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黄土高原だより(NO.198)

発行日: 2003/3/12


 中国山西省大同市の黄土高原の農村での緑化協力活動のなかでの体験を書きつづっています。不定期の発行です。バックナンバーを緑の地球ネットワークのWebページにおいています。

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  黄土高原だより(NO.198)
     (2003.03.12)
            高見 邦雄(緑の地球ネットワーク事務局長)

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 農村のこどもたち

 この通信のなかで、農村のこどもについて書くのは、
 回数が多いだろうと思います。
 自分も農村で育って、
 思い入れがあるんですよ。
 そして、現在の日本のこどもがおかれている状況との
 あまりのちがいに驚くからでもあります。

 貧しい地域のこどもの写真を
 中国でもみる機会があるんですけど、
 なにかちがうと思うんですね。
 援助を呼びかける内容のものなんですけど。
 どの写真も、見下ろすような角度で撮ってあるから、
 こどもたちは上目づかいで、
 ものほしげで、惨めそうにみえる。
 そういう現実があるのを否定するわけじゃないけど、
 意図的にアングルをえらんで、
 そのように撮ることだってできるわけですよ。
 橋本紘二さんがあんな写真を撮るんだったら、
 絶対に協力することはなかったと思います。

 そうとうに貧しい村にいっても、
 こどもたちは元気なんですね。
 そして、好奇心でいっぱい。
 目を輝かせていますよ。
 広い世界を知ってるわけじゃないから、
 ほかと比較して、自分たちが貧乏だと思ってるわけでもない。
 周囲は似たようなものですからね。

 最近、日本でよくみる風景なんですけど、
 小さい子が走ると、
 「危ないから走っちゃだめ!」といって、
 若いママやパパが、止めるんですね。
 駅のプラットホームや、
 交通のはげしい道路だったら、それもわかりますけど、
 どこででもそうなんですね。

 その点、黄土高原の農村の子はすごいですよ。
 小学校低学年の子だって、
 私の目には垂直にみえるような、
 深さ数十mはある浸食谷の崖面を、
 ダーッと走り下りたりするんですね。
 もっと小さい子が、それを追いかけようとしたり……。

 ワーキングツアーに参加した日本人が、
 そういう光景をみて、びっくりしちゃって、
 「いいですねえ、こんなふうにこどもを育てたいですね」というから、
 「そのためには、数人のスペアを用意しとかないとだめですよ」
 なんて私は応えるんですけどね。
 こどもの数が多いからといって、
 いらない子がいるわけじゃないんでしょうけど、
 育て方にちがいがでるのは事実でしょう。
 そして、きょうだいが多ければ、
 そこにこどもの社会が成立しますからね。

 中国だって、都会の子はまったくちがいますよ。
 計画生育で、たいていは1人っ子。
 それを2人の親と、4人の祖父母が囲むんですから。
 しかも、大人たちは、自分たちがこどものころ貧しくて、
 したくてもできなかったことを、
 自分の子や孫に、まるごと、かなえさせようとするんです。
 「小皇帝」と呼ぶそうですけど、まさにそのとおり。
 太りすぎの子、虫歯の子、近視の子、
 そして厚着の子がめだつんですよ。

 農村の子は、学習意欲もけっこう高いんですよ。
 条件は悪いですけどね、
 そのぶんハングリー精神がつよいんです。
 
 霊丘県上北泉村は、
 ツアーの人とよくホームステイする村ですけど、
 もともとは耕地の乏しい、貧しい村だったんです。
 80年代半ばから、村の後ろの山を切り開いて、
 果樹をはじめたんですね。
 それが大当たり。
 県下有数の豊かな村に変わったんです。
 数年前までは、道路から村にはいるのに、
 河をジャブジャブわたらないといけなかったんだけど、
 りっぱな橋を自力でかけました。

 こういう段階がいちばん活気があるんですね。
 それはすぐ、こどもにも反映されます。
 朝早く起きて、外にでてみると、
 まだ暗いうちに、
 こどもたちが小学校にむかうんですね。
 教室には明かりが点いていて、
 みんなで自習しているんですよ。

 数年まえまでは、
 こどもたちに「なにになりたい?」ときくと、
 男の子は「兵士」と答えるのが多かったし、
 女の子は「学校の先生」だったんです。
 てっとりばやく農村からでる道が、
 それだったんですね。
 いまはこれも変わったかもしれない。

 中国の若い外交官と食事をしたとき、
 「中国は問題ですよ。
 このままでは人口素質が低下します。
 都市の高学歴の夫婦は1人っ子で、
 無教養の農村でたくさんこどもが増えるんです」と彼がいうから、
 私は必死で怒りをおさえてたんです。

 あの農村の子に
 機会を与えてごらんなさいよ。
 どんな可能性が切り開いていくかわからないだから。
 う〜ん。
 でも、そうやって機会をつかんだ子は、
 都市にでて、農村を捨てるのかもしれない。
 そして、自分が子をもつようになると、
 あの外交官と同じようなことを口にするのかもしれませんね。

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 特定非営利活動法人 緑の地球ネットワーク(GEN)
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 TEL.06-6576-6181 FAX.06-6576-6182
 E-mail gentree@vc.kcom.ne.jp
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