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赤坂から(週刊 自転車ツーキニスト136)

発行日時: 2003/7/20

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【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
 身近に闇が口をあけてる136号

■何だ何だ!

 雨かなー、もつかなー、とか思いながら、自転車に乗って会社にやってきたら、げげげげ、それどころじゃない。赤坂騒然だよ。一昨日(18日)の話だ。
 例の小6女児4人監禁事件なんだけど、現場は私の勤務先からもうホントに目と鼻の先。テレビに映るあの通りなんかもよく知ってる。建物の1階、コンビニエンスストア「ポプラ」に入ったことだってあるよ。
 もう驚きだ。あのマンションにワケの分からない闇の仕事師、いや闇の変態野郎がいたんだなぁ。女児4人しかも手錠つき、さらには別室に30代男の自殺死体。もろ馳星周か花村萬月かって世界じゃないすか。
 ロリコンなんだか、何なんだか、4少女、本気で命が危なかったと思う。まあ最悪の事態だけは免れて、良かったというべきなんだろうが、それにしても……、だ。

■変態クン大爆発

 いやー、赤坂には「ヤクザビル」とか「極道ホテル」とか呼ばれるビルがいくつかあって、そういうところに組事務所があるのは分かってた。赤坂は、昼間オフィス街、夜は繁華街、という2つの顔を持った街だから、その「あわいの部分」に闇の人々が蠢いてる。それは知ってた。
 だけど、今回のはそういう札付きのマンションというわけじゃないのだ。単なる短期滞在型マンション(これ、TVで「ウィークリーマンション」って言っちゃいけないのね。登録商標だからして。それもスポンサーの)。そこでこういう闇の変態クンがうごめいているってのは、いや、ちょっとしたショックだった。
 日本もついにここまで来たんだなぁ。
 もうこうなると、アメリカなんかの「幼児ポルノ」「死体ポルノ」「人身売買」あたりが目の前、という気がしてくるよ。何てこった。重篤なる変態クンが、どこで普通の顔して歩いてるか分かりゃしない。

■身近に闇の世界が口をあけてる

 事件の詳細は、警察の捜査を経ないと分からないけど、間違いなく性犯罪の一種なんだとは思う。
 そして、この事件が上記の「○○ポルノ」なんてものを即座に連想させるのは、やはり、インターネットの普及と無関係とは言えないだろう。
 こうしてネットに接している以上、誰もが知らないうちに、闇の世界(のようなもの)に紛れ込んだという経験があるのではないか。
 たとえば「SM」のようなもの、たとえば「死体」のようなもの、「薬」はじめの違法販売、そういうものを垣間見る機会が増えた。
 以前ならば、それらの背徳的なものは、一般には触れてはならないものだったわけで、少なくとも公式には「ない」ものだったはずだ。だが、ネットはそれを異様に身近にし、垣根を低くした。ネットの中なら、誰もが思うがままに匿名で、昏い欲望充足サイトに接することができる。そんな中、一人一人の「ここまでは大丈夫」というハードルがどんどん低くなってきたのではないか。そしてヴァーチャルとリアルの境界が溶けていく。
 今回の吉里とかいう容疑者(29)も、事件以前に絶対にネットでそういう情報、画像、その他のものをかき集めていたはずだ。それが現在という時代だから。そして自分の欲望のまま、こうして現実の世界で破滅まで突っ走ってしまった。
 自らの昏い欲求がヴァーチャルな世界によって殊更に刺激されること。
 それが、彼にとって吉と出たか凶と出たか。結果を見れば、凶と出た。見たままの分かりやすい凶。と、そういうことなのではないか。

 こういう事件は世界中でこれから必ず増える。
 私は情報にしても通信にしても芸術にしても、なるだけタブーを少なく、もとより自由であることが何よりも優先すると思っているタイプの人間だ。
 だが同時に、自由を享受するには、そのための資格がいるとも思っている。吉里には明らかにその資格がなかった。自由と放縦とは違う。そういうことにどう折り合いをつけ、どう「自由」と付き合っていくか。人間たちは本当に難しいところにやってきてる。

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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】

「ラーメンの経済学」河田剛著 角川ONEテーマ21新書

 いわゆる「ラーメン本」は数あれど、その本に満足した試しなど一回もないのだ。
 店の紹介本、蘊蓄本、ブームの構造分析本、などなどといずれも、それなりに著者は頑張って書いているのに、満足できない。端的に言うと面白くない。ラーメン好きの私としてもそうなのだ。
 その理由は簡単で、本からは絶対に味が伝わってこないから。
 当たり前といえば当たり前なのだが、これはテレビとも違うところだ。テレビを見てて「チクショー、食いてえっ」と思ったことは多々ある人も、本を読んで「旨そうっ」と思ったことは、あまりないのではないか。もちろん写真が載ってる本も含めての話だ。たぶん、揺れる湯気、撥ねる汁、滲みゆく色彩、と、そういった動きそのものもまた、味覚を刺激する一因なのだろう。ラーメンの本も同じことが言える。
 そして、ラーメンほど「これが旨い」に、個人差があるものもないから、著者が「これだよこれだよ」といかに思い入れを込めて語っても、えーっ? あれがかよ、と思われたらアウトだ。私など九州者だから、好みのベクトルが九州ラーメンに向く。それも宮崎風のラーメン(そういうのもあるんすよ)。その思い入れで語っても、やはり支持は得にくいだろう。
 この本は「経済学」という独自の視点を入れて、従来のラーメン本よりはかなりマシに仕上がってはいる。だが、結局、その呪縛を逃れられなかった。
 やはりラーメンは、読むよりも食べた方がいい。
 何ちゅう当たり前の結論なんだ。

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