トマト味の(週刊 自転車ツーキニスト111)
発行日時: 2002/11/27----------------------------------------------------------
【週刊 自転車ツーキニスト】"Weekly Bicycle Tourkinist"
戦いすんで日が暮れての111号
■今日ほどの……
今日ほどの絶好の自転車通勤日和はなかったね(首都圏)。
快晴、気温もやわらか、風も穏やかだし。おまけに空気そのものが澄んでる。都心に植えられた銀杏もいよいよ真っ黄色で、たぶんあと数日中に散る。
人生75年として、私の場合、今の、この季節、この光景をあと30回眺められる勘定だ。
そうなのだ。裏を返せば、あと30回しか眺められない。
本などに何度も書いているように、私は今のこの季節が一番好き。人は生まれた月、季節が一番好きなのだという俗説があったりするけど、私の場合、その俗説がまさにぴったんこだ。自分自身が俗な人間なワケだわ。まあイイが。
間もなく銀杏が散りゆくよ。その後には豊饒の冬が待っている。
その散りゆく葉の中を自転車で走ることが出来ることだけで、私にとっては一年間自転車通勤をしていた甲斐があったというものだと思う。舞い散る銀杏の葉は、天からの自転車ツーキニストに対するご褒美なのだ。
■カゴメカゴメ
ところで、私はこの30年というもの「カゴメ・トマトジュース」よりうまい飲み物(ノンアルコールカテゴリー)はこの世に存在しないと思っていたのだが、つい最近、それを越えるモノを発見してしまった。その名は……。
「カゴメ野菜ジュース(無塩)」だ。
この野菜ジュースに、ちょっぴりの唐辛子を振りかけて、適当にぬるめの状態(つまり、あまり冷えてない)で飲むのだ。
実に美味い。セロリの刺激と唐辛子の刺激が相まって、ちょっぴりハードボイルドなテイストが鼻を抜ける。塩なんて入ってなくてもきっちりとパンチがある。美味い。カリウムもリコピンも摂りまくりだぞ。
で、ここ数日、会社に着くと、即「野菜ジュース」なのだ。普通のソフトドリンクに較べると若干高いのが玉に瑕だけどね。
それにしても、この「カゴメ」という会社って、イメージ的にものすごく得していると思いませんか? ヘルシーで地道な感じ。ベジタブル系ばっかりだからね、製品が。
「カゴメ」という名前も、深く考えてみると何だかよく分からないくせに、何となくジャストミートな感じだし、「カゴメの社員です」なんていわれると、必ず好青年好オヤジであろうという気がする。愛知県に会社があるそうなのだけど、何だか気のいい社員が毎日野菜を搾ってはビンに詰めてる、そんなイメージ。買うか、株。
詳しいことは知らないが、業績も、良くもなく悪くもなくの堅実経営を続けているのではあるまいかと思わせるよ。野菜関係以外に手を出さない。
この間の「六条麦茶」は当たったけどね。あれも美味しいね。何か混ぜものでもしているのではないかと思わせるほど、香ばしい。アレのせいで、他社の麦茶、ぜんぶ一掃されてしまったもの。
野菜ジュースってどうやって作ってるんだろう。
私のアタマの中では、工場の中に、超巨大なジューサーミキサーがあって、それがブン回りつつ、下からぽたぽたと赤い汁が出てきてる、というようなイメージなんすけど、だれかカゴメの社員、いましたら教えてくれませんか?
