小学受験情報収集20数年。大手幼児教室公開テスト説明会/講演会、数千組の親子面接指導を手がけた藤本紀元が、2009年度入試(2008年秋実施)に向け「受験準備の心構え」「入試問題分析」「両親のやるべきこと」等、最新小学校情報を実践的内容でお届けします。
- 最新号:2008-09-05
- 発行周期:週刊
- 読んでる人:332人
- 創刊日:2007-07-10
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2009さわやかお受験のススメ<小学校受験編>
発行日: 2008/7/4●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
「めぇでる教育研究所」発行
「2009さわやかお受験のススメ<小学校受験編>」
2009年度入試(2008年秋に実施)を成功に導く手引きです。
★第52号★
2008年7月4日
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学校説明会(3)
今回も説明会のお話をします。
いずれも、文言は正確でないことをお断りしておきます。
まずは、部長が変わられた東洋英和女学院小学部の山本香織部長の話。
「英和、124年の歴史の中には、社会で活躍する卒業生が大勢輩出されまし
たが、代表的な一人 に村岡花子先生がいらっしゃいます。女史は児童文学者、
翻訳者で、特に、『赤毛のアン』シリーズの翻訳者として有名です。日本の子
ども達に上質の外国文学を紹介したい思いで、このシリーズの他にも、『少女
カレアナ』『王子と乞食』などたくさんの翻訳書があります。今年は、『赤毛
のアン』出版百周年で、ブームになっていますが、先日は六年生が劇団四季の
『赤毛のアン』を観劇してきました。女史は翻訳された『赤毛のアン』初版本
の後書きで、『この書物を、わが心の妹達に捧げる』と記していますが、『心
の妹達』とは、母校東洋英和の後輩達のことです。女史の思い通り、英和の子
ども達は、『赤毛のアン』が大好き。女史は、明治31年に英和に転入学して
以来、12年間寄宿舎での生活を送り、英和の価値観、教育観、生活文化を色
濃く受けられました。それは、当時の日本人の価値観、文化といわれるものと
は異なり、キリスト教的ヒューマニズムの精神に基づき、日本の少女達が高い
知識を持って、精神的に自立した女性に成長していくことを心から願って伝え
られたものです。
当時の校長は、第3代 ミス、ブラックモア先生。厳しくて有名なカナダ人宣
教師で、朝起きて寝るまでの立ち居振る舞い、言葉遣い、全ての行いが躾けら
れました。卒業生が残した文章の中でも、ブラックモア先生の思い出が登場す
る率が高く、写真で拝見する限り、眼鏡をかけ、小太りで、頭の天辺には団子
がのった、当時の典型的な、いかにも刻苦で厳しい女性の校長先生という感じ
がします。生徒達は「ブーちゃま」と陰で呼び恐れていましたが、厳しさの中
に聖書を愛したやさしさ、あたたかさが大きかったのです。卒業後、ブラック
モア先生から頂いた賜が、如何に偉大であったかに皆、気づいていました。絶
えざる向上を生徒に求めて止まない校長で、独自の哲学と教育に対し独特の見
識を持った先生と当時を知る者が書き記しています。
女史も、その教えに基づく、人生の方向性を見誤らない力と人間的な基礎を、
時代に先駆け、家庭と自己を両立する女性としての道を歩んで行かれました。
女史が残している随筆などを見るに、当時の教育の質の高さを思わされます。
今の日本で、新しい改革的だと思っている教育が、当の昔になされていたこと
です。
たとえば、独自の英語教育です。ブラックモア女子の時代に、英和では午前中
は聖書、歴史、地理など全ての授業を日本語で学習し、午後は英文学をはじめ
全ての教科を学習する独自の方法をとっていたのです。21世紀の方が明治時
