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寒くなって(週刊 自転車ツーキニスト147)

発行日時: 2003/11/11

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【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
 寒くなってきましたねの147号

■選挙行きましたか?

 実は私、選挙速報をテレビでジッと見てるのって大好きでしてね。
 まだ選挙権のない子供の頃から好き。何か台風報道にも似たスペシャルな感じがグッとくるんだよなぁ。実のところ、あんまり中身には興味はなかったけど(子供の頃は、ですぞ)、勝ったぁ負けたぁという緊張感も何となく好きだった。
 ところが、この15年、私はこの選挙テレビを自宅でじっくり見たことがない。
 なぜかというと、その選挙報道を「送る側」にまわってしまったからだ。全然別の番組を担当していても、選挙ってのはテレビ局にとっても一種のお祭りであって、毎回毎回、当日は何がしかで関わってる。今回は関東某区の中継担当でした。
「間もなく、中継、きまーす。10秒前。5、4、3……。はい、キュー!」「バンザーイ」
 なんつってね。でも、それをやるにも、午後4時半からスタンバイに入って、終わるのが午前2時過ぎ。その間、立ちっぱなし。ああ、今回も疲れた。
 なかなか面白い選挙戦でしたね。大番狂わせばっかりだ。でも投票率59%かぁ。夕方から降り始めた雨がわざわいしたのかなぁ。

■カレーに福神漬け

 カレーに福神漬け、もしくはらっきょう、もしくはその他のお漬け物が付くのが当たり前だと知ったのは、高校生になってからだった。高校時代、私は下宿生だったもので、そこの賄いで初めて「カレーには必ず漬け物が付く」という事実に行き当たったのだ。
 それまでなぜそれを知らなかったのか。理由は簡単で、私の母親が大の福神漬け嫌いだったからなのだな。なんで福神漬けが嫌いかというと、その辺りはよく分からない。が、食べ物の好き嫌いに理由もヘチマもないだろう、と。
 とにかく母親の福神漬け嫌いで、私はそういう状況に陥ったのだが、その結果、今でも私にとっては「カレーに福神漬け」というのがよくワカラン。というのか不思議でならん。あれって合います? 味的に。
 私個人としては別段、カレーも嫌いじゃないし、福神漬けだってむしろ好きな方だ。だが、その2つを合わせることがよく分からない。日本のカレーがインド風だとは全く思わないが(「日本式の」カレーだよね)、かといって、福神漬けが合うような味だとも思えない。
 だけど普通は「合う」ということになっているのだ。こういうのは習慣のなせるワザなんだろう。一般的には、習慣として福神漬け、と。だが、私の習慣は、福神漬けレス。
 だからなんだと言われても困るのだけど。

■しとしとぴっちゃん

 雨だ(首都圏)。
 晩秋の雨って何だか鬱な気分になりませんか? 寒いし、暗いし、自転車にも乗れないしね。
 この時期、東京は4時半や5時になるともう暗い。子供の頃の話ついでに言うと、私にはこれが不思議だったのだ。九州の宮崎に住んでいたものでね。テレビなんか見てると、東京の人はすぐに「こんばんは」と言うなぁ、なんでだろう、と思ってた。
 地球儀上の経度が違うのだな。時間換算で東京と宮崎では40分程度、日の入りの時間が違う。
 これまた、だからなんだと言われると困るんだけど。

 雨だなぁ。それにしても鬱だ。
 個人的な話でまことに申し訳ないが、色々あって鬱。ドラえもんみたいに押入の中に入って、そこでただ蹲っていたい気分なの。
 個人的な話ついでに、あと数日で37歳。このこと自体もとても鬱。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

「『北朝鮮』とは何だったのか - 退屈な迷宮・増補版」関川夏央著(KKベストセラーズ)

 1990年代初頭に早くも北朝鮮の正体を喝破した名著「退屈な迷宮 - 『北朝鮮』とは何だったのか」の増補版である。増補版とは言っても、前書きと年表が新たに加わっただけで、事実上は「復刻版」に近い。タイトルだけがひっくり返ってしまってる。
 名作だ。
 あの80年代から90年代前半にかけての「言いにくい」政治状況の中で、穏やかに、しっとりと、それでいて透徹した目で描いた北朝鮮は、今にして読み返してみても、まだ全く色褪せていないと思う。あの頃「北朝鮮の崩壊」は既に始まっていた。それどころか関川氏の言を用いるならば、60年代に崩壊の予兆は用意されていた。それが南との対比の中で、しっとりと明らかになっていく。
 関川氏が北朝鮮を訪れたのは合計3回。そのたびに彼の視線は変化する。最初は観光客の目で、次にジャーナリストの目で、最後に研究者の目で。そして「疑問と驚異の平壌」は次第に「退屈な迷宮」へと姿を変えていく。その「退屈さ」の本質とは何か。それが浮かび上がる過程はあたかもよくできたミステリーを読んでいるかのようだ。
 大オススメ。数多ある北朝鮮告発本の中で、この本だけはジャーナリズムでありながら、きちんと文芸になっている。さすがは関川、豪雨の予兆なのだ。

 さて、だが、私がここで言いたいのは、この本がいかに名著か、と、実はそのことではない。
 こんな名作が、92年の単行本初版、96年の文庫化、そして、今年4月の再文庫化と、わずか10年の間に3回もの有為転変を重ねねばならなかったことだ。この本が売れなかったわけじゃない。むしろ売れた。ただ現在の出版状況はそういうものだということなのだ。
 毎年毎年3万種類の本が新たに出版される。それが本屋の棚を占めるために文字通り毎日の競争に晒されている。
 その中で、ちょっとでも売れ行きが鈍ると「はい、この本の寿命は終わり」とばかり返本にまわされ、市場から消えていくのだ。それがビジネスとはいうものの、寂しいのも確かだよな。
 というのか、読むに値する本、しない本、それがゴッタ煮状態になりながら、本屋に溢れてるというのが今だ。そこには「悪貨が良貨を駆逐する」という現実が(文字通りの意味とはちょっと違うが)確かにあると思う。
 まあ、私なんかの本が、その悪貨なのではないか、という苦情は予期した上で言うのではあるがね。

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