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創刊日:2007-07-05   最新号: 2009-10-30   発行周期:不定期   読んでる人:51人
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メールマガジン「フィンランド」  2009年10月

By Maya and Kari Gröhn

 きょうは何日ぶりかで太陽の姿を見てほっとしているところです。フィンランドの季節の中で10月後半から11月にかけて最もうっとうしい季節といってよいでしょう。自然の明かりがないと人間何事もやる気が起こらないものです。

 それを言い訳にして、今回からしばらくの間、ずいぶん前にホームページに掲載していたトピックスをあらためてこのメルマガでご紹介することにします。何年か前にホームページをお訪ねくださった方はすでにご覧になっているトピックスもあると思いますが、お許しください。エネルギーが充電され次第、新しいトピックスも次々お送りする予定です。

 今回お届けするのは「ホッロラの中世の祭り」です。第2号でご紹介したトゥルクの中世の祭りほど大きな規模ではありませんが、これはこれでなかなか味がありました。

ホッロラ(Hollola) 中世の祭り

 ヘルシンキから電車でラハティまで行き、そこから1時間に一本あるかないかというバスを乗り継いでいくと、ホッロラという町があります。ここには中世の美しいお城が今もなお昔ながらの姿で残っています。
 二年に一度行われるというこの催しは、10年前から始まりました。中世の衣装を身にまとい、中世の暮らしをそのまま伝える祭りです。見ていると、ひょっとして、この人たちは今も毎日このような暮らしをしているのではないかと錯覚してしまいそうです。

 

 騎士たちの登場です。
「ウリヤが勝つに決まっているのであーる!」
「いいや、ヨハネスが負けるはずはなーい!」

応援団たちはそれぞれひいきの騎士たちの名を口々に唱えあげ、試合が始まります。りりしい騎士たちが馬に乗って会場を闊歩します。

 

さあ、試合が始まりました。それぞれ長い槍をもって柱に吊り下げられた輪を打ち落とさなくてはなりません。ちなみにこの騎士たちは女性です。

輪は見事に打ち落とされました。
「やった、やったー」
道化が走り回って喜びます。

 

今度は本物の剣を使って人の首を --- いえいえ、とんでもない。まっぷたつになったのは、首などではありません。キャベツでした。

「それでは結果を申し渡す。よっくうけたまわれ」

騎士団の団長でしょうか、重々しく言い渡します。
「ヨハネスは、たいへん、よかった。
ウリヤも、よかった。
みんな、よかった。以上である。」
やんやの拍手喝さいとともに試合の終了です。

 

Pilgrims

こちらは巡礼に扮したみなさんたち。日本でいえば、さしずめ伊勢参りみたいなものかも、とカリは言います。

帽子につけられた貝にご注目ください。これは、当時スペインの教会まで訪れたという巡礼たちの印。これをつけることは巡礼の誇りでもありました。

 

売店にたむろするわんぱくたち。まるで、いまも毎日、この格好で飛び回っているかのようです。

「そのポシェットには何が入っているの」と聞くと、
「携帯電話」女の子はくすりと笑って答えました。

 

テントの中では音楽祭。本当に盛りだくさんのプログラムです。

衣装はすべて、できるだけ当時の素材と同じものを使って作られているそうです。

 

位の高そうな人が腰に高価そうな角飾りをつけていました。「そんなもの、手に入れるのは大変だったでしょう」と聞くと、「あ、これね。これ、ラップのやつらから税としてとりたててやったんだ」
みんなノリノリです。あ、バイキングもいました。

右上の、これも位の高そうな女性にポシェットの中身を聞くと、「塩ですよ」
塩は当時、貴重品だったのですね。そういえば、サラリーという言葉は「塩」から来ているという話を聞いたことがあります。

 

 鐘楼で美しい騎士に出迎えられました。王子様でしょうか。少なくとも鐘つき男ではない、とカリは断言。

 

 

まるで聖母子かと思われるような美しい母と子。 お椀の中は空っぽなのに、赤ちゃんはご機嫌。

「おや、またハエが」
赤ちゃんにつきまとうハエを追い払う聖母です。 

 

 左の女性が主催者だそうです。
 胸にぶらさげている大きな鍵。
 おそらく宝蔵の鍵でしょう。

「もうバイキングの船は「ご覧になった?」
「いいえ、まだ」、と答えると、
「それは是非見とかなくちゃ」

 

鍛冶屋は大事な仕事です。昔の鍛冶の技法をデモンストレーションする男性。右の男性は実際に大学で鍛冶を学んでおられるそうです。

さて、この船こそ、正真正銘のバイキングの船。といっても、レプリカですが。これと同じ商業船が数年前にヘルシンキに面したボスニア湾で発見されたそうです。当時、ロシアへの商業ルートがあったのですね。

 

バイキングの船は出て行き、中世の一日も終わりを迎えました。この日はこの他にも数々の催しものがあり、屋台もたくさん出ていました。楽しい一日でしたが、気がつくと帰りのバスがありません。どうすべきか。「試してみる価値はある」とカリは指を上に上げてヒッチハイクの合図。幸運にも二台目の車がすぐ止まってくれました。

「カップルだと乗せるほうも安心して乗せられるんだよね」とはその車の持ち主の弁。乗った途端、カリとその方は話がはずみ出しますが、私はフィンランドがまるでわかりませんのでもっぱら車窓の景色を楽しんでおりました。あとで思えばラハティの駅前近くになって二人の会話が少しとぎれたように思いましたが、とくに気になるほどでもありません。駅に着いて車を降りるときカリはその方と握手しながら「カリ・グローンです」と名乗り、それに答えてその方も名前をつぶやきました。ふうん、そうか、フィンランドではヒッチハイクをしたときには名前を名乗るのが礼儀かと感心しながら、私はといえばただ「キートクシア」と馬鹿のひとつ覚えのフィンランド語でお礼を述べて別れました。

「あの人、奥さんを二ヶ月前に亡くしたんだって」車を見送ったあと、カリが言いました。えっ、それはまたなんという。
「もう10年ぐらいわずらっていたんだそうだ。きょうは奥さんのお墓参りにホッロラに来てみたらこの祭りだろ。驚いたって言ってたよ」それから首をふりながら言いました。
「しかし、じつに奥ゆかしい人だなあ。駅に近づくまでそんなことはちっとも口に出さないんだから。僕たちに気を使ってくれたんだな」
カリが名を名乗り、丁寧に握手をしていたわけがわかりました。


 

 

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