日刊 小学校教師用ニュースマガジン |
この記事の発行者<<前の記事
|
次の記事>>
|
最新の記事
==========◇◆◇===========================================
日刊・小学校教師用ニュースマガジン412 12月13日(水)
編集長・蔵満逸司 wahaha@po.synapse.ne.jp 読者5654人
------------------------------------------------------------
連載★『日本人の英語事情あれこれ』大島順子
感想★亡くした子どもの遺したもの(佐藤律子)を読んで 須磨
MM21特選HP★オンラインブックストアbk−1教育欄
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_top.cgi/?aid=&tpl=dir/01/01051200.tpl
==============================================◆◇◆=======
MM小学『カンガルーのポケット(7)』
『日本人の英語事情あれこれ』
大島順子(オーストラリアより一時帰国中)
J.Oshima@mailbox.gu.edu.au
MMで連載されていた「小学校の英語教育に関するアンケート」
で多くの方の意見や考え方を興味深く読みました。「英語」という
コミュニケーションの道具としての言語、そして言語を学ぶことは
その背景にある文化も学ぶことだということを再確認すると共に、
その目標レベルを小学校の段階でどのように設定するのか、文法や
読解を中心としたこれまでの英語教育の反省からも、教授法の在り
方を含め、整えなければならない問題がたくさんあると認識を新た
にしました。
さて、私と一緒に住んでいる、初めて日本にやってきたオースト
ラリアの友人クリスは、毎日のように“日本人の英語”にまつわる
色々なハプニングに出会います。お笑いあり、苛立ちあり、仕方が
ないか…とその反応は様々なのですが、彼が体験していることは、
これからの日本における英語教育へのヒントを提供してくれるよう
な気がしてなりません。今回は、そのいくつかを紹介したいと思い
ます。
■ 「カタカナ」は英語ではない
「『あ〜、○○のことね。』と、“カタカナことば”で確認し、
自分が“英語”のことばで通じ合えたかのようにホッとするのが多
くの日本人なんだね。」と彼は話します。そのカタカナことばとは
“カメラ”、“ラジオ”、“テレビ”、“コンピューター”……等
などすでに完全に定着している、どこにでもあるカタカナの“日本
語”のことです。
また、「日本人って、ことば、特に関して、あんまり応用ってい
うがきかないのかな」と話します。例えば、「Film」と英語で発音
し、それが日本語の「フィルム」であることをすぐに認識できる人
がそう多くはないというのです。私たちは、どちらかというと、
「フイルム」と一つ一つの音をはっきりと読みがちですが、残念な
ことにそれは、すでに英語の「Film」でなくなっているのです。ク
リスが「Film、Film」と何回かカメラを指しジェスチャーして見せ
ると、「あ〜、フイルムのことね。」となるのだそうです。英語の
音(おん)をカタカナで表すこと、これは完璧にできません。
「Film」から出発して日本語の「フイルム」に辿りつくまでの道の
りがそう簡単ではないのです。
この「カタカナ」ことばについては、昨年私が担任を務めたクィ
ーンズランド(QLD)州ブリスベンにある日本語授業補習校での授
業でも考えさせられことがありました。ある子どもが算数の教科書
の文章題を読んでいる時、「チーム」という言葉を、「team」と発
音しました。彼は、「チ」という音が発音できないのではなく、彼
には、その文章の中にある「チーム」ということばは、英語で意味
する「team」と同じなので、英語の発音で読んだだけなのです。
cmも然りです。日本語では、「センチメートル」と呼び、英語を
日常語として使う彼らは「センチミーター」(*このカタカナ書き
は、必ずしも正しい表記ではないことをご承知下さい)と読みます。
『日本語で「チーム」というのは、英語のteamのことだよ。』
『cmのことを、日本語では、「センチメートル」って発音するんだ
よ。』と説明する私に、子どもたちは、『ふ〜ぅ、日本語って、大
変。カタカナを使って、新しい別の言葉を作っているの。』『でも、
外国から来た言葉などをカタカナで書くといっても、それって英語
じゃないこと、知っているの?』
母国語がすでに英語になりつつある、あるいは日常生活の大半を
英語で過ごす子どもたちが、日本語の勉強をする時にぶつかる難問
・奇問はこんなところから始まるのです。
■ 黙りこんでしまう
クリスが、日本のある女子学生と会話をした時のことです。
「彼女が、『日本の女性について、どう思う?』と尋ねたので、僕
は、『あまり、自分の考えを主張しないね』と率直な感想を伝えた