代より水準が高いと、私達は勝手に思っていましたが、こうした英語教育のや
り方は、物凄いと思います。女史は、文学少女であったこともありますが、図
書室の英文学を原書で片端から読破し、卒業論文には『日本婦人の過去、現代、
将来』と題し英語で書きました。カナダ宣教師と共に過ごす寄宿舎の日々、英
語による授業、本人による学びにより、高い英語力が備わっていたのです。勿
論、女史の資質は素晴らしかったのでしょうが、いずれにしろ、当時の水準の
高さを思い知らされざるをえません。
英和、創立当初の日本は、伊藤博文内閣の欧化主義政策の影響で、英語を学ぼ
うなど西洋的教養への憧れが強く、キリスト教への期待が高い英和にとっては、
うれしい時代でした。しかし、国家的政策が台頭し、国を挙げて富国強兵、忠
君愛国が主流となると、ミッションスクールにとっては、逆風の時代がやって
きたのです。しかし、英和は、そういう情勢に屈することなく、創立以来の精
神を貫き、宣教師達は、徹底したキリスト教教育、英語教育に情熱を注ぎまし
た。そのような中で、生徒一人ひとりに潜む力を引き出し育む人格教育を当た
り前になされていたのです。知識を無理やり詰め込み、忠君愛国を厳しい体罰
をもって、子ども達の恐怖心と引き替えに訓育する教育が、主流となっていた
時代に、英和は、キリスト教的人道主義に基づくルソー、ペスタロッチ、フレ
ーベルの教育哲学に根ざした教授方法により、子ども達自身が感じ、考え、学
ぶことを大切にしてきたのでした。この空気は、今も変わらず脈々と東洋英和
に流れていると私は確信しています」
東京女学館小学校が設立当時、教科書を全部英語にし、英語による指導を目指
しましたが、実現しませんでした。英和はやっていたんですね、知りませんで
した。
次は、光塩女子学院小学部 小圷洋部長の話。
「この光と塩の精神、単なるうたい文句にせずに、子ども達が具体的な実践、
体験を通して、理解し自分のものにしてほしいので、毎年、年度目標を立てて
います。今年は昨年に続き、『自分で考え、判断し、行動する』。神から命を
受けて、神の限りない愛の中で生きる存在である人間、神から与えられる限り
ない力、可能性を存分に発揮することに生きる意義を見いだしていきます。人
間を人間足らしめているのは、考えることだと思います。考えることのできる
人間は、他者との関係の中で、自分の存在を意識します。人間は、光と塩の精
神をもって他者との関わり、働きかけをする存在である、こういうふうに人間
をとらえています。
子どもに説明は難しいのですが、『自分で考える』ことが大切だと教えていま
す。よく家の方が『自分で考えなさい』といいますが、その時の子どもの受け
取り方を、私達大人は気をつけなくてはいけないと思います。私達は『自分で
考えること』をこう考えています。家族や社会から孤立し、孤独の中で考える
ことではありません。人間は一人では生きていけない。多くの支えの中で生き
ている。自分で考えるということは、家族や社会の関係性の中で考える。親の
思い、先生の思い、そういうものを受けとめた上で考えることが、自分で考え
ることなのです。決して突放して、孤独の中で、一人で考えることではありま
せん。ご家庭で『自分で考えなさい』といわれたときに子どもが受けとめるイ
メージは、突放された孤独の中でしかないのではと思います。私どもは、きち
んと自分で考えるのは、そういうことではない。神さまの愛の中で、社会に守
られた中で、自分をそういう環境の中で考えるのだということを教えていきた
いのです。人間として与えられている力、考える、判断する、行動する、こう
いう力を今年の目標の中で実践し、子どもが一人ひとりの力を引き出し、自信
を持って成長してほしい、そう願って教育をしています。
ともすれば、楽をして、すぐ成果を求める風潮、子どももその影響を受けてい
ます。それに対し私達は、静かに深く考えさせる時間を与える必要があると思
