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●子育て最前線の育児論byはやし浩司・メルマガ(宇宙人論)
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子育て最前線の育児論byはやし浩司 6月 25日
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【1】(子育てのこと)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
休みます。
【2】(特集)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
●S・ホーキング博士著『ホーキング・未来を語る』を読む
+++++++++++++++++
S・ホーキング博士は、人間と宇宙人が
遭遇する確率は、ほとんどないと、
断言している(「ホーキング・未来を語る」
ソフトバンク刊)。
人類の歴史は、たかだか、200万年。
ビッグ・バンから現在までは、150億年。
宇宙に知的生命体がいるとしても、人類
の歴史は、星のまばたき程度の長さでしか
ない。
その瞬間に、宇宙人が人間と遭遇するということは、
「ありえない」ということらしい。
が、もし、視点を変えて、宇宙人が人間を
知的生物に改良したと考えたら、どうだろう。
とたん、S・ホーキング博士のこの意見は、
それこそブラック・ホールの片隅に
吹き飛んでしまう。
その可能性は、ないわけではない。
S・ホーキング博士自身も、こう書いている。
「いずれヒトの遺伝子工学は始まるだろう」
(P222)と。
望むとか、望まないとか、そういうことに関係なく、
だれかが始めてしまうだろう、と。
わかりやすく言えば、人間自身が、遺伝子工学を
使って、人間そのものを、作り変えてしまう
だろう、と。
さらに「脳神経系に電子デバイスを移植する
ことによって、全言語やこの本の内容と
いった完全な情報パッケージや、増強型
メモリーを人は得ることができるだろう」
(P223)とも。
こうなると、「教育」も必要なくなってしまうのでは?
情報を詰めこんだチップを、脳の中に直接
移植すればよい。
それでその子ども(人)は、百科事典、数万冊分の
知識を、自分のものとすることができる。
で、人間が今のままの人間である間は、人間は
宇宙へ飛び出すことはできないそうだ。
そのためにも人間を改良する必要があると
いうことらしい。
ただしここでいう人間は、現在の人間とは
「ほとんど類似性をもたない」人間になる
という。
「類似性をもたない」ということは、昆虫や
魚ほどもちがった人間になるということらしい。
となると、そういう人間を、はたして「人間」と
呼んでよいものかどうか、という問題も起きる。
それはともかくも、私たち人間自身が、どこかの
宇宙人によって改良されたと考えるのは、
けっして、荒唐無稽な話でもないようだ。
●理性と知性
S・ホーキング博士の意見に、もう少し耳を
傾けてみよう。
S・ホーキング博士は、こう書いている。
「人間の脳の大きさは、女性の産道の大きさに
よって決まる」(要約)と。
つまり女性の産道以上に、直径の大きな頭を
もつ子どもは、生まれないということ。
そこで頭の大きな子どもを作るために、
「赤ん坊を、体外で、生み育てる」(P226)
という方法があるそうだ。
しかもそれは「100年以内に可能になる」と。
が、ここでまたまた問題が生ずる。
脳を大きくすればするほど、人間はより理性的に
なるが、しかし脳の中の信号を伝える伝達物質の
速度には、変わらない。
つまり頭が大きくなればなるほど、頭の回転が
遅くなる。
そこで人間は、択一を迫られる。
脳を大きくして、理性的な人間にするか、
あるいは小さくして、頭の回転の速い人間に
するか。
S・ホーキング博士は、「同時に、ふたつをもった
人間にはなれません」(P226)と書いている。
●人間の改良
「遺伝子工学」という言葉が聞かれるようになったのは、
今から、40年ほど前のことである。
当時はまだ、どこかSF的な感じすらした。
それが今では、その遺伝子工学を使って、新種の農作物を
作るところまできている。
驚くべき進歩と言ってもよい。
S・ホーキング博士がいうように、100年を待たずして、
人間の改良が、始まるかもしれない。
寿命を延ばす。
知的能力を伸ばす。
病気に強い肉体に作り変える。
気候の変動に強い人間に改良する、などなど。
理想的な(?)容姿をもった子どもが、
つぎつぎと生まれるかもしれない。
が、ここでも新たな問題が生まれる。
「心」はどうするか、という問題である。
S・ホーキング博士は、どんなすぐれた
コンピュータでも、(今のところ)、ミミズの
脳みそ程度の能力しかないと書いている。
「コンピュータが知的活動ができるように
なるのは、ずっと先」(要約)ということ
らしい。
で、それはわかるが、(心)はどうするか。
たとえば(私)という個人をながめて
みても、無数の(過去)をひきずりながら、
その上に、(私)がいることがわかる。
恐怖症、多重人格性、回避性障害、パニック
障害などなど。
かろうじて一定のワクの内に「私」という自分を収めて
いるが、無数のドラマも、そこから生まれる。
泣いたり、笑ったり、怒ったり、悩んだり……。
さらにつけ足せば、(心)というのは、濃密な
親子関係の中で、はぐくまれる。
もし体外で、人間が生み、育てられるように
なったら、その人間は、温室で、水耕栽培される
野菜のようになってしまうのでは(?)。
仮に誕生してからも、人工的に育てられるとなると、
そうして育てられた人間は、画一的で、(心)の
ない人間になってしまう可能性がある。
もしそうなら、そんな人間が、仮に宇宙へ飛び出した
としても、それがどういう意味をもつというのか
ということになる。
だったら、はじめから、ボイジャーのように、
金属でできた、機械的な宇宙船を宇宙へ送ったほうが
マシということになる。
●進化?