んだ。そしたら、その途端に彼女は、黙りこんでしまったんだよ。
話題から反れようとするんだ。もし、そんなことはないと思うんだ
ったら、彼女の意見も聞いてみたかったんだけど、ね。でも、そん
な彼女の行動は、何だか僕の言ったこと、そのもののような気がし
たよ。それに、女性に限らず、これまで『日本の〜について、ある
いは日本人の〜について、どう思う?』と聞かれて、僕が素直に応
えると、それが的を得ることだったり、都合の悪いことだったりす
ると、いきなり、みんな黙ってしまうんだ。どうして自分の意見を
言ってくれないのだろう。」
■ 目の前から急にいなくなる
東京の交差点で、クリスが道を聞こうとすると、「あっ、まずい。
地図を持ったこの外人はきっと英語で何か自分に尋ねてくる…」と
まるで殺気を感じるかのように、その人が彼の目の前から「ヒラリ」
と去っていくことがたびたびあるそうです。もちろん、快く応じて
くれる人もたくさんいます。このような話は随分昔?にも聞いたこ
とがありましたが、今でもなんですね。でも、わかるような気はし
ます。何だか身体が、英語に抵抗感を覚えてしまっているようなの
です。
■ 求められるのは、意志疎通を図ろうとする前向きな気持ち
クリスは、私によく話します。
「僕は、何も難しいことを尋ねようとは思っていないんだよ。使っ
ている単語だって文法だって、おそらく中学生レベルのものだと思
うんだ。」そして、「何だかみんなビクビクして僕と話すんだ。間
違った英語を話してはいけない…みたいにね。でも、そんなの気に
する必要はないと思うよ。まずは、相手の話を聞こうっていう気持
ちと、相手に自分の思っていることを伝えようっていう前向きな気
持ちが大切だと思うんだ。もし、言葉が足りなくても、聞き手はわ
かろうと努力して手助けしてくれると思うよ。これは日本語だって
同じだろう?」と。
■ コミュニケ―ションの道具としての英語
私が通うオーストラリアの大学にもアジア地域からやってくる学
生が非常に多いのが目立ちます。韓国、中国、タイ、ベトナム、イ
ンドネシア、インド、ネパール・…と様々です。ここでは、国境を
超えた学生同士がコミュニケーションをするために、“英語”とい
う言語を使ってやりとりをします。共通語がたまたま“英語”であ
って、それはお互いの考えや気持ちを伝え合うための道具にすぎな
いのです。相手に『何を伝えるのか』という中味があることが、第
一です。そういった意味で、英語教育の在り方を考える際の要素の
一つには、“間違うことを恐れるのではなく、自分自身について肯
定的な気持ちになって相手に伝えよう”という意志を持たせるため
の支援が求められているのは確かなのです。
数年前、友人のバングラディッシュの男子学生が私に話しかけて
きたことを思い出さずにいられません。
「日本人って、英語が話せないんだってね。」
日本の大学に留学している彼の友人が、彼に話したのだそうです。
「日本人は、学校で何のために英語を勉強しているの?」
私は「あ〜ぁ、そう聞かれると思った…」と、英語教育の改善を案
じるだけでなく、それ以前の問題である“英語コンプレックス”か
らいつまでたっても抜けきれないでいる日本人の行方が一番気にな
っているのです。
では、また次号でお会いしましょう。
ご意見・ご感想をお待ちしています。
*前号『保護者がクラスに現われる!?』の内容に関して、ご感想
や日本での取り組みなどを知ることができ、とても心強く感じまし
た。学校と保護者が協同で作り上げていく教育環境(その過程も含
め)の良い点、それを支援できる学校という組織の在り方を探るこ
とは開かれた学校の一歩に繋がっていくいくような気がします。
******************************
“広がり”と“つながり”をキーワードに、地域の環境をめぐる問
題から始まり、人口や貧困といった経済や開発、社会的公正などを
めぐる問題を地球的課題として統一的に学習していくクリティカ
ル・シンキング(critical thinking)な環境教育をめざします。
------------------------------------------------------------
メッセージ
●勤務校には、英語を母国語とする英語活動のための米国人講師が
勤務しています。職員のなかで彼と英語で日常的に会話をするのは
私だけです。私は学生時代英語が大の苦手でした。今もどう考えて
も下手です。私より遙かに上手に英語を使いこなす教員が何人もい
るのですが、みなさん彼の流暢な日本語にあわせて日本語を使うの
です。とても面白い現象だと思っています。大島さんの論文、とて
も面白いと思います。英語は日本人にとって厄介な受験科目であっ
て、コミュニケーションの道具ではないのかもしれませんね。/大
島さん、今東京なんですね。私も先週末東京にいました。どこかで
すれ違ったかもしれませんね。
