首都圏は雨の(週刊 自転車ツーキニスト181)
発行日時: 2004/11/12----------------------------------------------------------
【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
雨(首都圏)の181号
■わははは連日の
最近発行頻度の高い「週刊ツーキニスト」であります。「週刊」と称して、発行頻度にものすごくバラつきがある。「平均すると週刊」というぐらいに思っていただけると有り難いです。
どうやら今降ってる雨は、せいぜい今日の夕方までだそうで、それ以降は晴れる。
沖縄はどうかな。週末「ツールドおきなわ」に行ってくるのですよ。とは言っても、本業の都合上、後夜祭のみ。何をしにいってくるのやら。
さて、そんなこんなで、もう11月。少しずつ肌寒くなってきた。本当に1年って経つのが早いなぁ。
ついこの間、ハワイの「センチュリーライド」(*自転車のイベントですね)に参加した、と思っていたら、もう、次回大会が終わって、既に自転車雑誌に特集されてしまってる。私が参加したあの大会は1年以上前のことだったんだ。今年の日本人参加者は倍増したんだってね。まあ確かに魅力的だよ、ハワイで100マイル走るのは。参加者倍増も納得できる。
年をとればとるほど、どんどん時の経つスピードが早まっていく。
そういえば私自身も今月、38歳となるのだ。
半分中年、半分オジさん、と思っていたのが、もうホンの数年で、モロ中年、完全オジさんとなってしまうワケだ。いや、もうなってるか。その「オジさん」になるまでに、私は何をしてきたのだろう、と、ふと考えてしまうのよ。
■またまた古いマンガだ
故石ノ森章太郎の「サイボーグ009」で、誰が一番好きかといわれるならば、私は断然004をあげる。
ベルリンの壁を越える際に恋人を失った三白眼のドイツ人、アルベルト・ハインリッヒ(これ以上ドイツ的な名前があるだろうか)。責任感が強くて、タフで、クールで、そしてヒューマンタッチな全身武器のサイボーグだ。5巻と6巻の地底王国の話の中では、主人公は、島村ジョー(009)じゃなく、完全に彼だったね。
で、ついこの前、知り合いに聞いたんだが、その004の設定年齢が、23歳なんだそうだ。
23歳!
彼は23歳にして、あんなにヘヴィな人生をタフでアダルトに生きてるわけだよ。23歳か。私がまだサルのようなペーペーTV記者だった頃じゃないか。
もちろんマンガだ。架空の設定ではあるけれど、読者たちがその設定を首肯できた、という意味では、「009」の連載時、つまり70年代には、23歳の男はあの「オトナ感」に近いモノを期待されていたということなんだろう。
それに較べると、何だ何だ、今は、今のオレは、と思う。
古代エジプトのパピルスにも「今の若い者は……」と書いてあったという有名な話。
だが、ある種、それは当たってる。石ノ森章太郎が今生きてて「今の若い者は!」と言われたら「へへぇ、その通りでございます」と言ってしまうしかない。
いや、それどころか、37歳の私だ。私の方から「今の若い者は!」と言えということなのか。だが、言えんのだ、そんなこたぁ。恥ずかしくて。「今のオレこそ……!(絶句)」なのだ。
それにしてもなぁ、ハインリッヒ。あんまりじゃないか、23歳。
■司法大学院
私の友人が、今年から話題の司法大学院に通っている。
「誰もが羨む」という冠詞を付けても十分納得できるぐらいの一流企業を休職して、3年間のチャレンジだ。高校大学を通じての同級生だったから私と同じ齢。彼は既に38歳になってると思う。活発で如才なくて女の子にもてる。
その彼が、これまでやってきた業務とは、まったく畑違いの弁護士を目指すのだ。分かりやすいキャリアアップ。すごいなぁ、エラいなぁ、と思う。
だが同時に、何だかなぁ、と思ってしまったのも、一方の事実だった。
我々はまだ「何かにならなくてはならない」のだろうか、と思った。「今の自分でない、別の何かにならなくてはならない」と焦燥感に駆られるのはなぜなのだろうか、と思ったのだ。