S・ホーキング博士は、「進化」を前提として、人間
の未来を考えている。
過去から現在まで、人間は絶え間なく進化してきた。
だから、これからも進化しつづける、と。
しかし本当にそうだろうか?
そう考えて、よいのだろうか?
たとえば1995年に、シシリー宣言※というのが
出されている。
その中で、人間が排出する、内分泌かく乱物質、
つまり通称「環境ホルモン」が、人間の体に深刻な
影響をおよぼし始めていることが問題となった。
生殖器への影響もさることながら、脳にも、である。
「微細障害説」という言葉も生まれた。
つまり外からは把握できないが、こうした物質が、
脳に微細な障害を与え始めているという。
つまりDNAが、仮に1年に、1ビットの
割合で進化した(S・ホーキング博士)としても、
その数万倍、あるいは数十万倍の速さで、DNAが、
破壊されていくということも考えられる。
もちろん生殖器に与える影響も、深刻である。
それについては、たびたび問題になっているので、
ここでは省略するが、そのうち人間も、生殖能力を
失ってしまうかもしれない。
●自滅プログラム
S・ホーキング博士は、人類と宇宙人が遭遇できないのは、
確率的にありえないからだというようなことを書いている。
150億年という宇宙の歴史からすると、200万年という
人類の歴史は、瞬間にすぎない。
そこで200万年を150億年で割ってみる。
すると人類の歴史は、宇宙の歴史の中でも、1万5000分
の2に過ぎないということになる。
宇宙人が、1万5000回、地球を訪れたとしても、
人類を見るのは、そのうちのたった1回にすぎないという
ことになる。
(この計算は、単純すぎるが……。)
さらに人間が人間らしくなったのは、ここ数万年のこと。
歴史を残すようになったのは、ここ1万年のこと。
S・ホーキング博士が言うように、たしかに確率的には
ありえない。
しかしこうは考えられないだろうか?
どんな知的動物であっても、その進化の過程で、「無知
プログラム」が働き、自滅する、と。
よい例が、火星である。
最近の調査結果によると、火星にもかつては、海があり、
陸もあったそうだ。
ひょっとしたら、そこには、知的生物もいたそうだ。
その可能性は、きわめて高い。
が、その知的生物が、現在の人間と同じように、化石燃料
のようなものを燃やし、温暖化を招いてしまった。
結果、火星は、不毛の惑星へと化してしまった。
火星は地球よりも小さいから、温暖化は、はるかに
早く進んでしまった。
つまり、理性、つまり思考的知的能力が、
知識、つまり情報的知的能力に、
追いつくことができなかった。
仮に宇宙人がいるとしても、知的に(?)なったとたん、
自滅プログラムが働き始める。
その寿命は、短い。
数万年、あるいは数十万年にまたがって生き延びる
知的な宇宙人は、(いない)ということになる。
●思考的知的能力vs情報的知的能力
S・ホーキング博士は、脳が大きくなればなるほど、
人間は知的(理性的)にはなるが、その分、頭の回転は
遅くなると、説く。
一方、脳が小さくなればなるほど、頭の回転は速く
なるが、その分、より知的(理性的)ではなくなると説く。
『ホーキング・未来を語る』は、翻訳本なので、原書では
どんな英語を使っていたのかは、わからない。
しかしこのままでは、誤解が生ずる。
S・ホーキング博士が言う、「知的」というのは、
「理性」のことなのか、「頭の回転」のことなのか。
たとえば英語で、「smart」と言えば、「頭が切れる」を
意味する。
「wise」と言えば、「賢い」を意味する。
おそらくS・ホーキング博士は、「脳が小さくなれば、
smartになり、大きくなれば、wiseになる」と
言いたかったのでは?