------------------------------------------------------------
▲▽▲▽▲読者からのメール▲▽▲▽▲
411 亡くした子どもの遺したもの(その1)佐藤律子を読んで
佐藤さんへ
佐藤さんの「種まく子どもたち」の連載は、ご体験がとてもとて
も重いので、なかなか感想を書くことができません。身内との死別
は悲しいものですが、その中でも子どもが先に逝ってしまうことほ
ど、悲痛なことはないと思えるからです。
その悲しみや、つらさを想像してみてと言われたとしても、想像
することも困難です。
だんだんからだが弱っていく、非常に数少ない、ある難病の一人
息子がいる友人夫婦がいます。彼は今小学6年生ですが、その病気
で20代より以上長く生きた人を知らないと、彼らは言っていました。
両親とも普段はとても明るく、楽しい人たちなので、まわりの私た
ちは、つい彼の病気のことを忘れそうになるくらいです。彼も、い
ろいろなことはあるけれど、毎日学校に行く普通の生活をしていま
すし。
ある時、その母のほうを含め、数人で、「コウ(ピア)・カウン
セリング」の講座を数ヶ月受けました。安積遊歩さん(『癒しのセ
クシー・トリップ』『車椅子からの宣戦布告』などの著書がありま
す。骨形成不全で生まれ、「障害」者からのパワフルな発信を続け
ている、とても魅力的な方です)がアメリカで学び、広めている流
れのものです。
その中で、彼女のとめどなくわきだしてくる涙にふれ、心から一
緒に泣くことができました。その時、ほんとに少しだけ、親として
の苦悩に触れたような気がしました。
でも、だからといって、私にできることはなにもありません。口
が開けにくい彼に、いい歯医者さんはないか、と聞かれたら、あそ
こはどうだろうと友人たちと情報を出し合う。ある治療法を試みよ
うと思うと言われたときは、友人の小児科医に意見を聞いて、それ
を知らせる。そんな程度なのです。
何もできないけど、何でもいつでも言ってね、もし泣きたいことが
あったら、一緒に泣けるよ。私も、他の友人たちもいつもそう思っ
ています。
感想にもならないものですが、佐藤さんの連載で、元気を得てい
ますとお伝えしたいです。亡くなった息子さんが残してくれたたく
さんのもの、それを、お会いしたこともない私たちまでいただいて
います。ありがとうございます。
佐藤さん、12月11日の夜、澄み切った東京の空で、今世紀最後の
満月の光を堪能しましたよ。
須摩智佳子
sumac@mwd.biglobe.ne.jp
------------------------------------------------------------
▲▽▲▽▲原稿募集中▲▽▲▽▲
◆読者の関係する研究会・講演会・書籍等の情報原稿募集中。一行
30文字、行数20行前後。連絡先メールアドレスは必須です。
◆感想や投稿大歓迎。感想も本MMで使うことがあります。匿名希
望の方、掲載禁止の場合は明記してください。匿名の御質問・御依
頼・御批判には対応していませんのでご了承ください。
◆諸事情から掲載できないこともあります。掲載についてのお問い
合わせはご遠慮ください。
◆原稿は wahaha@po.synapse.ne.jp 蔵満までお送りください。
------------------------------------------------------------
▲▽▲掲載予告▲▽▲12月▲▽▲【変更になることがあります】
14 413 新採2年目のチャレンジ 鶴薗紳太郎
15 414 必ず盛り上がる授業プラン 森竹高裕
16 415 田んぼの先生・畑の先生 田辺澄江
17 416 斎藤次郎さんインタビュー 須摩智佳子
18 417 「死」を学ぶ子どもたちーPART? 種村エイ子
19 418 合い言葉はであい 須摩智佳子
20 419 子供が夢中になる道徳授業 大江浩光
21 420 岩田さんの学級通信セレクション 岩田哲也
22 421 自然大好き、ようこそ理科室へ 岩切敏彦
23 422 命と体を見つめる 澤栄美
------------------------------------------------------------
▲▽▲▽▲関連HP・MM一覧▲▽▲▽▲
☆HP『小学校教師用教育関連総合リンク集』 16万アクセス
http://member.nifty.ne.jp/KURAMITU/index.html
★MM『日刊・小学教師用ニュースマガジン』登録・解除
http://www.synapse.ne.jp/~wahaha/index1.htm
☆MM『授業づくりネットワークメールマガジン』登録・解除
http://www2.synapse.ne.jp/mm21/index.htm 月4号
------------------------------------------------------------
★MM小学412★ まぐまぐ 4728
この記事の発行者<<前の記事
|
次の記事>>
|
最新の記事