います。自分で考え、試行錯誤して培う力、そういうものを身につけることを
目標にしています。そのために、私ども大人、保護者、教師が、その役割りを
果たすことが求められています。十分な力を持っている子ども達を目の前にし
たとき、上手に引き出すことが教育の目的です。今世界には、戦争、紛争、貧
困、飢餓、災害などで苦しんでいる人がたくさんいます。その現実を知り、争
いや暴力のない平和で安心できる社会を作っていくために、周りの人と力を合
わせて考え、たくましく進んで生きる、そういう人間を育成する教育活動の一
つ一つを大切にしていきたいのです。今日の公開授業を見て頂き、どのような
感想をお持ちでしょうか。教師も計画どおりに進まなかったところもあったか
と思いますが、学校は学問をする場であり、試行錯誤を繰り返し、間違えたこ
とから方法を学ぶ場です。その言葉が示すように、次に『はてな? どうして
?』等、謙虚に問いかけていく、そういう姿勢を普段から大切にしながら学ん
でほしいと考えています」
次は、国府台女子学院長の平田史郎先生。
「私どの目指す教育方針は、子どもたちに『帰るところを作ってあげる作業』
だと思います。故郷といいますか、それは、どんな育ち方をしても、子ども達
が、5、6歳から12歳までの年令の育ち方により、子ども達の中に基本的な
形ができるといわれています。昔の教育学の教科書には必ず、出てきたインド
の狼少女、偽話らしいのですが、人間は育て方によりどうにでもなるという話
を作りたかったのではないかと思います。狼の子を人間が育てても人間にはな
らないけれども、人間の子どもを狼が育てると狼になってしまうということ。
その基本ができるのが、小学校の時期。外国でこの時期を過ごされた子どもは、
外形は日本人だが、中はアメリカ人という話をよく聞きます。故郷がどこに出
来上がるかがこの話の主題。
私達は、この時期をいかに、子どもたちにいい故郷を作ってあげるか。生活の
形をどのように身につけてあげるかを主眼にして教育をしています。少し噛み
砕いたいいかたをすると、学習についても生活についても、きちんとした基本、
つまり、学習が生活の一部になるような形、そして、やさしさと思いやりを持
って接することのできる心、それを基本とした教育を目指しています。どんな
ことでもそうですが、基礎基本は大切です。柔道でも剣道でも空手道でも、ゴ
ルフやテニス、スキーでもみな同じと思うが、やはり、全てのものは基本的な
形を身につけ、それから次の段階に移るのが上達の早道です。自己流で始めて
いくと、どこかで形に行き詰まった時に、再び帰る場所が無くなってしまう。
よく聞いた王監督の話でも、大天才バッターでも、スランプになり行き詰まる
ときがある。夜中に起きだし、庭にいって、小さい時に習ったバットの振りの
基本を何百回、何千回とやり、陥っているスランプの原因を見つけていく。や
はり、基本的な方を身につけさせてあげることは、迷ったときに帰るところを
作ってあげることです。若いお母さん方はそうかもしれないが、何でも個性、
個性といって、子どもに自由にさせることを考える方が多いと思いますが、心
の中から生活から、基本的な形を、まずは教えてあげるべきではないかと思い
ます。そして形は、誰かが教えてあげなければ身につかない。訓練するという
言い方は悪いが、経験させてなければ身につかない。
物差しが狂ってきているのが今の時代。地位のある大人が快、不快、損得だけ
で動いてしまう。今日の新聞にも物流会社の社長、NOVAの社長の話が出て
いましたが、大人だって金儲けの話なら何でもする、こんな世の中であれば子
どもだって真似をします。私は、『こうすべきである』とはっきり言えるよう
な物差しを作ってあげたい。つまり、快、不快、損得よりも、優先をして、正
邪の感覚、『私はすべきか、すべきではない』ことを選別できる物差しを作っ
てあげたい。異論があるかもしれないが、こういった心、訓練、訓練というと