日本語のほうでは、頭の切れる人も、賢い人も、区別なく、
「知的な人」という。
しかし問題は、その先である。
少し話がわかりにくくなってきたので、わかりやすく
説明しよう。
たとえば、子どもがピストルをもったとしよう。
本物のピストルである。
子どもでも、ほんの少し使い方を教えれば、ピストルを
使うことができるようになる。
その使い方を覚える能力が、「情報的知的能力」ということになる。
一方、ピストルは、たいへん危険な凶器である。
当然、使い方を考えないとたいへんなことになる。
その考える力、つまりコントロールする力が、
「思考的知的能力」ということになる。
つまり「進化」というときは、これら両者が、同時進行
の形で進化しなければならない。
そうでないと、子どもは、ピストルをバンバンと撃ち、
多くの人を殺してしまう、ということになりかねない。
が、現実はどうかというと、「情報的知的能力」が、
「思考的知的能力」に先行している。
原子爆弾にしても、先端技術にしても、そうだ。
現在、深刻な問題になりつつある、地球温暖化(火星化)
の問題にしても、そうだ。
身近な例では、「携帯電話」がある。
昨今、子どもに携帯電話をもたせてもよいかどうかという
ことが、国をあげて、問題になっている。
携帯電話という文明の利器を手にしながら、それを
正しく使う能力をもちあわせていない。
これらすべての問題は、結局は、(思考的知的能力)が、
(情報的知的能力)に追いついていないことが原因で
起こっている。
つまり私たち人間が、子どもがピストルをもつようなことを、
平気でしている。
つまり、それがここでいう、「自滅プログラム」を引き起こす。
わかりやすく言えば、人類が宇宙人と遭遇できないのは、
S・ホーキング博士が言うように、確率的にありえない
からではなく、進化する生物が共通してもつ、この
自滅プログラムによるものではないかということ。
人間どうしが起こすであろう核戦争を、例にあげるまでもない。
●宇宙人
そんなわけで、仮に宇宙人がいるとするなら、その
宇宙人は、つぎのような条件を兼ね備えているはずである。
(1)思考的知的能力が、常に情報的知的能力より、すぐれている。
わかりやすく言えば、理性のほうが、知性よりすぐれている
ということ。
さらにわかりやすく言えば、欲望を、つねにコントロールする
能力をもっているということ。
さらにさらにわかりやすく言えば、きわめて温厚で、穏やかな
性質をもっているということ。
(注:S・ホーキング博士は、本の中では、「理性ある人間」
という意味で、「知的生物」という言葉を使っている。)
しかしそれでは(進化)と矛盾する。
進化は、闘争の中で、はぐくまれる。
「便利なものがほしい」という欲望が、情報的知的能力を
刺激し、それが新しい製品を生み出す。
が、もし、そういう欲望がないとするなら、その時点で、
情報知的能力の進化は、停止する。
言いかえると、S・ホーキング博士が説くところの「進化」には、
すでに「自滅プログラム」が組み込まれていることになる。
進化イコール、自滅への道と考えてもよい。
地球温暖化(火星化)によって、自滅するかもしれない。
あるいは超高度な兵器(核兵器)によって、自滅するかもしれない。
そう、私たち人間は、子どもがピストルをもつようなことを
平気でしながら、それを理性的にコントロールする能力を、
じゅうぶんにもちあわせていない。
●人間が宇宙人になるとき
S・ホーキング博士は、人間が宇宙へ飛び出すためには、
人間を遺伝子工学によって、改良しなければならないと説く。
「それがよいか悪いかということではなく、だれかが
(改良を)始めてしまうだろう」(要約)と。
しかし(改良)には、つねに、2つの側面がある。
S・ホーキング博士のような、性善説に立てば、人間は
よりよい方向に向かって、進化していくことになる。
しかし(改良)は、つねに(改悪)をともなう。
たとえばサイボーグのような、凶悪な兵士型人間が
生まれたら、どうなるのか?
