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地震の(週刊 自転車ツーキニスト189)

発行日時: 2005/2/16

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【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
 地震の189号

■昨夜の地震

 昨夜というより未明の地震だな。震度4か。
 私の家はマンションの9階なんで、随分揺れた。飛び起きたよ。魁(私の息子1歳1カ月)はどこだ、どうなっとる、と、本棚を押さえたりタンスを押さえたりした。結局、そこまでの揺れではなかったんだけどね。やれやれ。何でもなくてホッとした。
 魁は眠ったまま。子供がいると恐いね、地震。
 私の住む東京・江東区は世に言う「ゼロメートル地帯」というヤツで、地盤が非常に弱い。水を大量に含んだ南関東ローム層の上。おまけに埋め立て地。いわば「へこんだ高野豆腐」の上に住んでいるようなモノなのだ。大地震の際には液状化することが必定だ。
 どうすればいい、って、どうしようもないわけで、でも、これは別に江東区に住もうが、どこに住もうが、この地震列島に住んでいる限り、避けようがない。危険の大小はあるとはいえね。日本人たちは、何とも業の深い土地に住んでいるのだ。
 でも、普段はそれを忘れてる。時々こういうことがあって「恐い」と思う。でも、朝があけたら、また元通りだ。意識の上でも、実際の備えとしても。
 なんとか震度6弱レベルのが数回にわけて起こり、決定的なカタストロフだけは避けられれば、と思うばかりだよ。

■もうすぐ春?

 暖かくなった、という気はしないんだけど、何だか雰囲気が春めいてきた、と感じる。何が感じさせるんだろう。木の芽などがプクプクと膨らみだしてるからなのか、どうなのか。先日訪れた伊豆半島下田では、早くも桜(河津桜)が咲いてたよ。
 間もなく春。万緑の中や吾子の歯生えそむる。草田男だ。で、またしても魁でありますが、生まれて1年1ヶ月。もう歯は殆ど生えそろってきてます。随分活発に歩くようになった。あらゆるものに触わり、あらゆるものを口に入れてみる。まだ「うー」とか「あー」とかしか言えないんだけど、何かを指さしながら、言いたいことはあるようなのだ。だが、それが言葉にならない。
 脳味噌の働きってのは、面白いものだなぁと、日々思うのですよ。成長過程で何がどのようにして脳の中に入っていくのだろう。どうやって入ったもの同士が繋がっていくのだろう。

■アデージョ

 ところで、最近「ゴージャス系・初期中年雑誌」とでもいうべきものが流行ってるのだという。実際に大ヒットを記録中の「レオン」「ブリオ」に引き続けとばかり、創刊ラッシュだ。先週も「40代限定の雑誌は今までなかった!」と、またまた新雑誌が創刊されてたな。タイトルは忘れた。
 男性版ばかりではないのだ。女性版もある。
 別に揶揄するつもりはないが、笑ったのは「ニキータ(NIKITA)」というヤツだった。
 まあとにかくゴージャス系。雑誌自体が分厚く重い。そのページを開くと「お前はナントカ姉妹か」みたいな企画やらモデルやらがジャカジャカ出てくるのだが、その中に奇妙な記述がある。特徴的な言葉が頻出する。
 一番目立つ例をあげるなら「艶女」と書いて「アデージョ」というヤツ。どうやらこの雑誌のコンセプトであり、読者ターゲットでもあるらしくて「艶やかでゴージャスな魅力的女性」というような意味なのだという。読者はみんなしてアデージョになるのだ。なるほど。
 で、このアデージョさんのオッパイは「艶乳(アデチチ)」であり、ケツは「艶尻(アデシリ)」なのだという。そういうのが頻出する。面白い。アデシリ番外地。
 さらに笑ってしまうのが、このアデージョのお相手だ。もちろん男だ。キメキメなのだ。素肌に金ネックレス系。ジャケットも黒皮、という感じ。ほう、こういうのが復活してきたのか、と思う間もなく、彼らにも名前がついている。「艶男」と書いて「アデオス」と読む。男をオスと読むところがミソだ。これまた何となくのスペイン語風。モデルもフリオを若くしたような感じだよ。
 だが、スペイン語で「アデオス」といえば「さよなら」のことだぞ。ひょっとしたら何らかの寓意があるのかもしれないが、ちょっと無理があると思う。

