手塚治虫? の(週刊 自転車ツーキニスト180)
発行日時: 2004/11/8----------------------------------------------------------
【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
手塚治虫? の180号
■キモチイイ季節だ、が、
月曜日の朝、おはようございます。今日はちょっと曇り気味ですね(首都圏)。
やっと自転車に最高の季節がやってきたというのに、実は私、あまりエンジョイしていないのです。
ナンデかというと、愛車MR-4Fのリアサス(エア)がいよいよヘタッてしまってしまったからだ。現在、新しいサスペンションユニットを注文中。交換したら、前のヤツはオーバーホールして次回に備えるつもりではあるのだが、その新しいのがなかなか届かない。
サスがヘタってしまった、というのは、つまり空気をパンパンにしていても、3kmも走るとすぐに一番沈んだ状態になってしまうのだ。ライディング姿勢が恐怖の「ヘッピリ・ポジション」になってしまっている。
で、何が悪いかというと、この状態で1日24km(往復ね)走っていると、てきめんに腰が痛くなるのである。こいつは結構困ったもので、会社のイスに座っていても立ち上がるときに「いたた……」になる。自転車に乗ること自体も楽しくない。ライディングポジションとは、かくも重要なのだ。
まったく。こんなにいい天気の日々なのに。
■狂信的(手塚治虫にからんだ例)
イラクの香田氏の例を上げるまでもなく「狂信」というのは、やはり恐ろしいと思う。
狂信というか、思いこみというか、他のモノを一切認めない、というか。でも、そういう人は、宗教がらみでなくても結構いたりする。
クダラナイことではあるが、学生の頃に「あれれ?」と思ったことがあった。
何かのコンパの席だったと思うが「オレは手塚治虫の熱狂的ファンだ」と自称する男がいた。結構ガタイの大きいヤツだったが、何だか場が読めないヤツでもあるらしくて、その手塚治虫のマニアックなマンガの話を延々とするのだ。「独演」という感じだった。時々いるでしょ、そういう人。そういうシチュエーション。ヤなコンパだね、ってヤツだ。
手塚治虫に関しては、私も結構、好きな方だが、あまりの手放しの褒めちぎりように、ちょっと茶々が入れたくなった。というのか、茶々というよりも、私はその前々から思っていたのだけれど、手塚マンガには2つの大きな欠点がある、と考えていたのだ。
・まず第一に、手塚治虫は「恋のプロセス」が描けない。親子愛、夫婦愛、またはすでに恋人同士になった後の二人、などはあんなにうまいのに、揺れるプロセスが一切ダメ。これは「アドルフに告ぐ」に典型的にあらわれるのだが、全部が全部「一目惚れ」だ。女の子の方がポッと頬を染めて下を向く。それだけですべて。その他の作品を見ても分かるけど、手塚作品には、コレが滅多やたらに多い。一目惚れ以外のプロセスはほぼない。あたかも意識的に避けているがごとく。
・第二。手塚治虫は「微妙な表情」が描けない。
これはちょっと聞きには信じられない感じがするが、事実だ。よくよく見れば分かる。泣く表情は皆、同じだし、笑う表情も皆、同じ。感情表現の大小はあるものの、男にしても、女にしても、あるパターンの中に落とし込むだけだ。彼は「記号としての表情」しか描けないのである。
まあ確かに手塚以前には、より無表情な「のらくろ系マンガ」しかなかったわけだし、人の表情をパターンで認識させるという手法は、まさに手塚が作ったシステムなわけで、それがある種、マンガの可能性を大きく拓いた。
欠点とあげつらうのはどうかとも思うが、その後、こんなに広がったマンガ手法、ということと、そのマンガ手法が広がった期間が、手塚現役時代と重なっていることを考えると、やはりいつしか手塚は遅れていった、と見なさざるを得ないと思う。
岡崎京子(わっはっはぁの大笑い)や新井英樹(泣く暇なひ)などの例をあげるまでもなく、最近のマンガは、この点、大きく進歩している。
とまあ、これらのことを件(くだん)の手塚男に、普通に言ったわけだ。私の指摘が当たってるかどうかは分からない。反論もあるだろう。で、反論があったら、それがさらなる議論の発端になるではないか、てな姿勢でね。ホントにフツーに穏やかに言ったんだよ。
そしたら、彼は「手塚先生の悪口は許せない」とか言って、私に殴りかかってきた。違うよ、悪口じゃなくて、批評だ、オレだって手塚作品は好きだよ。と、私はそう言ったが、彼にはちっとも通じない。
まわりの人たちが何とか止めてくれたが、恐かった。
こういう人はやはり困る。
彼は東大の法学部の学生だったから、今ごろ官僚にでもなっているのかもしれない。だとしたら、もっともっと困ることではある。
戦前の陸軍省なんかに、こういう人間が入っていたなら、もっともっともっと困ることであるな。というのか、実際に入っていたんだろう。で、そういう連中が「畏れ多くも陛下の皇軍に対する批判は許せない」なんつってたんだ。
それが日本をあやまらせた。
■自転車で日本史探訪
うひょひょひょひょ、見本版が届いたのだ。