またそういう兵士が、欲望に任せて、地球征服をもくろんだら、
どうなるのか?
そこで重要なのは、やはり「思考的知的能力」という
ことになる。
わかりやすく言えば、「理性」ということになる。
その理性を、どうすれば、発達させることができるか。
つまり、その理性なくして、人間は、宇宙へ飛び出すことは
できない。
また飛び出すことも、ないだろう。
●爆発的な人間の進化
「進化」といっても、ここ1万年ほどの間に人類が
見せた進化には、驚くべきものがある。
それこそこの1万年の間に、それまでサルと区別
ができなかったヒトが、現在のような人間になって
しまった。
S・ホーキング博士は、「ヒトDNAが、生物的進化
によって更新される現在の割合は、1年で1ビットです」
「ヒトDNAがもっている情報量は、30巻におよぶ
百科事典に相当します」(P221)と書いている。
ただしヒトとサルのちがいは、「ロマンス小説のペーパー
ブック1冊分のちがいでしかない」とも。
ともかくも、ここ1万年の進化(進歩と書くべきか)には、
すさまじいものがある。
「1年で1ビット」(S・ホーキング博士)という進化では、
とても説明できない。
もっともS・ホーキング博士自身も、「ここ8000年の
変化は、DNAの増加によるものではなく、文字の発明に
より、情報の伝達が進んだから」(要約)と説いている。
どちらにせよ、ここ1万年の人類の変化は、「爆発的」という
に等しい。
このことは、反対の立場で考えてみればよい。
あなたはこれから先、1万年のうちに、チンパンジーを教育して、
そのチンパンジーを、現在の人間と同じレベルまで、その
知的能力(S・ホーキング)を、高めることができるだろうか。
答は、「NO!」のはず。
●人間が生き残るために
S・ホーキング博士の『ホーキング・未来を語る』を読んで、
私は、別のことを考えていた。
S・ホーキング博士は、先にも書いたように、性善説にもとづき、
かつ自身の恵まれた過去を基礎に、バラ色の未来像について
語っている。
しかし私は、「どうすれば、人類は未来に渡って、生き残る
ことができるか」、それについて考えていた。
もし今のように、情報的知的能力を、思考的知的能力に
優先させるような状況がつづけば、(ほぼまちがいなく、
つづくだろうが……)、人類には未来は、ない。
最先端技術を、惜しげもなく武器に応用し、その武器を
用いて、戦争を繰りかえす。
その結果は、もうここに書くまでもない。
地球温暖化(火星化)にしても、そうだ。
ひとつの問題を解決するよりも先に、つぎつぎと新しい
問題が生まれている。
化石燃料の消費を減らそうにも、それを減らすことさえ、
ままならない。
が、生き残るためには、何よりもまず、思考的知的能力を、
進化させなければならない。
もちろんここでいう進化というのは、DNAによる進化ではない。
私たち自身が、自ら思考力を高め、情報的知的能力を、
コントロールできるようにする。
そういう「進化」である。
「進化」という言葉に語弊があるなら、「進歩」でもよい。
それをしないで、欲望だけを野放しにすれば、人類は、確実に
滅亡する。
人類のみならず、地球上のありとあらゆる生物は、滅亡する。
●結論
私は、個人的には、宇宙人は、私たちのきわめて
近いところにいると信じている。
私とワイフは、とても人間の乗り物と思えないような
巨大なUFOを目撃している。
それについてはたびたび書いてきたので、ここでは
省略する。
省略するが、こういう話になると、どうしても、あの夜の
話にもどってしまう。
「私たちが見たものは、何だったのか?」と。
……あるいは、ひょっとしたら、私たち地球人は、
火星人の子孫かもしれない。
ただのSF的空想だが、その可能性がまったくないとも
言い切れない。
その本を読みながら、そんなことも考えた。
『ホーキング・未来を語る』は、すぐれた本である。
一読を、お勧めする。
(注※)シシリー宣言
●シシリー宣言
1995年11月、イタリアのシシリー島のエリゼに集まった18名の学者が、緊急宣言を
行った。これがシシリー宣言である。
その内容は「衝撃的なもの」(グリーンピース・JAPAN)なものであった。いわく、「これ
ら(環境の中に日常的に存在する)化学物質による影響は、生殖系だけではなく、行動的、およ