嫌われるかもしれないが、経験をさせたら身につくものだと思っている。善い
ことをしたら褒めてあげる、悪いことをしたら注意してあげるといったことの
中で、物差しが体の中でできてくる。それが自分の考え方の故郷になるのです。
何かあってもそこに帰って物事を考える女性に成長するのではないかと思って
います」
「訓練されていない個性は、野生である」とおっしゃったことがありました。
故郷、物差し、含蓄のある言葉ではないでしょうか。
院長の話、毎年、楽しみにしています。
次は、成蹊小学校の金納義明校長先生。
「『桃李不言 下自成蹊』、中村春二先生は、ここから成蹊と命名されました。
桃や李は、何も口に出して言わないけれど、その下には自然と蹊ができるもの。
人格のある人間の周りには、自然と人々が慕い集まってくる。そこに蹊ができ
る。人格のある人間を育てることから『不言実行』、実践力を重視した人間教
育、これが建学の精神です。
ここから導きだされた『自主自立』『自奮自励』『自学自習』だ、春二先生は、
成蹊小学校設立の狙いについて以下のように記されている。
『子供を可愛がるには二つあると思います。一つは近いところを見て可愛がる
もので、他の一つは遠い将来を見て可愛がることです。近いところを見て可愛
がればいきおい子供の言いなりにして、わがままをさせるでしょうが、遠い将
来に幸福なれと祈る上からは、幼少の時から、少しずつでも苦労させるのが薬
というものです。
「可愛い子には旅をさせよ」と言います。成蹊小学校では、入学の第一日目か
ら、毎日毎日、遠足をさせるつもりです。自主自立の精神を確立させるには、
遠足がもっともよいと信じるからです。
つぎに、何事にも自奮自励の精神を持ってあたらしめ、自分のための教育だ
ということを、小さいときからしっかり会得させたいと思います。教育は、自
分自身の発達進歩のために、自分から進んで受けるべきだということが、本当
に分かりさえすれば基礎の教育は成功したと思ってよいと思います。ですから
自学自習の習慣を確立させるということが、小学校教育の根底です。この根底
をつくるのが、わが成蹊小学校の使命であると考えます。
これが出来ぬほどならば、こういう特別な学校を設立する必要は無いのです。
新入生をお引き受けるに際して、これだけは父兄保証人の方々に是非申し上げ
ておきたいと思います」
創立から90年、自主自立、自奮自励、自学自習の教えを守り、今年の説明
会のタイトルは、「伝統に立脚し 未来を考えよ」という春二先生の言葉を使
っている。創立したその時すでに百年後の学園を思い描きながら残された。
「先生、勉強ってだれが作ったんですか!」と泣きながら聞いてきた年長児を
忘れられません。
「自学自習の習慣を確立させるということが、小学校教育の根底」、だれのた
めに勉強するのかは、ご両親がきちんと教えることではないでしょうか。
最後は、白百合学園小学校の相川幸子校長先生。
「子供にとり家庭教育にまさる教育はありません。健全なあたたかい家庭の中
で、苦しいことも嬉しいことも、互いに分かち合い、助け合いながら、大らか
にありのままに受け入れられ、心のいやされるお子さまは、幸せです。小学校
は、ご家庭の教育を大事にしながら、より大きな広い社会集団への第一歩を踏
み出す所であると考えています。小学校の入学は大きな喜びであると同時に、
不安や心配をお持ちの方もいると思います。しかし、本校では、家庭的な雰囲
気の中で、一人一人を見守っていくので、安心してほしいと思います。お手元
の資料をよくご覧いただきまして、何とぞ本校の入学をお考えいただければと
思います」
『子どもにとり家庭教育にまさる教育はありません』、志望校選びでもっとも
大切なのは、『初めにご家庭の育児の方針にありき』ではないでしょうか。
(次回は、「夏休みの過ごし方 1」をお話しましょう)
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