間は、青年連合会の新任の主席と
どうにも折り合わなくて、
危機的な情況になったんですけど、
共産党大同市委員会との協議をつうじて
緑色地球網絡大同事務所のメンバーと資産を
大同市総工会にすべて移管し、
安定した環境を、取り戻すことができました。
この問題について書くと、長くなるから、
そのうちに、単独のテーマにいたします。
2003年春の大同は、雪と雨が多かったんです。
おかげで、春に植えた苗木は
活着率も、初期生育も、良好でした。
なかでも、「カササギの森」では、
活着率は、100%近かった。
菌根菌をつかった苗木、
ベテランの技術者の牽引、
少人数の、固定した作業員、
責任体制が明確な管理、
こうしたことの結果です。
ところが、7月末になって、
豪雨と雹(ヒョウ)の被害があり、
谷底のヤナギ、ヤナギハグミ、ギョリュウなどが流された。
試験的に植えているナラなどの広葉樹も、
土をかぶったり、流されたりしました。
灌水用の貯水槽も、ポンプごと、 なくなったんですけど、
1週間以内に、再建しました。
ヤナギ、ギョリュウなどは、流され、埋まっても、
9月には、新しい芽をだしましたから、
回復は、意外と早いかもしれない。
以前はなかったところにも、広がる可能性があります。
これまでの成果が、ことしくらいから、
目にみえるようになったんですね。
カササギの森の入り口の、采涼山プロジェクトでは、
2000年に植えたモンゴリマツが、
60〜70cmに、伸びてきました。
大同にくる人は、かならず、
カササギの森へ案内しますので、
入り口のマツが、好成績なのは、うれしいことです。
そこから少し離れた、大同県金山寺のマツは、
人の背丈を、超えてきました。
小学校付属果樹園で、
アンズなどの収穫が、増えてきました。
典型は、渾源県呉城郷で、
村の人は、その後も、アンズを植え広げ、
600ha、50万本にもなりました。
面積あたりの収入は、
以前のアワ、キビ、ジャガイモなどに比べ、
5倍から10倍、いいところでは20倍にもなったそうです。
でも、こういうことを、いくら話しても、書いても、
なかなか、わかってもらえないでしょうね。
自分の目で、みてもらわないことには……。
祁学峰は、以前は大同事務所の所長で、
大同市青年連合会の副主席、主席を務め、
この協力事業の、責任者でした。
2001年11月に、青年団を卒業し、
南郊区の共産党副書記に栄転しました。
そこでも、激務なんですね。
彼は仕事ができるから、
仕事のほうから、集まってくるわけです。
それから、離れてしまった職務のところへは
気軽に来にくかったようです。
祁学峰と会う機会に、私と武春珍とで、
どこそこのアンズがどうなった、とか
あそこのマツはこうなった、とか、
そういう話をするんですけど、
なかなか彼に通じない。
彼はわかったつもりですけど、むしろ、
私たちがもどかしい。
祁学峰が責任者であった時期、
苦労ばかり多くて、目にみえる成果は
乏しかったですからね。
10年近くも、いっしょに現場を回ってきた祁学峰に、
こういう話が通じないんですから、
彼も含めて、自分の目で、みてもらうしかないんです。
環境林センターの汚水処理施設は、
土壌浄化法を採用し、大成功でした。
処理水のなかで、金魚が、元気に泳いでいました。
160匹ほどです。
冬は、零下30度近くまで、下がるんですよ。
小さな池に、水があったら、凍結で、筐体が破砕します。
「冬はどうするんだ」ときいたら、
「それまでに食べてしまう」といったんですね。
コイだといわれて、買ってきたそうですけど、
まちがいなく、金魚です。
でも、11月にいってみると、温室の水槽に移してありました。
低温で動きはニブイから、
狭いところでも、生きられるようです。
そのあと、炭鉱汚水の浄化に、挑戦していることは、
最近の通信で、書きました。
忙しいはずのときに、
水処理施設を、立ち上げることができたのは、
この1年、1つを除いて、ワーキングツアーが、
すべて中止になったからです。
予定されたツアーがきていたら、
こういうことに、取り組む余裕はなかった。
イラク戦争と、新型肺炎SARSのためです。
水問題に、取り組んでいなかったら、
私たちのこの1年は、とても貧しかったでしょうね。
自転車操業の、零細NGOですから、
もう、こけていたかもしれない。
水問題への取り組みが評価されたり、
私の『ぼくらの村でアンズが実った』が、たくさんの人に読まれたり、
東京駅での橋本紘二さんの写真展が成功したりで、
新しく会員になってくださった方もあるんですよ。
でも、イラク戦争と、SARSの影響は、
そんなことでは取り返せないくらい、深刻でした。
緑の地球ネットワークの会員は、
1年前にくらべ、100人の減です。
環境にとって、平和と安定した環境が、いかにたいせつか、
卑近なところで、痛感しました。
2003年8月、日本大使館主催の
プレスエクスカーションで、
中国側11社の記者が、大同を取材しました。
武春珍が、これまでの経過を説明すると、
「高見って、どういう人間なんだ?」という質問が出るんですよ。
すると、武春珍は
「これだけの困難にであえば、
たいていの人は、途中で放棄するでしょう。
彼が堅持しているのは、私のみるところ
困難に挑戦するのが好きな人だからです」
なんて答えるんですね。
やめて、ちょうだいよ!
不運なだけです。
10年以上もつづけてきて、成果もみえはじめたから、
もっとラクに展開して、ふしぎじゃなかった。
ところがこの1年、ほんとにしんどかった。
来年は、いい年になってほしいです。
みなさんも、いい年をお迎えください。
--
******************************************************
『ぼくらの村にアンズが実った
〜中国植林プロジェクトの10年』
高見邦雄著・日本経済新聞社・四六判280頁・1600円+税
書店でお求めください。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
特定非営利活動法人 緑の地球ネットワーク(GEN)
552-0012 大阪市港区市岡1-4-24 住宅情報ビル5F
TEL.06-6576-6181 FAX.06-6576-6182
E-mail gentree@vc.kcom.ne.jp
URL http://member.nifty.ne.jp/gentree/
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます
- JOG Wing 国際派日本人のための情報ファイル
- 政治・経済・外交・社会・文化などの分野において「元気な日本」を作るためのオピニオン誌です。
- NPO/NGO Walker 市民活動の情報誌
- NPO/NGO、ボランティア、コミュニティ・ビジネスなど幅広い市民活動をテーマにした週刊情報誌。イベント情報や書籍紹介に合わせて、様々なNPO/NG...
- 週刊アカシックレコード
- 02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
- 宮崎正弘の国際ニュース・早読み
- 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
- フェアウッドマガジン
- 環境に優しい木材を推進するため、違法伐採問題や森林管理や林産物の認証といった取り組みをはじめ、森林経営や林業、環境問題に関する情報を、研究者、業界、...
![メルマガスタンド[メルマ!]](/img/common/backnumber_article/melma_logo.gif)