び身体的異常、さらには精神にも及ぶ。
これは、知的能力および社会的適応性の低下、環境の要求に対する反応性の障害となってあらわ
れる可能性がある」と。つまり環境ホルモンが、人間の行動にまで影響を与えるというのだ。が、
これで驚いていてはいけない。シシリー宣言は、さらにこう続ける。
「環境ホルモンは、脳の発達を阻害する。神経行動に異常を起こす。衝動的な暴力・自殺を引き
起こす。奇妙な行動を引き起こす。多動症を引き起こす。IQが低下する。人類は50年間の間
に5ポイントIQが低下した。人類の生殖能力と脳が侵されたら滅ぶしかない」と。ここでいう
「社会性適応性の低下」というのは、具体的には、「不登校やいじめ、校内暴力、非行、犯罪の
ことをさす」(「シシリー宣言」・グリーンピース・JAPAN)のだそうだ。
この事実を裏づけるかのように、マウスによる実験だが、ビスワエノールAのように、環境ホ
ルモンの中には、母親の胎盤、さらに胎児の脳関門という二重の防御を突破して、胎児の脳
に侵入するものもあるという。つまりこれらの環境ホルモンが、「脳そのものの発達を損傷す
る」(船瀬俊介氏「環境ドラッグ」より)という。
【3】(近ごろ、あれこれ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
●介護について(About the Care of Old Parents)
++++++++++++++++
親を含めて、肉親の介護には、
いろいろと問題がある。
実際、その介護をしてみて、,私が
感じたことを、ここに、記録として
残しておく。
++++++++++++++++
●介護は、重労働
当初から親と同居しているケースは別として、介護を必要とするようになってから、その
親と同居するということは、不可能と考えてよい。またそういう前提で、介護の問題を考
える。
現に欧米では、そういうケース、つまり介護を必要とするようになってから、その親と同
居するというケースは、きわめて、稀(まれ)。
私も実際、母の介護をしてみて、それがわかった。母との間には、それまで、いろいろと
確執はあるにはあったが、相手は、90歳の老人。介護を始めたとたん、「こんな老人を相
手にしてもしかない」と思ったとたん、それまでのわだかまりは、ウソのように消えた。
母には、私たちの寝室を、与えた。風呂にもトイレにも近い。庭が見渡せるし、間取りも
広い。その部屋に、ベッドとソファ類を置き、歩きやすいようにと、部屋中にパイプを設
置した。そんな私でも、やがて「不可能」と感じるようになったのは、いくつか、事故が
重なったからである。
「あわや!」と思われるような事故も、3回、つづいた。たまたま発見が早かったからよ
かったようなもの、もし発見が遅れていたら、母は確実に死んでいた。
が、私の家は、まだよいほう。母の部屋にしても、2方に広い窓(南側は、2間幅の履き
だし窓)になっていた。木造だから、改変も自由にできた。
が、マンションのような鉄筋づくりだと、そうは、いかない。
●介護は、便との闘い
私はいつしか、「介護は、便との闘い」と思うようになった。
独特の加齢臭は、ファンを設置したりして、何とか軽減することができたが、問題は、や
はり便だった。
日に何度か、パットを交換するのだが、日によって、母は、パットがぬれたりすると、紙
おむつそのものまではずしてしまった。で、その状態で、ふとんの中で寝るから、毛布も、
ふとんも、便で汚れてしまうということもあった。
それに予期せぬできごとも、つづいた。
たとえば私の家には、ハナという猟犬がいる。母とそのハナは、どういうわけか、相性が
合わなかった。ハナは、母の姿を見るたびに、ワンワンと、けたたましく、吠えた。
母は、朝、4〜5時ごろ、カーテンを開ける。それを見て、ハナが吠える。私たちも目を
覚ます……。そこで私たちは、母の部屋を一日中、電気をつけっぱなしにし、夜、昼の区
別が母にできないようにした、などなど。
……というのは、まだマイナーな問題かもしれない。
母に、無線の呼び出しベルをもたせたこともある。首にネックレスのようにして、それを
かけさせた。が、母は、真夜中でも、それを押して、私たちを呼んだ。「水がほしい」「足
