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お久しぶりの(週刊 自転車ツーキニスト187)
発行日: 2005/1/26----------------------------------------------------------
【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
お久しぶりの187号
■冬だからこそ
すんません、ちょっと間があいてしまいました。お久しぶりであります。本日は雪が降ったので、自転車通勤は中止。
で、久しぶりに地下鉄に乗ったんだけど、電車の車内広告を見てると、大学の広告が目立つのね。
受験シーズンだからということなんだろうけど、それにしても、いやに目立つ。
少子化というのが、当然ながら直接の理由だ。もはや大学は名前さえコダワらなければ、ほぼ全入、つまり誰でも入れるというし、その中で学生の取りあいをしているのが現状なのだね。
いや、大学、多いから。何でこんなに多いんだろう、と思うほど多い。で、その広告を出している大学が大抵「就職率○○%」「徹底した英語教育」などを売り物にしていたりするのだ。
大学には簡単に入れる、でも、就職は相変わらずキビシイ。
今の学生たちは大変だ。卒業後、そのままフリーターというケースも多い。若いんだから夢が……、なんて言ってられない現状がそこにある。
■ところで、テレビジョン
テレビジョンという言葉、どこで切る? と聞かれたなら、もちろん「テレ・ビジョン」だ。語源から言うならテレビ =「遠くの・映像」というところだろう。
だけど、多くの日本人は、幼いとき最初に「テレビって本当はテレビジョンっていうのが正式なんだぞ」とか聞いたときに「テレビ・ジョン」と解釈したと思う。当然ですね。テレビはテレビなんだから。「ジョン」がそのままアメリカ人の名前みたいで、なるほど「テレビ・ジョン」か。ジョンさんが発明したのかな? とか思った人も多いのではないか。オレだけか。
まあいい。
幼い頃の「そういえば変なところで切っていたなぁ」という例はありがちなのだけれど、もう一つ「いろは歌」というのがないだろうか。
こう憶えてませんでしたか?
いろはにほへと ちりぬるをわか よたれそつねな……
■いろは歌の謎
もちろん、いろは歌を言葉の意味から考えるならば、切るべきところは次の通りだ。
色は匂えど散りぬるを 我が世誰そ常ならむ 有為の奥山今日越えて 浅き夢見し酔いもせず
それなのに、小学生たちは唱えた。いろはにほへと ちりぬるをわか……。
なぜなのか。実は小学生たちの誤謬ではない。この歌の表記に「7文字で折り返せ」との指定があるからなのだ。この歌は、言葉の意味はさておき、7文字で切るのが、表記上は正式なのである。そこに作者の意図がある。
書いてみよう。
いろはにほへと
ちりぬるをわか
よたれそつねな
らむうゐのおく
やまけふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせす
作者の意図はどこにあるか。
一番右、語尾の部分を縦に読んでみよう。
「とかなくてしす」つまり「咎なくて死す」である。
要するに、この歌には、誰か(作者)によって「私は冤罪によって(咎なくして)処刑された(死んだ)」というメッセージが込められているのである。
いろは歌は、一般には弘法大師によって詠まれたとされている。だが、伝説の多い弘法大師、偉い所業はすべて弘法大使の手によるものとされがちな弘法大師だから、はい、そうですか、とは、にわかに信じがたい。
では、作者は誰なのか。
梅原猛氏の「水底の歌」によると、作者は柿本人麻呂だとされる。
日本史上、稀代の名詩人、言葉遊びの大名人である人麻呂。その彼にして、こんなアクロバティックな詩が生まれ得た。では、その「咎なし」とは何のことか? というところで、梅原論は展開していくのだが、そのあたりは、実際に本をご覧いただくとして(新潮文庫です)、それにしても驚くのが、このアンビリーバボーなまでの歌の技巧の凄まじさだ。
いろはの文字を過不足なく全部読み込み、なおかつ仏教的無常観をテーマとして打ち出す。その上に、隠されたメッセージが込められている。
いろは歌は、まさに奇跡の歌だ。
文学には、人の死には、時折、こんな奇跡が起こり得るのだ。
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「無防備都市 禿鷹の夜2」逢坂剛著 文春文庫
最低最悪の悪徳刑事・禿鷹警部補が活躍するハードボイルド(?)の2作目。シリーズものなのに、1作目より面白いという希有な例の一つ。禿鷹デカが、ますますハイパー禿鷹化している。
この主人公は、面白いが、やはりタマラナイ。
大抵の「悪い主人公」「悪徳刑事」ってヤツは「一見悪いヤツ、なのに、実は仁義を守るハードボイルド男」ということが多いのだが、この禿鷹はホンマモンの悪りいヤツだ。ヤクザから賄賂をとる、暴力をふるう、などなどは当たり前で、この禿鷹のスゲーところは、女も裏切る、仲間も見捨てる、とにかく自分のことしか考えないところだ。
まっこと胸糞が悪い。それなのに面白い。
このシリーズにおいて、作者の逢坂氏は、禿鷹の内面を全く描かない。つまり、読者は禿鷹が何を考えてるのかさっぱり分からない。そのあたりが付け入られる隙となる。
やっぱり読者は主人公に対して「そうはいってもどこか良いところがあるんじゃないか」と考えがちになる。そこに作者は付け込む。「何を考えているか分からないが、思わせぶりな行動をする禿鷹」がアピールする。で、一番最後に「だーっ、やっぱ自分のことだけじゃんかー」となるって仕掛け。
シリーズ1は単行本で読んだ。2冊目は文庫。軽く読めるエンターテインメントだから、文庫の方がむしろ合ってる。満足した。3作目は現在、週刊文春で連載中。チラチラ読むと、さらにさらにチョーハイパー禿鷹化している。これにも私は今から期待している。
「生首に聞いてみろ」法月綸太郎著 角川書店
今週はもう一つ。毎年恒例「このミステリーがすごい」の2004年、堂々ナンバー1がこの作品。
だが、多くの人は「これがナンバー1?」と疑問に思うのではないか。確かに話の整合性はとれていると思うけど、なにせ地味だし、物語の起伏に乏しい。人物造形も薄い。
それなりには面白い。だが、謎にもそこまで新味があるとは思えないし、新幹線の中で読むミステリー本のチョットよくできたヤツという手合いの面白さであって、1位はかなり疑問だ。2004年でランクをつけるとするなら、せいぜい8位、9位というところではないか。
読むのは文庫化されてからでも遅くない。実際、早くに文庫化されるだろうと私は推測している。
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