黄土高原だより |
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中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を書き
つづっています。不定期の発行です。バックナンバーを緑の地球ネットワーク
のWebページにおいています。
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黄土高原だより(NO.204)
(2003.04.23)
高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)
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非典型肺炎
4月20日に、遠田先生といっしょに帰ってきました。
そのあと、いろんな人にきかれるんですね。
SARSについてです。
問い合わせのメールもたくさんきています。
いちいち答えるのもめんどうなので、
「黄土高原だより」の1回を、
それにあてることにしました。
でも、期待しないでください。
内部にいるということは、情報がひじょうに乏しい、
ということです。
一般の大同の人たちは、今回の非典型肺炎について、
あまり関心はなかったと思います。
私たちの通訳の王萍が、伝染病病院の婦長さんなので、
情報は彼女からえていました。
でも、のんびりしたものだったんですよ。
「治療法はちゃんとあります。
古いタイプの抗生物質がよくききます。
かかっても心配はいりません」といったもの。
具体的な情報は、日本からEメールできました。
香港、広東省のつぎに、山西省が汚染地域としてあげられ、
「慎重に行動するよう」外務省が求めている、というのです。
太原での発症は知っていましたが、
な〜に、太原と大同はこんなに遠い、
太原では平気で育つ木も、
大同では育たない、
山西省とひとくくりにするほうがおかしいんだよ、
といった気分。
ただ、旅行者はすぐに落ち込みましたね。
会議があるときを除いて、ホテルの客の数がずっと減りました。
マネージャーにきくと、
「新しいキャンセルなんかはない」といってましたけど、
自己防衛のためだったのでしょう。
旅行社のガイドさんは、
「すでに賃金を減額された」といっていました。
でも、私たちが活動しているのは主として農村。
ああいう伝染病のこわいのは、人口密集の繁華街。
農村で活動しているかぎりは安全だよ、と思っていました。
宝くじにもあたったことがないんだから、それ以下の確率の
伝染病になんかかかりっこない、と。
いずれにしろ、「非典型肺炎」なるものへの認識は、
きわめて薄かったんです。
驚いたのは、北京にでてからですね。
まずはここではNHK国際放送のテレビを視聴できる。
日本語放送です。
くわしい事情がやっとわかりはじめた。
それから北京駐在の日本人から話をきいたこと。
日本企業で働いている人たちの、
家族の多くはすでに帰ったそうです。
医療機器を扱っている会社が、最初に家族を帰したことから、
それが全体に及んだんだそうです。
企業人は、逆に足止めされているそう。
日本に帰っても、10日間は自宅待機し、
会社にはでてくるな、というんだそうです。
これじゃあ、どんなにSARSがこわくても、
日本に帰るわけにはいかない。
航空機の利用が激減しているそうです。
なかには1便でわずか11人、なんてこともあったそう。
乗組員の数より少なかったそうです。
「セスナにしたらどうですか」なんて
不謹慎なことを口にしたのも、
まだ深刻さを実感していなかったからです。
中国のさる機関の国際連絡部を訪れました。
訪中団などがのきなみキャンセルされ、
ヒマで、ヒマで、ということでした。
親友たちがやっている会社も、
ツアーなどがつぎつぎキャンセルされ、
「思い切って、休みにしました」なんていってましたけど、
こちらは体力のない民間。
こんな状態がつづいたら、困るでしょうね。
街頭を歩くと、マスク姿の人がめだちます。
大同には、こういったようすはまるでなかったんですよ。
それでも、私たちが北京であった中国人は、
「マスクをしているほうが少数派ですよ。
どうせ、なにかで死ぬんですから……。
バイジュウ(白酒)をやっている人と、
タバコを吸う人は、感染例がないそうです」
なんてことをいう人ばっかり。
ところが、20日の日、北京空港にいったら、
ここでは、マスクをしていない人には
立入禁止命令がでているのかと思うくらい。
空港で働いている人たちは、
まず例外なしにマスクをしています。
旅客も、ほとんどの人がマスクをしています。
それにしても、客たちはどこで買ってきたんでしょうね。
私たちの情報の遅れに、ちょっと驚いたんですよ。
中国国際航空をつかったんですけど、
スチュワーデスも、みんなマスクをしていました。
あのマスクというのは、
自分がかからないためなんですかね?
それとも、他にうつさないためなんですかね?
そういう私の考え方は、ほんとにまちがいです。
自分がかからないことで、他人にうつさないですむんですよ。
でも、自分でマスクをする気には、なかなかなれない。
これまで、他人事のように書いてきましたけど、
私たちにとって、切実な問題なんですね。
イラク戦争のおかげで、ことしの春は2つのツアーが
キャンセルになりました。
SARSのおかげで、1つの下見が中止になったんです。
今回はまだ、
「よかったですね。
もしツアーがきていたら、
汚水浄化施設を立ち上げることはできなかったでしょう」
なんて、ノンキなことをいってたんですけど、
長期につづくようなら、
零細NGOの私たちは、持ちこたえられないかもしれない。
潜伏期間は、3日ないし1週間ほどだとききました。
どこかで感染している可能性を、まだ完全には否定できないんですね。
10日くらいは自宅待機するのがいいんでしょうけど、
そういうわけにもなかなかいかない。
SARSウィルスと、コンピュータウィルスが交配して、
新しいウィルスを生む可能性があるから、
こういうメールもばらまかないほうがいいんでしょうけどね。
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