が痛い」と。私たちが睡眠不足になってしまった。
が、これもまだ、マイナーな問題と考えてよい。
●老人にもいろいろ
介護老人といっても、私の母などは、まだよいほう。ふだんは、静かで、おとなしい。し
かし老人の中には、一晩中、大声を出して暴れる老人もいる。ものを投げつけたり、暴力
を振るう老人もいる。
足がじょうぶな老人だと、徘徊という問題もある。N氏は、そのとき90歳くらいだった
が、裏の塀を乗り越えて、毎晩、出歩いていたそうだ。塀といっても、2メートルもある
ような高い塀である。
こうなると、介護する側の疲れは、倍加する。そこへアルツハイマー病、ピック病、さら
には血栓性の脳障害が加わると、さらにたいへん。介護疲れから、半年で、5〜10キロ
も体重を減らしてしまった人もいる。
そうした事情も知らない人、あるいは介護の経験がない人は、安易に、『ダカラ論』をぶつ
けてくる。「何といっても、親だからねえ」とか、「何といっても、あなたは子だからねえ」
と。
私も何度か、そう言われた。が、こうした『ダカラ論』ほど、その渦中にある人を苦しめ
る言葉はない。
繰り返すが、老人にも、いろいろある。さらにそれまで良好な親子関係であったのなら、
まだ救われる。そうでない親子も、多い。そういう子は、それまでの(わだかまり)や(こ
だわり)とも闘わねばならない。
●ケア・センター
介護度が4とか5になったからといって、ケア・センターに入居できるというわけではな
い。浜松市のこのあたりでも、半年〜1年の順番待ちというのが、実情である。が、順番
がきたから、入れるというものでもないらしい。
ケア・センターのほうでは、直接、そういうことは公言しないが、ある程度の人選はして
いるようだ。わかりやすく言えば、(扱いやすい老人)を、優先的に入居させている(?)。
暴れたり、暴力を振るう老人は、当然のことながら、敬遠される。持病をもっている老人
についても、そうだ。「うちには、医療設備はありませんので……」とか何とか言って、や
んわりと断られる。
言い換えると、慢性的な病気をもっている老人は、それだけ入居しにくいということ。も
ちろん医療機関を併設しているケア・センターもあるが、数は、まだ少ない。
もちろんケア・センターでは、それなりの費用がかかる。
下は、月額6〜7万円から、上は、20万円前後まで。その老人の所得や財産に応じて、
額が決まる。年金がじゅうぶんある老人は、まだよい。が、私の母のように、月額2万5
000円前後の老齢年金しかない老人のばあい、差額は、すべて、家族の負担となる。
くわえて治療費。
救急車で病院へ運ばれるまでは無料だが、たいていそのまま個室に入院ということになる。
そうなると費用は、1〜2泊しただけで、帰りの寝台付タクシー代も含めて、3〜7万円
もかかる。
幸い、私たちは浜松市という大都市に住んでいるからよいようなものの、少し離れた郊外
の町や村に住んでいる人は、さらにたいへん。たとえば寝台付タクシーのばあい、通常の
タクシー代の約5倍の料金がかかる。
●治療拒否
私の母も、それまではたびたび、救急車で病院へ運ばれた。しかし最後のときには、担当
のドクターに、こう言われた。「この先、救急車でおいでになっても、延命処置はもうしま
せん。天寿と思ってください」と。
私はそのとき、「そういうものかなあ?」「そういうものだろうなあ?」と、自分で自分を
納得させるしかなかった。
人の命は、地球よりも重いとか何とか言うが、こと介護老人について言えば、鳥の羽より
も軽い(?)。私の知人などは、病院のドクターにこう言われたという。
「うちの病院では、治る見込みのある人は治療しますが、そうでない人は、治療しません」
と。
が、この問題は、何も介護老人の問題ではない。私たち自身の問題でもある。私たちも、
やがて確実に、老人になる。介護老人になる。そのときもし、あなたがドクターに、「もう
延命処置はしません」と言われたら、あなたはどう感ずるだろうか。
●運命は受け入れる
親の介護で苦労している人も多い。さらに兄弟姉妹の介護で苦労している人も多い。そこ
へ、親の財産問題、金銭問題がからんでくるというケースもある。あるいは介護費用の分
担をめぐって、兄弟、姉妹が、怒鳴りあいの喧嘩をするというケースも、珍しくない。