きっと彼も(もちろん私も)オトナとしての自分が、いまだに完成されていないんだろう。完全にオトナになる、オジさんになり切るというのは、何かを諦める、ということと往々にして同義だったりするから。
さらに言うなら「何かを諦めない」ということは、必然的に「何かにならなくてはいけない」ということと同じだ。
彼は「優秀な○○マンになる(業種を伏せる)」ということでなく「弁護士になる」ということで「何かになる」ことにしたんだと思う。
だったら学生時代に、というのは、後でだからこそ言える話だ。彼はきっと「弁護士になる」ということに思いが至るまでに、卒業して15年かかったというだけだ。
私は何になることによって「完全オジさん」に至ろうか。
有能なるTVプロデューサーになる、ことだろうか(なれるかなれないかは別として)。それとも茶川賞でもとれというのだろうか(これまた、そんなことが可能かどうかは別として)。
息子を見ると「良き父であろう」(これまた、なれるかなれないかは別として)とは思う。だが……。
004、アルベルト・ハインリッヒは、どこで何を選んだのだろう。何を捨て、何を諦めたのだろう。選ばざるを得なくして選んだ道は、彼にとって存外幸せであったのだろうか。
■またまたまたまた
「わははは」で始まったのに、不意に何だか暗い気分になってしまったよ。
だが、宣伝は忘れないのだ(←しつこい)。例のヒキタ本7作目「日本史の旅は、自転車にかぎる!」ですが、今月16日に店頭に並びます(←もう分かったって)。
で、同じ11月の「東京サイクルショー」最終日の11/21(日)に、サイン会をやることになりました。
版元の木世(えい)出版が、やれやれ是非やれどうしてもやれ死んでもやれと言ったからです。1回目がAM11:30〜、2回目がPM3:30〜(予定)だそうで、誰も来なかったらどうしよう、オレ一人ポツーンだったらどうしよう、と、今からヒキタ、恐れおののいてます。
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「頭がいい人、悪い人の話し方」樋口裕一著 PHP新書
本書には「頭のいい人の話し方」は、まったく出てこない。
ただひたすら「頭の悪い人の話し方」が列挙してあるという本。「根拠をいわずに決めつける」「矛盾に気づかない」「強がりばかりいう」「人の話を聞かない」など、どこの社会にいても「ああ、いるいる。そういうたまんないヤツ」の手合いが列挙されているわけだ。
それぞれの項目に「対処法」「(自分がそれであると)自覚するために」との処方箋が記されているが、なに、この本の一番の骨子は「人のフリ見て我がフリ直せ」だ。いわゆる「反面教師」本。まあまあ面白かった。
こうした「反面教師」というのは効く。
この本を読んで思い出したのが、本多勝一著の「日本語の作文技術」(朝日文庫)だった。
本多氏については、私個人的には取材手法やスタンスなどにかなりどうかな、と思う部分があったりするわけだが、初心者が文章を書く際に、この本ほど参考になる本はない、と今でも思っている。
何がいいかというと、中ほどの章にある「ダメな文の見本」の部分がいいのだ。
彼が言うところの「一言でいって反吐が出そうな文章の典型」の例が続々と列挙され、「紋切り型」「低劣な発想で見てきたことのように書く」などの俗悪な文例がこれでもかと並べられている。朝日の「声」欄(読者投稿欄)に実際に載せられた例を俎上に上げ、メタメタにやっつける。本多氏「庶民の味方」の筈なのに、こと文章に関してだけはまったく「庶民の味方」じゃないのだ(*これはいい意味で言ってます)。
私は大学1年生の時にこの本に巡りあい、それから今に至るまで、ここにあげられた文の手合いだけは書くまい書くまいと念じてきた。それは私の文章力の向上に大いに寄与したと思う(これで? と言うなかれ)。
人は往々にして「こうであれ」と言われるよりも「こうなるな」と言われた方が身につくことがある。話すこと、文章を書くこと、などは、そういうことが有効な分野の典型なのではあるまいか。
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