例の「日本史の旅は、自転車に限る!」の話だが、発売は1日早まって今月16日。もう今から私はドキドキものだ。
真新しい表紙を撫でて、インクの匂いを嗅ぎながらページをめくると「これぞ充実感」という感じの感慨に浸ってしまう。でも同時に「間違った箇所があっても、もう訂正はきかないぞ」というような恐怖感というのか、恐れおののきにも襲われるのだ。これでもう7冊目。でも全然慣れないよ。
先刻ご承知の通り、私は「書くこと」が確かに好きだ。だが、こうして実物を手にしていると「本を作ること」そのものが好きなのが、自分でもよく分かる。総ページ数、328ページ。なるだけ沢山の読者の手に届きますように。
実は今回の本にはちょっとした野望があるのだ。
それは「日本史の旅」というものをキッカケに、ひょっとしてもっと広い世代に自転車の裾野が拡げられるのではないか、という目論見なのだね。
私は前々から「日本史探訪」と「自転車」というものは相性がいいと思っていた。徒歩、クルマと較べると、実に適当なスピードで、面白どころを逃さない。「あれ?」と思ったらすぐに停まれるし、「ちょっと足をのばせば行けるのに」というところにも、ちょちょいと行ける。地元の風の匂いや、道行く人の表情なども分かる。もちろん健康にもいい。
これは静かなブームになる可能性がある。で、もしもそうなってくれれば、やがて都市交通としての自転車にもどんどん光が当たってくるのではないかと思うのだ。
ブロンプトン(イギリス製の折り畳み自転車)や、トレンクル(日本製の折り畳み自転車)などを持って、歴史探訪に出かける中高年の姿が増えたりすると、結構いい風景なのではないかとも思う。もちろん若い人でも何ら問題はない。ランドナーに乗っての本格的なツーリングでももちろん問題ない。実際楽しいぞ、歴史ツーリングは。
いやまあ、それにしても、こうして出来上がった本を読んでみると、我ながら面白いなぁ。
「本を出したばかり」という瞬間は、ホントのことをいうと、何度も校正し、何度も読み直した後なので「もう読む気にもならん」というのが、書いた側の素直な本音だったりするのだが、今回はそれでも割合に面白い。
ナンデだろ?
そりゃ多分、ホントに面白いからだ。
……って、もはや直しも何もきかない状態の中、恐れおののく私は、そう思いこむことで自分を鼓舞し、暗示をかけているのだよ。
----------------------------------------------------------
【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「まともな人」養老猛著 中公新書
意外や意外、面白かった。タイトルで損してる。もっと魅力的なタイトルは付けられなかったものか。
「バカの壁」で大ブレイクした解剖学者、養老先生の「バカ後」初エッセイという触れ込みなのだが、小泉内閣発足、ムネオ話、靖国、9・11など、ちょっと前の時評を挟みながら披露される、養老先生の「まともな」感覚が楽しい。
特に私が好きなのは、この人の話のすべてに貫かれる「100%正しいことなどあり得ない」という諦観だ。先に出した「手塚男」の真逆なのだ。それが「他を認めよう」「別の考え方で考えてみよう」という姿勢に繋がってくる。
それは別な言い方をすれば「優しさ」だ。そういう優しさこそを持つことこそが、真のインテリゲンチャなのだと思う。
時評のところどころには、私の考えと必ずしも合わないところもある。だが、この本のポリシーの通り、それをもって「他を認める」よすがにすればいい。自らの考えを疑ってみるキッカケになる、てなもんだ。
養老先生「組織に属するのが苦手」なのだそうだ。ちなみに私も超苦手である。
-----------------------
【自転車通勤で行こう】
http://japgun.infoseek.ne.jp
バックナンバーはこちら。
http://www.melma.com/mag/03/m00016703/
このメルマガを読んでいる人はこんなメルマガも読んでいます
- STORM BTO PC
- BTOパソコンインターネットショップ「STORM」がお届けするパソコンユーザー必見のメールマガジンです
- 和田秀樹公式HIDEKIWADA.COMマガジン
- 『大人のための勉強法』などの著者である精神科医、和田秀樹氏のエッセイ・最新情報等が掲載されるメールマガジンです。
- 横浜中華街オフィシャルメールマガジン
- 中華街のイベントや旬メニュー、地元民のインタビューを書きおこしでお届け。お得なクーポンやプレゼントもついて、使える小ネタが満載です。ぜひメルマガをチ...
- 週刊アカシックレコード
- 02年W杯サッカー韓国戦の「誤審」を世界で唯一「前日」に誌上予測し、誤審報道を「常識化」した推理作家(金正日の「遺書」で始まる「中朝戦争」後の北朝鮮...
- 宮崎正弘の国際ニュース・早読み
- 評論家の宮崎正弘が独自の情報網を駆使して世界のニュースの舞台裏を分析
![メルマガスタンド[メルマ!]](/img/common/melma_logo.gif)