叔父や叔母が介入してきて、問題がさらに複雑化するというケースもある。
こうなると、それまでの親子関係など、どこかへ吹っ飛んでしまう。(親の存在)そのもの
が、騒動の(種)となる。が、問題は、まだつづく。
いわゆる老・老介護の問題である。
平均寿命が延びたことは、よいことかもしれない。が、90歳の老人を、70歳を過ぎた
息子や娘が面倒をみるというケースも少なくない。子のほうが、先に認知症になるという
ケースもある。もちろん双方ともに、収入は、ゼロ。責任能力も、ゼロ。
「親の介護」といっても、内容はさまざま。事情も、それぞれの家庭に応じて、複雑。そ
れを無視して、あれこれ論じても意味はない。ないが、ひとつだけ言えることがある。そ
れは、『運命は、受け入れる』ということ。
そこにある(現実)をすなおに受け入れていく。あるがままを認めて、受け入れていく。
それを「運命」と呼ぶなら、運命でもよい。それぞれの人には、無数の糸がからんでいる。
からみあって、その人の進むべき方向を決めていく。
あとは、その運命に従えばよい。
その運命に逆らうと、運命は、キバをむいて、私たちに襲いかかってくる。しかしひとた
び運命を受け入れてしまえば、運命は、向こうからシッポを巻いて逃げていく。
●現状
私たちは、現在、ケア・センターの人たちに、たいへん感謝している。というのも、母が
ケア・センターに入居してからというもの、再びというか、それ以前よりも、気が楽にな
った。
自由な時間も、もどってきた。生活のリズムも、以前のそれにもどった。今は、ときどき
ケア・センターを見舞う程度ですむ。政治家の中には、「(こうした)施設が、姨捨(おば
すて)の場になっている」と非難する人もいるが、それはどうかと思う。
もしそれが「姨捨」なら、欧米の国々では、ほとんどすべての人が、姨捨をしていること
になる。むしろ現状は逆。
介護制度の貧困さを、こういう言葉でごまかそうとしているのではないか。今のような豪
華な施設でなくともよいから、こうした施設を、もっともっとふやすべきと私は考える。
「子に老後のめんどうをみてもらいたい」と願っている人もいるかもしれないが、「子には
迷惑をかけたくない」と願っている人は、もっと、多いはず。私たち夫婦もそうで、老後
は、どこかの施設に入ることを、すでに検討し始めている。
つまり「捨てられる立場」になるわけだが、捨てられたところで、一向に構わない。ただ
し、それには条件がある。
●ムダに生きるか?
ケア・センターの中で生活する老人たちを見ていると、大半の人たちは、ただ生きている
だけといった感じがする。毎日、うつろな目つきで、空を見つめているだけ。私の母にし
ても、食事のとき以外は、ひたすら眠っているだけ。
話しかけても、返事もない。あるいは、いつも「元気?」「元気?」という程度の会話しか
できない。
そういう老人たちのために、国は、1人あたり、月額にして、30〜40万円の税金を投
入している。今は、まだよい。しかし私たち団塊の世代が、後期高齢者(75歳以上)に
なるころには、3人に1人が、こうした老人になる。
そのとき、私たちが、現在のような手厚い介護を受けられるかどうかということになると、
答は、NO! 不可能!
そうしたことも考えると、ムダに長生きするなら、早めに死んだほうがよいということに
なる。いや、これは私の母のことを言っているのではない。私自身のことを言っている。
何でも東京都では、そうなると火葬場まで不足してくるという。だから火葬設備のある船、
つまり火葬船を用意する計画まで、取りざたされている。
何ともさみしい話だが、これが現実である。そこに待っている現実である。
しかも恐ろしいことに、私たちにしても、いつか突然、ケア・センターの中にいるような
老人になるわけではない。10年とか、20年とか、長い時間をかけて、少しずつ、ああ
なっていく。
つまりすでに今、私たちがその過程にいるということ。50歳とか、60歳からではない。
40歳から、あるいは30歳から、その過程にいるということ。
介護の問題は、けっして、老人だけの問題ではない。
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