■今週のMR-4F
ホントにもう、私ヒキタ以外にはどうでもイイコトの極致なのだけど、今、猛烈に悩んでいるのは「スタンドを付けるか否か」なのだ。付けた方が便利だし、付けない方がカッコイイし、の間で揺れてます。ただ、最近思うのだけど、最近の私にとって「便利だから付けたい」というのは実はウソだね。本音を言えば「付けたいから付けたい」。これが正解。
実はハンドルには、コンパスとベルを付けました。ハンドルがもういっぱいいっぱい。ガキの自転車みたいだ。コンパスなんてどうでもイイものの筈なのに。
うーん、でもそうなのだ「とにかく改造したい」「手を加えたい」でアタマがいっぱい。ついでに言うと、シールもべたべた貼ってる。カッコ悪。元の面影なし。ジャイアントの人々、すまぬすまぬ、なのだ。
■東京サイクルショー無事終了
いらしていただいた方、ありがとうございました。私自身は殆ど徹夜明けでふらふらでした。何だか喋りもあんまりうまくいかなくて、反省することしきりです。
ただ、メインステージ、宮田ブース、と、合わせて4回もステージがあったのと、雑誌の取材が2本あったので、ほとんど会場を見てまわることが出来ませんでした。もちろんヒキタ撮影のデジカメなどもなし。よってHPの更新ができないでいます。
誰か写真データ持ってて「使ってイイよ」という方がいらしたら、私にご連絡下さい。
来場者数はまたしても過去最高を更新して13万人だったそうです。毎年盛況ですね。そうそう、私に声をかけてくれた人、ありがとうございました。本買ってくれて「サインを」という方、もっとありがとうございました。
来年またお会いしましょう。
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【ヒキタ解釈のオススメ本(たまに非オススメあり)】
「さびしいまる、くるしいまる。」中村うさぎ著(角川書店)
言わずと知れたショッピングの女王さまの最新刊。
中村うさぎ氏は私にとって「必ず読む女性エッセイスト」の一人だったわけ。ナンシー亡き後の、数少ないね。ところが、このところ週刊文春連載の「ショッピングの女王」が、さっぱり面白くなかった。
以前の「それでも買うわよ、ドルガバ、エルメス、何でもいらっしゃい! ああ、またカネがない、がちょーん」とか言ってたときは、本当に面白かった。ところが、それが「連夜のホストクラブ通いよ、おーっほっほっほっ」になってしまった後は、何だか同じ作家と思えないほどに面白くなくなってしまっていたのだ。
文体も変わらない、くすぐりも忘れない、だけど、レベルの落ちようは、それこそ圧倒的だった。
ナンデだ?
私にとっては、結構謎だったんですよ。この変わり様は。それがこの本を読んで解けた。
うさぎ氏、本気だったんだ……。
43歳の主人公(もちろんうさぎ氏本人だ)が、ある日突然、ホストクラブ通いにはまり、春樹という名のホストに大金を投じつつ(一晩に40万50万は当たり前)、破滅に向かっていく、という物語だ。エッセイなのに物語。さよう、究極の私小説だよ、この本は。究極の私小説にして純愛小説にしてエゴ小説。さらには実録。
読んでいる間、私はとっても悲しい気持ちになってしまった。近頃本を読んでこんなに切ない気持ちになったのは久しぶり。 最重要の登場人物の一人「ゲイの夫」も泣かせる。
うさぎ氏、バカだなぁ。今までは私は彼女のことを「バカぶるのがめったやたらにうまい聡明な女」と、認識していた。だけど、そうだな、うさぎ氏、少なくとも聡明じゃなかった。聡明な女は春樹なんかに入れ込まないし、ホストクラブなんかにカネをつぎ込まないよ。
だけど、うさぎ氏を「バカだなぁ」と思うと同時に、この人に対する(今までは考えもしなかった)「愛しい」という気持ちをホンのちょっぴり抱くことになったのも事実だ。
なぜか。それは、彼女が求めに求めて、そしてついに得られないものは、たぶん私にも(そしてきっとあなたにも)手に入れられないものだからだ。
人は誰でも心の中に1羽のうさぎを飼っている。
この本は面白いし悲しい。オススメであるけどオススメでない。最初から最後まで一気に読めてしまうけど、途中で読みたくなくなる可能性も大。読んでみますか? どうします?
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