桜咲く(週刊 自転車ツーキニスト124)
発行日時: 2003/4/4----------------------------------------------------------
【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
春爛漫124号
■満開!
ぼんやりしているうちに、東京も桜満開だ。いや、イイ季節。もちろん自転車にとってもね。
ところで、首都圏、ここ数年、桜が増えたと思いませんか? たぶん気のせいじゃない。ホントに増えた。
私が推測するに、この数年というもの「ニュータウン」ができるたびに桜を植えるケースが多いんだ。誰にとっても評判がいいからね、桜は。銀杏みたいに「タネがクサい」とか「落ち葉が迷惑」とか、そういう苦情は出ないし、この季節になると「ウチラのところも桜の新名所だよ」と言えるし、で。
でも、ひねくれ者の私は、こうまで多くなると「桜ばかりが花じゃないよ」とも思うのだ。
近くの公園では、桜に隠れながらも木蓮が満開だった。白い木蓮のど迫力もまた捨てがたい。盛りは終わってしまったけど、梅もよろしくね、桃もよろしくね。
■地下鉄に乗ると
前々から思っていたのだけど、時折地下鉄に乗ると、何だか「微妙にイヤなもの」が目に入る。
営団地下鉄の「マナーポスター」みたいなもんだ。「駆け込み乗車はやめましょう」とか書いてあるヤツ。最近やたらに多くないすか?
いやお題目は結構なんすけどね、でもさ、ってヤツだ。「駆け込み乗車」をはじめとして、「携帯電話はやめましょう」だとか、「車内で飲食するな」とか、「ウォークマンはボリュームを絞れ」とか、甚だしきは「オバさんの香水がクサいです」とかね。最後のヤツなんて、オバさんが気の毒になってしまうよ。いいじゃん、それぐらい。余計なお世話だよ。
「携帯電話はやめましょう」なんてヤツにしたって、何だか中学生が描いたようなイラストが真ん中にあったりするんだが、その絵柄は、空いた車内で、あたりをはばかりながら、口を手で隠してコソコソと電話しているオジさんの図だ。いいじゃん、車内、空いてるんだったら。
こういうのって何だか子供の頃の学級委員とか反省会みたいで、ホントにうざったい。「ダメだからダメなんです」という一種の思考停止だと思う。
私は別段、車内でケータイを使いやしないけど、車内ケータイがダメなのは、込んでる車内でペースメーカーに影響を及ぼしたり、傍若無人な会話が直接的にうるさかったりするからでしょ? 空いた車内で、あたりをはばかって電話してるんだったら、イヤだとも迷惑だとも思わないよ。少なくとも、私はね。
だいたい、東京の地下鉄に乗ってる人、こんなにポスターでやいのやいの言われなくてはならないほど、マナーが悪いかなぁ。
人が込み合って暮らしている以上、ある種の寛容は必要だと思う。アレも迷惑、コレも迷惑、なんてことばかり言ってると、社会そのものが息苦しくなってしまうよ。そして、イヤなのは、こういったポスターが溢れるその一方で、車内暴力などの「ホントの迷惑」は増え続ける一方であることだ。
営団地下鉄は、こんなに沢山のポスターを作ってるカネとヒマがあるなら、その分、警備員を増やすなり、ホーム側の扉を拡充するなりして、「ホントの迷惑」を駆除する策を練ったらどうだろう。
■高千穂に
「バイシクルクラブ」5月号から私の新連載「歴史街道ツーリング(仮題)」が始まります。第1回目は神代の里、宮崎県は高千穂だ。もう既に行ってきた。原稿も書いちゃいました。手前味噌ながら、かなり面白いのではないかと思ってます。是非よろしくお願いします。(03/4/4)
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「物語日本史 上・中・下」平泉 澄 著(講談社学術文庫)
上記の連載を始めるに際して、最近歴史の本ばかり読んでるワケなんだけど、コレにはビックリしたぞ。驚きの奇書。
著者の平泉氏は、明治生まれの歴史学者で、東京帝国大学の教授を1945年に辞している。終戦の年だ。GHQからは、かなりの「要注意人物」と目されていたらしい。1980年代に亡くなった。
何がスゴいかと言えば、平泉教授、ものすごい「天皇崇拝主義者」なのだ。
この本自体は、かつて「少年日本史」として、「戦後の米化教育に毒された」少年たちのために書かれた、知る人ぞ知る「名作」であったらしい。最初に出たのは昭和47年。「遺書のつもりで書いた1000枚」というのが、本人の紹介文だ。それが改題されて現在に至っている。
正直、面白かった。知らないことも多かった。
戦前の国家神道、皇国の歴史は、なるほどこのように教育されていたのかぁ……、というのがよく分かる。とにかく天皇は善、刃向かうものは悪。それが全編を貫くポリシーだ。話はもちろん「古事記」から始まるし、足利尊氏なんて大悪人だし、大東亜戦争で終局にいたるも、燦然と輝く皇統はあくまで不滅だ。いやー、こう言っては何だが「異文化に触れた」という心持ちだよ。だいたい全3巻のうち、上巻なんて、殆どが神代の話なんだから。縄文だの弥生だのなんてどうでもいいのだ。話はひたすらアマテラスであり、神武天皇であり、神功皇后であり、継体天皇なのだ。
だが一方でこうも思う。
この本を現代において「なんじゃこれ」というのは簡単だ。だけど、頑なに「日本の国体」(本の中では「日本の国柄」と言い直されている)を守り、日本の文化は本来こうあるべきだと主張するその姿は、あまりに誠実、あまりに懸命で、私はちょっとした感銘を受けたのだ。美しい話も愉快な話もたくさん出てくる。それらの神話を「残したい」「伝承し続けたい」という強烈な情熱を、戦後の嵐のような民主教育の中で保ち続けるのは、ものすごく困難、かつ不断の努力の結果だったと思う。
何だか「あくまで帝をお守り申し上げる、自律心の強い誠実なる老侍従」という感じ。
思想の内容はどうあれ、私はこういう頑固爺さんは好きだ。
ホントに近くにいたりしたら、ちょっと煙たいかなとは思うけど。
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