■何が悪い

 だが、こうして笑って書きながら、実のところ私はそんなに悪くないと思ってるのだ。アデージョであれ、アデオスであれ、自らをカッチョよくあれ、と思うのはいいことだよ。それもこれまで元気のなかった中年男女、オジさんオバさんが頑張るのは悪くない。
 笑っちゃうには笑っちゃうが、オジさん・オバさんと呼ばれるよりも、アデージョ・アデオスと呼ばれる方がイイではないか、とまで思う。私自身は呼ばれたくはないが。
 でもまあ私もこれからアデオスを目指すことにしようぞ。素肌に金ネックレス系は趣味でないが「自転車系アデオス」たらん。なに? ハゲオス? それは言わない約束でしょ。

 どうでもいいんだが、この「ニキータ」、表紙や背表紙には「NIKITA」と書いてあるんだけど、パッと見には「HIKITA」に見えるんで、本屋で背表紙を見るたびに、私的にはちょっとドキッとするのであった。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

「暗黒館の殺人」上・下 綾辻行人著 講談社ノベルス

 構想8年、畢生の大作、著者のすべてがここに凝縮!!
 と。この手合いのキャッチフレーズが付いた本は、必ず面白くない。面白かった試しがない。

 ある程度モノの分かった読書家諸氏ならば、この言葉に大きく頷いてくれると思う。往々にしてこの言葉は真理だ。なぜならば、こうしたキャッチフレーズが付いている場合、その作品の著者は、既に大家となって久しく、才能が枯れ始めていることが多いから。
 では、まさにそういうキャッチフレーズが帯に踊っていた本作品はどうか。

 くー、綾辻。
 残念なことに半分は事実だ。残り半分は「だが、あまり面白くなかった理由が『才能が枯れ始めているから』ではないから」事実じゃない、ということにしておく。

 綾辻行人12年ぶりの「館シリーズ」が本作品。原稿用紙2500枚の超大作だ。煉瓦本2冊。上下合わせて約1300ページある。私はそりゃもう期待して読んだ。一語一句、綾辻の罠にかかるまい、隠れた伏線を見逃すまい、と、注意して読んだ。味わおうとした。
 だが……、後になって分かってくるんだけど、そういう読み方があんまり似合う小説じゃないのよ。そういう読み方をしないで、もっとすんなり読み飛ばした方が良かったのかもしれない。
 ミステリーだから、あまり内容について詳しくは触れないが、持ってまわった語りの殆どは「暗黒館がいかにおどろおどろしいか」の説明に費やされる。そうでありながら、隠されたおぞましき秘密もある程度想像でき、なおかつ古典的だったりもする。そして「驚天動地の結末」が、くー、「あの手口」なのだ。このコーナーで紹介したことのある「○○××」に、すごく似てる。
 期待していなければ、それなりに面白かったのかもしれないが、大期待していたばかりに「えー?!」という気がしてしまったよ。
 綾辻本人によると「難産だった」のだという。そうなのだろう。力作だというのは確かだ。だが、そういう力作が必ずしも傑作に結びつくわけではないというのもこの世界なのだ。

 力のこもった思いが空回りする。
 たとえば冒頭の部分。過去の記憶の暗示があり、暗黒館の説明があって、中村青司(シリーズに必ず出てくる建築家)について語られ、暗黒館に主人公がやってきて、主人公の「親友」に内部を案内されて、登場人物が紹介されて……、などなどなどなど、と色々ありつつ「最初の殺人」が起きるまで、約300ページだ。
 2段組ノベルスで300ページだよ。普通のミステリーなら、もう名探偵が事件を解決しちゃってるよ。
 言ってみればその配分だって、気合いの証左だ。けれど最初の300ページはやっぱりタルい。
 著者本人に「日本の新本格ミステリーの旗手は俺だ!」という意識はもちろんあると思う。だが、あまりそこにコダワりすぎると、仰々しいだけになってしまう。有り体に言ってこの作品はその弊を犯している。
 もちろん綾辻は「才能が枯れた」わけでも「老大家」なわけでもない。まだまだ私は期待しているのだ。次回の「館」は是非とも肩から力の抜けた大傑作を、と切に思っている。
 言うまでもないことだが、私はこの作家の作品が好きだ。ミステリー界の「綾辻以前、以後」という言い方にも素直に納得する。だからこそ、次作は、と思うのである。
 
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ペンネーム : ヒキタ

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